灰色の立派な魔法使い(マギステル・マギ) 第三夜(裏) |
私こと桜咲 刹那(さくらざき せつな)は先程まで敵だと思っていた相手に背負われている。
助けてもらったにもかかわらず、剣を向けてしまった私を・・・
先程までの私はかなり興奮していたのだろう。
実は自分で召喚し自分で倒したのではないか考えたり、助けたのだって私を助ける事によって易々と進入するための口実を作るためだとか疑ったりしていた気がする。そのため私は彼、アレン・ウォーカーに刃を向けていた。
そんな状態だったから、彼が聞いてきた質問も蔑ろに返していた気がした。『エクソシスト』や『イノセンス』や『黒の教団』という単語はうっすら覚えているが、どういう意味で言われたのか覚えていないから、どれだけ冷静を欠けていたかがわかる。
徐々に冷静さを取り戻した状態になってくると、彼はひざを突いてうな垂れていた。先の言葉を覚えていなかった私はなぜうな垂れているのか分からず動揺してしまった。
そんな状態で理由を考えていた私は、自分の言葉で傷つけてしまったとは思わず、どこか怪我をしているのではないかと言う考えに至ってしまった。
『あの、大丈夫ですか…もしかして何所か怪我しているのですか?』
と具合を聞こうと声をかけたのだが、
『…ありがとうございます。あなた、優しいんですね。』
と逆に気を使われてしまい、非常に情けない気持ちになってしまった。
と、ここである事に気付き、私は顔を伏せてしまった。
だって、おっ同い年くらいの男の人とこんな近くで会話したのは初めてで、というより顔近いぃ!(このとき2人の顔の距離は30cm)
とにかく、自分一人の判断だけでは彼をどうする事もできない。
なので学園長の判断を仰ぐために責任者のところへ連れて行くと言った。…ちゃんと言えたよな?
移動する事になったのだが、ここで問題が発生した。
さっき転んだ拍子に足を痛めたらしくまともに歩ける状態ではなかったのだ。
無性に自分が情けなくなってしまった。調子がいいと1人で動き窮地に陥り、助けてくれた人を敵だと疑い、挙句の果てにこの様だ!こんなんじゃ警備所か、お嬢様の護衛としても役に立たない…やはり私は、何も守る事ができないのだろうか…
そして思考の海から這い上がってくると、彼がこちらに背を向けていた。不思議に思っていると。
『さっきので怪我したのしょう。よかったら乗ってください。』
その言葉に私が『いいのですか?』と聞くと彼は、
『えぇ…どうせ他に行く所も無いですから、今頼れるのは勝手ですけど貴方しか居ません。だから僕に少しでも不審な所があれば切り捨てて結構です。』
その言葉に私の心に、何かがストンっと埋まる感覚がした。
何なのかも分からないし何故なのかも分からない。だが言葉にするとしたら『嬉しい』だったかもしれない。
何で『嬉しい』だったのかも、何故『嬉しい』だったのかも分からない。だがこの言葉でしか表せないような気がしたのも事実だった。
そのせいなのか、私は彼の背中に乗って行き先を示し今に至る。今の私は彼を信じても良いのではないかと言う想いが大半を埋めていた。
彼は一体何者なのだろう?その答えは学園長に会った時に聞けばいいだろう。
今はこの背中の温もりに甘えていたい………
…アレンさん…ここ、さっきも通った様な………
灰マギ劇場に繋がる? (オイ)
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第三夜(裏)背中の刹那 先に灰マギ劇場 2夜を読んだ方がいいかもしれません |
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