ラウラの憎しみ・・一夏のトラウマ |
ある日の放課後
唯はシャルルを連れて研究所に行った後、一夏の特訓のためにアリーナに向かっていた。
「悪いな。わざわざ付き合ってもらって。」
「ううん、いいよ。」
バーニアの調整を修正したため、一夏の特訓とテストを並行して行おうと決めていた。
アリーナについたのはいい。
しかし・・。
(何だ・・?騒がしい・・。それにいやな予感がする・・。)
「一夏!」
「・・!?」
先に観客席に着いたシャルルが叫ぶ。
その声を聞き、唯も観客席に姿を現す。
唯たちの目に映った光景は・・。
セシリアと鈴のISがボロボロで気絶・・。
さらに近くには打鉄をまとった箒もいたがこちらも気絶している。
ラウラがISを展開した状態で一夏を殴り続けていた。
「フハハ!どうした!あの男女の弟がいなければ何もできないのか!」
「いや!いや!助けてぇ!唯!」
それを観客席で見ていた唯。
突然頭を抱え苦しみだしシャルルはあわてて駆け寄る。
「う、ぐ、があぁぁぁ!!」
「唯!?」
唯の脳裏にあの光景がよみがえる・・。
過去
ミケランジェロ記念病院
「ううう・・。あああ・・。」
唯の目の前には異形の化け物がいた。
唯は衝撃波・・ナルコンを使い化け物を倒す。
しかし医院長は顔色一つ変えずに医局員に指示をする。
「クスリの投薬を。」
「しかし、これ以上は・・。」
「かまわん。ここで壊れてしまったらそこまでだったということだ。」
毎日クスリと実験に明け暮れた日々・・。
そんな中・・。
「唯くん、大丈夫ですか?」
「奏・・。大丈夫じゃない・・。」
奏と呼ばれた少女が声をかけてくる。
千冬によく似た顔を持っているが違うのはその女の子はショートで鈴のついた髪止めが印象的な女の子だ。
「大丈夫ですよ、私が唯くんを守りますから。」
奏はニコッと微笑む。
その振動で鈴が鳴る。
チリン・・。
現実
「っは!?」
唯は脂汗をかきながらも現実に戻ることができた。
シャルルが声をかけてくる。
「唯、大丈夫?」
「・・ああ。それよりも一夏だ。」
唯は黒百合を展開。
シャルルもラファールを展開。
「ビームマグナムでシールドを破る。破ったらすぐに鈴たちを保護してくれ。」
「うん、わかった。」
唯はビームマグナムを構える。
キュオォォ・・。
銃口にエネルギーが収束していく。
今回は一発だが五発分のエネルギーを収束。
唯はラウラに狙いをつけ・・。
「そこだ!」
ズキューン・・!
唯の目論見通り放たれたビームはシールドを易々と突破しそのまま一直線にラウラの元へ向かう。
「何!?」
ラウラはビームに気づき急ぎ回避するが・・。
「バ、バカな!かわしたはずなのになぜエネルギーがなくなっているのだ!?」
「余所見をしている暇があるのか?」
「・・!?」
ラウラの目の前には唯の投擲したビームサーベルがあった。
ラウラはAICを発動しビームサーベルの動きを止める。
「くっ・・。貴様は・・!」
「AIC・・。確かに厄介だな・・。・・ボーデヴィッヒ!なぜ一夏たちを痛めつけるようなマネを平然とできる!?」
「フン、覚悟もないものが戦おうとするからだ。」
「てめぇ・・。」
唯は声を震わせながらラウラをにらむ。
ビームサーベルを持つ手に力が入り目の前にいるラウラに切りかかりたい衝動を押さえ込む・・。
「・・今は一夏たちの治療が先だ。決着は学年別トーナメントでつける。そこでお前に力というものを教えてやる。」
「・・いいだろう。貴様を完膚なきまでに叩き潰し教官の目を覚まさせてやる・・。」
そういってラウラと唯はISを解除。
唯はラウラの横を通り過ぎざまにこういった。
「ボーデヴィッヒ、千冬姉さんをはじめこの世の中に完全な人間など存在しない・・。人は何かしら欠点があるからこそ支えあい生きている・・。」
「・・・。」
唯の言葉にラウラは無言だった。
その後、一夏たちを保健室に運び込みISは愛琉に事情を話し束の研究所に持っていってもらった。
保健室
箒、鈴、セシリアの怪我はそこまでひどくなく、2〜3日安静にしていれば直るそうだ。
「どうした?鈴。挑発に乗るなんてお前らしくないな。」
「ごめん・・。でもあいつ、あの人のことをバカにしたから・・。」
「桐生さんか・・。」
唯の脳裏に伝説の極道・堂島の龍が浮かぶ。
あの人からは生き様等いろいろなことを学んだ。
そのつながりで孤高の金融屋などいろんな人と出会った。
「・・そうか。お前もあの人のことを尊敬していたからな・・。」
「うん・・。だから思わず頭に血が上っちゃって・・。」
「まぁ、みんな無事でよかったよ。セシルも箒も。」
唯はそういうが箒は思う・・。
(鳳やセシリアは専用機があったからある程度戦えた・・。私は置いていかれてしまうのか・・?唯の隣でたたかうことはできないのか・・?)
しばらく談笑する唯たち。
すると眠っている一夏が暴れだす。
「・・いやぁ!いやぁぁぁぁ!!やめてぇぇ!!私は・・!!私はぁ・・!」
「おい!一夏!」
「一夏!しっかりしろ!」
「どうしたのよ!?一夏!」
「一夏さん!しっかりしてくださいませ!」
「一夏!しっかり!」
暴れる一夏に声をかける唯たち。
それでも治まる様子はない。
「・・!」
唯は自分の右手を見た後、一夏の頭に手を載せる。
メラトロピンを使い、一夏の夢を見ようというものだ。
一夏の夢
『これは・・一夏の小学校時代か?』
そこは小学校だった。
周囲にいる子供たちは今、唯の姿は見えていない。
ちび一夏をいじめている円山とクラスメイトたちがいた。
「なぜあなたは・・!」
「織斑さん、篠ノ乃さんあなたたちはどうしてもう・・!」
「いい?私だっていじめを率先しているわけじゃないの。」
『なるほど・・。あの女のクラスメイトを巻き込んだ執拗ないじめがトラウマになっているのか・・!』
しばらくするとクラスメイトたちが離れる。
それを見ていた現在の一夏が体育座りで泣き出す。
「ひっく・・ひっく・・いやだよぉ・・。何で姉さんの妹に生まれたの・・?私は私なのに・・。」
『ったく・・。』
唯は後ろから現在の一夏を抱きしめる。
一夏には唯の姿は見えないが声は聞こえていた。
『大丈夫だ・・。俺は何があってもお前の味方だ・・。』
「え・・?」
『さぁ、目を覚ませ。俺の知っている一夏はこの程度じゃ心は折れないぞ?』
そういった瞬間、一夏と唯の目が開く。
「ったく、手間かけさせんな。」
「ありがとう唯。唯の声・・聞こえたよ。」
その後、束が現れ一夏たちのISの損傷レベルがひどく、トーナメント出場は断念せざるを得ないということを告げられた。
唯はこの後、シャルルに自分とパートナーを組むように頼み、シャルルはこれを了承。
その夜・ラウラの部屋
「織斑唯・・!必ず貴様を殺す・・!」
チャリンチャリンチャリン・・!
ラウラは唯への憎しみがさらに増し、セルメダルもたまっていく・・。
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とトーナメント前のやり取り。 |
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