第二十話 やっぱり好きにはなれないな
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アニスサイド

 

 

「こっちか」

 

 

俺は仮面の男を追っている。

追っていると言うのは、少し間違いかな?誘われた、俺はそれに乗った。

乗るか反るかは俺次第だったはず。

あの仮面の男……いや、悪戯猫……でもないな……まぁ、重罪猫とでもしとこうか。

 

 

とにかく、その二人に誘われたのを、俺が乗った。

だから今だって、こんな人気のない所まで来ているのだ。

 

 

「……ふふ、お姉さん、身悶えしちゃうってお姉さんじゃねぇや」

 

 

そんなボケを、一人で言って自分でツッコム。

この体になってから、久しく忘れていたよ……この高揚感。

若干口調が某とあるに出てくるオリアナみたい感じになっちゃった。

 

 

「……もう良いだろ?だいぶ人気も無くなってきた……それに、いつまでも大人が子供を待たせちゃやーよ?もっと大人は速く行動すべし」

 

 

俺は誰も居ない場所で言葉を発する。

うむ、こう人が居ないとさ、独り言みたいで恥ずかしんだが……。

 

 

「ガキが何を言っている……」

 

 

声が聞こえてくる。

それは俺の声ではなく、第二者の声だ……ふぅん、もう一人は高みの見物かい?ふふふ、そう言うの、嫌いじゃないわ。

 

 

「おやおや、男の人でしたか。まさか俺の強姦しようと?キャァァ!犯されるー!」

 

 

「……黙れ」

 

 

「あらあら、今どきの人には冗談も通じないのかしらん♪つかこの口調めんどくさ、普通に戻そう。それで?何で俺を誘った?」

 

 

「率直に言おう。闇の書に関わるのは止めろ」

 

 

ほら、やっぱりこれだ……。

でも、気づいてないのかな?俺が闇の書の現マスターだって事。

 

 

「え?闇に書?何それ分かんなーい」

 

 

「ふざけているのか?」

 

 

おうおう、檜山ボイスでよぅ言うわ。

 

 

「ふざけてなんかないよ?でも、真面目ってわけでもないけどね」

 

 

「……それで、答はどっちなんだ?関わるのか、関わらないのか」

 

 

「答え何て決まってんじゃん……関わるに決まってんだろう?バーカ」

 

 

「そうか……ならば……死んでもらおう……」

 

 

目の前の男がそう言うと、後ろから気配を感じる。

馬鹿だね……子供だと思って甘く見てるでしょ?んじゃ、お仕置き決定。

俺は後ろを振り向き、呪文を唱える。

 

 

「レイス」

 

 

「なっ!?ガッ!」

 

 

俺の手のひらから、野球ボールサイズの黒い球体が放たれる。

それは男のお腹に命中し、男は倒れ込む。

 

 

「ありゃりゃ?今のは前戯なのに、もう腰が動かなくなってしまったの?」

 

 

「ぐっ……ふざけるな!」

 

 

男はそう吐き捨て立ち上がる。

そして、また後ろから気配を感じる。

うむ、仕留めれなかったから自分が……と思ってるのかな?

 

 

「はぁっ!」

 

 

「ドラグナー・ナグル」

 

 

ゴツンッ!!

 

 

俺に向かって放たれた拳に、呪文で強化された自分の拳を合わせる。

ふん、子供と思って、魔力強化を怠ったか?

俺はそのまま男の拳を殴りぬける。まぁ、骨折はしてないだろうけど、使い物にはならなくなったね。

 

 

「グァァァァッ!!」

 

 

「おい、舐めてるのか?俺を……だったらお前ら……俺の実力の3分の1も出せないぞ?」

 

 

「ハァッ!」

 

 

「グッ!オォ!」

 

 

今度は二人掛かりか……まぁ、止まって見えるわな。

こんなスローパンチにスローキックじゃ。

 

 

「レドルク!」

 

 

簡単に合わせられて終わりだよ?

俺は足をレドルクで強化し、二人の軸足を払う。

 

 

「ウォッ!」

 

 

「ガッ!」

 

 

二人は盛大に転ぶ。

ぷぷぷ、哀れだね、今度何か買ってやるから頑張れこのヤロー。

 

 

「あらあら、さっきまでの威勢は何処に行ったのやら……」

 

 

「貴様……何故デバイスもなしに魔法が使える!」

 

 

「ん〜、そんな事を敵に教える義理も義務もないと思うんだけどな……それに……ソルド・ザケルガ」

 

 

俺は呪文を唱え、巨大な雷の剣を作り出す……。

 

 

「今から死に行く者に……言っても無駄でしょ?土産話にでもする?」

 

 

「結構だ!!」

 

 

右側の男がそう言って立ち上がり、俺に蹴りを入れてくる。

まぁ、無意味に等しいねそれは。

 

 

バチバチッ!

 

 

「クッ!」

 

 

「動けないよね?あはは、残念だったね♪」

 

 

俺は目の前にまで転んで尻餅を付いているもう一人の男に剣を向ける。

 

 

「卑怯な……」

 

 

「へ?何言ってるのお兄さん?お兄さん達が卑怯何だよ?俺はただ自衛してるだけだよ?そこを穿き違いないでよ?人聞きの悪い。お兄さん達がいきなり殺すとか言ってきて俺に殴り掛かってきたんじゃん。なのに、敵に剣を向けて卑怯と言われる何て……心外だな〜。俺は悪くないよ?悪いのは闇の書から手を引けだの、関わり合いになるのなら殺すだの……いきなり言って来たお兄さん達が悪いじゃん。じゃあ裁判でも開こうか?まぁ、一切お兄さん達に勝ち目はないだろうけどね?」

 

 

俺は愉快に愉快に言葉を紡ぐ。

少し悪乗りしてる気もあるけど、まぁ、やり過ぎがちょうど良いって言うしね。

 

 

「まぁ、俺としては今ここで殺っちゃっても良いんだけどさ〜」

 

 

俺は剣を消して、二人を見る。

 

 

「それじゃ駄目なんだよね〜。あぁあ、残念残念。んじゃ、俺は帰るね〜、バイバ〜イ」

 

 

そして俺は後ろを向き、歩き出す。

時間の無駄だったねこりゃ。あぁ、これだったらアンクと戦ってた方が良い訓練になるよ。

 

 

「舐めるな!!」

 

 

後ろの男が何か叫び声を上げた。うるさいな……。

俺は振り向きもせずに手だけを後ろに回して。

 

 

「グラビレイ」

 

 

ズガァン!!

 

 

呪文を唱える。

 

 

「「ガハ!!」」

 

 

「あややや、一人の勝手な行動で、お仲間さんが巻き込まれてしまいましたね。貴方のせいですねこれは」

 

 

「アッ……ガァッ……」

 

 

「グッ……アッ……」

 

 

「まぁ、重力で押し潰されそうになってるから、喋れるわけもないか……さて、今度こそ帰ろうっと……」

 

 

俺は再度後ろを向き、踵を返す。

まぁ、久々の戦闘で、少しは退屈しのぎになったかな?

あんましこう言った実践を怠ると、勘が鈍るしね。

 

 

「さて……もうここまで来たら追ってこないだろう」

 

 

さっき居た場所よりも少し遠くまで歩いてきた。

もう追ってこないだろうし、あれだけ体力を減らしてやったんだ。今日は諦めるだろう。

 

 

「それにしても、やっぱ好きになれそうもないな……あの二人は」

 

 

まぁ、どうでも良いんだけどね〜。

その時……。

 

 

ドックン……。

 

 

「っ……!」

 

 

俺は急な痛みに、片膝をつく……。

 

 

「ぐっ……あっ……」

 

 

胸が痛い……だと……。

これは、闇の書が起動した時と同じ痛み……。

 

 

「ハァ……ハァ……」

 

 

やっば……これ、あの時よりも痛い……。

洒落になってない……。

 

 

「アグッ!……か……帰ら……無いと……」

 

 

俺は胸を押さえながら歩き出す。

今の状態じゃ、転移系の魔法は使えない……影のゲートでも使うか?

いや、仮に使えたとしても、こう人が居ると駄目だ……。

 

 

「っく……急に……どうした……んだろう……」

 

 

俺は止まりそうになる思考を無理やり動かして考える。

心臓麻痺?いや、名前を書いたら死ぬ黒いノートの持ち主とかと接点無いぞ?

つか居るのか、この世界に……。

 

 

「ハァ、ハァ……くっそ……」

 

 

ドックン、ドックン……。

 

 

痛い……尋常じゃないねこれ……いやマジで……。

 

 

「はは……こりゃ、無理だわ……」

 

 

俺はもう一度人気がない所に移動する。

こうなったら、もう使うしかない……。

 

 

「……っく……ここなら……大丈夫……だろう……」

 

 

俺はアンクの魔力を探り、場所を絞り込む……。

………ここか………。

俺は少しだけ魔力を開放し、そのまま影に溶け込む……。

影のゲートによる転移。ネギまでエヴァが使っていた転移魔法の一種。

習得していてよかった転移魔法!

 

 

そんな事を思いながら、体が完全に影に溶け込む。

あぁ、もう……意識飛ぶなこれ……。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

アンクサイド

 

 

ったく、あいつは何処に行きやがったんだか……。

気になるだろうが。

 

 

「どうしたアンク?主が心配なのか?」

 

 

「当たり前だ。そういうお前だって、随分挙動不審じゃないか。え?シグナム」

 

 

「主を心配しない従者なんていないだろう。それにしても、遅い……」

 

 

「まぁまぁ二人とも。アニス君やったらすぐに帰ってくるて」

 

 

あれからすぐに家に帰り、アニスの帰りを待って早30分。

一向に帰ってくる気配がしない。

全く、何処に行ってるんだか……。

 

 

「はぁ……」

 

 

「あはは、本当にアンクさんは心配性やね〜」

 

 

「ふん……」

 

 

俺はいつも通り、鼻を鳴らして顔を仰向ける。

その時、俺の後ろに魔力の反応がする。

これは……アニスか!

俺はすぐに後ろを振り向く。

 

 

ズブブ……。

 

 

そこには、俺の陰からドンドン姿を出していく、アニスの姿があった。

しかも、横たわった状態で。

 

 

「アニス!!」

 

 

俺は急いでアニスのそばに近づいた。

 

 

「ハァ……ハァ……」

 

 

息はしてるものの、意識は無いようだ。

だが、明らかに息切れって感じの呼吸じゃないな……。

 

 

「なっ、主……どうしていきなり……」

 

 

「おいアンク!説明しろ!」

 

 

ちっ、守護騎士どもも気づいたか。

まぁ仕方ない。めんどくさいが後で説明しないと……。

それよりも、今はアニスだ。

 

 

「説明は後だ。それよりも、今はアニスを部屋に運ぶぞ……」

 

 

「……分かった」

 

 

取りあえず、部屋で寝かしときゃ大丈夫だろう。

俺はそう思いながら、アニスを部屋に運ぶ……。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「………んっ……知ってる天井だ」

 

 

俺は目を覚ます。

どうやら影のゲートの転移は成功したようだ。

だが、さっきの胸の痛みで、体力を持って行かれた……かなり体が重たい……。

 

 

「よいっしょっ……と……あれ?」

 

 

どうやら、体力を持って行かれたのと……この寝ているヴィータのせいで体が重いようだ。

潰れるって……。

 

 

「……ふふふ、誰かの寝顔を見るのは……久しぶりだな〜。プニプニ〜」

 

 

「ん、うん〜……子ども扱いすんな〜……」

 

 

「クスッ……夢の中でも子供扱いされてるんだ……可愛い」

 

 

もう頭撫でちゃえ。

こんなチャンス、滅多に無いや。まぁ、普通に撫でようとしても届かないし、良いよね?

 

 

「よしよ〜し」

 

 

俺はヴィータの頭をなでる。

オレンジ色の髪の毛……俺、髪染めようかな?思い切って白か銀に……。

あぁ、でも……リアルクドになっちゃうからな〜。

まぁ、保留ってことで。

 

 

そんな時。

 

 

ガチャッ。

 

 

この部屋のドアが開かれる。

入って来たのはシャマルだった。まぁ当然か。この中では医療担当だしね。

 

 

「アニス君!目が覚めたんですね!」

 

 

「あはは、おはようシャマルさん。なんてね」

 

 

「今は冗談を言ってる場合じゃないですよ!」

 

 

「あうあう……シャマルさん怖い怖いなのです。ほらほら、笑って笑って。にぽー☆って」

 

 

「す、すいません……少し取り乱してしまいました……。アニス君、動けます?」

 

 

「ん、大丈夫だよ。どうしたの?何かあった?」

 

 

「いえ、そうではないですよ。目立った外傷は見当たらなかったので、もしかしたらと思いまして」

 

 

「そっか……うん、大丈ですよ。心配してくれてありがとうございます」

 

 

「従者として当たり前です」

 

 

「えー、そこは家族だから、でしょ?まぁ、良いけどさー。ぶーぶー」

 

 

俺は少し拗ねた感じを出して言ってみる。

シャマルは少し焦ったように訂正してきた。

 

 

「クスッ、冗談ですよ、冗談」

 

 

「もう……アニス君ったら……あ、後敬語は要らないですよ?さん付けもしなくて良いです」

 

 

「そう?……じゃあ、シャマル」

 

 

「はい、何ですか?」

 

 

「えへへ〜、呼んでみただけだよ。それにしても、シグナムさんやシャマル。ザフィーラさんを見てると、お姉ちゃんやお兄さんが出来たみたいで嬉しいよ」

 

 

「……それじゃあ、お姉ちゃんって呼んでも良いんですよ?」

 

 

そう言って、シャマルはニコッと笑う。

あう……自分で言っておいてなんだけど……恥ずかしかも……。

 

 

「あう……シャ、シャマル……お姉ちゃん……」

 

 

「何ですかー?アニス君」

 

 

「えへへ〜、本当にお姉ちゃんが出来たみたい」

 

 

「本当に、アニス君は可愛いですね〜」

 

 

「あう……一応俺も男だから……少しは自重してください……」

 

 

「ふふふ、ごめんなさい。それじゃ、みんなに報告しに行きますよ?」

 

 

「はーい。それより、ヴィータちゃんはどうしよう?」

 

 

「そのまま寝かしておいてください。起こすのも可愛そうですし」

 

 

「そうだね……それじゃ、ヴィータちゃんをベッドに寝かしつけて……っく、持てない……シャマルお姉ちゃ〜ん(泣)」

 

 

「はいはい」

 

 

そんなこんなで、シャマルとは打ち解けました。

まぁ、そんな事よりも……。

 

 

「どうしてこうなった」

 

 

あの後シャマルと一緒にリビングの中に入ると、二人の般若が居た。

一人は言わずもがなアンクだ。二人目ははやて。

そしてその後ろではシグナムとザフィーラが、物凄く悔やんだ顔をしていた……。

うむ、どうしてこうなった。

 

 

「「ア〜二〜ス(く〜ん)」」

 

 

「……あ〜……あはは……どうしたの?二人とも?顔が怖い怖いなのですよ?」

 

 

「……正座」

 

 

「へっ?」

 

 

「そこに正座しぃ!!」

 

 

「は、はい!!」

 

 

俺ははやての気迫に負け、正座してしまう。

 

 

「さて……お待ちかねのお説教タイムや……」

 

 

「いや、誰も待ってない……」

 

 

「あぁ!?」

 

 

「ヒィッ!ごめんなさい!」

 

 

アンクに睨まれてしまった……。

この後、二人から小一時間以上説教されたのは……言うまでもない……。

あぁ、疲れた……。

あ、所で、あの胸の痛みは何だったんだろうね?

 

 

俺も今だに分からない……ま、何時か分かるでしょう。

それじゃね〜。

 

 

〜オマケ〜

 

 

「アニス君、大丈夫ですか?」

 

 

「はぅ〜、足が、痺れて痛いよ〜(泣)シャマルお姉ちゃ〜ん……」

 

 

「「「お姉ちゃんだと(やと)!?」」」

 

 

あれ?なんか三人とも反応したんだけど……。

しかも、三人ともシャマルを睨んでるし。

 

 

あ、三人って言うのは、アンク、はやて、シグナムの三人だよ?

 

 

「シャマル……これはいったいどういう事だ?なぜ主が、お前の事をお姉ちゃんなどと……」

 

 

「せやな〜、ウチも気になるな〜」

 

 

「吐いてもらおうか?何故お姉ちゃん、何て呼ばれているのか……」

 

 

「あ、あれ?三人とも、どうしたの?わ、私、何かしたかしら?」

 

 

「「「問答無用!!」」」

 

 

そう言って、三人はシャマルを何処かに連れて行ってしまった。

……終われ……。

 

 

あ、そうそう、ヴィータがどうなったかって言うと。

 

 

あの後起きて来ていきなり抱き着かれました。

 

 

「も、もう絶対に一人でどっか行くんじゃねぇぞ!!」

 

 

「……う、うん……」

 

 

あれ、もう俺に慣れたの?懐くの早くね?

しかも、それ男の俺が言う台詞じゃ……つかヴィータがかっこよく見える……。

 

 

そんな感じでした。

 

 

今度こそ終われ。

説明
ヴィータは(ry
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八神はやて ヴォルケンリッターズ リリカルなのは ヴィータ 

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