二度目の転生はネギまの世界 第十二話 |
第十二話「大惨事魔法世界大戦・開戦前」
ラカンSide
「んっふっふ〜 こいつが旧世界は日本の鍋料理って奴かぁ〜。じゃ、早速肉を〜♪」
「あっナギ!おまっ…!何先に肉を入れてるんだよ!?」
俺の見下ろす先で、((紅き翼|アラルブラ))とやらが食事をしている。今回の俺のターゲットだが……ま、ど〜にかなるだろ。
「いいじゃねぇか。 旨いもんから先でよ、ホラホラ!」
「バッ、バカ! 火の通る時間差というものがあってだな……まずは野菜を入れて……あ、ちょッ!」
「あーうっせ! うっせーぞ、えーしゅん!」
えーしゅん……たしかあれは((紅き翼|アラルブラ))の剣士。それに突っ込まれている髪の赤い奴は魔法使いで((紅き翼|アラルブラ))のリーダーだったか。
「フフ…詠春、知っていますよ。 日本では貴方のような者を『鍋将軍』…と呼び習
わすそうですね」
「ナベ・ショーグン!?」
それ以外は……今はいいな。俺の((領域|テリトリー))に入れるのはそれだけだ。
そう、奴隷拳闘大会に優勝した時に現れた、俺史上最悪の相手。触れることすら許されなかった『伝説の賞金稼ぎ』ほどの相手はいねぇ。
「つ…強そうじゃな」
「わかったよ…詠春、俺の負けだ。今日からお前が鍋将軍だ」
「全て任す。 好きにするが良い」
さてと、そろそろ動くとすっか。アデアット、『千の顔を持つ英雄』。まずは挨拶代わりだ。受け取れええええええ!!!!
…………うわーお。鍋に直撃してひっくり返った瞬間、宙にある肉を箸で取りやがった。なかなかやるな、あの赤毛と他二名!
「食事中失礼〜ッ! 俺は放浪の傭兵剣士ジャック・ラカン、いっちょやろうぜッ!」
一息に飛び降りて挨拶する。おや、鍋を頭からかぶった剣士の様子が……
「ふふ、ふふふ、ふふふふふ…………食べ物を粗末にする者は――」
瞬間、縮地に近い速度で間合いを詰め――
「――斬る」
「おほ?」
――その手にした刀を一閃する。いや〜、ちっと想定外だな、こりゃ。まあ戦う為に仕掛けたんだからこれはこれでいいけどな。しかし、こいつは奴よりも弱い。つーわけで、あんたはお呼びじゃないぜ!
「情報その一。生真面目剣士はお色気に弱い」
懐から取り出したカプセルを、剣士の目の前に放る。それがはじけると、かな~りきわどい服装をした精霊が呼び出される。
「な、ななな!?」
すぐさま目を閉じ、見なかったことにしようとする剣士。だけどよ、敵を前にそれは致命的だぜ?
「まずは一人。次は……」
「俺だ!」
赤毛の魔法使い、か。ええと確か……
「情報その五。赤毛の魔法使い。弱点なし、特徴無敵」
俺様と同じ、無敵。魔法使いと剣士の違いはあるが、それでも同じ舞台に立てる者。
「ええと…………雷の斧」
「――訂正する。弱点、暗記」
まさか雷の斧を唱えるのにあんちょこを使う奴だとは思わなかった。間違いなくこれは弱点だな。
その魔法の威力が、規格外でなければ、だが。
「はっ! その程度で勝てると思ったかッ!」
気合防御で乗り切る。さて、俺のパワーアップの礎となってもらうぞ。
五時間ほど戦い、結果は相打ちとなった。まさか、この俺とここまで戦える魔法使いがいるとは思わなかった。
「へっ、なかなかやるな。名前、なんてゆーんだ?」
「ラカン。ジャック・ラカンだ、赤毛」
「俺はナギ・スプリングフィールドだ」
ナギ、か。覚えたぜ、その名前。
「ラカン。((紅き翼|アラルブラ))に入らねえか?」
「は?」
つい茫然としてしまう。が、すぐに気づく。こいつらについて行けば、俺様のパワーアップに一歩近づくかもしれねえな。
「いいぜ、どうせフリーランスだ。強くなるのにちょうどいい場所を探していたしな」
「はぁ、戦い続けて仲良くなるとか……どこの少年誌ですか、貴方達は?」
「バクキャラ同士だからじゃないかのう?」
「ひでーな、てめーら」
ナギが笑う。こんなやつに引き分けたのも癪だが、俺はその上を行ってやる。
奴に勝つために、な。
ラカンSide out
■■■■Side
「ラカンと((紅き翼|アラルブラ))の勝負が決したわよ、■■■」
「そのようだな。さて、刺激してやった分だけ強くなってもらわなきゃ意味がないぞ、ジャック・ラカン」
約3km離れた所から、私と■■■は二人の対戦を見続けていた。私たちにすれば、この程度の距離は視認に困る距離ではない。
「それほど彼に期待しているの?」
「彼、じゃない。彼らだ。((紅き翼|アラルブラ))のリーダー、ナギも入っている」
暗赤色のフード付きローブに、目元を覆う青銀色の仮面をつけた■■■は、唯一露出している口元に笑みを浮かべている。しかしそれは、獲物を狙う飢狼のような、血の滴るような笑みでもあったが。
「くくく……さて、((義姉貴|あね))よ。彼らはいつごろこの戦争の裏に気付くと思う?」
「そうね……情報源がなくちゃ無理でしょう。((完全なる世界|コズモエンテレケイア))は秘密結社よ。それも様々な国の中核に深く食い込んでいるのに気付かれないほどの」
「だろうな。さあさあ早く気付け、若人よ。その時は…………」
ぱさりとフードを取り払い、仮面を外し、■■■はその素顔をさらす。直後に魔法が彼を全くの別人に変化させる。理由が理由とはいえ、相変わらず秘密主義ね。今回の姿は……アレンね。似た姿でリリアンヌもあるから紛らわしい。
確固たる理由があり名前は知られど素顔を知られていない彼と、名乗る気がなかったため素顔を知られていても名前を知られていない私には、それぞれに二つの二つ名がつけられている。
「参加してあげるよ。この伝説の賞金稼ぎ、『((沈黙者|サイレンサー))』と『((黄金女帝|ゴールドエンプレス))』がね」
もう一つは、互いに気に入っていない。『((名無き者|ネームレス))』と『((顔無き者|ノウフェイス))』なんて、誰が好き好んで名乗るものか。
「……((義姉|ねえ))さん。何を思いだしたのかは知らないけど、やつあたりは場所を考えてね」
「え……あ」
気がつけば私は、近くにあった木の幹を握りつぶしていた。いけないいけない。抑えるのを忘れていたわ。ああ、恥ずかしい。別にそこまで恥ずかしくもないけど。
「さて、次の依頼まで時間があるけど、もう移動しましょうか?」
「はいはい照れ隠し照れ隠し。次の依頼ってなんだっけ?」
「減らず口はよしなさい。次は……アリカ姫の護衛ね。久しぶりの護衛依頼よ」
「そ。じゃあ行こうか」
私は光のゲートを開く。慣れるまでが大変だったけど、光のゲートは広範囲を一度に巻き込めるすぐれもの。まあ、慣れないとそもそも光ではゲートを開けないのだけれどね。
光のゲートに飲み込まれ、共に全身が薄れていく。消える間際。
「Auf Wiedersehen」
アレンの呟いた言葉だけがこの場に取り残された。
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ラカンと紅き翼の出会い。そしてそれを見つめる影。 | ||
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