IS かけがえのない絆 |
モンゴル
「あー、疲れたぁ!」
平原で一人の『少年』は肩からバッグを地面に落とし、平原に寝転がった。
上を見ると真っ青な空が広がり、周りには延々と草原が広がっていた。
「日本まであと少しか…久しぶりだよなあ」
日本語を話す少年は肌の色からも日本人と見られ、黒い髪、茶色の目をしていた。
「さぁて、学校も三年ぶりだな。中学校の勉強は大丈夫なんだけど、同じ年齢の人とあまり出くわさなかったからなあ。緊張するなあ」
ちなみに俺は小学校卒業後、世界を一人旅している。そんなことだから勉強も旅地旅地で最低ライン…いや多分日本にいたら有名高校に入学できるほどの学力があるだろう。どうでもいいんだが。
…しかし不安があるとすれば同年代の人とあまり接してない位だ。まあ、でも問題はないだろう。
少年の左手首に光る赤と白のラインのブレスレッドが太陽の光に反射して光る。
それを空に掲げながら少年は口にした。
「確か俺の入学先は…『IS学園』か、楽しそうだな!」
同時刻、日本
とある多目的ホールに一人の少年がいた。
「うー、寒っ……」
二月の中旬、俺、((織斑一夏|おりむらいちか))は中3だ。そんなもんだから受験シーズン真っただ中の俺は私立藍越学園の受験のためにここにいるってわけだ。
私立なのに学費が超安く、卒業後の進路もケアしてくれるという頼りになる学校だ。
「千冬姉にこれ以上世話をかけっぱなしもなんだからなぁ」
俺にはとある事情で両親がいない。そんなわけだから千冬姉にほとんど世話になっているわけだ。
「取り敢えず受かってから考えよう…ってどこなんだ試験会場は?」
織斑一夏、現在多目的ホールで立ち往生…
同時刻、アメリカ
「ようやく西海岸か、日本まであと少しか」
サンフランシスコの喫茶店でひと休みすることにした。
その『少女』はテラスの椅子に腰掛け、紅茶が入ったカップを傾けた。左手には海が果てしなく広がっている。あの向こうには日本があるのだろう。潮風によって腰の近くまで伸びている髪がなびいている。その色は鮮やかなスカーレットだ。
少女は世界を旅していた。あてのない旅。あの時が無かったら彼女はここに居ないだろう。
「日本か…私が行く『IS学園』もそこにある。そしてISにおける唯一の教育機関だな、楽しみだ」
右手首に赤く光るブレスレッドを見つめながら言った。
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1話「それぞれの今」 | ||
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