ゲイム業界へようこそ!その7
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視界がクリアになっていく。果して変身は成功したのだろうか?俺は自分の姿を確認してみる。

 

 

 

どこかで見たことのあるような服装。髪の色はどうやら薄い赤色のようだ。そして膨らみのある胸…って胸!?

 

 

ちょっと待て!?何故胸が膨らんでいるんだ?というか体型も大きく変わっているし。

 

 

 

「あなた…レンなの?」

 

 

 

「ああ…そのはずだけど……。」

 

 

 

ブラックハートも呆気にとられている。それはそうだ、全くの別人になったようなものだから。

 

まぁ、結論を出してみよう。

 

 

 

 

俺は女になったらしい。

 

 

 

 

そうとしか思えない。彼女に返答した時の声質も若干高くなっていたし。

 

 

 

「とっ、とりあえず説明は後だ!今は目の前の敵に専念するぞ!」

 

 

 

「うん、分かった!」

 

 

 

お互い臨戦態勢に戻る。このことはとりあえず放置だ。

 

 

 

俺は武器の変化にも驚きつつ(スプーンとフォークって…)、野犬へと迫る。

 

どうやら俺の素早さが変身のおかげで更にアップしたらしい。今まで野犬の攻撃を紙一重でかわしていたのを、余裕を持って対処出来ている。

 

 

 

そして何より攻撃力の上昇が目覚しい。敵への攻撃が先ほどまでと比べられない程よく通る。これはもしかしたらブラックハートと同等かそれ以上かもな…。

 

 

 

ブラックハートの方もどうやら攻撃の手数が戻ってきた。野犬を圧倒して攻め立てている。

 

 

 

ここで「パリィン」という音と共に相手がガードブレイクを起こした。相手のライフは3分の1を切っている。

 

 

 

「ブラックハート、ここで一気に決めるぞ!」

 

 

 

「分かってる!!」

 

 

 

敵の攻撃を掻い潜り、俺の乱舞とブラックハートの連撃が相手のHPを大きく削っていく。ガードブレイク中だけあって、攻撃がサクサク通っている。

 

 

 

相手の鉤爪を避け、横腹にフォークを突き刺す。そして空かさずスプーンで相手の体を切り裂く。怒り狂った野犬の横薙ぎの爪が俺を襲うが、軽くバックステップしてそれを回避する。

 

 

 

「これで終わりだ!!」

 

 

 

彼女の強斬りで相手が大きく怯んだ所に、全力の双剣乱舞を放つ。

 

 

 

「グルルゥ…」と小さな呻き声と共に、野犬が倒れた。どうやら決着が着いたらしい。

 

 

 

「ふぅ…なんとか倒せたな。」

 

 

 

「ゴメンね、途中で私が足を挫かなければ…」

 

 

 

「気にしてないよ。それに挫いた足で最後はあんなに頑張ってくれたからな。こちらこそ助かったよ。」

 

 

 

「いえ、こちらこそありがとね。」

 

 

 

お互いボスを倒したことにホッとして笑みがこぼれる。

 

しかし、本当に焦ったな…。変身後の能力のおかげなんとか倒せたようなものの、もしその能力が大したこと無かったならば?そう思うと少しぞっとする。

 

 

 

「ところでさ…」

 

 

 

「ん?どうした?」

 

 

 

「どうしてあなたはそんな体になったのよ?しかも私と同じような格好だし…」

 

 

 

…すっかり忘れていた。俺はまだ変身状態にあった。何故体が女性になったのか未だに分からないから、彼女に説明のしようもない。

 

 

 

「これはだな…、その……」

 

 

 

万事休すか…。

 

 

 

 

(お困りのようですね。)

 

 

 

(!?)

 

 

 

空気を読んでか知らないが、神様の声が再び聞こえてきた。

 

 

 

 

(あっ、今声に出して話すとややこしくなると思うので、頭で念じるような感じで言葉を発してみて下さい。)

 

 

 

(…こんな感じですか?)

 

 

 

(いい感じですよ、それで何故変身後が女性になるのかですよね?)

 

 

 

それが聞きたかったのだ。急いでくれ、神様!彼女が急に黙った俺を怪しく感じ始めたようだ。これでは身が持たない!

 

 

 

(変身後を女性にした理由は……ぶっちゃけると気まぐれかな?)

 

 

 

「何故だああああああああああああああああ!」

 

 

 

思わず声を荒げてしまったじゃないか!?俺が思いもよらぬ声を出してしまったせいで、彼女を驚かせてしまったらしい。これ以上俺を変なキャラに仕立てないでくれ…。

 

 

 

(実際この世界では変身出来る者達が女神達だけだったので、あなたも変身後くらいは女性になった方がいいかなと思ってですね?)

 

 

 

(そう言った個人の勝手な解釈が人を不幸にしているのが分からないのですか!)

 

 

 

(ゴメンナサイ…)

 

 

 

思わず神を叱ってしまった。俺もこのどうしようもない憤りを発散したかったようだ。

 

 

 

(いきなり声を荒げてしまってすみません、大体理解出来ました。それで彼女にはなんと説明すれば良いでしょうか?)

 

 

 

(もういっそ仕様にしてしまったらどうですか?)

 

 

 

(そんなものでいいのでしょうか?)

 

 

 

(ここはモンスターや神様が実在するファンタジーの世界です。女神様だって普通に変身しちゃうんですから、あなたが変身して男性から女性に変わってしまうのもこの世界では別段不思議なことでは無いはずです。)

 

 

 

(服装の方はどういった説明をすれば?)

 

 

 

(コスプレで良いのではないでしょうか?)

 

 

 

この神様を俺を変態か何かにしたいのか?コスプレ事体に問題があるわけでは無いが、女性化してまでそれをしたいとはさすがに思わないぞ。

 

 

 

(分かりました、何とかこの修羅場を潜り抜けます。もう用はないので神様は早々とお帰り下さい。)

 

 

 

(えっ、もう少し何かお話してくれても…)

 

 

 

(……。)

 

 

 

…さてどうやら神様は帰ってくれたようだ。何か言ってたようだが、気にしていられない。今目の前で不審者を見る目をしている彼女への弁明が最優先事項だ。

 

 

 

「とりあえず俺は変身能力を所有している。変身後に女性になるのは…、その……仕様だ。」

 

 

 

「仕様で女性の体になれるんだ…。」

 

 

 

ウソツキ神様め!彼女の見る目がより厳しくなってしまったではないか!?

 

 

 

「それで何で私の服装と似た格好をしているの?」

 

 

 

「それは…実はただのコスプレなんだよ。」

 

 

 

「コスプレねぇ…他に何か服装はあるの?」

 

 

 

「現状で変身時にはこの服しかないんだ。」

 

 

 

「そうなんだ…。」

 

 

この弁解では厳しいか?しかしこっちもまだ把握しきれていないんだ。さっき初めて変身したばかりだし。

 

 

 

「この服装は女神だけの特権のはずなのに…(ボソボソ)」

 

 

 

「ん?何か言ったか?」

 

 

 

「いえ、なんでもないわ。とりあえず大体理解したから。それでいつまであなたはその格好でいるの?」

 

 

 

「そういえばそうだった。」

 

 

 

そうして俺は疑問を持つ。果して元に戻る時はどうすればいいのだろうか?神様に聞くことも出来るだろうが、今は頼る気分ではない。出来ることなら自分自身でこの問題を解決したい。

 

 

 

とりあえず変身した時と逆のことをしてみよう。元の俺を思い出しつつ、言葉を唱える。

 

 

 

「変身解除!」

 

 

 

再度眩い光が俺を包み込む。そして光が収まりそこに男性の俺が姿を現す。どうやら成功したらしい。

 

 

 

「本当に不思議ね…。」

 

 

 

「そうだな、俺も思う。」

 

 

 

モンスターとの戦闘を行う時以外、出来るだけ変身は控えるようにしよう。あの格好はいろいろと面倒だ。

 

 

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江坂さ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん(FDP)
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