IS〈インフィニット・ストラトス〉 転生者は・・・
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「まぁ、いい。さて、反撃と行こうか」

 

 

 

「ふん、まだどちらが優勢なのか理解できないのか?」

 

「さあな」

 

 俺の現状、右腕の肘から先の装甲損失。同時にビームサーベル一本損失、か。まだいける。

 そろそろ((本気|トランザム))出して良いかな? ―――いや、まだか。んじゃま、もうちょいこれでいくとしますかね。

 

 

「理解できてるのは……まだ戦いは終わってないって事だけだっ!」

 

 その言葉と同時に俺は飛び出す。

 ラウラがAICを使うモーションを見せたところで巡航形態に変形。急加速してAICを食らわずにラウラ向けて突進する。

 変形したことに驚いていたラウラに向けて、残った左手のGNサブマシンガンを連射。

 そして連射を止め、前方にGNフィールドを形成して――

 

「これでもくらっとけ!」

 

 ガッ!―――ズガンッ!

 

 ――体当たり。

 俺の突進は確実にラウラを捉え、そのままアリーナの壁面に押し付ける。

 

「ぐっ、がっ!?」

 

「はっ、終わりと思うなよ!」

 

 ラウラを押し付けた直後人型に戻ってサブマシンガンを収納、シールドをクローモードに。最大まで開いたクローの基部からGNシールドニードルを出し、まず肩のレール砲を貫く。

 レール砲は爆散するが、それを気にせずシールドニードルでラウラを斬りつけた。

 

「こ、このぉ!」

 

「ちっ!」

 

 ラウラが反撃として全て、六基のワイヤーブレードを射出してくる。それを俺は後ろへの急加速でかわして再展開したサブマシンガンで全てのワイヤーブレードを撃ち落した。……片腕って忙しいのな。

 

 これでラウラに残った武装はプラズマ手刀とAIC。プラズマ手刀とAICは併用できないみたいだから、実質的な攻撃力はプラズマ手刀だけ。

 とはいえ、片腕でそれを捌ききれるかといわれると……きつい。こっちのGNサブマシンガンも離れると当たらないし、近づけばプラズマ手刀と打ち合うことになる。ってお互いに詰まってね?

 それでもやるしかないってか。

 

「行くぜ!」

 

「貴様程度に!」

 

 ラウラは両手のプラズマ手刀を展開。俺はビームサーベルを左手で持つ。

 そして互いにが互いに向けて加速、すぐ近接戦闘の交戦距離に。

 

「はっ!」

 

「このっ!」

 

「これで!」

 

「まだだ!」

 

 プラズマ手刀を一本のビームサーベルで捌く。無理であれば足を使ってラウラの腕を蹴り上げる。

 その押収。気を抜いたらプラズマ手刀の餌食。

 ラウラの隙を見出すため、全神経を目の前の対処に向ける。

 

 捌き、蹴り上げ、斬りかかり、捌き、捌き、蹴り、捌き、蹴り上げ……

 

 延々とそれを続けると、ラウラが痺れを切らしたのか両手の先を俺に向けて突っ込んできた。

 単調な直進の動き。つまり、隙。

 

「もらったぞ!」

 

「それは俺の台詞だ!」

 

 かわすため上昇、ラウラが俺の真下に来たところでシールドクローを展開。ラウラの腕ごと体を拘束する。

 

「くそっ、はなせ!」

 

「これで終わりだ!」

 

 シールドニードルを何度も伸縮させラウラにダメージを与え続ける。

 シールドニードルを出す基部とラウラの身体との距離はほぼゼロのため、ラウラは絶対防御が発動。S・Eはごっそりと持っていかれてることだろう。

 

「ぐううっ……!」

 

 相殺しきれなかった、貫く衝撃にラウラの顔に苦悶が浮かぶ。

 そしてISも蓄積されたダメージで強制解除の兆候、紫電が走る。

 

 トドメになる最後の一撃を叩き込もうとしたところで、ラウラに異変が起きた。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

(こんな……こんなところで負けるのか、私は……)

 

 まだ、まだ私は目的を達成していない。それまで、それまでは―――

 

(私は負けられない! 負けるわけにはいかない……!)

 

 こんなところで負けるわけにはいかない。そのためには―――

 

 

 

(力が、欲しい)

 

 

 

 ドクン……と、私の奥底で何かがうごめく。

 そして、そいつは言った。

 

『――願うか……? 汝、自らの変革を望むか……? より強い力を欲するか……?』

 

 言うまでもない。力があるのなら、それを得られるのなら、私など――空っぽの私など、何から何までくれてやる!

 

 だから、力を……比類なき最強を、唯一無二の絶対を――私によこせ!

 

 

 

 

 

 Damage Level……D.

 

 Mind Condtion……Uplift.

 

 Certification……Clear.

 

 

 《 Valkyrie Trece Syatem 》……boot.

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

「うああああああ!!!」

 

 突然、ラウラが絶叫を発する。俺は異変に気づいたところでシールドクローを閉じてシールドを構えた。

 次の瞬間、シュヴァルツェア・レーゲンから激しい電撃が放たれ、俺はシールドを構えたまま吹き飛ばされる。

 

「ぐぅっ!?」

 

 予想以上の衝撃に左腕が少し痺れる。

 電撃が収まると、シールドの表面からは煙が立ち上っていた。

 そして俺はその視線をラウラへと向けて、口を開く。

 

「VTシステム……」

 

 俺の視線の先のラウラ。そのISは変形を……いや、その程度では済まない。

 装甲だったものはグニャリと粘土のようになって、ラウラを包んで……否、取り込んでいく。

 

 黒い、深くにごった闇、"歪み"がラウラを飲み込んだ。

 

 

 俺は管制室への((回線|チャンネル))を開く。

 

「楯無! そこにいるか?」

 

 

 少し間があって―――

 

『え、ええ、居るわ』

 

 返ってくる聞きなれた、というより毎日聞いている―――信頼できる者の声。

 

「良かった。織斑先生に言って避難を指示、あとお前は避難の誘導を」

 

『待って! 拓神の機体はダメージが!』

 

「俺は心配無用だ。だから『あっ! どこに行くの!?』……どうした!?」

 

『今、一夏くんがここを飛び出していっちゃった…』

 

 なんで((管制室|そこ))に居るんだよ一夏。

 

「まさか、こっちにくるつもりか?」

 

『おそらく。あの刀―――雪片を見たとたん血相変えて走っていったわ』

 

「余計なことを……」

 

『それより! 拓神の機体は!』

 

「だからそれは気にすんな。……ちっ、時間も無いか。言ったことは頼んだ」

 

 一方的に通信を切る。

 楯無はすぐに動いたようで、アリーナ内に放送が入った。

 

 

『非常事態発令! トーナメントの全試合は中止! 状況をレベルDと認定、鎮圧のために教師部隊を送り込む! 来賓、生徒はすぐに避難すること! 繰り返す―――』

 

 

 その放送が終わるとシュヴァルツェア・レーゲン"だった"ものはラウラを完全に飲み込み、表面を心臓のように脈動させながらもゆっくりと地面に降りていく。

 地に足を着くと、いままでのゆっくりな変化が嘘のように急速にその形を変えた。

 

 そして最終的にそれが((形成|かたな))したのは、黒い全身装甲のISのような何か。

 

 ボディラインはラウラのものであって、最小限のアーマーだけが腕と脚に付いている。そして頭部はフルフェイスのアーマーに覆われ、目があるべき場所には装甲の下に赤く煌くアイライン・センサー。

 そしてその手に持つ武装は、かつてブリュンヒルデとなった織斑千冬が使用していた武装『雪片』。

 

 

 

 

「そっちが変わったなら、俺も変わってやる……エクシア」

 

『モード選択、GN‐001『ガンダムエクシア』』

 

 俺の体はGN粒子に包まれ、オレンジと白からトリコロールの機体に変わる。

 キュリオスで損壊し生身の腕が見えていた右腕は、新たに展開されたエクシアの無傷の装甲になった。

 

『GNR‐000『GNセファー』展開』

 

 追加装備のGNセファーも装備される。

 デュナメスと同様コーンスラスターにコアブロックが付き、そこから左右にGNプロトビットが展開される。

 

『セファーエクシア』。意味は『能天使の書』――ってところか。

 

 

 全ての展開が終わったことを確認して、右手のGNソードの刀身を展開。左手には右腰のアタッチメントからGNショートブレイドを。

 プロトビットは俺の周りで銃口を黒い歪みに向け、俺はその両手の剣を構える。

 

 

 

「玖蘭拓神、ガンダムセファーエクシア……その歪みを駆逐する!」

 

説明
第34話『ラウラの歪み』
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