ゲイム業界を駆ける炎の獅子 第1話 封印されし少女 |
「ここは?」
気が付くと俺は、真っ暗な、なのに自分の体だけはハッキリと見える場所に居た。
「.......たしか俺はゲイム業界に送られる為に深紅の炎で......あぁそうか死んだのか、俺」
俺は自分で、燃えて死んだのだろうと結論付け、誰に向かって言う訳でもなく一人呟く。
「いいえ、貴方は別に死んではいませんよ」
すると、何処からとも無く俺の呟きに答える女の子の声が聞こえた。
「え?と君は?」
俺は一先ずその声の主にそう訪ねる。
「私の名前はイストワール≠ニ言います」
「え!じゃあ君が爺ちゃんの言っていたイストワール≠ネの?」
「はい、そのイストワール≠ナ違いないと思いますよ」
「そうか...........それでここはどこ?」
「ここは貴方の精神空間、夢の中とも言えますね。
貴方の肉体
からだ
そのものは、いま((ゲイム業界|こちら))に向かっている途中です」
「......成る程」
「すいません。あまり時間が無いので、さっそく本題に入っても宜しいでしょうか」
「え!?あぁ、ごめん」
「いえ、それでは男神・ライオンハート様″。回は貴方にお願いが合って参りました」
ん?いまなんて?........ライオンハート?
「..........質問!ライオンハート≠ニはなんですか?」
「えぇ!貴方、お爺さんから何も聞いていないんですか?」
「聞いたは聞いたけど.......『お前は男神だから、ゲイム業界の危機を救って来い』としか」
「はぁ?全くあの人は相変わらずですね.....確かにそれで間違ってはいませんけど......」
イストワールも結構、祖父の事で苦労してるんだな....分かるよ。と、俺は心の中で涙する。
「ライオンハート≠ニ言うのは、貴方の男神様としての名前で((神名|しんめい))
と言います。
現在の女神様達もパープルハート∞ブラックハート≠ネどと、各々名前を持っているんです」
「へぇ?」
「それでは、本題に入りますね」
「あぁ、ごめん、どうぞ」
「はい。では......私は史書、名前はイストワール。神界で、代々続く女神様の補佐をしていました。
私は((ゲイム業界|世界))の全てであり、((ゲイム業界|世界))の全ては私です。まぁ、この話はまたいずれ。
いま貴方が向かっているゲイム業界には2つの世界があります。
人々が住む下界と守護女神達が住む神界。神界の守護女神は、人々の信仰によって力を得る。
下界の人々は信仰によって女神の守護を得る。........2つの世界は互いに支え合っていたのです。
そして、下界の大陸も。それを治める守護女神も。互いに、ひとつずつ.......それが当然の事でした。
ですが私は、先代の女神と共にその伝統を破り、愚かにも4人の守護女神を.....造り出してしまったのです。
寂しい程の静寂に包まれた神界は、今はもうありません。でもそれは私の思い描くものとは全く異なるものでした。
4人の守護女神は、互いにいがみ合い、世界の統一をかけて、争うようになってしまったのです。
そこで貴方にお願いがあります.....どうか彼女達をあの人の思惑から救い出してあげてほしいのです」
「あの人?.......それに、それは君に出来ない事なのかい?」
「.....すみません、あの人の名前は、いまの私に口に出す事は出来ません。
それと私はいまその人に下界のどこかに封印されて、女神様達から遠く隔てられているのです」
「.......成る程ね......じゃあ君のお願いは4人の女神及び君、イストワールの救出=Bでいいのかな?」
「えっ!.....いいんですか!?」
「勿論さ!困っている女の子を黙って放っておく程、俺は弱くないからね。......それで?何をすればいいのかな?」
俺がそう訪ねると彼女は嬉しそうに『はい!』と返事をして、
「では貴方には、ゲイム業界に存在する4つの大陸を周ってもらい、
それぞれの大陸に一つずつある鍵の欠片≠ニ言うアイテム計4つを入手して欲しいのです」
「鍵の欠片.....それが君の封印を解く鍵なんだね?」
「その通りです。しかしその鍵の欠片≠ヘ強力なモンスターによって守られています。
........ですので、私から少し貴方に力を授けます』
「......力?」
「まぁ授けると言っても、本来貴方が持つ力を少し引き出してあげるだけですよ」
そう、彼女が言うと、一瞬俺の身体が紅く輝いた。
「!!!」
「........はい、終わりましたよ」
「早っ!!.....てか、何をしたの?」
「そうですね.............現在の女神様達には、2つの状態があります。
普段生活している時の人型状態=B女神様の力を完全に引き出した時の『女神擬人状態』の2つです。
まぁ所謂、変身能力ってやつですね」
「.......つまり、俺にもその変身能力が備わっている.....と」
「はい、ですが貴方はまだ、男神様と言っても、まだ『仮』です。
完全な男神様じゃありませんので、私が引き出せるのは半分くらいですけどね。
貴方が変身したいと思えば、自然に変身します。きっと貴方の願いに応えてくれると思います」
まさか、俺に変身機能があったとは知らなかった.....今思ったんだけど、もしかして俺って普通の人間じゃない?
「いま頃ですか?」
「!!.......勝手に人の心を読まないでください」
「ふふっ........それとこれは私からの餞別です」
すると、今度は身体が白く光り出し、服装が変わった。
「先ほどの服じゃ動き憎いと思うので、動き易そうな服に変えてみました。
その首飾りの牙は、貴方のライオンハートの名前にちなんだ、ライオンの牙です......どうでしょうか?」
確かに、さっきまではジーパンだったからな.......モンスター相手じゃ動き難くて、キツかったかな?
とりあえず、今の俺の服装を読者の皆にちょっとばかし詳しく説明しておこう。
紅い半袖のTシャツの上から長袖・フード付の白いパーカ(腕捲りをしている)を着ている。
裾が脛位までの長さで動き易い作りになっている黒いズボン(両腰に金色のチェーン)。
他には、首にライオンの牙を通した(長めの牙を両端に、間に短めの牙を3本挟んだ物)金色の鎖の首飾り。
両手首に黒いリストバンドを嵌めている。............理解出来たかどうかは、しらん。
「うん、良い感じ。ありがとう」
「それは良かったです.......では、最後に貴方の到着場所についてですが。
貴方はゲイム業界は初めてですの、私のもう一人の協力者と共に4つの大陸を周り、鍵の欠片を集めてください。
ですので、貴方は、その人の近くに到着する様になっています」
「.....もう一人の協力者?.....俺の他にも鍵の欠片を集める人がいるのかい?」
「はい.......その人の名前はネプテューヌ=B.......4女神の一人です」
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