超次元ゲイムネプテューヌmk2+ BlackFate |
荒れ果てた世界。
少女の目の前には、そう呼ぶべき光景が広がっていた。
崩れ、見る影もない階層都市。
周りに散乱する人間だったもの。
身体が欠損し、死の瞬間を見なければとてもそうだとは判断できないであろうほどの無惨な姿をさらしている姉だった残骸。
視界に入るすべてが少女に絶望を与えるのに相応しいと言えた。
「……。」
声も出ない、身体も動かない。ただ、そこに居る。
少女の頭には、一つの事しかなかった。
【何故、こんなことになってしまったのか。】
何故愛する姉を、友人を奪われなければならないのか。
何故愛するこの国を、世界を壊されられなければならないのか。
何故自分は、何もできなかったのか。
後悔ばかりが重なる。だからといって、自分には何もできない。
無力感も合わさり、一層少女の気は沈む。
「―――さん。」
「…。イストワール…。」
少女の後ろに現れた、本に乗った少女。
名を、イストワール。世界の観測者である。
「ラステイションも、この有様ですか…。」
「ねーさんも、皆……。」
「先ほど、ルウィーとリーンボックス教会も壊滅したと…。」
「……。」
イストワールの口から淡々と告げられる事実。
そして、理解される真実。
…既に、居るのは少女とイストワールだけ。
「―――さん。私達を救えるのは、あなただけです。」
「……。」
「正直、甘く見すぎていた私達のミスでもあります。何せ貴女が生まれるほんの少し前のことですからね。……貴女を、その少し前よりさらに前にタイムスリップさせます。」
「…ぇ……?」
「どうか、女神たちを救ってください。そして、あの時代を…。」
「……。」
無言を返事と受け取ったのか、イストワールの姿が本に消えた。
パラパラと開き、魔法陣が展開される。
少女を包むように、多数の幾学的模様が現れ、それと同時に発光し始めた。
「申し訳ないとは、思っています。ですが、あなたしか頼れる相手はいないのです……。」
「…わかってる。でも、あんまり期待はしないで……。」
「期待は精いっぱいさせてもらいます。私は…まぁ、この時代と共に消えゆくのは決定事項なので。」
「イストワール…」
「では、後は頼みましたよ。」
その言葉を最後に、少女は【この時】から消えた。
残ったのは、イストワールだけ。
「……。頼みましたよ。」
そうつぶやいた途端。
再度現れたイストワールの背を【何か】が貫き、【その】イストワールは呻き声すら出さずに消滅した。
「……ここ、は…?」
少女が目を覚ますと、彼女の視界は先ほどとは打って変わり一面の草原だった。
それこそ、あの無惨な光景が夢と思えるほどに。
「本当に、戻ったんだ…。過去に……」
時間を超える、なんてことは既に子供ではないと自負する彼女にとっては信じたくはない出来事だが、事実体験してしまっている。
場所だけを移動だとしても、こんなのどかな場所はもうあの場所にはないからだ。
「……。」
本当に、自分が過去に来て、未来を変えなければならない。
その使命ともいえる目的が、重くのしかかった。
しかし。彼女に他に道はない。
この過去(いま)を変えなければ、あの現在(みらい)と同じ結末を送ってしまう。
それだけは、何とか変えなければならないと。彼女はそう思った。
「……!」
「…?」
そんな決意を生温く固めていると、視界に人影が走った。
何か、見覚えのあるようなないような、そんな人影が。
「紫の長髪…妙な髪飾り…セーラー服……」
「まさか、ネプギアねーさん……!?」
人影はすぐに見失ってしまったが、彼女には既に確証があった。
幼いころ、姉と一緒に自分の面倒を見てくれた女神。
その名は、ネプギア。
自分が知っているよりかなり小さいが、過去なのだから当然なのだろう。と彼女は納得した。
「とにかく、ネプギアねーさんを追いかけないと……!」
少女は立ち上がり、愛用の武器を付けて走り出した。
過去を変えるため。未来を変えるため。
彼女、女神候補生ネロの永い旅が始まった。
説明 | ||
未来からやってきた謎の少女が、過去を変えるために奮闘する話。 を、やってみたかった。 |
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