IS《インフィニット・ストラトス》 駆け抜ける光 コラボ小説 最終回 光はずっと繋がっている……
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 あの戦闘から三日経ち、それから二日後の事だった。後一週間程で元の世界に帰ると言ったんだ。そもそも唯さんがこの世界に来たのはユリさんが関係しているとか。詳しい事は話してくれなかったけど気にしないようにしよう。

 

 そのユリさんはまだ整理がついてないみたいだ。でも今は唯さんを敵視していることはないという。二人とも分かり合えたのか……な? 

 

「後少しでできるかな……唯さん喜んでくれるかな?」

[喜んでくれるよ。さて頑張ろう!]

 

 僕は学園のIS部品所でアムロさんに教えて貰いながら、作業を再開した。

 

 

 

「で、話したいこととはなんだ?」

 

 唯は光輝と一夏以外の専用機持ちを光輝の部屋に呼んでいた。唯専用の部屋が無いので一緒に寝泊まりしている光輝の部屋に呼んだのだ。一人用の部屋に七人が入るのはけっこう密度が高い気がする……それは置いといて。

 

「いや〜、俺個人の話なんだけどたぶんお前らには凄い大切な事だと思うから集めたんだよ」

「私たちにとって大切なこと? それはどんなものなんでしょうか?」

「簡単だよ。二人にもっと素直になったらいいよ」

 

 唯はあえてその二人の名前を言わなかったが六人は瞬時に理解した。唯は言葉を続ける。

 

「つまらない意地を張るより素直にアプローチや告白しないと、あの大鈍感兄弟はいつまで経ってもお前らの想いに気付かず友達止まりだぞ? 特に箒と鈴、セシルは素直になる努力をした方がいいよ。まぁ素直と言う意味ならシャルやリム、ラウラが一歩前に出てる感じかな」

 

 六人はその言葉を聞いて顔を赤くする。特に箒、セシリア、鈴の三人はがっかりした様子も見受けられる。しかし、唯は事実を言ったまでなのだ。この三人にも非はあるのは当然である。

 

「それが出来たら苦労しないわよ……」

「私たちも悪いのは分かっているのだが」

「なかなか難しいのですわ!」

「まぁそりゃそうだ。ここでまた一つ話をしよう。俺の世界にもお前らみたいにアプローチを受けている男子がいてな……」

 

 六人は唯の話を真剣に聞く。ISの授業を受けるときにも劣らない程の真剣さが伝わってくる。15歳の少女たちの恋にかける想いはそれ程、深いものなのだ。

 

「その男子はちゃんとその人達の想いは気付いてるのかな?」

 

 シャルロットがおそるおそる唯に聞く。唯の世界には同じ自分たちがいることを知っている。その自分たちの想いがその男子に届いているか心配なのだ。唯は穏やかな表情で、

 

「あぁ、ちゃんと気付いてるよ。そいつは双子の姉の想いもある五人の想いも気付いてる」

 

 そう言ったのだった。その瞳には何の濁りのない純粋な気持ちを表すかのようだ。六人はその男子が唯であることに気付いているが、ホッと安堵のため息を漏らす。

 

「素直に……か。そうすれば私だって」

「私も今まで以上に精進しませんと!」

「いきなりは難しいけど少しずつなら大丈夫、大丈夫なはずよ……」

「絶対に一夏に振り向いて貰わなきゃね」

「嫁は誰にも渡さん!」

「はぁ、光輝くん……」

 

 恋をするのは良いことだと唯は思うのだが、不安もあった。

 

「二人の取り合いになってお前らの絆が壊れるようなことは絶対にあっちゃいけないぞ? 俺はそれが心配だ……」

「大丈夫だよ、唯くん。みんな、なんだかんだで仲がいいからね♪ 私も光輝くんがみんなの誰かに振り向かれたらショックだけど絶対にその人を恨んだりはしないよ」

 

  エリスは唯の隣に座り、唯と一緒にガヤガヤ話す五人の様子を見る。喧嘩をしているように見えるが、それぞれが楽しそうにも見える。

 

「リムの言う通りかもな。さて恋の行方はどうなるのかな?」

 

 

 

 とうとう今日は唯さんが元の世界に帰ってしまう日だ。唯さんが言うには12時にアリーナ内に時空の歪みが出来るからそれで帰れるよ、とユリさんが言っていたそうだ。

 

 11時ちょうどに僕はみんなより先にアリーナに来ていた。しかし、先客がいた。唯さんである。

 

「唯さん?」

「ん? 光輝か。お前が一番早いなぁ」

 

 唯さんは笑いながらそう言う。僕は笑う気になんてなれない……。友達との別れは、辛いんだ。僕はその顔を見ると自然と涙が出てしまう……。

 

「うっ、ぐすっ」

「ど、どうしたんだよ光輝?」

「だって……お別れだなんてやっぱり嫌だよ。ひっく……ずっと一緒に居ようよ……それとも僕がそっちに――」

「ダメだ! お前は此処に居るんだ! 俺だってお前と別れるのは悲しい……でも俺には戻らないといけない場所があるから。お前にも仲間がいるように俺にだって仲間がいる。そいつらに心配かけさせたくないしな。光輝にだって仲間がいるだろ? そぐそこにまで来てるぜ」

 

 その言葉に僕は後ろを向く。箒さん、セシリアさん、鈴さん、シャルロットさん、ラウラさん、エリスさん。そして僕を絶望の淵から助けてくれた家族――夏兄にお母さんがいた。

 

「悪いが光輝、ISを装着してくれないか?」

「え? 大丈夫だけど……」

 

 僕はISを纏い、唯さんも漆黒のISを纏う。唯さんから差し出されたものは、どうやらライフルのようだ。

 

「これをお前にやるよ。このビームマグナムは――力の意味を知っているお前が使ってくれ」

「本当にいいの? でも僕は――」

「お前はもっと自分に自信を持て! 俺の知っている織斑光輝は、本当に優しい人間で仲間想いで、本当に凄い奴さ。俺が言うんだから嘘じゃないぜ!」

「唯さん……」

 

 涙が止まらない……悲しい気持ちから嬉しい気持ちでいっぱいだ。

 

「分かったよ唯さん。これは僕が受け継ぐ。この唯さんの想いが籠ったこの武器は――」

 

 僕は唯さんからビームマグナムを受け取る。そして僕達はISを解除させた。

 

「あ、あのね唯さん。僕も、渡したいものがあるんだ。いいかな?」

「もちろん!」

 

 僕はポケットからT字のネックレスを差し出す。

 

「これってまさか……」

「うん。僕のIS――HI‐νガンダムの待機状態に似せたネックレスだよ。どうかな?」

「こんなの良いに決まってるじゃないか! これは光輝と俺の絆の証だよ。一生、大事にするよ」

 

 唯さんはさっそくネックレスを付けてくれた。こうみると凄い似会ってるよ!

 

「ど、どうだ?」

「凄く似会ってるよ! 僕と唯さんを繋ぐ心の光の象徴だね!」

「あぁ! ありがとな!」

 

 唯さんは無邪気に笑ってくれた。それは今まで見たことのない嬉しさに満ちた表情だった。

 

 

 

 時間が過ぎるのは早く、あっという間に11時57分。みんなと言葉を交わす唯さんは本当に穏やかな表情だった。

 

「一夏、これからもっと強くなれよ! みんなを護れるぐらいに!」

「もちろんだぜ! 強くなって家族や友達を絶対に護ってみせるからな!」

「それでこその一夏だな」

 

 またオーズを見せてくれよな、という夏兄に、会えたらの話しだな、と唯さん。この二人も仲が良くなったよね♪

 

「アムロさん、いろいろとお世話になりました。貴方や光輝のおかげで俺はユリとも分かり合えそうです」

[僕は何もしてないさ。君にも光輝と同じような可能性を感じる。君にも人を導くことが出来るはずだ]

「ありがとうございます。俺、もっと頑張ってみんなを助けれるようになります!」

 

 決意を新たに固める唯さん。凛としていて見ているこっちはカッコよく見えるよ!

 

「もうそろそろお別れか……。みんな今までありがとな! みんなのおかげで今の俺がいる。本当にありがとな!」

 

 そう笑顔で言う唯さんはやっぱりカッコいい。そう思っていると僕の傍まで近付いてきて――

 

「光輝、お前のおかげで助かったぜ。ありがとう」

 

 そういって唯さんは素早く僕を抱きしめた。いきなりのことで何が起こったのか分からなかったけど、確かなのは唯さんから暖かい光を感じた事だ。

 

「僕からも、ありがとね。ずっと僕達の事忘れないでね」

「絶対に忘れないよ」

 

 僕も抱きしめ返した。身長の差があり過ぎるけど気にしないよ。しばらくして唯さんは僕から離れ、いつの間にか出来ていた時空の歪みにヘと歩きはじめた。唯さんは僕達に背中を向けたまま――

 

「俺は絶対に! もう逃げない! みんな、ありがとう!」

 

 そう叫んで唯さんは歪みへ、消えたのだった。

 

 夏休み始めに起こったこの事は一生忘れることはないね。だって最高の友達と会えたんだもん。世界は違っても僕達の光は繋がってるよ。

 

「短い間だけど、ありがとね。唯さん……!」

 

 僕はまた涙を流しながら、さっきまで唯さんがいた場所にそう言った――。

 

説明
ギリギリのところでついに唯を取り戻す。だが、ユリは今の自分の気持ちを理解できず、塞ぎ込んでしまった。それを助けれるのは唯しかいない……。
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