第二十五話 アンクの苦悩
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アニスサイド

 

 

「アニス、ちょっと来い」

 

 

「ん?何さアンク」

 

 

どもっす、アニスですぞー。

何か開始早々アンクに呼ばれたので近づいてみる。

 

 

ひょい。

 

 

「ちょっ!?」

 

 

何か知らんが、いきなり脇腹辺りを掴まれ、そのまま上に持ち上げられた。

あーうー、恥ずかしいよー……。

ほら、ここリビングだよ?

はやてとかシグナム達が見てるから……。

 

 

「……やっぱり体重が軽くなってる……」

 

 

「へっ?」

 

 

「お前!前よりも体重落ちてんだよ!」

 

 

「……あぁ、そうなんだ」

 

 

「そうなんだじゃねぇ!お前、最近体重測ったか……?」

 

 

……あー、つい昨日測りましたよ……。

ちくせう……。

 

 

「あー……あははー……」

 

 

俺はアンクから視線を外して、壁を見る。

さて、どうしたものか……。

 

 

「……測ったんだな?」

 

 

「……はい……」

 

 

「……何キロだ」

 

 

「……1……7……キロ……っす……」

 

 

「…………………」

 

 

「…………………」

 

 

あぁ、沈黙が痛いとです。

だ、誰かたすk……。

 

 

「てめぇ!!二キロも落ちてんじゃねぇか!!」

 

 

「ひゃい!?」

 

 

「どうやったら二キロも落ちんだよ!?九歳の体重じゃねぇぞ!」

 

 

「いや……あの……俺……身長95しかないから……はぅ」

 

 

「あぁもう!飯食えちゃんと!!分かったか!!」

 

 

そう言って、アンクは俺を降ろし、部屋から出ていく。

あうあう……仕方ないじゃんか……食小さいんだし。その分以上に動いちゃうんだし。

 

 

「なぁなぁ。アンク、何であんなに気が立ってるんだ?」

 

 

いつの間にか俺の横に居たヴィータが話しかけてくる。

いやまぁ、驚きはしないけど、いつの間に……。

 

 

「さぁ……俺には良く分からないし……」

 

 

特に今日はいつも通りだったけど。

俺が朝食を食べてた辺りから、少しアンクが険しい顔してたけど……。

 

 

「ちょっと聞いてくる」

 

 

「へ?ヴィータ……良いの?」

 

 

「うん、別に大丈夫」

 

 

「……そう、分かった。何か分かったら教えてね」

 

 

「分かってる。それじゃ行ってくる」

 

 

何か、最近マジでヴィータがカッコいいんだけど……。

うっは、ヤバス。騎士補正掛かって来てるねこれ。

 

 

「アニス君、いつの間にヴィータとあない仲良ぉなったん?」

 

 

「ありゃ、はやてちゃん。いつの間に」

 

 

あの、あんたらはどうしていつの間に俺の横に居る事が多いのかな?

神出鬼没とかのレベルじゃねーぞ。

 

 

「まぁ、色々とね……」

 

 

「ふぅーん……そかそか……ヴィータは呼び捨てで、ウチは未だにちゃん付けか……そかそか……」

 

 

「……あの……どうしたのでしょうか、はやてちゃん……?」

 

 

「いや、何でもあらへんよー……アニス君なんて知らへん」

 

 

とか言って、はやても何処かに行ってしまう……。

あの、俺何かしたのでしょうか?

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

アンクサイド

 

 

最近、あいつは少しやつれて来た様に感じる。

いつも通りのあいつ……だけど……何処かが違うあいつ。

 

 

だから、思い切ってあいつを持ち上げて測ってみた。

案の定、あいつの体重は落ちていた。

 

 

そう、これがただ普通に痩せただけなら良いんだ。

俺もあそこまで怒鳴ったりなんかはしない。

だが、それが果たして普通の痩せ方なのだろうか?

 

 

確かにあいつは身長は低い……だが、それでも体重はいつもキープしていたし、たまに少し減る事もあった……だが、あの日からだ。

 

 

アニスが呪いを受けたあの日から、徐々に何かが変わり始めているのを、俺は何処となく感じていた。

気のせいであってほしいが、そうとも限らない。

俺の杞憂で合ってほしいが、それすらも思えない。

 

 

ただ刻一刻と、アニスが呪いに蝕まれて行くのを見るのが、この上なく苦痛に感じる。

そうで無くても、俺はあいつの親が飛ばされたときに、それを嫌と言うほど痛感した……。

なのに、どうする事も出来ない……。

 

 

やはり、ここはジュエルシードを……それとも、無理やりにでも収集を……。

いや、俺には出来ない。するとしたら、あいつらが率先して動かなければ意味がない。

 

 

どうしたものか……。

 

 

そう考えていた時、部屋のドアが叩かれる。

 

 

「入っても良いか?」

 

 

声からしてヴィータの様だ。

俺の部屋に訪ねて来るとは珍しい。

 

 

「あぁ、良いぞ」

 

 

ガチャッ。

 

 

「うわっ、質素な部屋だな」

 

 

「黙ってろ。俺は無駄な者は置かない主義なんだよ。それで、何の用だ?」

 

 

「いや、何でお前があそこまで気が立ってたのか聞きたくてさ」

 

 

「……あぁ、その事か」

 

 

「その事かって……まぁ良いや。それで、どうしたんだ?」

 

 

「……最近……あいつが、やつれて来たなって思ってよ。それで持ち上げてみたら案の定ってわけだ」

 

 

「そうか?見た感じはそんなに変わってなかった気がするけど……」

 

 

「……でも、落ちていた。少し心配し過ぎなだけかもしれないが……それでも、あいつには爆弾があるんだ。心配し過ぎな位でも足りないくらいだ」

 

 

俺はやれやれと言いたげにため息をつく。

厄介だな、本当に……今のアニスには負担にしかならないし、下手に動く事すらできない。

 

 

「まぁ、確かにな……。でも、そこまで症状が表に出てるわけでもないし。今もアニスは元気なんだからさ、少しは気を緩めねぇと、倒れるぞ?」

 

 

「はっ、そんなに軟じゃねえよ。それに、あいつがあぁやって立ってんだ。先に倒れるわけにはいかねぇよ」

 

 

「……そうか……何かあったら頼れよ?私も、シグナムも、シャマルも、ザフィーラも。力になってやれっからさ」

 

 

「あぁ、そん時は頼むよ、ちゃんと」

 

 

「そっか……そんだけだから。戻る」

 

 

「あぁ、さっさと出てけ」

 

 

「ちっ、むかつくけど、やっぱそっちの方がアンクらしいわ」

 

 

バタン。

 

 

……一言余計なんだよ、あいつは……。

ったく、口の減らないガキが。

 

 

「余計な、お世話だっつの……」

 

 

全く、マジ腹立つ……。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「おら!ドンドン食え!」

 

 

「あうあう、もうお腹いっぱいだよアンクぅ……うわっ、また皿に盛られてる!?」

 

 

「アンクさん、もうその辺にしとき。アニス君ももう限界ですよ?」

 

 

「いや、こいつだって男だ。もっと食べれるはずだ。ほら食え!もっと食え!」

 

 

「……あう……もうお腹が痛い……シグナムさ〜ん……」

 

 

「分かりました。私が代わりに食べましょう」

 

 

「お前が食っても意味ねぇんだよ!」

 

 

あうあう、最後の切り札、シグナムを投入したのに……軽く突っぱねられた……だと。

しかも何でまた皿におかずが盛られてるんだよ!!

どう考えたっておかしいじゃないか!!

 

 

「も、もう……無理……」

 

 

「ほら!後一口だ!頑張れ!」

 

 

「ふ……不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

こうして、何故こんな事になったのか、皆目見当もつかない一日なのでした

 

 

……終われ……。

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リリカルなのは 男の娘 ヴィータ アンク 

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