灰色の立派な魔法使い(マギステル・マギ) 第五夜
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 あの子を緑髪の子に任せて、金髪の子に付いて行く事早数十分。いまだに目的地には着かないようだ。しかもどんどん町の奥へ奥へと進んでいるような気がする。それに建物も遠目に見たときはロンドンのような建物だったけど、近くで見ると木の様な木目も無ければ、レンガのようなデコボコも無い平坦な壁だった。それだけじゃなく時々道の片隅に置かれている鉄の様な箱(車)や十字路で見る3つの丸がついた建造物(信号機)など、多少興味のあるものが有った。

 

 

 「何をキョロキョロ見ている。そんなに珍しいものなど無いはずだが。」

 

 いつに間にかこっちを見ていた彼女が声をかけて来ていた。

 

 「あっ…いえ、こういう所にはきた事が無かったもんで……」

 

 「フンッ…どこの馬の骨とも分からん田舎出の『モヤシ』男か。」

 

 

             ピキッ

 

 

 (が…我慢、我慢。ここで機嫌を損ねられたらどうなるか分からない…)」

 

 

 何とかこの腹の底から来る感情を抑える事ができた。でもそれで分かった事がある。

それはこの子が、神田並に性格が捻くれているという事だ、間違いない!!

そうしている内に道が開け目の前に、横幅の広い大きな建物が見えてきた。

 

 

 「ここだ、この中にお前の会いたがっていた責任者がいる。ついて来い」

 

 

 そう言うと、彼女は建物の中に入ろうとしている。僕は小走りでついて行き、建物の中へ入った。

玄関のような所に入ると、彼女は靴を脱いでいた。   なんで? 

首を傾げていると、その様子に気づいて彼女が首だけをこっちに向けて、

 

 

 「ん?何をボーっと突っ立って…あぁ、((欧米|アッチ))と((日本|コッチ))では文化が違うから学校のスタイルも違うんだったな。一番端にゲスト用ののがあったはずだ。さっさと履き替えて来い。」

 

 

そう言うと彼女は横を指差した。そうか、((教団|ホーム))を横に作り変えたらこれくらいあるんじゃないかと思う建物は学校だったんだ。…でか過ぎでしょ。

その指につられて僕も横を向いたが…へ……?

 

 

 「あの…なんだか端まで50m位ある気がするんですケド?」

 

 「((麻帆良学園女子中等部|ココ))は1学年25クラスあるからな。それが3学年あるんだ、教師とゲスト用の下駄箱もあるからな。これ位の必要になるさ。」

 

 

 えぇ〜と、1つのスペースごとに数字が書いてあるから1面1クラスだと思うから、1つの通路の幅が見た感じ1・5m位だとして、それが25クラスの3つがあるから、後さっき言ってたゲスト用と教師用の通路も1つずつあると仮定すると………

 

 

 「なぁにをうんうん唸っている。いつまでもそこで突っ立てないで、さっさと履き替えて来い!!」

 

 「はっはいぃ!!」

 

 

そう言われて、考えるのをやめて履き替えるために走り出した。

こっ恐かった訳じゃないですからね!って、誰に言い訳してるんでしょう?

 

 

 

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 走って靴を履き替えに行った侵入者――めんどくさいから小僧でいいか――を鼻で笑い、待つために廊下に出た。まったくあのジジイめ、いきなり念話をしてきたと思ったら茶々丸をいとも簡単に捕らえた小僧を連れて来いだと!?

今すぐにでも八つ裂きにしたいと言うのに、あのクソ狸ぬらりひょんジジイめ!!

 

 

 だが問題なのは小僧のあの((左腕|ちから))だ。何だアレは、変化の魔法にしては禍々しい魔力を放出していて、その癖小僧自体からは魔力が感じられない。考えられるとしたら何かのマジックアイテムを使っているという事が挙げられる。だがそんなアイテムに似たものは有るが、それは魔力が低い魔法使いが使うただ魔力を貯めておく魔力タンクが関の山だ。

仮に作られていたとしても、魔力の質が普通の魔法使いが使うマナの質とは全く違う。

…最悪の考えとしては、自らの肉体に悪魔を取り込んだのが、1番納得いくが……

 

 全く分からない事ばかりだ。本当にやつは何者なんだ?まぁジジイの所に着いたらたっぷり絞ってやればいいだけだがな。ククク……

 

 

 「あの〜履き替えてきましたけど。何か有ったんですか?後笑い方が怖いんですけど…」

 

 

ん?どうやら思考に浸っていたら、小僧が戻ってきたみたいだな。随分時間がたった感じがしたが数分程度しか経っていなかったようだな。まぁそれは良いとして、今はジジイに会わす為に学園長室に向かうとするか。

 

 

後最後に小声で言った言葉に対して、後でじっくり話し合う必要が有りそうだな…フフフ…

 

 

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     ブルッ!!

 

っ!!今もの凄い悪寒が……

 

あの子の機嫌を損ねないために駆け足で端まで行った後いくつもあるロッカーみたいな所の一つを開け履いている靴と履き替えると、反対側の廊下であろう所に出て彼女の所まで戻った。

戻って来ると彼女は何か考え事をしているようだった。…そして不気味に笑っていた。

 なんだか身の危険を感じた僕は彼女へ声をかけ、責任者の所へ連れて行ってもらうように促した。

そのまま目の前の階段を最上階まで上り廊下を歩いた。しばらく歩いていると彼女がさっきまで見ていた扉より一回り大きな扉の前で止まったので、続いて僕も止まった。

 

 

 「ここだ。ここに学園長のジジイが居る。」

 

 

 そう彼女が言ってきたので、僕は入る為に気を引き締めた。後年上で最高責任者に対してジジイは良くないと思うんだけど…

 

 

 「ジジイ!連れて来たぞ!!」

 

 

そう思っている内に彼女が部屋の中へ入ってしまった。僕は慌てて後に続いて部屋へ入った。

すると正面の机には、

 

 

 「ホホホ、君が侵入者じゃの?ワシがこの麻帆良学園学園長、((近衛 近右衛門|このえ このえもん))じゃ」

 

 

必要以上に頭の伸びた、((人間|アクマ))?が居た。

 

 

 

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第五夜 魔法とイノセンスと疑問
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