仮面ライダーW/ver.K Wの検索/お前の罪を数えろ! 前編 |
〜米花町・加桐探偵事務所〜
米花町に建っている1軒のマンション。外の看板には『加桐探偵事務所 不可思議な事件を解決します』と書かれていた。そして、その事務所のなかには、一人の男がソファーに寝転んでいた。
「・・・・・・」スクッ
男は何を思ったか、スッと立ち上がり、そして
「うがぁああああああああああ!!!暇すぎるわァアアアアアア!!!!!」
叫んだ。
まぁ、当然であろう。この加桐探偵事務所は、約9割程度を警察からの依頼で賄っている。しかも、その警察からの依頼は、1カ月に10件あるかないかだった。なお、残りの1割は一般からの依頼である。
しかし、この事務所は不思議なことに金には困っていない。なぜなら、一回の依頼料が半端じゃ無いほど高いからである。金額はその時の気分と難易度で決まるが、平均的には約2〜30万円程である。そのせいか、あまり依頼を持ち込む一般人はおらず、警察に頼りっぱなしなのだ。
「ったく・・・、平日は暇だぜ。『相棒』は学校に行ってるから退屈で仕方ねぇ」
そう言って男は、近くの本棚から推理物の小説を取り出して読み始めた。
おっと。彼の紹介を忘れていた。
彼は『加桐 札道(かきり ふだみち)』。この小説の主人公の『一人』で、加桐探偵事務所の所長でもある。顔は下の上ぐらいで、性格はハーフボイルド(笑)。もう少しまとめれば、人情に厚く、自らの命よりも先に、依頼者の命を優先する人物だ。
ちなみに彼のあだ名は『切り札』である。
詳しい説明はまたにさせてもらおう。
ガチャ
「ただいま〜」
「「お邪魔しま〜す!!」」
「「お邪魔します」」
「おぅ、お帰り颯。・・・ってちょい待てや!?」
札道は一言返すと再び本に顔をむけたが、その後に付いてきたメンバーに突っ込みを入れた。
「うるさいよ札道。というより、窓あいてるから君がさっきまで言ってた叫びがまる聞こえだったよ」
「それはそれで大変だけど!!その後ろの子達は何なのさ!?」
そう言って指差す札道の指の先には、札道のコレクションである探偵小説をもの珍しそうに見ている女子高生2人と小学生2人だった。
「彼女達は僕の友達さ。そろそろ期末試験が近いから、一緒に勉強しようと思ってね」
「・・・・・・・・・はぁ」
そんな颯を見た札道はため息をついて、自分のデスクの椅子に腰かけた。
彼は、颯が強硬策をとったら、もう何を言っても無駄だ、と知っているから、もう反論するのをあきらめた。
「・・・・・・まぁ、連れてきちまったもんは仕方ねぇか。勝手にしろ。その代わり、依頼人が来たらちゃんと仕事はしてくれよ?」
「もちろんさ」
そう言って颯は4人を連れて、自分の部屋へ行った。彼女達は札道に顔を向けて、軽く会釈をすると、すぐに颯の後を追った(ちなみに、この事務所(2階建て)は札道と颯の家でもあり、颯の寝室兼勉強部屋は2階にある)。
それを見た札道は、机の上にたまっている資料を閲覧(という名の物色)を始めた。
「・・・さて、警察からの依頼はっと・・・・・・」
といって、一冊のファイルを抜き出して読み始める。
「・・・『2011年02月02日。20才の女性が殺害された。死因は全身を焼かれた焼死。焼け跡から見て、物凄い勢いで火に飲まれていったものと思われる。しかし、彼女の体からは灯油や油といった発火性物質のものは何一つとして検出されず、どうやって燃やしたのかも不明。犯人の目星として、『岡村 健太』『安部 光』『君島 健吾』の三人が容疑者として挙がったが、いずれも証拠不十分にて不起訴』か・・・。これだけ見りゃ、只の変死体として片付けられるだろうな・・・。どう思う?坊主共」
そう言って札道は誰も居ない階段に札道は問いかける。すると、階段の裏から罰が悪そうに先程の小学生2人組が出てきた。
「・・・どうして分かったのかしら?」
「これでも探偵の端くれだからな。それぐらい見破れなきゃ、事務所の看板降ろさなきゃならんよ。で、どう思うお2人さん?素人目でいいから答えてみ」
「そうだね・・・・。僕は多分殺人だと思うよ。自然とか不注意で発火したならもっと火の回りは遅いだろうから。でも犯人、動機、殺害方法がわからないよ」
「ふむ・・・。嬢ちゃんは?」
札道は傍らにいた少女に話しかけるも、少女は手を上にあげた。どうやらお手上げのようだ。
「ま、普通はそれが当然の反応だわな。だけど、ここからは俺の本分よ」
そう言って札道は立ち上がって、壁かけにあった帽子をかぶってトレンチコートを着た。
「ちょいと出かけるけど、お前らも着いてくるか?」
札道は少年たちに話しかけると、少年達はヒソヒソ話を始めた。
(どうするの工藤君)
(行くしかねーだろ。てか、あいつから黒づくめの男の匂いがするって言ったのおまえだろ!?)
「・・・・・・おーい。そろそろ行きたいんだが、良いか?」
「あ!僕達もいくよ!!」
札道は若干疲れたような表情で少年・・・『江戸川コナン(本名 工藤 新一』と少女・・・『灰原哀(本名 宮野 志保』は、あわてて行くと返事を返し、札道とともに外へと繰り出した。
〜米花町・BAR『KUROBA』〜
「で?どうしてバーに私達はいるの?」
そう言って変装した灰原(コナンも同じく変装済み)はカウンターに頬杖をついて、私不機嫌ですオーラを醸し出している。ちなみにコナンは同じような感じだ。
「どうしてって、情報を仕入れるためさ。しかも仕入れたてのものをな。マスター、ジンをもう一杯」
「かしこまりました」
札道は前にあったジン(何故か梅干しが入ってる)を飲む干した。そして再びジンを注文した。
「・・・・・・ねぇ」
「んぁ?なんだ?」
灰原は冷や汗をかきながら、札道に話しかける。
「どうして・・・そのお酒しか飲まないの?」
「あぁ、俺としては他の酒が飲みたいんだが、待ち合わせ相手の奴がこれを目印に飲んでろ、って指定したからよ。仕方なしに飲んでるだけだ」
傍から見れば、そうは思えない勢いでグラスを空けて行く札道。
「すまねぇ。待たせたな」
「「!?」」
「おぅ。遅かったな『ジン』。それに『ウォッカ』」
「・・・なんで俺だけおまけみたいな扱いなんだよ」
そこへ札道の待ち合わせ相手である人物が到着した。そしてその人物を見たコナンと灰原は驚愕した。ジン、ウォッカともに彼女らとただならぬ因縁があったからだ。
灰原のほうは姉を殺され、コナンの方は自らの人生を狂わされた。そして目の前にはその元凶であり、自分たちが追っている組織・・・黒の組織の中枢メンバーともいえるジンとウォッカだったからだ。
そんな二人をしり目に、ウォッカはバーボンを、ジンはブドウ酒を、札道はテキーラを注文した。
「んで、何かわかったか?」
札道はグラスをカウンターに置くと、ジンに問いかけた。それに応えるかのようにジンは懐から茶封筒を取り出して札道に手渡す。
「あぁ。表向きは一見何の変哲もない会社員だったが、裏ではとんでもない事をやっていた」
「何だ?ヤクの取引でもやってたのか?」
札道はそんな風にカラカラと笑いながら冗談を飛ばしていた。しかし、ジンの顔はすぐれなかった。そしてそのままジンはこういった。
「メモリだ」
「・・・・・・ほぅ」
「「!?」」
灰原とコナンがその表情を見た瞬間、二人の背筋に寒気が走った。その時の札道の顔は、先程までの能天気な彼とは違う、冷たく凍りつくような顔を二人に向けていたのだ。
「・・・奴は裏でメモリの売買をしていた。組織の連中もすぐに家探しに入ったが半数以上が殺された」
「チッ・・・。奴らは先輩が殲滅したと思ってたんだがな・・・。まさか生きてやがったとは・・・。俺の落ち度だぜ!!」
ドガァ!!
札道はカウンターを目一杯の力を使って拳を打ち付けた。その場所には、拳大の穴が空いていた。
「・・・・・情報サンキュな。ここは俺が奢るぜ」
「・・・・・・なぁ札道。お前な「組織には戻らねぇぜウォッカ」・・・・・そうか」
ウォッカは言葉を紡ごうとしたが、その言葉を聞いて押し黙った。そしてマスターに金を支払ってその店を出て行った。そして、灰原とコナンもそれに続こうとした。
「シェリー」
「!?」
突然、ジンが灰原に話しかけたのだ。予想だにもしなかった事態に、灰原とコナンはあわてたが、ジンはどこ吹く風邪だ。
「別にお前を捕まえようなんざ思っちゃない。だが、無理はするな。こいつはお前や俺達組織の手に負える様なことじゃない」
「・・・・・・・・・」
ジンのその言葉に、灰原は無言でその場を後にした。コナンもそれに続いて店を後にした。
前編終了・後篇に続く。
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