ゲイム業界へようこそ!その11 |
………………
「うわぁ!なんか鋼鉄島ーって感じ!?あいちゃんあいちゃんっ!ここはなんて大陸?」
「ラステイション。守護女神ブラックハート様が治める大陸よ。重工業が盛んで、工場なんかが多いの。」
相手であるネプテューヌに対して、私ことアイエフは返答する。
私達は今プラネテューヌからこの島へ渡ってきた所なの。理由は「鍵の欠片」というアイテムを探していてね。
ネプテューヌが言うにはそれぞれの島に一つずつあるらしいから、今それを見つけるためにこのラステイションに渡ってきたわけ。
「こういうさ……ディテールっていうの?大陸ごとに建物が違ったり雰囲気が違うのってさやっぱり女神様のシュミ?」
「違うと思うわ。たしかに守護するのは女神様だけど文明を築くのは、あくまでも人だから。」
「むー……あいちゃんは夢がないね。こんぱはどう思う?この大陸!」
夢がないと言われても困る、現実的な意見を言っただけなのに。
というかこいつはなんで子供っぽい考えしか持ってないんだろう?話をするこっちが疲れてきてしまうわ。まぁ悪い奴じゃあないんだけどね。
「工場とか煙突とかが目立ってて……産業革命って感じがするです。……ちょっとマニアックかもですぅ。」
そう言ってネプテューヌに応対したのは、パーティーのもう一人であるコンパ。
ほんわかおっとりしてて可愛い子なんだけど、ちょっとぬけてる所もあるから私がしっかり二人をサポートしないと駄目なのよね。
「まー女の子が食いつきそうな感じではないかもね。私は割と好きだけど……それよりどんな大陸でも、とにかく一度協会にいきましょ。」
「それもそうですね。ところでその協会がどこにあるのかが分からないですぅ。私はこの島に来たのは今回が初めてですし…。」
「そんな時は素直に人に聞く!そうしていけばいづれ目的地にゴールするはずだよ。私ってば冴えてるぅ〜!」
「まぁあなたが冴えてるかどうかは置いておくとしてその線で問題ないわね。」
「あいちゃんが冷たい気がするよぅ…」
ネプテューヌのことは放っておこう。とりあえず歩きながら街の人に聞くことに。協会のことだったらここに住んでる人なら誰でも知ってるだろうし、すぐに見つかるでしょう。
「ねぇねぇ、あそこにいる二人に聞いてみない?」
ネプテューヌそう言って指差す先には同い年くらいの男女のカップル?がいた。誰でも良かったし、せっかくだから聞いてみよう。
男性の方は知らないが、女性の方はどこかで見た覚えがあるのだが気のせいだろうか?
「そうね、とりあえず話しかけてみましょう。あの〜すみません、ちょっとよろしいですか?」
………………
家を出た俺達はとりあえず協会へ行くことに。
昨日も彼女を送っていく際に一度行ったのだが、辺りは夜だったしラステイションのような混雑した街で目的の場所を一度行ったくらいで覚えることなんて俺には到底出来ない。
「やっぱり最初に行く場所といえば協会よね。あそこの場所くらいは知っておかないと。」
「そうだな。何かあったらそこに行けば良さそうだし。」
そう言って俺はノワールの隣を歩く。言っていなかったが今日の彼女は変身前の普通の姿だ。
実は俺の家を出る前に、「そう言えばこの格好であなたに会うのは初めてだったけど私だって分かってた?」と聞かれてな。「ここの家を知ってるのはノワールだけだったし、何より声ですぐ分かったよ。」と返したら、「そうか〜そうだよね〜〜。」とかニヤニヤしながら喋ってたな。
実際のところは何度もゲーム画面で彼女の姿を見ていたから覚えているだけなんだけど。
そんな機嫌の良い彼女と俺は現在協会の方へ向かっている。今日は一日楽しくなりそうだね。
俺はまさかこの瞬間にその楽しくなるはずの一日が終了してしまうとは思いもしなかったさ。
「あの〜すみません、ちょっとよろしいですか?」
誰かに声をかけれ、その声の主の方を振り向いた。そこで愕然とする。
(なんでこいつらがここに!?)
どこか聞いてことのある女性の声だと思ったら、そこにはあのアイエフちゃんが立っていた。いや、それだけではない。彼女がいるということは必然的に他の二人もいることになる。ねぷねぷさんとコンパちゃんももちろんそこにいた。
「ネプテューヌ…どうしてあなたがここに…!?」
驚いていたのはどうやら俺だけでないらしい。ノワールもネプテューヌがここにいることに驚いていた。確かノワールが彼女達に初めて出会うのはダンジョンの中だったはず。
おそらく俺というファクターによって結果が変わってしまったのだろう。元々今日は彼女にとって休暇のはず。俺という存在が無ければ、彼女はおそらく協会かダンジョン辺りにいたわけで、現在ネプテューヌ達に遭遇することはありえない。
正史である物語の歯車が俺の存在によって既に外れてしまったのだ。
まだ小さい程度のモノかも知れないが、果してこれがどう影響していくのか?自分の存在が危ぶむことに俺は恐怖した。
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