魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者 第5話
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第5話 みんな、翠屋へ行こう!!

 

「ふぁ?、やっと終わった……」

 

今日は水曜日。日曜の影響で生じた体の不調もやっと楽になって来た。

高町も居なかったのでぐっすり寝れたことが大きかった。

 

でも、一体星は俺に何したんだろうか……まぁいいか。

 

そうだ、気分転換に翠屋に行こう!

あそこの士郎さんの入れるコーヒーは最高だからな……

 

桃子さんのシュークリームを買って帰ればあの三人も喜ぶだろう……

ならば善は急げだな。

 

チャイムが鳴った瞬間ダッシュで教室を出ようとする。

 

「待ちなさい!」

 

誰かの足に引っかかってそのまま廊下の壁にダイブした。

 

「だ、大丈夫!?零治?」

 

「大丈夫よフェイト。そいつかなり頑丈だから……」

 

「このやろっバーニング!危うく天に召されるところだったぞ!!」

 

「ね」

 

「あ、アハハハ……」

 

苦笑いするしかないフェイト。

 

「それとバニングスだから。っとそんなことよりこのあと暇?」

 

「………今俺ダッシュで帰ろうとしたよな?」

 

「あんたが慌ててるのはいつものことでしょ?」

 

「まぁそうだけど………ってフェイト!?」

 

「キャッ!?」

 

「いきなりでかい声出すな!!それと何でフェイトって名前で呼んでるのよ。確かハラオウンって呼んでなかったっけ?」

 

「あれ?俺ハラオウンって言ってなかったか?」

 

「ううん、名前で呼んでたよ」

 

マジか!?すっかり油断してた。これって不味くないか………

 

「あっ悪い、名前の方が言いやすかったから………」

 

「ううん、良いよ名前で」

 

「そうか、ならこれからはフェイトって呼ぶな」

 

「うん」

 

うわっ、笑った顔綺麗だな………

しかも優しいし、スタイルもいいし確かにこれはみんなから人気が出るわ。

 

………ってそうじゃない!!

 

「何で学校にいるんだ!?」

 

「えっ!?何で?」

 

「いや、隣の高町が居なかったから……それに八神も」

 

「ああ、今日は私は用事なかったから………」

 

「じゃあ、高町帰ってきてないんだよな?」

 

「うん、多分そうだけど………」

 

よし!これで問題はクリアされた!!

 

「何でなのはのこと気にするの?」

 

「ん?い、いや特に他意はないんだ」

 

「そうなの?」

 

「お、おう」

 

あの目は怪しんでるな……

 

「………それに俺はどっちかって言うとフェイトの事の方が気になるかな」

 

「えっ!?」

 

「フェイトの金髪ってかなり綺麗じゃん。どこの国の人なのかなって」

 

「えええええええ!!」

 

何でいきなり大声出すかな………

 

「あ、あああの、ききき綺麗って誰?」

 

「?フェイトの事だけど」

 

「………えええええええ!!」

 

またかい………

いったいどうしたんだ!?

 

「お、おい!大丈夫か!?」

 

「だ、だ、だいじょうぶだよ」

 

まだ変なような………

まぁ大丈夫って言ってるしいいか。

 

って言うかバニングスやけに静かだな、どうしたんだ?

 

「なんで私だけ………」

 

「どうしたバーニング?」

 

「何で私だけいつまでたっても苗字なのよ!!しかも間違ってるし………」

 

「何でってやっぱり面白いから………」

 

「やっぱりか!!」

 

ボクサースタイルで拳をくり出すバニングス。それを俺が華麗に避ける。

 

「避けるな!!」

 

「ははは!!甘い、甘い」

 

争っている男女二人とその横であわあわしている金髪美女。

 

 

変な絵面ができていた………

 

 

 

 

 

 

その後、バニングスの誘いを断り、予定通り翠屋に向かった。

 

「はぁ?やっぱこの味だよな……」

 

コーヒーを頼み、なごむ俺。

 

「いい飲みっぷりだな、零治君。煎れた方のこっちも嬉しいよ」

 

「零治君いつものでいいのよね?」

 

「はい、ありがとうございます桃子さん」

 

俺にチョコレートケーキを出してくれる桃子さん。

その後、12個入りのシュークリームをお土産として作ってくれている。

 

しかし初めて来たときは本当に驚いた。

 

3人の子供がいるとは思えないほど若いんですよ、お二人さん。

読んだ二次小説で、お姉さんと間違えた主人公たち。

君たちの気持ちはよ?く分かった。

 

これは本当に化け物かと思うくらい変わってない。

未だに二人とも大学生でも通りそうだもん。

 

「あっ!零治君来てたんだ」

 

キッチンからなのはの姉美由希さんが出てきた。

………料理してないよな?

 

昔、美由希さんのシュークリームを一度食べてみたことがある。

………その時はゆっくり神様のじいさんと話せたもんだ。

 

「零治君、今私が作った………」

 

「士郎さん!!トイレどこでしたっけ!?」

 

「待って!別に無理やり食べろなんて言わないから逃げないで!!」

 

美由希さんがいるときはこのパターンになる場合が多いから、流石に分かってるか………

 

「じゃあ、なんです?」

 

「ただ、私が作ったチーズケーキ食べてみないかなぁって」

 

「………どちらにしても食べさせるつもりじゃないですか。」

 

「細かいことは気にしないべきだよ」

 

ニコニコしながらチーズケーキを差し出す、美由希さん。

見た目は普通なんだよな………

 

「あの………さっきのチョコレートケーキでお腹いっぱいに………」

 

「大丈夫。ケーキは別腹って言うし………」

 

それって女子に対する言葉じゃなかったっけ?

 

「だったら彼氏にでも食べさせてあげたら良いじゃないですか」

 

「彼氏なんていないもん………」

 

マジか!?

こんな美人ほっとくなんてなに考えてんだ男逹。

 

まぁ魔導師でものしちゃうかもしれないほど腕っぷしが強いけどな。

 

ここ、高町家は戦闘民族だし。

 

士郎さんは御神流の逹人。恭也さんは免許皆伝。

美由希さんも御神流を使う。 そんで高町は移動砲撃要塞。

 

神速は目にも止まらぬ速さらしい。

唯一桃子さんは普通だけど………

 

「………なんか失礼なこと考えてない?」

 

「いえいえ、こんな美人をほっとくなんて男どもはバカだなって思って」

 

「本当に?」

 

「本当ですよ」

 

「フフ、ありがとう。だけどチーズケーキは食べてみてね」

 

流されたうえに、逃げられないようだ。

 

ここは覚悟を決めるしかないか………

昔は百発百中だったけど、今は3割くらいの確率で大丈夫だからな。

今週の運勢は最高のはずだ………

 

自分を信じろ!

 

俺なら出来る!!

 

「南無三!!」

 

ソロモンの悪夢さんの口癖を言いながら、一気に食べた。

 

 

 

「よっしゃあああ!!」

 

見事成功!!

ありがとう、ソロモンの悪夢さん。

 

「…………何でそんな大声だしてるの?」

 

「そりゃ、命の危機を脱したから」

 

「私のケーキに毒なんて入ってないのに………それでどうだった?」

 

「へ?」

 

「どうしたの?」

 

「………一気に食べて分かんなかった」

 

そのあと二個目を食べることになりました。

 

 

 

 

「ふぅ」

 

「大変だったね」

 

少し暗くなってきたころ、翠屋にもお客さんがほとんどいなくなり、俺の机に士郎さんが座っている。

 

あのあとまた、美由希さん作、ロシアンチーズケーキを食べたけど無事だった。

本当に今週はついてる。

 

「いやあ、いつも悪いね、美由希のケーキ試食してもらって」

 

「………そう思うなら士郎さんが食べてあげてくださいよ」

 

「家ではいつも食べているよ。まぁ失敗作のときは毎回意識が飛んでるけど………」

 

本当にすごい威力だな……

 

「だけど今回はうまくいったみたいで、家族以外の人にも感想が聞きたいって言ってたから零治君にも食べさせてみたんだ」

 

「食べても大丈夫なんでしたら言ってくださいよ………」

 

「アハハハハ、いやぁ零治君のリアクションは素直で面白いからね」

 

豪快に笑う士郎さん。

少しかっこつけて南無三とか言った自分が恥ずかしい………

 

「けれど美味しかったですよチーズケーキ」

 

「そう言ってくれると、美由希も嬉しいだろう。そういえば零治君、今なのはと同じクラスなんだよね」

 

「はい、そうですけど」

 

「授業はちゃんと受けるべきだよ」

 

高町め、余計なことを………

 

「まぁ、善処します」

 

「普通は気を付けますとかだと思うが………」

 

苦笑いしながらそう言った。

 

「ただいま?お父さん」

 

「お帰り、なのは」

 

……あれ!?もう帰ってきたの?

 

「あれ?零治君?」

 

「こんばんは。ま、タカマチサマ」

 

危ない、危ない。口が滑るところだった………

 

「何かおかしい気がするんだけど………」

 

キニシナクテイイデスヨ………

 

「じゃあ、士郎さん。もう遅いので帰ります」

 

返事を聞かないで席から立とうとする。

 

だが腕を捕まれ、椅子に座らせられる。

 

「良いじゃないか、今日は夕食をご馳走するから家においで」

 

「いや、でも………」

 

「桃子、一人分追加な」

 

「ハイハイ」

 

「いや、ですから………」

 

「なのは、零治君を先に家に案内しなさい」

 

「うん、わかったの」

 

………拒否権はなしか。

何で俺の回りには話を聞かないやつばかりなんだろ………

 

 

 

「ふぇ、零治君翠屋の常連だったの!?」

 

「ああ、小4の頃からよく通ってたよ」

 

三人もここのケーキやシュークリーム好きだし。

 

「……私、一度も見たことない」

 

そりゃ、鉢会わないようにしてたしな。

 

「たまたまだろ?」

 

「……本当に?なんか零治君私のこと避けてる感じするから」

 

本当に鋭いな……

 

「んな分けないだろ。美人を避けるなんて男として駄目だろ」

 

「美人って誰?」

 

「はい?高町、お前のことだろ」

 

「えっ?…………ふえぇぇぇぇ!?」

 

いきなり大声だすなよ。

フェイトとリアクションほとんど一緒だし。

 

「わ、私なんか全然だよ!他にもフェイトちゃんや、アリサちゃんや、すずかちゃんや、はやてちゃんもいるし………」

 

「フェイトもそうだったけどなんで自分を過小評価すんだよ。もっと自分達に自信をもっていいだろ」

 

だから美人なのに19歳になっても、男の噂がないんだよ。

告白とかはされてたらしいけど………

 

「で、でも、私なんか……」

 

「でもじゃないって。男子に聞いてみな。多分全員が皆口を揃えて美人だって答えるぜ」

 

「そんなこと……」

 

「まぁ、謙虚なのもいいけどあまりにも謙虚すぎると周りから取り残されるぞ」

 

「そう………なのかな?」

 

「多分な」

 

「だったらその時は零治君が貰ってくれる?」

 

「俺なんかでよければ」

 

「ふぇ!?」

 

「冗談だよ。」

 

「零治君!!」

 

真っ赤にして追いかけてくる高町。

 

「もっと速く走らないと捕まえられないぞ、高町」

 

そう言ったらいきなり止まる。

走ったり止まったり忙しい奴だな………

 

「なのはだよ?」

 

「名前か?」

 

「なのは」

 

「いや、知ってるけど」

 

「なのは」

 

「………知ってるって」

 

「なのは」

 

「………どこかおかしくなったか?高町」

 

「なのはって呼んで!!フェイトちゃんが名前なのにおかしいでしょ!!」

 

ってそう言うことか!!

でもフェイトからいつ聞いたんだ?

 

メールで聞いたのかな?

って俺普通に言ってたじゃん………

 

 

しかし、名前だけ言うからおかしくなったのかと思ったじゃないか。

 

「はいはい、分かったよなのは」

 

「うん!!」

 

笑顔のなのは。

もの凄く可愛い。

 

なるほど、こりゃあ男子に人気があるのは分かるわ………

 

「行こう!零治君」

 

俺は手を掴まれ走り出す。

 

 

高町家の食事はとても美味でした………

 

 

 

 

 

帰ったら、星にこってり絞られました。

 

連絡し忘れたからな………

 

ライと夜美はシュークリームを美味しく食べてたけど、二人がだいたい食べちゃったから、二人も星に怒られてました。

 

本当に翠屋のスイーツは有栖家には大人気だな。

今度星だけにケーキを買ってくることで怒りを沈めて頂いた。

 

 

リビングでは足がしびれて這いずり回っていた三人がゾンビみたいだったそうな………(by星)

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