第三十一話 進行と結果と己の正義
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シグナムサイド

 

 

「なぁ、何でアンクってデバイス使わないんだ?」

 

 

「あ?何だ唐突に。別にどうでも良いだろ」

 

 

「良いじゃん、それ位教えてくれても。アニスも言ってたぞ?アンクのデバイス使った所見た事ないって」

 

 

最近、ヴィータと奴が妙に仲が良い……。

一体何があったんだ?あのヴィータが主の他にも懐く奴がいるなんて……。

だが、そこは些末な問題なんだ。

 

 

一番疑問に思っている事は、その切っ掛け。

あの二人に何があったのかは知らないが……。どうもあの男は気に食わない。

それは私だけでなく、他の二人もそう思っていることだろう。

だが、ヴィータだけは違う……。

 

 

「あぁもううるさいな!!理由なんてねぇよ!」

 

 

「じゃあ見せてくれても良いじゃんか。アンクがどんな魔法使うのか見た事ないし」

 

 

「また今度な。さって、少し散歩してくるか……。それよりも、まだアニスは寝てるのか?」

 

 

「アニス君、さっき起こしたんやけども全然起きないんです」

 

 

「……最近おかしいな、何時もだったら8時には起きるのに。今はもう10時か……」

 

 

そうなのだ……。

ここ最近、主は起きるのが遅い。夜は早くから睡眠に入られるのに、起きてくるのは私達よりもすごく遅い。

 

 

「きっと夜更かしでもしとったんじゃないですか?」

 

 

「それは無いと思います。アニス君、いつも早く寝ていますし。それに、一度寝ちゃったら揺すっても起きないくらい寝つきが良いんで」

 

 

「それか、小さい体やし、人一倍体力使うんとちゃいますか?良くチョロチョロしてますし」

 

 

「あ、それ分かる。アニスっていっつも動いてるよな」

 

 

ヴィータには共感だ。

主はいつも活発に動いていて、またその小さい体でたくさん動いているので、凄く癒される。

 

 

 

「まぁ、あいつは活発な奴だからな。まぁ、今の所はそういう事にしておこう。もしまだ続く様だったら、今度は病院かな」

 

 

「せやったら石田先生に見てもらった方が良いですね。何かと融通聞きますし」

 

 

「そうだな……」

 

 

それにしても、本当に主は大丈夫なのだろうか?

少し心配になって来た……。

私は誰にも気づかれないようにリビングから出て、主の部屋に向かう。

 

 

アニスサイド

 

 

「うむっ……これは流石に困った……」

 

 

どうも、アニスたんだお。

あ?何が困っただって?いやぁ、聞いてくれよー、それがさぁ。

 

 

「吐血しました」

 

 

うん、冗談じゃなく。

どうしよう、皆に急展開過ぎてワロタとか言われないかな?

まぁ、それは良いとして。

 

 

「まさか今さっき起きてすぐに軽く咳き込んだ位で吐血とは……う〜む、口の中でも切ったかな?」

 

 

それだったら良いんだ。

寝てる時にほっぺの内側を咬んで血が出て、咳した時に出ちゃった、なら良いんだ。

でも、何処にもその形跡がない。

さっきから下でモゴモゴしして探したけど、無かったんだ。

 

 

「ふ〜む、これは……もしかして本気でヤバい?」

 

 

体はいつも通り何だけどね、どうしたものか……。

その時、唐突に部屋のドアが開かれる。

おっとヤバい、様子を見に来たのか。

 

 

俺は瞬時に手を拭き、窓の外を見る。

まさに、今起きました的な空気を醸し出しながら。

 

 

「あ、主。起きられましたか」

 

 

「みぃー、シグナムおはようなのです。少しお寝坊さんになっちゃったです」

 

 

「誰も気にしては居ませんので大丈夫です。朝食は取られますか?」

 

 

朝食か……つか、今何時だ?

……ゲッ、もう10時過ぎか……うむ、前までは8時に起きてたのに……どうした俺。

つか、あんましお腹減ってないや。最近さらに小食に拍車が掛かってるな。

 

 

「う〜ん、要らないや。そんなにお腹減ってないし」

 

 

「分かりました」

 

 

「んじゃ、着替えるからシグナムは戻って良いよ。着替えたらリビングに行くから」

 

 

「分かりました。失礼します」

 

 

そう言って、シグナムは部屋から出ていく。

うむ、固いねまだまだ。もう少し時間が掛かるかな?あ、でも本編でもそんな感じか……。

 

 

「さて……どうしたものか」

 

 

あんまりこう考えたくはないけど、呪いが進行してきた証拠かな?

心臓が呪われてるんだ、肺もその内やられるに決まってる。その予兆かな?

これまた随分と厄介な物を。戦闘中に吐血して血が詰まったら呼吸できなくなるぞ。

 

 

「ケホッケホッ……うむ、どうやら咳も出る様だ」

 

 

風邪は引いてないし、喘息持ちって訳でもないしな〜。

はぁ、鬱だわ……そういやしばらく死にたがり出とらんな。

後が怖いわ……いつ出るか分かったもんじゃないし。

 

 

「ケホッ……着替えよ」

 

 

少し怖くなりながらも、俺は衣類を引っ張り出す。

さてと、今日は何の服を着ましょうかね。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「トゥットゥルー♪おはようなのです」

 

 

「あ、アニス君おはようさん。やっと起きたんやな」

 

 

「えへへ、少し寝すぎちゃった」

 

 

「何時もだろうが」

 

 

「うっ、痛い所を着突くねアンク……ケホッケホッ」

 

 

「ん?風邪でも引いたのか?」

 

 

「にはは、実はそうなんだ。ケホッケホッ」

 

 

「普段からあんな格好で寝るからだろ。自業自得だ」

 

 

それを言われると痛い。

まぁ、風邪ではないんだけどね。

 

 

「さて、今日は何をしようかね」

 

 

「何言うてんねん。風邪引いてるんやったら安静にしてなアカンで?」

 

 

「そうですよ。そう言う訳なので、今日は外出禁止ですからね?」

 

 

「なん……だと……」

 

 

マジか……。

くそ、暇ジャマイカ。何をしてろと言うんだ!

別荘にでも引き籠ろうかしら。

 

 

「んじゃ、寝るわ」

 

 

「そうしとき。それよりも、朝食は要らへんの?」

 

 

「うん、そんなにお腹減ってないから大丈夫」

 

 

最近ホントに飯を食わなくなったのよ。

いやぁ、そのせいで、また体重落ちたんだよね。確か今……15キロだったかな?

 

 

まぁ、もう九歳の平均体重じゃなかとね。

つか、もうそろアンクには何か言われそうだね。

 

 

「さて、んじゃまた寝間着に着替えよう」

 

 

仕方ないので、今日は大人しく寝ていることにする。

はぁ……でも、どうせなら外に出て遊びたいな〜。

 

 

このまま外にトンズラでも……。

 

 

「分かってると思うが、抜け出そうなんて考えるなよ?」

 

 

「い、嫌だな〜アンクったら。お、俺が抜け出すわけないだろ?」

 

 

「どうだか……今日が一日安静だからな。俺はバイトに行ってくる」

 

 

そう言って、アンクはリビングから出ていき、そのままバイトに出かけてしまう。

ちぇっ、良いよ。だったらヴィータとイチャコラして遊んでやる。

 

 

「よし、ヴィータ一緒に寝ようか」

 

 

「はぁ!?な、何言ってんだよアニス!?」

 

 

「いや、ヴィータを抱き枕にして寝ようかと……」

 

 

「いや、私は別に良いけど……」

 

 

「駄目に決まっとるやろ!風邪が移るから駄目や!」

 

 

くそ、なら本当に寝るしかなさそうだ……無念。

しゃあないから、デバイスとお話ししてよう……もしくはザゼルさんでも呼ぼうかな、イシュタルでも良いけど……。

 

 

俺はトボトボと歩きながら部屋に戻る。

あぁ、暇だ……。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「それでさクイーン、こんなバリアジャケットなんてどうかな?」

 

 

《……マスターは少し、自重をした方が良いかと思われます……》

 

 

「うぇっ、クイーンにまで言われた。何だ?反抗期かこんにゃろーう」

 

 

ただ今寝っころがりながらクイーンと会話してます。

そういやこいつと全然会話してなかったわ。

そして何故か声が……たみぃボイスなのは仕様なのか?

 

 

「クイーンは今日から民安って名前で通ってくれる?」

 

 

《何を言っているのかさっぱりわかりません》

 

 

「いや、何と無く……」

 

 

《はぁ……久々にマスターから話しかけてくれたと思ったのに……がっかりです……》

 

 

「あはは、ごめんねクイーン。でも、グリード何て一回も使われてないんだよ?そっちの方が可愛そうとは思わんかね」

 

 

《……グリード乙》

 

 

ですよねー。

まぁ、いつか使ってやるだろう。だってアンクだし……でもグリード化したらデバイス無しでも強いからなー。

 

 

《それよりマスター、朝血を吐かれていましたが。大丈夫ですか?》

 

 

「ありゃ、見てたの?その事は皆に内緒にしておいて?皆うるさいからね」

 

 

《了解しました》

 

 

うむ、本当に良くできたデバイスだ。

でも少し堅苦しい……ボイスがボイスだしな〜。

もう少しはっちゃけたキャラでも良いのに。

 

 

《それよりも、マスター》

 

 

「ん?何、クイーン」

 

 

《マスターのリンカーコアなのですが……》

 

 

「あ、解析終わったんだ。それで?どうだった?」

 

 

さっき新バリアジャケットを考案する前にクイーンに頼んでリンカーコアの解析をお願いした。

さて、結果はどうなんだろうか。

 

 

《……大変言いにくいのですが……このままだとマスターは、後半年ももたないと言う結果が出ました……》

 

 

……半年ももたない……か……。

随分と進行が速いな……まぁ、そんな事も無いのかな?

本編の時はクリスマス辺りで進行がかなり進んでたし……大丈夫だろう。

 

 

《マスターのリンカーコアは、徐々に汚染されて行っています。それに伴い、臓器の働きにも影響が出ています。影響が酷い臓器は、心臓と両肺……そして、今は胃にの所まで伸びています》

 

 

あ〜、やっぱ肺やられちゃってたか……。

まぁ、当然の結果だよね。呪いが心臓に直接来てるってだけでも酷いのに。

 

 

《このままだと、マスターは寝たきりになると思います。脊椎にまで汚染が広がり、そして徐々に徐々に足を蝕み……最後は体の至る所の臓器や血管の機能が止まり……死に至ると……》

 

 

「ひゃ〜。怖い怖い……さて、どうしたものかな」

 

 

二択、何だよね。

このまま死ぬか、苦渋の選択で収集をするか……。

でも、後者は絶対にしたくないし、させたくない……。でも、死んだら死んだで、もしかしたら今度はマスターの所有権ははやてに移り、物語にかなりのラグが出来てしまう……。

 

 

勿論……それは避けたいし、せっかく歩けるようになって来たはやてを、また悲しませたくない……。

……あぁ……そうか……俺ってホント、頭が悪いな……。

 

 

「……シグナム達に収集を頼むんじゃなくて……俺自身で収集すれば良いんじゃないか……」

 

 

そうだ、結局。家族を巻き込まないで、俺一人だけ犯罪者になればそれで良いんだ。

でも……それだと少しリスクが高いな。

次元世界を移動するのは、まぁ仕方ないけど魔具を使わせてもらおう事にして……。

 

 

 

俺の魔眼だったら、生物にリンカーコアを取り出すことくらいは出来るだろう。

生物を分解する事は出来ないが、生物の中にあるリンカーコアなら、俺が吸収して放出し、変換してリンカーコアを生成すれば行ける。

 

 

だが……ばれた特はどうするか……シグナム達にも、そして、はやてやアンクにも迷惑が掛かるし……最悪、守護騎士も捕まってしまう……。

 

 

「そうだ……これを闇の書による物と思わさなければ良いんだ。次元世界から一度こっに戻ってきて、それからリンカーコアにして収集すればいいんだ……それも、別荘の中で」

 

 

そうすれば、先ず管理局にはばれないし。

もし666ページ収集し終えても、俺がリィンフォースを説得して、最後に化け物を倒せば……それでオーケーだ……。

 

 

「……はぁ、俺も大概だな……結局、収集をするんだ……」

 

 

何が、家族を犯罪者にまでしても生きながらえたくないだ……。

結局、俺は生にしがみ付いてる。

だけど……俺一人が罪を被るのなら……それはそれで、気が楽だ。

 

 

俺一人だけが……犯罪者になれば良いのだから……。

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己の正義も所詮は自己満足
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コメント
とりあえず共通タイトルがないと何の作品の31話かわからない(string0502)
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男の娘 リリカルなのは アニス 

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