IS〜深緑の狙撃姫〜「夢と誇りを持て。どんな時も誇りを手放すな。」
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一夏サイド

 

一夏は夢を見ていた。

一夏の過去、思い出したくもない悪夢。

 

「ちふゆねえ、ごはんできたよ〜。」

「いつもすまないな。今日も旨そうだな。」

 

両親が蒸発して千冬と二人楽しく過ごしていた。

だが白騎士事件によってISというものが台頭したおかげで彼の人生が大きく変わってしまう。

 

「あなたが千冬様の弟?」

「何でできないのかしら?千冬様の弟なのに・・。期待はずれだわ。」

 

姉はあまり帰って来なくなり、周りの目は千冬の弟だから出来て当たり前という目で見られるようになった。

 

「はいはい、一夏によってたかってあんたたち恥ずかしくないの?」

「ここにいるのは織斑千冬の弟じゃなくて織斑一夏という一個人よ。」

 

女子が千冬の弟として見る中で数少ない味方がロックオンと鈴、弾と妹の蘭だった。

後にロックオン経由でシャルとも友達になった。

女子に対して不信感ばかりが募っていたが少しずつ認識を改め、ロックオンと恋人同士になった。

だが、箒のまさかの反逆でロックオンを守ると決めたのに守れなかった。

 

???

 

「力を望むか?」

 

声が聞こえ、暗闇の中で一夏は目を覚ました。

前にいるのは男性だった。

 

「力・・?」

「そうだ、お前はここで果てるのか?大切なものを守れずに。」

「いやだ!俺はロックオンたちと共に歩く!そして守る!ここで立ち止まれるか!」

 

一夏の叫びに男性は軽く笑い、足下から粒子化していく。

 

「ならば守って見せろ。お前の新しい力・・全てを超越するIS・・ダブルオークアンタで・・。」

「ダブルオー・・クアンタ・・。」

 

男性は完全に消え、一夏の意識が途切れた。

腕のガントレットは蒼の輝きを増していた。

 

旅館・指令室

 

専用機持ちたちが勝手に出撃した知らせを受け、千冬は頭を抱えていた。

そこへ真耶が慌てて部屋に入ってくる。

 

「お、織斑先生!大変です!」

「また何かあったのですか?」

「織斑くんがいません!」

 

ロックオンサイド

 

ロックオンもまた夢を見ていた。

名無しとして生きてきたあの時の夢を・・。

 

「おし、次はここへ進行だ。」

「了解。」

 

ロックオンは物心ついた時から戦場にいた。

名無しと呼ばれ戦場を駆け抜けるなか、多くの人が死んでいき、武器を手にとって殺すを繰り返す中で心は痛まなくなっていった。

初めて戦場に立った時から命令に忠実な兵士として生きてきた。

だがそんな名無しに転機が訪れる。

八才の時、とある科学者の暗殺を言い渡された名無し。

だが、科学者二人は笑顔で名無しを迎えた。

 

「俺たちを殺しにきたのか?やめとけ。」

「あらあら、可愛らしい暗殺者ね。」

「!?怖く・・ないの・・?」

 

名無しは拳銃を構えるが男性と女性は怖がる素振りを全く見せずに笑いかける。

名無しはなぜ笑えるのかわからずに混乱していると女性は名無しを抱き締める。

名無しは最初は恥ずかしかったが心が満たされる未知の感覚を感じた。

 

「お嬢ちゃんのお名前は?」

「・・・。(フルフル)」

「名前がないのか・・。なら、お前は今日からセリスだ!」

「セリ・・ス?それがあたしの名前なの・・?」

「そう、今日からあなたはセリス・スカーレット、私たちの家族だよ♪」

「わあぁぁん!お父さん、お母さん!ありがとう!」

 

それを聞き、名無し・・セリスは母親になってくれたミーナの胸で泣いた。

父親になってくれたラグナは微笑ましく見ていた。

 

???

 

「そっか、これはあたしの記憶・・。走馬灯っていうのかしら?」

「いや、まだ死んじゃいない。」

「え?その声・・!」

 

ロックオンが振り向くとそこにいたのはミーナとラグナだった。

 

「父さん、母さん・・!」

 

駆け寄ろうとするがラグナは手を前に出す。

 

「いや、こっちに来るのはまだ早い。お前はまだやり残した事があるだろ?」

「ここで寝てたら一夏くんが取られちゃうよ?にゃんにゃんもしたのに。」

「///」

 

ミーナの言葉にロックオンは顔を赤くする。

ラグナは真剣な表情になりロックオンにいう。

 

「いいか、セリス。メテオにはパワーアップスイッチがある。それを使って弱い人たちを守れ。」

「ケルディムも経験が蓄積したみたいだし、そろそろ変わるかも〜♪」

 

二人は意味深な言葉を残して消える。

胸まで消えたところでラグナは力強く言う。

 

「セリス、夢と誇りを持て。どんな時も誇りを手放すな。」

「・・うん、父さん、母さん。ありがとう。あたしはもっと強くなる・・!強くなって一夏を・・シャルたちを守ってみせるから見守っていてね・・!」

 

ロックオンは涙を流すなかでラグナたちは満足そうにして消え、ロックオンの意識が途切れる。

ロックオンの決意に答えるかのようにネックレスの碧の輝きは増していた。

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一方、海上ではシャルのアリオス、簪のエクシアを中心にフォーメーションを組んでいた。

 

「更識さん、今!」

「はあぁぁ!」

 

福音に隙ができ、ついに零楽白夜を纏ったGNソード改が福音を切り裂く。

福音は海へと落下。

 

「やった・・?・・!」

 

突然、海面が強烈な光の珠によって吹き飛び、球状に蒸発した海は、まるでそこだけ時間が止まっているように凹んだままだった。

その中心に、 青い雷を纏った銀の福音が自らを抱くかのように蹲っている。

 

「これは・・!? 一体、何が起きているんだ・・?」

「!?まずい!これは・・第二形態移行だ!」

 

ラウラが叫んだ瞬間、その声に反応したかのよ うに福音が顔を向ける。

無機質なバイザーに覆われた顔からは何の表情 も読み取れないが、確かな敵意を感じて各ISは操縦者へと警鐘を鳴らす。

 

『キアアアアアアア・・!』

 

獣のような声を発し、福音はラウラへと飛びかかる。

 

「なにっ!?」

 

あまりに速いその動きに反応できず、ラウラは足を掴まれる。

そして、切断された頭部からエネルギーの翼が生えた。

 

「悪いけど離してもらうよ!」

 

シャルは巡航形態に変形、前面にビームシールドを展開して突撃を行う。

体当たりを受けラウラは解放、すぐにシャルの背中に乗り離脱。

 

「礼は言わんぞ!」

「いいよ、別に!」

 

シャルは距離を取ったところでラウラを下ろし、人形に戻る。

 

『敵機の情報を更新。優先順位を変更。障害にならない者を最優先に。』

 

福音がエネルギー弾雨を放ち、ラウラとセシリア、鈴を撃墜させた。

 

「ボーデヴィッヒさん、セシリア!鈴!・・更識さん、一気に行こう!」

「うん・・!」

「「トランザム!」」

 

シャルと簪はトランザムを発動、箒はそれを見ているだけしか出来なかった。

 

「何なのだあの機動力・・紅椿でも出せないぞ・・。」

 

箒は世界でただ一人の第四世代IS持ちとしてのアイデンティティが失われそうな感覚を覚える。

変形するIS、目の前の機動力が高まるシステム、高出力のビーム兵器・・。

姉は最新鋭機を用意したはず。

なのに置いてきぼりを食らうのはなぜ?

先程のロックオンや一夏にしてもそうだ。

 

『状況変化。最大攻撃力を使用する。』

 

福音の機械音声がそう告げると、翼を自身へと巻き付けはじめる。

 

「何をする気だ・・?」

 

それは球状になって、エネルギーの繭にくるまれた状態へと変わった。

翼が回転しながら一斉に開き、全方位に対してエネルギーの弾雨を降らせる。

シャルと簪は何とか近づこうとするものの弾幕の濃さが凄まじくなかなか接近出来ずにいた。

 

「・・!時間切れ・・!」

「僕も・・!」

 

トランザムの効果が切れてしまう。

しかも運が悪いことに弾幕のど真ん中で終了。

二人はダメージを覚悟した。

 

「間に合ったな・・。」

 

弾幕が当たった様子がないので見てみるとそこにいたのは・・。

 

「一夏・・!」

「織斑くん・・!」

 

一夏が二人の前にソードビットバリアを張り福音の弾幕を防いだ。

さらに福音の周りに展開している多数のビットがビームを放っていた。

そんな芸当ができるのはただ一人・・。

シャルは愛してやまない幼馴染みの名前を呼ぶ。

 

「ロックオン!」

 

一夏とロックオンはシャルと簪の元へと向かった後、距離を取る。

 

「心配かけてすまなかった。」

「あたしもごめんなさい。だけどあたしたちは二次移行を果たしたわ。これはサバーニャ。」

「うわ、スゴい。全身武器だらけ。」

 

シャルの言う通り、機体の胸部、両肩、腰部装甲、両脚各部に迎撃や弾幕形成用のマイクロミサイルを大量に格納するGNミサイルポッド、左右の腰のアームに片方五基ずつ装備され、ライフルビットとピストルビットが一基ずつ納められたホルスタービット。

その見た目はまさに移動武器庫に相応しい。

これがロックオンの得意な乱戦下における狙撃(乱れ撃ち)に特化したIS・サバーニャ。

 

「俺のはロックオンやシャルたちを守るための剣であり・・ISコアと対話を成すためのIS・・ダブルオークアンタだ。」

 

機体へのドライブ搭載位置は胸部と左肩のGNシールドに各1基ずつを内蔵。

さらにトランザムライザーのみ使用可能だった量子化を標準システムとして装備。

GNシールドはソードビットのキャリアも兼ねているので急速充填が可能になっている。

メイン武器は形状やライフルモードへの変形方式はGNソードUとほぼ同じだが、刀身全体がGNソードVと同じクリアグリーンの半透明素材で構成。

ソードビット6基を刀身に合体させることで バスターソードとバスターライフルへとそれぞれ強化が可能。

これがISコアと対話を成すためのIS・・ダブルオークアンタ。

 

「さて、早速対話を始めるか。本当に自分の意志で起こした事なのか・・。」

「オッケー、あたしが援護する。だけど早く蹴りをつけてね。全てのビットのコントロールはきついから。」

『最大脅威二機確認。最大攻撃を再開。』

 

福音は再び弾幕を張るがロックオンはホルスタービットやライフルビットを展開、あちこちに飛ばしつつ、ピストルビットに切り換えたりしながら道を作る。

 

「織斑一夏、作戦行動に移る。」

「ロックオン・ストラトス、乱れ撃ちまくるわ!」

 

福音は上下左右に飛び回るビットを落とそうとするが的確な操作のおかげで落とせない。

 

「すごい・・。たった一人で福音の弾幕に対抗してる・・。」

『目標の前面に火力を集中。』

 

弾幕が前面に集中する。

 

「集めて来たわね・・!なら!」

 

それを見てロックオンはホルスタービットを集め、シールドを張って弾幕を防ぎつつライフルビットと組合せて展開。

するとバチバチと火花が走る。

 

「一夏!行ってきなさい!」

 

ロックオンのその言葉と共に大出力の収束ビームが放たれて弾幕を打ち消す。

その隙を縫って福音の側にたどり着く。

 

「行くぞ・・!クアンタムバースト!」

 

GNシールドを背中に引き込んで2基の太陽炉を直結し、次いで全身の装甲を排除して各部のGNコンデンサーを露出させ、貯蔵された全粒子を開放。

一夏の意志は福音のコアに入り込む。

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コア内部

 

情報の奔流を抜けた先にいたのは鎖で繋がれている女の子だった。

女の子は一夏に気づいて声を荒げる。

 

「誰!あなたは誰!?ここに入ってくるなんて!」

「俺は話をしたいだけだ。これはお前の意志か?」

「違うわ!私はただ飛びたかっただけなのに・・!お母様に無理やりコントロールを奪われて無理やり二次移行させられたの・・!」

(お母様・・?篠ノ乃束の仕業か・・!目的は紅椿のお披露目といった所か・・!)

「お願い!私を止めて!もうこれ以上誰も傷つけたくない!」

 

福音のその悲痛の声を聞き、一夏は穏やかな声で答える。

 

「わかった。あと伝える事は何かあるか?」

「マスターに恨まないでと伝えて。」

 

福音が言ったその言葉を最後に一夏の意識が戻る。

 

「これで終わらせる・・!」

 

一夏はソードビットをソードXに合体させてバスターソードにしたあと連続切りを放つ。

福音は解除され、操者が落ちるが簪が受け止め、頭を酷使したロックオンも気絶して落下するがこちらはシャルが受け止める。

 

(ロックオン・・やはり殺さなければいけないか・・。)

 

その様子を見て箒はロックオンに対して憎悪をますます膨れ上がらせる。

こうして福音暴走事件は幕を閉じた。

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ロックオンの両親紹介

ラグナ

 

父親。

ドライブ開発者の一人で人懐っこく明るい性格。

ロックオンに夢と誇りを教えた。

 

イメージキャラ・FF7のザックス

 

イメージCV・鈴村健一

 

ミーナ

 

母親でドライブ開発者の一人。

ほんわか雰囲気だが芯が強い。

 

イメージキャラ・FF7のエアリス

 

イメージCV・坂本真綾

 

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説明
二次移行!

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タグ
インフィニット・ストラトス IS ダブルオークアンタ サバーニャ 

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