ギャラさんこばなし
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「アナタの・ねがいを・・ ひとつだけ・カナえて・  さしあげマス…>」

 

やっと会えた。死ぬほどの苦難を幾度も越え、七つの星をわたり、ようやく最後の希望にたどり着いた。

「私は・・・・・・」

桃色の、丸っこい体をした子供は涙を浮かべた。

そして拳を握り、叫んだ。

「強い力が欲しい。戦う力がほしい。あのおぞましい一目の怪物から、ポップスターを守る力が欲しい!!」

 

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ポップスターは今日も青い空に包まれていた。

鬱蒼とした森の中。やや広めの、円状に空が開けた場所に生えた低めの木のたもとに座り、ギャラクティックナイトはいつものように瞑想に耽っていた。

それに水をさすように、ぽて、と頭上に柔らかな塊が落ちてきた。

ワドルディの子供が人懐っこくまとわりついてくる。

「ああ、お前か・・・」

「言っておくが、お前と遊んだりはしないぞ」

ワドルディもわかっている様子で、彼の頭の上で腹ばいになり、ごろごろと甘え始めた。

ふぅ、とため息をつくと彼は再び瞑想に戻った。

 

少し前だっただろうか。

ふと入ったウイスピーの森で親とはぐれたのだろう、ワドルディの子供が泣いていた。

元々かなり深い場所だ、森に精通していない子供一人では迷ってしまわないほうがおかしい方だった。

「どうした?」

ギャラクティックナイトが声をかける。すると泣いていた子供は声のした方を向いた。

そこにいたのは十字架面の、巨大な羽と、鋭いツノが生えた大きなモノ。これまでに目にしたことのない威圧感漂う存在に、ワドルディの子供はたちまちびくり、と硬直した。

「親とはぐれたのか?」

できるだけ子供を怖がらせない様に尋ねるが、子供は萎縮し、言葉ひとつ発さない。

拳を握り、硬直して震えているのがその証拠だ。無理もない。

 

(仕方がない)

おもむろに、ギャラクティックナイトはそっと仮面をずらした。

その下にあったのは、厳つい仮面の表情からは意外なほど大きく、丸い瞳だった。

「怯えなくていい。私は、お前を怖がらせることはしない」

子供の栗色の目を覗き込み、安心させるように言い含めると、子供はおそるおそるギャラクティックナイトの瞳を覗き込んだ。

ギャラクティックナイトは静かな微笑を浮かべる。

その赤い瞳は澄んで深く、それでいて、どこか包みこむような暖かさを含んでいた。

子供は暫くちら、ちらとおちつかなく周りの木とギャラクティックナイトの方を向いていたが、やがてゆっくりと、一歩づつ確かめるようにギャラクティックナイトの元へと近づいた。

ギャラクティックナイトが手を伸ばすと、子供は小さなその手をそっと重ねた。

「行こう。お前の親を探してやる」

そう言い、ギャラクティックナイトは子供の手を取り、歩き出した。

「いや、飛んだほうが早いな」

おもむろに両の手で子供を抱きかかえると、森の上空へと飛ぶ。

木の上から高い場所に登ったことのない子供は当然驚き、バタバタと暴れ始めた。だが、ギャラクティックナイトの両の手でがっちり固定されており、落ちる様子は皆無であった。

「しっかり掴まっていろ」

子供をいなし、ギャラクティックナイトは子供の言った方角へと滑空した。

どうにか親を見つけ出し(通常のワドルディより3倍大きい個体なのですぐに分かった)、子供を無事に返したが、その後も時折、このワドルディは用もなくギャラクティックナイトの元を訪ねてくる。

「お前も懲りない奴だな」

頭の上で遊ぶのに飽き、体にもたれかかってまどろみ始めた子供にギャラクティックナイトは嘆息した。

「また迷子になっても知らんぞ」

ワドルディの柔らかな毛並みと、ぴたりとくっついた小さな息遣いを感じながら、彼は親のような気持ちで眼下の子供を見つめた。

 

この星で生まれ、戦い、その中で忘れてしまったこと・・・

ゆっくりとであるが、彼はこの星での日々を、穏やかな感情を、思い出しつつあった。

残りの日々がどれほどあるかは、彼自身も知らない。だが、彼はこの星に身を埋めるつもりでいた。

(この老いた体でできるのは、この星のために戦うことのみ。しかし、この星には既に彼らがいる。星の戦士たちが)

自分を封印から解き、打ち破ったメタナイト。その小さな身に、無限の力を秘める星のカービィ。そして、彼らの沢山の仲間たち。

(出る幕がなければ、それでもよい。私は残りの時間をここで過ごすことにしよう・・・・・・)

メタナイトとの戦いの後。カービィにも破れこの星に叩き落とされる格好にはなったが、再び望んだ日々の断片が戻ってきたのだ。

少しだけ、メタナイトに眠りから叩き起こされたことを感謝した。

 

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大彗星の加護を受けた後。

自らを大彗星に与えられた名、「ギャラクティックナイト」と名乗った子供は、星々をわたり、一つ目の悪魔たちを殺し続けた。

幾度も。何年も。数えきれないぐらいに。彼らの返り血も嫌というほど浴びた。

そのうち悪魔たちのみならず、彼の星、そして銀河を脅かそうとするものが現れると、それも見境なく殺した。

いつしか彼は「銀河最強の戦士」と呼ばれるようになっていた。

「戦士」-彼を見る者たちの言葉には、闘うものをそれ以外に形容する言葉がなかった。それが正義の戦いであれ、一方的な殺戮であれども。

そこには救いも、欠片の安らぎもなかった。

永遠のものと思える孤独と戦いの中で、ただひとつの思いが彼を支え続けた。

銀河を脅かすものがいなくなれば、ポップスターの仲間たちはずっと穏やかに暮らせるのだ。

ただひたむきに信じ、彼は戦い続けた。

そう、ひたむきに。それだけを信じて。

 

それから、太陽と月は幾度と無く周り、あまたの星々が生まれ、その命を全うしては消えていった。

銀河にはびこった暗黒物質たちも殲滅し、銀河の脅威にも一区切りがついた頃。

もう時間の感覚がなくなっていた。

ただ、彼は疲れ切っていた。

無意識のうちに、彼の翼はポップスターへと飛んでいた。

銀河から脅威が完全に去るまでは、二度と戻らぬと決意したあの星。

少しだけ、自分を癒してくれた、懐かしい風に当たりたい。そうすれば戦う力も戻るだろう。そう思っていた。

 

そこにはもう彼の居場所はなかった。

彼が降り立った途端、そこにあったのは彼を恐れ、怯える民衆の姿。長く硝煙と血に塗れた戦いの中で

それに慣れきってしまったギャラクティックナイトは、すでにポップスターの中では「異分子」だったのだ。

「私は・・・・・・」

自分を遠巻きに見つめる者たちを見回す。するとかれらは一層怯え、震えながら一歩後ずさった。

(そうか・・・・・・)

彼の視界は緑一面を映した。ポップスターの重力に、頭が抑えつけられるようだった。

昔感じた穏やかな風さえも、今は体が馴染まない、異質なものでしかなかった。

他の星では、恐れられても、忌避されようとも、何も思わなかった。

それは、この星が自分の最後に帰る場所だと信じていたからだった。

この星だけは、自分を優しく迎え入れてくれると思っていた。

だが、それは甘すぎたのだ。

(もう、私の居場所はどこにもない)

ギャラクティックナイトは背の筋肉がきしむほどに翼を縮めると、一気に空の高みへと飛翔した。

そしてその姿は、空の彼方へと溶けて、消えた。

 

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「READY・>」

 

 

目一杯に空を向いても、まだ半分の大きさも見えない。どこまで届くのだろうか。

その大きさは宇宙の彼方まであるようにすら見える。

ギャラクティックナイトは時計じかけの、伝説の大彗星を見上げていた。

 

「久しぶりだな。ギャラクティック・ノヴァ」

大彗星は、あの時と同じ、抑揚のない声で同じ文言を唱えた。

「アナタの・ねがいを・・ ひとつだけ・カナえて・  さしあげマス…>」

 

願いは決まっていた。

「私は・・・・・・・」

ギャラクティックナイトは、一度目の願いの時とは真逆の、力のない瞳で大彗星の鈍い輝きを放つ瞳を見た。

「もう終わりにしたい。この命も、戦いも、なにもかも。私はもう、何も考えたくない。感じたくない・・・・・・」

 

それは願いというより、誰にも打ち明けられない吐露だった。だが大彗星は、あくまで機械的にそれを受領した。

「OK> 

       3・2・1・GO!>」

視界が白くなった。ふわりと体が浮くような感覚が襲う。まるで雲に包まれているようだった。

遠い過去に置き去りにした、淡い記憶の断片が蘇る。

そう、グレープガーデンで一番好きだった場所のような・・・・・・。

ゆるやかに体の自由が効かなくなり、鈍いまどろみが体を包んでゆく。

(これで、楽になれる)

両の頬を一筋の涙が伝い、身も心も深く傷ついた戦士は、静かで、穏やかな眠りに落ちていった。

 

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INTOLERANCE

(名詞 U)

1 耐えられないこと.

2 雅量のないこと,狭量,不寛容.

 

(TOLERANCE(耐性.寛容)の否定形)

説明
ギャラさんいまむかし 僕と契約して、銀河最強の戦士になってよ!
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星のカービィ ギャラクティックナイト 

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