「ねぷっ！？レンさんじゃないですか〜〜！これは何たる運命…。英語で言うとデスティニー！！」

「ほんとレンさんですぅ〜〜！こんなとこで出会うなんで凄い偶然ですぅ〜〜〜！」

「ハッハッハ！本当に凄い偶然だな〜〜！！俺もびっくりだよ〜〜。」

「ええ、本当に驚きね…。『こんなところ』で再び出会うなんて。」

ねぷねぷとコンパは素直に驚き俺との再会を喜んでくれているようだが、アイエフはどうやら俺のことを怪しんで見ている。現状での反応はアイエフが正しいと思うだが。今はそんなことどうでもいい、この状況をどう回避するかが現在最も大事なことなのだ。

「とりあえず…どうしてあなたはこんな人気の無い場所にいたのですか？」

「ああ〜そういえばそうだね〜？どうしてレンさんはこんな薄暗い場所にいたのかな〜〜？う〜〜ん……ええっと……、趣味？」

「誓って俺はそんなオカシな趣味は持ち合わせてない！！」

「ねぷ子のことは放っておくとして、理由を教えてくれない？」

「あいちゃんヒドイよ〜〜、これでもまじめに考えたのに〜〜〜。」

真面目に考えた結果が俺の趣味になるのか。いくら何でもそれは勘弁してくれ…。

「分かった！理由を話そう！！その理由とは…そう！悪い奴らに追われていたからなんだ！！」

「「「……。」」」

この瞬間場の空気が凍った気がしたよ……。分かっていたんだ…、こんな嘘臭い理由で騙せるわけがないんだよ…。突発的に考えた案だったんだが、今思うと無理があり過ぎだろ？

はぁ…俺はねぷねぷ達とは良い仲でありたかったんだがなぁ、これでお終いか…。さらば俺のパープルハート…、良い子のアイエフちゃん……、コンパ……はどうでもいいか。さらば俺のハッピーライフ……。

しかしそんな凍った空気を溶かす力を持つ女神が存在したのだった。

「それは大変だぁ〜〜〜！！レンさんは悪い奴らから逃げるためにこんな場所に隠れていたんだ……。そうだ！あいちゃん、ここでレンさんに会ったのも運命だよ！！せっかくだからレンさんを助けてあげよう！、それが私達がきっとするべきことなんだよ！！」

「ちょ！？ねぶ子その反応って、えっ、えええ〜〜〜！？」

これはさすがに俺も驚いたよ…。まさかねぷねぷがここまでアホの子だったとは…。アイエフちゃんもどうやら驚いて反応に困っているようだ。

「さすがねぷねぷですぅ〜〜、私もそうしようと思っていたところだったです〜〜。これも人助けの一環、悪い奴らからレンさんをお守りしちゃうです！！」

コンパも知らぬうちにこちら側の陣営に。俺、このまま脱出出来そうかもしれないぞ！

「はぁ…なんでこの二人は危機感みたいなものが抜けているんだろ…？私だけ真面目に考え過ぎているようで馬鹿みたいじゃない……。」

アイエフちゃんは一人愚痴を呟いていた。彼女も本当に苦労しているんだな…。ねぷねぷとコンパは彼女の言葉が理解出来ず頭に？を乗っけていた。せめて彼女にだけはいくらか事実を教えてあげようかな。もちろん俺の素性についての詳しいことは省くがな。

「アイエフさんちょっといいですか？」

そう言って彼女に手招きをする。彼女はしぶしぶながらこちらに近寄ってきてくれた。

「実際のところ俺は君達に悪いこととか全く企んでないからな？詳しいことは言えないが俺は君達とはあまり関わり合いを持ちたくなくて、偶々行き先に君達がいたから見つからないようにとこんな場所に隠れたんだ。まぁネプテューヌの変な感覚のせいで見つかってしまったけど。」

「そういうことなの…。詳しいことを言えないにしても私達と関わり合いを持ちたくないって、一体どういうことなのよ？あなたに会ったのは昨日が初めてだろうし…。」

「何二人でこそこそ話してるんだよぅ〜？あいちゃんだけズルイぞ〜〜〜？」

「そうですそうですぅ〜〜！あいちゃんだけレンさんを一人占めしてるです〜〜！」

少し離れたところにいる二人がワンワンキャンキャン言っている。このままだとこちらに来る勢いだ。

「今はまだ言えないな…。その説明をする場合、結構時間を貰わなければならないし、今は説明出来る状況じゃないだろ？」

「それもそうね、後ろの二人が突っかかってきそうだし。」

「何より俺と君達とはまだ会って二回目だし、まだそこまで仲がいいわけでも無いだろ？悪気があるわけでも無いって分かっただけでもう十分だろ？」

「私はともかく、ねぷ子とこんぱはあなたのことをもう友達以上の人として見ていると思うわよ。」

「それは…まぁ光栄なことだが…。とりあえず話は以上だよ。彼女達のとこに戻ってくれ、面倒かけたね。」

「このくらいこと面倒のうちに入らないわ。ねぷ子への対応の方が数倍面倒だわ。」

「それはご愁傷様です…。」

そんな会話をした後、アイエフちゃんは彼女達のところへ戻っていった。やっぱり彼女はいい子だったな、俺としてはアイエフちゃんとも良い仲でありたいと考えているだがな。まぁ会ったときにでも世間話でもしながらゆっくり仲良くなっていければいいか、時間はまだまだあるだろうし。

「あいちゃん、後でレンさんとの話の内容教えてよね〜〜？」

「私も知りたいですぅ〜、私達はパーティーなのですから隠し事が無しですよ？」

「はいはい、分かったから。ところでこの後どうするのよ？」

二人からの質問を華麗に回避しつつ、進行役を務めるアイエフちゃん。彼女が居なかったら、もしかするとこの物語は完結しないのかも知れない。それほど彼女は重要な役目を負っていると思われる。そして重度の苦労人でもある、本当にお疲れ様サマだ。

「俺としては悪い奴らからは一人で逃げれるから君達とはここで分かれようと思っているよ。なぁに、これでも足の速さだけは取り得なんだ。追っ手くらい撒いてみせるさ！」

そう言って俺はその場で走る動作を彼女達にして見せる。実際素早さだけは本当に持っているのだから嘘はついていない。

「そのようね、私達もこの後行くところがあるからここで別れ「私、今良い考えを思いついちゃったよ！！」はぁ……。」

俺の言葉に続いてアイエフちゃんが上手く話しを進めてくれそうだったのだが、そこにねぷねぷの横槍が入ってしまった。そんなねぷねぷに彼女は深いため息を吐く、なんだか本当に可哀想に思えてきた……。

「せっかくだしレンさんには私達のパーティーに加わってもらおうよ？そうすれば悪い悪党からも私達が守ってあげれるし、何よりそうすればレンさんともっと一緒にいることが出来るでしょ？私自身もまだレンさんとは『ノシ』したくないからねっ！どうどう！すごい名案だと思わない！？」

ナッ、ナンダッテ〜〜〜〜〜！？