IS〜彷徨いし剣の担い手〜入学前夜
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ICHIKA:SIDE

 

あれから1ヶ月が過ぎた。『男がISを動かした』という事実により起こった騒動は俺の予想を多少上回る結果となった。とりあえず『織斑一夏』に関して決まったのは次の3つ。

 

 

・IS学園入学

・専用機の貸与

・鴻上ファウンデーションの企業所属IS操縦者としての身分獲得

 

 

この3つの内、2つに関しては俺も各国も納得出来た。『IS学園入学』は俺(現在で唯一の男性IS操縦者)の保護(監視)が目的で、『専用機の貸与』は唯一の男性IS操縦者のデータ取りの為だろう―――――だが最後の1つで各国は結構荒れた。

これに関して言うと実は俺が、かなり大きく関わっている。と言うのも俺が『とある事情』でつい最近まで『鴻上ファウンデーション』に世話になっていたからだ。今回の一件でヤバいと感じた俺は信用出来る会長達に連絡を取り、鴻上ファンデーション所属のIS操縦者としての身分を獲得し会長の世話になる事になった。

 

「いよいよ明日からか。」

 

そんな訳で俺はIS学園の準備をしているのだが……

 

「……誰だ?」

 

1階から物音が聞こえた。まさかの『幽霊』か?そう思った俺は右手首にブレスレットを着けて2階の俺の部屋から物音がした1階のリビングへと向かい……

 

「久しぶりだね、一夏君。」

「……嶋…さん?」

 

……居る筈の無い者と再会した。

 

「なんで?貴方は封印されたのに…?」

 

そこに居たのはかつて俺達に協力してくれた『闘いを好まない』変わり者のアンデッド―――――クラブスートのカテゴリーK(キング)『タランチュラアンデッド』だった―――――

 

「それは……あ…がああ……」

「嶋さん!?」

 

何かを言おうとし、突然呻き声をあげ膝をついた嶋さんに驚き近付こうとした俺を手で制して口を開く。

 

「すまない、時間が無いみたいだ。」

「時間?」

 

どういう意味か問いただそうとした俺だったが、嶋さんが言う内容によってそれは聞くことが出来なかった。

 

「聞いてくれ、今から2ヶ月前にBOARDが何者かに襲撃された。」

 

ちょっと待て、BOARDが襲撃された?

 

「まさか……」

「ああ、その時にほぼ全てのアンデットが解放された。」

 

その言葉に耳を疑うと同時にある事が気になった。

 

「それじゃアイツも解放されたのか?それに橘さん達はどうなったんだ?」

 

アンデッドが解放されたなら、アイツも解放されているんじゃないかと淡い期待を抱いたし、橘さん達はBOARDに在籍していた筈だ。

 

「……分からない。」

「どうして?」

 

だからその言葉を聞いた時、咄嗟に聞き返した。何故分からないのかと。

 

「封印されていたアンデット(僕達)を【REMOTE】で解放したのは『レンゲル』に変身した『橘朔也』だ。」

 

その言葉の意味が分からなかった。

 

「ちょっと待った!?なんで橘さんが?橘さんは『ギャレン』だぞ?」

 

橘さんは俺の目標で共にアンデッド達と戦った仲間の1人だ……その橘さんが自分からアンデッドを解放した理由が分からない。しかも橘さんはギャレンの変身者……レンゲルの変身者は別の人間だ。

 

「ともかく、その時に僕は彼からこれを渡すように言われた。」

 

俺の戸惑いを断ち切るように嶋さんはそう言って近くのテーブルにある物を置く。置かれた物、それは……

 

「『ブレイバックル』……それにカテゴリーAが封印された【プライムベスタ】のラウズカード……」

 

あの日、BOARDに返還した…………ブレイドに変身する為のライダーシステムが目の前に置かれていた。

 

 

 

††††††††††††††††††††††††

 

 

 

TARANTULA:SIDE

 

「……こっちは【プローバブランク】と【コモンブランク】………それに【プライムベスタ】のラウズカード?」

 

机に置かれたそれらを見て驚く彼を見ながら僕はポケットに隠してある僕が封印されていた【プローバブランク】に手を伸ばす。

 

「僕に出来たのはこれだけだ。」

 

今の僕に出来たのは他のアンデッドを2?3体封印し彼に託す事だけだ。

 

「これで後は、自分を封印するだけだ。」

 

本当なら彼と協力してアンデッドを封印するのをサポートするつもりだった。だが今の彼を見て、その考えを変えることになった。

 

「な、なんで自分から封印されるんですか?」

「今の君は、心に大きな暗闇を持ってしまっている。そしてそれは、危険すぎる。」

 

最悪の場合、あの時(・・・)より酷い事が起きてしまうだろう。カテゴリーKである僕なら、今の彼の心を縛る『闇』に少しの間なら抵抗出来る筈だ。そしてその間に彼ならそれを克服できる。

 

「君と共に闘えなくて済まない。」

 

驚く顔をする彼にそう言い、僕は再び封印と言う名の眠りについた。

 

 

 

††††††††††††††††††††††††

 

 

 

ICHIKA:SIDE

 

嶋さんが封印されたプライムベスタとその周りに散らばる数枚の【プローバブランク】と複数の【コモンブランク】、そして4枚の【プライムベスタ】のラウズカードを拾い纏めながら嶋さんの最後の言葉について考える。

 

 

 

―――――今の君は心に大きな暗闇を持ってしまっている。そしてそれは、危険すぎる。―――――

 

 

 

「さすが嶋さん、良く分かっているな。」

 

嶋さんが言った言葉には心当たりが有り過ぎる。それにしても危険すぎるか……

 

「心当たりはある……けど制御で出来ていると思ったんだけどな。どうすれば……良いんだろうな。」

 

 

 

††††††††††††††††††††††††

 

 

 

〜2ヶ月前〜

??:SIDE

 

警報が鳴り響く一室、外側からこの中に入ろうとする者達の足音を聞きながら最後のパスワードを解き、この施設の自爆装置を起動させた。

 

「はは…は……」

 

床に座り込んだ俺は脇腹から止めなく溢れてくる自分の血を見ながら今までの人生を振り返る。

広瀬さんがアンデッドを開放して……それを封印する為に『ギャレン』になった事、ビートルアンデッドを封印する際に後に『ブレイド』となって共に戦う仲間となる織斑一夏に出会った事。

自分の中の恐怖心でまともに戦えずに井坂に利用され……彼女を死なせてしまった事。

 

「悪い…な……一夏………」

 

ジョーカーを人類の脅威とみなした俺と、ジョーカーが人になろうとしていると言っても護ろうとした一夏とジャックフォーム同士で激突した事、一夏をジョーカーと言う存在に近づけてしまった事。

 

 

 

 

 

そして、一夏に『アイツ』を封印させてしまった事。それなのに俺は、また一夏に押し付けようとしている。

 

 

 

 

 

「一夏、嶋…さん、……、すま…な……い、後…は……」

 

頼む。そう呟くと共に目の前が暗くなり、それと同時に『BOARD』本部の施設は全壊した。

 

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2話終了時点、織斑一夏所有ラウズカード一覧

 

【SPADE】

A:CHANGE(NEW)

2:SLASH(NEW)

8:MAGNET

10:TIME(NEW)

 

【HEART】

4:FLOAT(NEW)

 

【CLUB】

6:BLIZZARD(NEW)

K:EVOLUTION(NEW)

 

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説明
再会は一夏に『かつて手放した力』を再びその手に握らせる事になる。
そして、それが物語の始まりになる。

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タグ
IS インフィニット・ストラトス 仮面ライダー剣 一夏がブレイド 

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