女神と共に 再誕は舞わん プロローグ2:始まり |
ただ淡々とした毎日を繰り返し大学2回生となった。
そして梅雨のある日、世界を揺るがす一つの事件が起こった。
事の発端はアメリカや中国、ロシアといった国々の軍事コンピューターが突如ハッキングされ、ICBM《大陸間弾道ミサイル》やIRBM《中距離弾道ミサイル》などのミサイル、約2000発が発射された。
狙われたのは日本の首都、東京を中心とした半径約80km、だいたい房総半島の先端近くも範囲内になる。
幸い私の住んでいる場所は静岡県静岡市で範囲外だが、念の為に避難することになった。
しかし東京や千葉はそうはいかない。
国家緊急権が発令され、東京都民のほとんどが範囲内からの脱出を試みたが、ミサイルの第一波が襲いかかってくるのは発射から10分後、到底間に合うわけがなく、みな近場の避難場所に避難したという。
自衛隊もミサイル防衛のために緊急配備されるが、やはり時間が足りない。
もはや東京とその周辺は戦後のような焼け野原になるかと思われたその時、一機のパワードスーツを着た女性が現れ、ミサイルの第一波をその手に持った一振りの剣ですべて切り裂いたのだ。
避難場所である公民館のテレビでその様子を見ていた私は、そのパワードスーツが丁度一カ月前に発表されたIS《インフィニット・ストラトス》だと気がついた。
ISとは、ISの心臓であるコアと腕と足にのみ装着する装甲とエネルギーシールドによる高い防御力が特徴の宇宙空間での活動を目的に作られたパワードスーツである。
たいして話題にならなかったが、この発表をネットで通じて見ていた私は、これが本当に宇宙開発として運用されれば人類の宇宙進出が容易になると考え、期待していた、が・・・
「これは・・・兵器運用のデモンストレーションじゃないか・・・篠ノ之束・・・」
私は前世でVFという兵器の開発をしていたからよくわかった。
これはデモンストレーション、ISの『兵器としての価値』を世に知らしめるものだ。
ISが世に出てまだ一カ月しか経っていない。
間違いなく、あの『兵器として作られたIS』は篠ノ之束の手で生み出されたものだろう。
私はそれがどうにも許せなかった。
このISというものが宇宙進出の手助けになると期待した思いが裏切られたとも思った。
確かに私が研究していたVFは初めっから兵器として開発されたものだ。
しかしVFは人類を宇宙から来る異星人から守るために作られたもの、必要だったから作るしかなかったものだ。
しかしISは違う。
ISは宇宙での作業用に作られた、いわば人類の夢をかなえるためのものだったはずだ。
それが、実のIS開発者によって歪められた。
一人の元兵器開発者として、ISの存在を許すわけにはいかなかった。
「何を考えている・・・篠ノ之束・・・!」
いずれ、このISによって世界は歪む。
この時、私はそう確信し、同時に決意した。
ISという兵器を壊し、ISを元の宇宙進出という夢をかなえる希望に戻すと。
それが私の生きる意味だと、そう位置づけた。
第二波、第三波をミサイルが東京を蹂躙しようと押し寄せたが、あのISはその一振りの剣と、途中召喚した荷電粒子砲を扱いこなし、全てを防ぎ切った。
それにより、自衛隊の配備が終わるまでの時間は十分に稼げたようだ。
第四波目からは自衛隊とISが共同でミサイルを破壊し、ミサイル発射から約40分後、最後の1発がISの剣によって切り裂かれた。
しかし事はまだ終わっていなかった。
脅威的ともいえるISの力を恐れたのか、はたまた欲したのか、世界各国が捕獲または撃破を軍に指示したのだ。
日本はそのことに抗議をしたが聞き入れられることはなく、各国の戦闘機、軍艦がISに対して攻撃を開始したのだった。
結果から言うと、大敗を決したのは各国から派遣された軍のほうだった。
亜音速で飛行する戦闘機は、重力を無視したISの動きに振り回された揚句、次々に撃墜され、軍艦もMk41《ミサイル発射機)やマシンガン、空母ならカタパルトを壊され、航行は可能だが戦闘不能にされていった。
そして3時間後、ISは姿を暗まし、戦闘は終了した。
世界はISに関心を寄せ、やがて世界の軍事力のほとんどがISによって決まるようになっていった。
篠ノ之束の思惑通りに、世界は変わっていった。
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【IS×マクロス】 | ||
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