高みを目指して 第14話 |
side リーネ
「それでフェイト、奴らの詳細な情報は」
「それがこれと言っていい程存在しない。とりあえず分かっていることはBETAはBETAを作り出した存在からしてみれば自動人形の様なもので人類に至っては資源としか見ていない」
「資源ね。それで奴らはどれ位の知能と能力を有しているの」
「知能はそれほど高くはないけど高度な学習能力はある。自分たちに多大な被害を与える物に対しての対策をすぐにとる。地球に来た当初には奴らは空に対しての攻撃手段を持っていなかった。それにより人類は戦争を有利に進めていたけど、確認されていなかった光線属種と呼ばれるBETAによって空は完全に奪われてしまった。BETAは大きく分けると光線属種、大型種、小型種、母艦級、BETAの巣であるハイヴ内のみに存在する門級、そして重頭脳級に分かれる。基本戦術は圧倒的物量によるごり押しだね」
「圧倒的物量ね」
目の前の戦場を見ればすぐに分かる。大型種と呼ばれる奴だけでも人類が使っているロボットとの対比は50対1ぐらいかしら。
「人類の方はどうなの」
「これがまた厄介でね。ユーラシアの大半を取られているにも拘らず人類は団結することが出来でいない。原作でも地球に来ているBETAのボスである重頭脳級を滅ぼしたことで人類の寿命が10年伸びたと言われる位に酷い状況さ」
「酷いものね。あのロボットは」
「戦術歩行戦闘機、通称戦術機。対BETA用に開発された兵器さ。最も性能がかなり低いことは見れば分かる通りさ。正直にいえば僕が知る中でダントツに性能が低い」
「ATよりも?」
「あれはあれで完成された兵器さ。防御力と操縦者の安全が確保されていないだけで。コストや機動性、整備性はトップクラスさ」
「確かにね。それで戦術機はどうなの?」
「……携行弾数位かな」
「……嘘でしょう」
「稼働時間もそこそこ在ったはず」
「もういいわ、私達が独力で解決しましょう。クシャトリア改を出して」
「殲滅戦になるでしょうから私はセラヴィーを」
「まだ重要な説明が終わっていないのだが」
「それはあなたがなんとかしなさい」
「……了解」
フェイトが持つダイオラマ魔法球から要求した機体が現れ、すぐに搭乗し回避運動を行なう。クシャトリア改とセラヴィーに向かってレーザーが放たれたからだ。
「行きなさい、ファンネル」
ここで私が乗っているクシャトリア改の説明をしておきましょう。元になったクシャトリアの四枚羽を六枚羽にして、さらにキュベレイのスカートを搭載してファンネル搭載数を24から80まで増やした機体で後は普通のクシャトリアと変わらない。そして、ファンネルは大気圏内でも飛行可能になっている。
羽根とスカートからファンネルが飛び出して行き、今にもやられそうになっている戦術機の援護に回る。
「刹那」
『分かっています。圧縮粒子解放、ハイパーバースト、シュート』
刹那の乗るセラヴィーが戦術機の反応が無い一帯を吹き飛ばす。
「このまま殲滅戦を開始しなさい。私は戦術機を退かせるわ」
『了解です』
スラスターを全開にして地上すれすれを高速で移動しながら両手にビームサーベルを装備し斬り込む。
オープンチャンネルを開き叫ぶ。
「巻き込まれたくない者は退きなさい」
胸部拡散ビーム砲を放ち、更に殲滅速度を上げていく。
「消え去れ」
side out
side フェイト
向こうで二人がBETAの相手をしているうちに僕は僕で動くしかないか。とりあえずはここが何処なのかを確認する必要があるね。
霊脈から情報を汲み取り場所を確認してから記憶に照合をかける。おそらくこれはスワラージ作戦だろう。ということはそろそろ軌道爆撃と降下兵団が投入されると思われる。それに紛れて反応炉を破壊するしかないか。ついでにアトリエにもよってみるとしよう。潜入ならこのままの方が行ない易いので特に機体を出す様なことはせずにハイヴの入り口に向かって走って行く。前方から闘士級と兵士級が近づいて来ているが迎撃はせずに走り抜ける。変な死体を残したくないからね。
「あれがハイヴの入り口か」
目の前に見えた穴に突入する。辺り一面をBETAが覆っているがこの中なら光線級に撃たれることも無いし誰かに見られることも無い。浮遊術と虚空瞬動を合わせてどんどん潜って行く。ついでにサーチャーを飛ばしてマッピングも行なう。
それから2時間程潜り続けて目標である反応炉をサーチャーが発見、更に10分後にアトリエを発見、その5分後にリーネ達がハイヴ内に突入した。二人には反応炉に向かってもらい、僕はアトリエ内にあったG元素を倉庫に使っているダイオラマ魔法球に放り込む。それが終わり次第反応炉に向かっている二人に合流する。所々に被弾の後が見つかる。
『さすがにぶっ続けは辛い物が在るわ』
外部スピーカーでそう告げてくる。実際にファンネルを全て格納した状態で攻撃のほとんどを刹那に任せている。
「とりあえず反応炉を破壊したら何処かで母艦を出そう」
『そうして頂戴。シャワーを浴びて寝たいわ。というより今すぐ操縦を代わって』
「はいはい」
クシャトリア改のコックピットが開き、そこに入る。シートに座っているリーネに代わりアームレイカーに手を置く。リーネはサブシートを出してそこに身体を預けている。かなり消耗しているみたいだね。機体のチェックをするとファンネルが幾つか落ちている。ログを見ると光線級からのレーザーの盾にして戦術機を守っているみたいだ。一通り目を通してから刹那に回線を開く。
「この先に反応炉がある。それを壊すにはクシャトリアでは火力が足りない。粒子の圧縮をしていてくれ」
『分かりました。それよりもそれを使いこなせるのですか』
「やれる分でやるさ、ファンネル」
六枚羽の内の三枚からファンネルが14機飛び出し、周囲にビームを吐き出す。僕にはこの14機と機体を動かすのが限界なのだ。80機あるファンネルを全て操れるのはリーネだけ。刹那が10機、零樹でも60機が限界だろう。
それはさておき、僕達は5分程で反応炉に辿り着く。
「刹那、アレが反応炉だ。カバーする」
『了解』
危険な要撃級と天井を這う戦車級を優先的に撃ち落としセラヴィーのハイパーバーストまでの時間を稼ぐ。
『圧縮粒子解放、GNバズーカ、ハイパーバースト、シュート』
セラヴィーから放たれたビームの固まりは反応炉とその間に存在したBETAを全て巻き込み吹き飛ばす。
それと同時に直ぐさま反転し、出口を目指す。地上に出ると同時にスラスターを全開にして戦域から離れる。海上に到着するまでに多くの通信が飛んでくるが一切無視。海上に出ると同時に艦隊から砲弾の雨が降り注ぐ。
「このまま海中へ」
全速を出したまま海中に飛び込み、そのまま装甲が持つ深度まで潜行する。
「このまま彼が持っていた別荘の無人島に行く。あそこなら拠点に改造し易い」
あの戦闘から早2週間の時が流れた。今僕らは現状の把握と仮拠点を製作している。本拠点は宇宙空間に作ることが決定している。宇宙空間にある人工物に対してBETAは攻撃を仕掛けてこない以上当然である。この仮拠点は休息と最低限の整備を行う為だけの拠点である。この島に到着すると同時に移動可能にし魔術によるステルスを施した。
「フェイト、改装にはどれ位かかるかしら」
リーネに尋ねられ工程表を見ながら答える。
「このままのペースなら残り4日位、本拠点の方はやっと手頃な小惑星が見つかったと報告があったから移動と改装で2ヶ月と言った所だね。無論、出撃は可能だよ」
「いえ、この前の戦闘で分かったけどアレは私達だけで出来る様な生温いものじゃないわ。この世界の人類が攻める時に便乗しないと辛いわ。最も本拠点が完成してMSや特機が生産出来る様になれば話しは変わるけど」
「機動兵器やそれの輸送艦の生産には時間がかかるね。この世界に合わせる様にしておかないとまずい。現にファンネルやセラヴィーの装甲の一部を研究して同じ人類に向けようと考えている奴らがいる。もちろん既に研究所は破壊しておいたけど」
「戦力が整うのはどれ位になるかしら」
「そうだね、ざっと計算だけど4〜5年、性能を落とせば3年位かな」
「猶予はどれ位残されているの?」
「何の猶予だい?」
「人類が滅亡を迎える分水嶺までの」
人類が滅亡を迎えるまでね。
「もう遅いね。保って50年。それが地球にいる人類の寿命さ」
「そう、((地球にいる|・・・・・))人類のね。……コロニーと移民船団の製作にはどの程度の時間がかかるかしら」
「僕達とシスターズ、ブラザーズの機動兵器と平行作業で10年で第一団が完成する。コロニーの方は1基に200万を5基、移民船団の方は700万といった所かな。艤装は無いけど」
「なら、取りかかりなさい。私達は異星人として表舞台に立つわよ」
「了解だ」
さて、それまでに人類がどれだけ疲弊してリーネが我慢出来るかな?
side out
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腐った政治家どもが幾ら死のうとも構わない。 けど、無辜の民やそれを守る兵士位は救ってあげたいわ。 たとえ、それが茨の道だとしても。 byリーネ |
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