IS〜彷徨いし剣の担い手〜遭遇/自己紹介/再会 |
ICHIKA:SIDE
IS学園入学当日……俺はブルースペイダーを操縦しながらIS学園に向かっているのだが……
「昨日の今日でいきなりかよ!!」
現在の状況を説明すると……俺は、俺を追うように現れた異形と現在並走中である、幸いな事に異形の正体が分かっているだけマシだけどな。
「ライオンアンデット…………スペードのカテゴリー3か。」
たいして強くない事と単独で挑んできた事を確認した上で左ポケットから取り出したブレイバックルにカテゴリーAのブライムベスタを差し込みベルトにしてターンアップハンドルを引く。
【TURN UP】
その電子音が響くと共に前方に現れた蒼色の光の幕(オリハルコン・エレメント)を潜り抜け俺はブレイドへと変身した。
「運転中の戦闘なんてしたこと無いんだけどな。」
ぼやきつつもハンドルから両手を離し左腰の〈ラウザーホルスター〉から醒剣ブレイラウザーを右手で引き抜いて握り左手でオープントレイを開き、中に納められたブライムベスタを取りだし、〈スラッシュ・リーダー〉にラウズした。
「喰らえ!!」
【SLASH】
『リザードスラッシュ』が発動され、切れ味が増幅され強化されたブレイラウザーの一閃がライオンアンデッドの顔面を切り裂いた。
「ガアァアアアアアアアアアア!!」
顔面を切り裂かれたライオンアンデッドは顔を手で押さえて地面に蹲るが此方もブルースペイダーのバランスを崩し転倒しそうになり慌てバランスをとり直す。
「危ないな……時間はあるし特訓するかな。」
少なくとも1週間は自宅通学だし最悪、休日を潰してでも特訓しないとな。
「悪いな……もうすぐ学校なんだ。」
だから早めに始末する。そう呟きオープントレイから取り出したカードをブレイラウザーではなくブルースペイダーに搭載されている簡易版カードリーダー・〈モビルラウザー〉にラウズした。
【BLIZZARD】
ブリザードスペイダーが発動しブルースペイダーに冷気を帯びたのを確認しブルースペイダーをライオンアンデッドへと突撃した。
「ガアアアアアァァァァァァ!!?」
ブリザードスペイダーが直撃し全身が凍り付いたライオンアンデッドの腰のバックルが開く。それを見た俺はブレイラウザーのオープントレイから取り出したプローバーブランクを投げつけた。
「スペードスートで良かった。手持ちの【コモンブランク】を使わずに済むからな。」
そう呟きながら手元に戻ったラウズカード、ライオンアンデッドが封印されたスペードの3のブライムベスタを見つめる。
「スペードスートはこれで後、8枚か。」
これで解放されたであろう残りのアンデッドは最高で46体。
「先は長いな……ってやばっ!?仕方ない、使うか。」
道路脇の公園にある時計が示す時間を見た俺はこの状況を何とかするために2枚のブライムベスタのラウズカードを取りだしブレイラウザーにラウズした。
【EVOLUTION】
【TIME】
・・・・
・・・
・・
・
「……なんとか間に合った。」
【TIME】を発動させて時間を停止させた俺は変身を解除してからブルースペイダーに乗り込み、法定速度無視でIS学園に走らせ、何とか間に合った。
「……けど眠い。」
始業式を乗り越えた俺は教室の自分の席に腰を下ろして……夢の世界に旅立った。
「起きんか、この愚弟!!」
「……はい?……ぐはっ!?」
……けどすぐに戻る事になった。何か聞き覚えがある声と頭を直撃したナニカの痛みで寝ぼけていた意識が一気に覚醒し夢の世界から立ち去る事になったからだ。
「この馬鹿者が、一体何をしている?」
聞き覚えがある声の先に視線を向けると其処には……
「……羅刹女…?」
「誰が牛魔王の妻だ!!!!!!」
怒声と風を切る音が共に聞こえ、俺目掛けて回し蹴りが放たれていた。俺は慌ててしゃがむ事によって回避した。
「いきなりなんだよ、千冬姉!?」
「此処では織斑先生だ。」
そう言って振り落とされた出席簿を白刃取りで受け止め、出席簿の一撃を回避した。
「分かりました、織斑先生。」
「よろしい、さっさと自己紹介をしろ。お前で最後だからな。」
どうやら居眠りしている間に自己紹介となり俺の番となったのだが……いくら呼んでも起きずにいたところを会議で遅れていた千冬姉によって実力行使で叩き起こされたらしい。
「すみません、すぐにします。」
しなかったらまた出席簿の一撃だろうしな……そんな事を考えながら後ろを向き……クラス全員の視線を一身に受ける事になった。
(うわっ!?)
想像以上にきついな……顔に出ないように努力はしてるけどな。とりあえずさっさと終わらせよう。
「織斑一夏です。TVで言われているように『男性で何故かISを動かせた』ので此処にいます。IS関連については分からない事の方が多いので迷惑をかけると思いますがよろしくお願いします。」
それで終わろうと思ったんだけど……あの?それだけ?見たいな顔しないで下さい。後、何言えば……ああ、趣味とかを言えばいいかな。
「趣味は1人旅、後は付き合っていた元カノ達との影響で風景写真の撮影とフィールドワークと天文観測の3つになります。」
「「「「「「「「……!?」」」」」」」」
そう言ったら……うん、クラスメイトの大半が驚いた顔をしているのが見て分かる。けど意外だったのは千冬姉も一緒になって驚いている事だな。
「お、織斑。」
「どうしました、織斑先生?」
此処まで驚く千冬姉も珍しいなと思う。
「先程の自己紹介だが……お前に彼女がいたとは初耳だな。」
そりゃ、言ってないからな。それに俺の中学時代の時の千冬姉はドイツに行ったりして家にはほとんど帰って来なかったし。
「中学の時にな。2人いたけど、ふられたんだよ。」
そして程良いタイミングでチャイムが鳴り自己紹介が終わった。これで休めると思ったら全く休めなかった。休み時間となった教室で俺は……動けずにいた。
「………居心地が悪い。」
休み時間なら少しは楽になるだろうな……と思ったのは甘かった。逆に他のクラスからやって来た人数のせいで俺に向けられる視線が増えてるからな!誰でも良いから話しかけてくれ!!
「織斑一夏さんは居ますか!?」
ナイスタイミング!!だけどこの声、何処かで……そんな事を考えながら声がした方を振り向く。
「オリヴィエ、少し落ち着きなさい。」
「姉さん……」
「良・い・で・す・ね・?・」
「はい。」
そんな会話をしながら教室に入って来たのは金髪で赤と翠のオッドアイの瞳をした少女と銀髪ツインテールで蒼と紫のオッドアイの瞳をした少し年上のお姉さんだった(因みにそれが分かった理由は、制服のリボンの色が1年生の色ではなかったのともう1つの理由がある)。
もう1つの理由、それは俺が2人と顔見知りだった事だ。
「オリヴィエ!?それにアインハルトさん!?」
そこにいたのは『イタリア1人旅』の最中に出会い、とある事件を共に解決した戦友の2人だった。
「覚えていてくれたんだ♪」
「勿論。」
あの一件(・・・・)はそう簡単には忘れられません。
「1年振りぐらいだよな、2人ともお元気そうで何よりです。」
「此方こそお久しぶりです、一夏さん。」
「そちらこそ、元気そうで何よりです。」
知り合いが居て良かったなと思う俺がいた。
††††††††††††††††††††††††
AINHARUTO:SIDE
「そう言えばアインハルトさんがIS学園(ここ)に居るのは分かるんだけど……」
「私が居るのは不思議だなと。」
「心読まれた!?」
一夏さんとオリヴィエ、2人の会話を聞きながら私、アインハルト・ストラトスは確かにと思う。一夏さんが知るオリヴィエは考古学者希望でISとは無縁でしたからね。
「ふふふ…」
「なんか悔しい。」
微笑むオリヴィエと悔しがる一夏さんを見ていると本当に微笑ましい光景だと思う。
「私、オリヴィエ・ゼーゲベレヒトはイタリアの代表候補生になったんです。」
胸を張って威張って言いましたね。まあ、それだけの努力をしていたからそのような態度をとっても無理はないですが。
「そうなのか。ところで聞いて良いか?」
「どうぞ。」
周りが『代表候補生』と言う肩書きに驚く中で気になる事が在るのか一夏さんは申し訳なさそうな顔で……
「代表候補生って……何?」
ドンガラガッシャーン!!!(?一夏の発言を聞き、周りにいた人達がずっこけた音)
……凄い事を聞いてきた。
「冗談ですよね。」
「何が?」
不機嫌になったオリヴィエと真顔でそう言う一夏さんを見てどうやら本当に分からない見たいだと思った。
「本当に知りません?」
「俺にISに縁は……多少あるけど男だからさ。」
その言葉で察してくれと……そう言う事ですか。
「なるほど、詳しく学ぶ機会がなかったと。」
「その通りです。」
一夏さんの弁明を聞き、周りはそれなら納得と言った感じでしたね。
「では昼休みにでも教えてあげましょうか?」
「お願いします。」
無知は罪と言いますからね。それに日本には『聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥』と言う諺もあるそうですし。
「では、また後で。」
「逃げないでね。」
オリヴィエ、彼が逃げるなんてしないと思いますよ。
††††††††††††††††††††††††
ICHIKA:SIDE
休み時間が終わるといきなり授業だった。さすがIS学園、凄すぎるなと思う。
「ギリギリだよな。」
授業が終わり考えた事はそれだった。
授業内容は予習(タウンページクラスの厚さを持つ参考書を読んだ)したから今は付いていけるけど、この先どうなるかわからないんだよな。
「さて、どうしようかな?」
やっぱり誰かに教えてもらうべきだよな……ここは副担任の山田先生に聞くか?それともマニュアル大好き後藤さんに師事するか?
「ちょっと、よ「……一夏、ちょっと良いかな?」誰ですの!?」
考え込む俺に誰か知らない金髪(自己紹介で寝ていた俺が悪いんだが。)が此方にやって来てなにかを言おうとしたが女性の言葉を遮るように聞き覚えのある声が聞こえた。
「簪か……久しぶり。」
「うん。久しぶりだね、一夏。」
そこにいたのは水色の短めの髪型をした眼鏡をかけた同じ歳の女子。『錬金術師ガラ』の一件で知り合った更識簪だった。
「かんちゃんとおりむーって知り合いなの?」
以外に知り合いが多いなと感じていると袖がダボダボの女子が話しかけてきた。
「本音……うん、知り合いなんだ。」
「なあ、おりむーって俺の事か?えっと……名前が、名前が……」
話しかけてきた女子と簪は知り合いらしいな。俺は俺で自己紹介の時に寝ていたから名前が分からない。後でデンライナーに乗って自己紹介で寝ていた俺をぶん殴りに行きたい。
「布仏本音だよ。」
「名前教えてくれて本当にありがとう、布仏さん。簪とは……確か去年の夏休み辺りに知り合ったな。」
「そうなんだ。」
のんびりした空気が流れて落ち着けるなと感じてる中……
「よろしくて?」
先程まで放置(それどころか存在を忘れていた)していた金髪がそれをぶち壊してくれた。
「時間がないから手短にどうぞ。」
そんな訳で俺の対応はかなり雑だった。
「あなた……」
そんな態度を取る俺に何か言いたそうだが丁度のタイミングで休み時間終了のチャイムがなった。
「じゃあ、またね。」
「またな。」
簪が自分のクラスに戻るのを見て思った。
「(……せめて、オリヴィエか簪のどちらかがいるクラスが良かったな。)」
話しかけてくる人が居るのと居ないのじゃ相当な違いになるしな。
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3話終了時点織斑一夏所有ラウズカード一覧
【SPADE】
A:CHANGE
2:SLASH
3:BEAT(NEW)
8:MAGNET
10:TIME
【HEART】
4:FLOAT
【CLUB】
6:BLIZZARD
K:EVOLUTION
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現れる敵。 そして一夏は彼女達と再会する。 |
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