死にたがりの三十九話 弱い、弱すぎるぞ!
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キーーンッ……!

 

 

「ハッ……!」

 

 

何だ……今の感じ……。

何処かで、魔力が漏れている……いや、これは……。

 

 

《ジュエルシードですのぅ》

 

 

「……ふみゅ……てっめ……今何時やねん……起こす言うたんはお前やろが……」

 

 

どうやら、ジュエルシードが解放されちまったらしい。

つかもう夜中やん……良く俺を捜しに誰も来なかったなおい。

 

 

《いやぁ、このクイーンにも、うっかり機能と言う物ですがね》

 

 

「……よし、んじゃ中身バラすからその機能取ってやるから覚悟しろコノヤロー」

 

 

《すいません、居眠りしてました……》

 

 

デバイスが寝てんなよ……。

お前機械なんだからねる必要性無くね?

 

 

「さて、部屋に戻って寝なおすか……」

 

 

《どうあってもジュエルシードを取りには行かないのですね》

 

 

「もうどうしたら良いか分からない」

 

 

《また泣きごとかよ》

 

 

「いやまぁ、めんどくさいしね。それに、なのはには俺が魔導師だって事伏せてるしな」

 

 

《変装、しないのですか?》

 

 

「俺が出来る変装と言ったら、髪型変える位しか出来ん」

 

 

《使えねぇよこのボケ》

 

 

仕方ないやん、産まれてこの方変装何てした事ねぇもん。

コスプレならあるけどな。

 

 

「しゃーない。だったら二人の様子でも見に行きますかなっと」

 

 

俺は軽く駆け足になり、先を急ぐ。

くそー、瞬歩さえ使えれば速く移動できるのに。やっぱ収集を急いで方がよさそうだ。

基本動作さえも使えないとなると、結構辛いんだよねぇ。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

アンクサイド

 

 

「むっ……」

 

 

……何処かでジュエルシードの反応が……。

ってっ!……。

 

 

「つぅ〜……!頭が痛い……」

 

 

《飲み過ぎだ、バーカ》

 

 

「うるせぇ……ったく、士郎の奴め……ガボガボ飲ませやがって……つぅ〜」

 

 

《その割にはノリノリだったけどな》

 

 

ちっ、口のへらねぇデバイスだ。

それにしても、まさかここにまでジュエルシードがあるとわな。

丁度いい、一個じゃ足りないと思っていたところだ、もう一つ頂戴してくるか。

 

 

《……行くのか?相棒》

 

 

「誰が相棒だ……あぁ、少しばっか運動に行ってくるだけだ」

 

 

《あーぁ、たまには俺に使ってもらいたいものだね。こちとらまだ一回も使われてないんで、日に日に疲弊不満が溜まっちまう》

 

 

「その内使ってやるから我慢しやがれ。つか試しに一回使ったのを忘れんな」

 

 

《はん、あんなの使われた内に入んねぇよ。おら、行くならさっさと行きな。隣の部屋の魔力が高い嬢ちゃんが、今出てったぜ》

 

 

「情報どうも……んじゃ、正体バレちゃめんどくさいし……」

 

 

俺は外に出て、翼を生やす。

次に手……次に足……最後には体全体を変化させる。周りには真っ赤な羽が舞い落ちる、俺はそれを異にも介さず、自分の手や足を見る。

 

 

「……久々だなぁ、完全化は……」

 

 

《ハッ、やっぱお前はそっちの方がお似合いだぜ》

 

 

「ふん、煽てたって何も出ないぞ?……さて、行くか」

 

 

俺はそのまま空を飛び、ジュエルシードがある方向へと向かう。

さて、高町よりも先に封印しないとな。

 

 

「ま、精々手加減はしてやるさ……」

 

 

怪我何てさせちまったら、アニスがうるさいからな。

ホント、つくづく甘くなったもんだな俺も。

 

 

「……もう少しか……」

 

 

そろそろ着く頃だな。

それにしても、何だ、このもう一つの魔力は。

高町以外の魔導師が、この世界に居るのか?……ちっ、めんどくさい事になって来たな。

 

 

《あの嬢ちゃんの他に、まだ魔導師が居たとわな。しかも、こりゃ使い魔持ちって所かぁ?》

 

 

「そこまで分かるのか?」

 

 

《あぁ、一応な。何か知んないけど、使い魔の魔力も感知したぜ。どうすんだ?》

 

 

「決まってる。蹴散らすまでだ」

 

 

《ハッ!至極単純、シンプルで良いこったぁ。ま、それがお前か》

 

 

「ま、所詮その程度のレベル。俺の敵じゃない」

 

 

《アニスの旦那には勝てないくせに……》

 

 

「あいつはオールラウンダーだから、俺よりも攻撃のパターンが多いだけだ」

 

 

《お前も増やせば良いのに。馬鹿の一つ覚えみたいに体術、火炎弾なんて……やれやれ、まだアニスの旦那に使われた方が良かったな》

 

 

「バリアジャケットがあんなんになるけど、良いのか?」

 

 

《……いや、やっぱり何でもない》

 

 

そりゃそうだわな。

あんな女っぽいバリアジャケットを着る奴なんて、アニス位しか居ない。

 

 

《そろそろ着くぞ?》

 

 

「了解だ……」

 

 

漸く見えてきた。

どうやら、相手は高町と同い年くらいのガキらしい。そしてその近くに、やはり居やがった……。

あの黒いマントを羽織ってるガキの使い魔……か。

 

 

「封印するよアルフ、サポートして」

 

 

「へいへい」

 

 

《……おい、封印するつもりだぞ》

 

 

「ちっ、もう少しスピード出せば良かったか……んじゃ、行きますか!」

 

 

俺は牽制も兼ねて、火炎弾を一発放つ。

それに気づいたガキと使い魔は、それを簡単に避ける。

 

 

「誰だい!」

 

 

「……ふん、今のを避けるか。ま、そうじゃないと拍子抜けだからな」

 

 

ふん、ガキが一著前に睨むか……。

ま、そんな程度だろうな……。

 

 

「そのジュエルシード……俺がもらって行く」

 

 

「アンタもこれを狙ってるのかい?アンタ、誰の使い魔だい」

 

 

「使い魔?ハッ、まぁ……そんなもんか……。何でわざわざ敵にそんな事を教えなきゃいけないんだ?」

 

 

「……これは渡さない。私がもらう」

 

 

「ガキが何を言ってんだ……オラッ!」

 

 

ドン!

 

 

俺はもう一発火炎弾を放つ。狙いは金髪のガキ。

 

 

《protection》

 

 

ガキン!

 

 

「クッ……!」

 

 

「フェイト!ハァッ!」

 

 

使い魔は俺がガキを攻撃するや否や、すぐに襲い掛かってくる。

何ともまぁ、遅い動きだ。

 

 

「ハァッ!」

 

 

「遅い……」

 

 

ブン!ブン!パシィッ!

 

 

「クッ!」

 

 

「そんな遅い蹴りやパンチで、俺をどうにか出来ると思ってんか?オラッ!」

 

 

ドゴッ!

 

 

「カフッ!」

 

 

俺は使い魔の拳を受け止めて、そのままがら空きの腹に一発喰らわす。

弱い……弱すぎる……。

 

 

「アルフ!フォトンランサー、ファイヤ!」

 

 

ドドドドド!

 

 

黄色い魔力弾が俺に向かって撃たれる。

俺はそれを最小限の動きだけで避けきる。全然駄目だな……。

 

 

「そんな……!」

 

 

「遅いんだよ……お前らの動きは……」

 

 

はぁ……詰まらんな。こんなもんじゃ運動にもなりゃしない……。

その時……。

 

 

「ハァッハァッハァッ……あの……えと……」

 

 

ちっ、高町がもうき来やがったか……。

めんどくさい事になった……。

 

 

「……お前も、ジュエルシードを狙ってるのか?」

 

 

「えっ……あの……はい……」

 

 

「……そうか……だったら……」

 

 

ドン!

 

 

めんどくさいので、このままご退場願おうか……。

俺は高町に向けて火炎弾を撃ち込む。

不意を突かれた高町は、障壁を貼る事が出来ない……だが……。

 

 

「ハァッ!」

 

 

ガキン!

 

 

小さい小動物が、高町の前に立ち、障壁を貼る。

ほぅ、あれも使い魔なのか……。

 

 

「いきなり何なんだ、君は!」

 

 

「俺か?俺はただ、ジュエルシードを回収しに来ただけだが?」

 

 

「何だって……」

 

 

「お喋りはここまでだ……おい、黒いガキ……さっさとそのジュエルシードをよこせ」

 

 

「……嫌です……」

 

 

「……そうか……だったら……」

 

 

バサッ!

 

 

翼をはためかせ、風を生み出す。

その風を黒いガキにぶつけて、軽く吹っ飛ばす。

 

 

「キャアッ!」

 

 

ドン!

 

 

そしてその勢いで、後ろの木に背中を打ち付ける。

 

 

「グッ……ケホッケホッ!」

 

 

「ふん……さて……」

 

 

俺はガキを見ずに、そのままジュエルシードの所に向かう。

やっぱ、楽な作業だったな。

 

 

「ディバィン……バスター!!」

 

 

「なにっ……ちぃっ!」

 

 

いきなりの横からの攻撃……。

高町か……俺はその攻撃を裏拳で弾き飛ばす。

 

 

「大丈夫!」

 

 

「くっ……ケホッケホッ……何で……私を……」

 

 

「何でって……ほおっておけないからに決まってるでしょ!」

 

 

ハッ、さっきの攻撃で、魔法か何かですぐさま黒いガキの方に向かったのか……。

んじゃ、この隙に……。

 

 

(……アンク……お前何やってんだおい……)

 

 

「!?……ア……ニス……?」

 

 

頭の中から直接語りかけてく声……。

おい……あの馬鹿!

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ケホッケホッ……ったく、あの馬鹿は。何をやってやがりますか」

 

 

様子を見に来てみればこれだよ……。

あぁもう……何やってんだあいつは。

 

 

「おい!お前、何で念話なんか使ってんだ!近くに居るんだったら直接話せ!」

 

 

あぁ、うるっせぇなおい。

声なんて出して喋ったらバレんだろうが。言わせんな、恥ずかしい。

 

 

(そんな事したらバレるだろうが。それより、さっさと帰って来い、ジュエルシードとか良いから)

 

 

「………………」

 

 

……無視ですか?そうですか。

いや、この場合そうですかとか言って引き下がれるわけないじゃんかよぉ。

 

 

つか、どんどんジュエルシードの所に向かうなし!

 

 

「グッ!ゲホッゲホッ!」

 

 

ビチャッ!

 

 

「うぐっ……ちぃ、念話も駄目か……こんなに凄い少量の魔力でさえ、負担が掛かるとか……」

 

 

《だから止めなさいと言ったのに……》

 

 

「うるせぇ……それよりも……ありゃ駄目かな……止められないわ」

 

 

何かもう封印する気満々何だが……。

あ、なのはとフェイトが立ち上がった……おぉ、攻撃を仕掛けた。

 

 

でも悉く避けられてますな。

まぁ、アンクは結構強いから当たり前か……はぁ、仕方ない……ここは俺が出て止めるしか……。

 

 

「って、もうありゃ無理かな……。もう封印終わってら……はぁ……ホント、あの馬鹿は……」

 

 

仕方ない……後でお摂関だからなあいつ……。

それよりも……。

 

 

「今はこの出血をどうやって止めるかが問題だ……」

 

 

《うわ〜、見事な出血ですねこれ……》

 

 

何か腹から血が出始めてんだすけど……。

えっと、これって拒絶反応ですかね?

 

 

「あはは、マジですかい……」

 

 

俺は土御門かってんだ。

……どうすっかなこれ……仕方ない……。

 

 

「矛盾しちまうけど……ジオルグ……」

 

 

俺は呪文を唱え、傷を癒す。

次の瞬間、腹の出血は止まったけど、激しい吐き気に襲われる。

俺はそれに抗いもせずに、溜まった物を口から吐き出す。

案の定、血だ。だけど、さっきよりも体が軽く、少しだが元気になった。

 

 

「……ふぅ……何とか……収まったか……」

 

 

俺はそのまま立ち上がり、口に付いた血を拭う。

はぁ、辛い……マジで死ぬってこれ……。

 

 

「……ちっ、もういなくなりやがったか、あいつらは……」

 

 

自分の事で精一杯だった。

気が付いたら、もうジュエルシードはアンクが取って行き、なにはもフェイトも、ユーノもアルフもいなかった……。

 

 

「……あー、何つうか……不幸だー……はぁっ……帰ろ……」

 

 

俺はもう旅館に戻る事にした……。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「それじゃあ、帰るか」

 

 

朝、昼に差し掛かる前にみんな車に乗り込む。

なのはは少し暗い表情をしていた。

 

 

アンクは……まぁ、いつも通り。

家帰ったら絶対に摂関だバカヤロー。

 

そして俺は、何故かアリサの膝の上でございます。

 

 

「帰りもこれかよー!」

 

 

「アニスうるさい!少し静かにしなさい!」

 

 

「いやぁぁぁ!俺も普通の席に座りたい!」

 

 

「アニス君はこれで良いと私は思うなー」

 

 

「すずかちゃんまで!?」

 

 

あぁ、もう何て言うか……。

 

 

帰りまでこれってあんまりじゃね?

 

 

まぁ、そんあこんなで、楽しい一泊二日は終わりを告げたのでした。

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リリカルなのは フェイト・テスタロッサ なのは アニス アンク 

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