とある街の事象選択ーー『終わらな戦い』
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全世界を巻き込んで勃発した『科学』と『魔術』の戦い、第三次世界大戦。終わりが見えなかったこの戦いは首謀者とされたローマ清教『神の右席』右方のフィアンマの上条当麻による敗北により休戦。

そして、その後科学の代表である学園都市と魔術の代表であるローマ清教の間で結ばれた平和協定により完全に終戦した。いや、終戦する筈だったと言った方が正しいのかもしれない・・・。

 

 

 

 

 

 

プロローグ 『幻想郷の大嘘付き』

 

学園都市第十学区。この学区には学園都市で唯一、墓地が存在する場所でありその墓地に、一人の少年が二つの墓石の前に立っていた。

 

その背丈から中学一年生ぐらいだろうか。鮮やかな茶髪に赤と青のオッドアイを持つ少年は両手をズボンのポケットに突っ込みながら、寂しそうな表情をしていた。

 

「よォ、また来たぜ。っつても来たところで何も変わらねェんだがなァ・・・」

 

静かに墓石に話し掛けるのは学園都市の第零位、((神鬼大和|かみきやまと))だ。

 

「今でもオレを恨んでるかァ? 二人共。当然だよなァ、何たってオレはーー」

 

「幻想郷を敵に回した天下の大嘘付き、ですもんねぇ」

 

当然、誰もいない筈の背後から女性の声が聞こえた。

 

大和が後ろを振り返ると当然、空間が裂け中から金髪の女性が現れた。

 

「・・・八雲紫」

 

「自分の名前ぐらい言われなくたってわかってるわよ」

 

空間の『スキマ』から現れたのは((八雲紫|やくもゆかり))。幻想郷最古参の妖怪にして最強の妖怪だ。

 

「なんでテメェがここにいる・・・」

 

「それはこっちの台詞よ。一体どの面下げてここに来たのかしら?」

 

紫は鋭い目で大和を見る。その鋭さに思わず大和はたじろいた。

 

「あなた自分の立場わかってるのかしら? あなたは私・・・イヤ、幻想郷そのものを裏切った大嘘付きよ? そんなあなたがよくこの子の墓参りなんて出来るのね」

 

「・・・・・・」

 

「あなたはこの私に『必ず守る』と言ってあの子を幻想郷から連れ出した。私も、そして幻想郷のみんなも、あなただから信用してあの子を託したのよ? それをまさか僅か1年で裏切るとはね〜ん」

 

大和は何も言い返せなかった。紫の言ったことは全て事実であり大和に重くのしかかる十字架なのだから。

 

「・・・二人共、また来る」

 

そう言い残し、大和は消えた。イヤ、消えたかのように錯覚する程の速さでこの場から移動したのだ。

 

一人残された紫の元に、シュタッと一人の女性が現れた。

 

「八雲様、彼の状態はいかがでしょうか?」

 

九本の尻尾をフワフワとさせながら、紫の式神である((八雲藍|やくもあい))は尋ねた。

 

「ん〜いい感じでグラついているわよん。これなら大和ちゃんを落とすのも時間の問題ね〜ん」

 

「よろしいのですか? 彼は幻想郷を裏切った大罪人ですよ」

 

「それを差し引いても彼の能力は強大なのよ。事象に対して無限の選択肢を持つことが出来る彼の能力は限りなく万能にして無敵に近い。彼の((事象選択|オールセレクト))には幻想郷を変える力があるのよ〜ん」

 

「失礼ながらあの神鬼大和が我々に付くとは到底思えないのですが・・・」

 

藍の言葉に、紫は微笑みながらこう言った。

 

「問題ないわ。レベル5、しかも聖人の最上位に君臨するとはいえ大和ちゃんはまだ子供よ。傷心した男の子を寝取ることぐらい何の造作もないわよ〜ん」

説明
初投稿! よろしくお願いします。
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コメント
アイではなく、ランです。あと、紫と雷蝶の口調が混じっています。紫には「〜ん」はつきません。それ以外は順調で、物語の最初を飾るにはとてもいい出来でした!(アポリオン)
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とある魔術の禁書目録 とある科学の超電磁砲 

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