真・恋姫†無双〜赤龍伝〜第100話「嶺の上に雪が降る」 |
真・恋姫†無双〜赤龍伝〜第100話「嶺の上に雪が降る」
―――連合軍・本陣―――
荀ケ「華琳様! 大変です!」
華琳「どうしたの桂花?」
荀ケ「虎牢関を攻めている太史慈たちが夜襲を仕掛けると報告がありました!」
華琳「……そう」
荀ケ「華琳様よろしいんですか? そんな勝手な事をやらせて!?」
華琳「嶺上と藍里がそう判断したのなら、あの二人に任せなさい」
荀ケ「ですが、霞に夜襲が通用するとは思えませんが…」
火蓮「案外、上手くいくかもしれんぞ」
華琳「あら? 居たの火蓮」
火蓮「まあな♪」
荀ケ「……孫堅。どんな根拠があって、上手くいくと思うわけ?」
火蓮「勘だ!!」
荀ケ「なっ……か、勘!?」
華琳「あはははは……♪」
―――虎牢関―――
藍里「…静かですね」
嶺上「あぁ。静か過ぎるな」
虎牢関に少数精鋭だけで夜襲をしかけた嶺上や藍里たちだったが、中は人がいないかのように静まり返るっていたので、嶺上たちは戸惑っていた。
李典「どういう事や?」
于禁「やっぱり、これって…」
楽進「逃げたのでしょうか?」
藍里「いいえ。これは…罠です! 皆さん急いで虎牢関から出て下さい!!」
李典・于禁「え?」
藍里「いいから早くして下さい!!」
楽進「は、はい!!」
撤退を始めようとしたその時、今まで無かった人の気配がいっせいに現れた。
嶺上「…まいったな。藍里の言う通り見事に見抜かれてたか……みんな本当にすまないな」
藍里「謝るのは後でいいですよ。それよりも、今はどうやってこの状況を乗り切るか考えて下さい!」
突如現れた敵に嶺上たちはすっかり囲まれていた。
李典「そんな考えろって言われてもなぁ」
于禁「急には思いつかないの」
楽進「……」
藍里(…この窮地を脱するには)
李典「あっ、姉さん!」
嶺上「何…」
張遼「……」
無言のまま張遼が嶺上たちの前に姿を現す。
嶺上「凪、こいつが張遼か?」
楽進「……はい」
嶺上「そうか。……張遼! 私と勝負しろ!!」
張遼「……」
藍里「嶺上!?」
嶺上「私が張遼と勝負している間に、お前たちだけでも逃げろ。それしかこの場を切り抜ける方法はない。そうだろう?」
小声で嶺上は藍里に耳打ちした。
藍里(確かにそれしかないかもしれない。だけど……)
嶺上「さあ張遼。その偃月刀を抜け!」
張遼「……」
嶺上「…張遼?」
張遼は黙ったまま手を上げた。
すると嶺上たちを取り囲んでいた張遼の部下たちが、一斉に弓矢を構えた。
楽進・李典・于禁「!!」
嶺上「張遼っ!!」
張遼は嶺上の一騎打ちの申し込みに一切応じる様子を見せない。そして…。
張遼「……放て」
冷たく張遼は言い放った。
張遼の部下たちが矢を放とうとした瞬間だった。
落雷に似た衝撃が虎牢関中に走った。
それは水関でも起きた現象であった。
嶺上「うわっ!」
藍里「きゃあ!」
楽進「うっ!!」
于禁「きゃあなの!」
李典「なんや!?」
張遼「……」
虎牢関にいる者たち全員が驚き動揺を隠せなかった。
弓矢を構えていた兵たちも動揺して矢を放つ事を忘れていた。
そして、場違いとも思える声が聞こえてきた。
?「痛ーーい!! いったい何なのよーー!?」
その声にまず反応したのは、呉の二人だった。
藍里「この声……」
嶺上「……雪蓮か!」
雪蓮「あっ、嶺上に藍里? どうしたのこんな所で?」
藍里「雪蓮様……」
嶺上「お前こそ何でこんな所にいるんだよ! このバカ女!!」
雪蓮「何ですって、誰がバカ女よ!」
敵地で二人は睨み合いを始めた。
楽進「あのぉ…」
藍里「二人とも止めてください! ここを何処だと思っているんですか!」
雪蓮・嶺上「「は、はい!」」
藍里の迫力に負けて二人は睨み合いをやめた。
雪蓮「そういえば、ここって何処なの?」
藍里「虎牢関です。敵地のど真ん中ですよ」
雪蓮「虎牢関ですって!? …あっ!」
ここで雪蓮は張遼に気がついた。
張遼「……」
雪蓮「もしかして今ピンチ?」
藍里「ぴ、ぴんち?」
嶺上「何だそれは?」
雪蓮「ごめんごめん♪ つい天界の言葉使ちゃった♪」
藍里「天界の言葉…」
雪蓮「とにかく今は危機的状況なんでしょう?」
嶺上「そうだ」
雪蓮「で、これからどうするの?」
嶺上「私が敵を引き受けるから、お前たちは退却しろ」
雪蓮「嫌よ。あんたって自分の命を省みずに、すぐに特攻をしかけようするわよね。負けるって分かっているくせに」
嶺上「じゃあ、どうするんだ?」
雪蓮「決まってるじゃない♪ 私も一緒に戦うわよ。私とあんたのコンビなら、誰にだって負けないわよ♪」
嶺上「こんびだと?」
藍里「雪蓮様っ!?」
雪蓮「大丈夫よ♪ 私と嶺上が組めば無敵だから♪」
嶺上「あははははは……」
楽進「嶺上様?」
嶺上「そうだな。確かにそうだ。私と雪蓮が組めば最強だな」
雪蓮「そうよ。やっと分かったの?」
嶺上「でも、剣も持たずに戦えるのか?」
雪蓮「武器なんて相手から奪えばいいだけじゃない♪」
自分たちより遥かに多い敵を見ながら雪蓮と嶺上は笑っていた。
雪蓮「ほら、私たちに任せて藍里たちは逃げなさい♪」
楽進「ですがお二人だけを置いていくのは…」
藍里「わかりました。二人ともご武運を」
于禁「藍里ちゃん!?」
李典「それでええの?」
藍里「私たちがいても足手まといになりますからね。それよりも私たちはここから撤退し外の部隊と合流しますよ」
楽進「……わかりました」
藍里の指示のもと楽進たちは虎牢関より撤退を始めた。
張遼の部下「このまま逃がしてしまっていいんですか?」
黙ったまま藍里たちを見ていた張遼に部下が駆け寄る。
張遼「……かまへん」
張遼の部下「ですが!」
張遼「今はこっちに気ぃつけんと死ぬで」
張遼の部下「え?」
張遼の目線の先には雪蓮と嶺上が立っていた。
雪蓮「そのまま、あの娘たちを見逃してくれると嬉しいわ」
張遼「……」
つづく
〜あとがき〜
呂です。読んでくださって、ありがとうございます。
真・恋姫†無双〜赤龍伝〜に出てくるオリジナルキャラクターの紹介
オリジナルキャラクター@『風見赤斗』
姓 :風見(かざみ)
名 :赤斗(せきと)
字 :なし
真名:なし
武器:花天と月影……二振りの日本刀(小太刀)。赤色の柄で赤銅の鞘に納まっているのが“花天”で、黒色の柄で黒塗りの鞘に納まっているのが“月影”。
本編主人公の少年。
身長168a。体重58`。年齢17歳。赤髪。左目は黒色、右目は輝く金色。
放課後に道場で古武術の達人である先生に稽古をつけてもらうのが日課だったが、ある日道場で黒尽くめの男に襲撃される。
その際、赤い光に包まれて恋姫の世界に飛ばされる。
死にかけていた所を、火蓮によって保護され“江東の赤龍”という異名を付けられる。
古武術 無双無限流を学んでおり、その奥義を使えば恋姫の世界の武将とも闘えることができる。
無双無限流には、『全ての奥義を極めしとき、その身に龍の力が宿る。』という伝承がある。
奥義には“疾風”“浮葉”“流水”“月空”“烈火”“絶影”“龍鱗”“狂神”などがある。
奥義の同時発動は可能だが、奥義単体の発動以上に身体に負担がかかる。
現在、奥義“狂神”を発動させて、龍脈の気が流れ込んだ影響で右目は金色に変化している。
龍の眼は、あらゆる情報を視認できる眼。使う事により赤斗の気も増える。しかし、消耗はそれ以上に多い。
好きなもの:肉まん
苦手なもの:海(泳げないから)
能力値:統率3・武力4・知力4・政治2・魅力4
オリジナルキャラクターA『孫堅』
姓 :孫
名 :堅
字 :文台
真名:火蓮(かれん)
武器:南海覇王……やや長めの刀身を持つ、両刃の直刀。派手な装飾はないものの、孫家伝統の宝刀。
孫策(雪蓮)たちの母親。
身長173a。腰まで伸びる燃えるような赤い髪の持ち主。
血を見ると雪蓮以上に興奮してしまう。
孫尚香(小蓮)には非常に甘い。周りの人間が呆れるほどに甘い。
この外史“赤龍伝”では孫堅は死んでいない。
好きなもの:娘たち(特に小蓮♪)と酒
能力値:統率5・武力5・知力3・政治4・魅力5
オリジナルキャラクターB『諸葛瑾』
姓 :諸葛
名 :瑾
字 :子瑜
真名:藍里(あいり)
武器:風切羽(かざきりばね)……火蓮から受け取った護身用の短刀。諸葛瑾(藍里)の実力が低いので、あまり役に立っていない。
諸葛亮(朱里)の姉。
諸葛亮(朱里)とは違い、長身で胸も大きい女性。髪は金髪でポニーテール。
温厚で気配りのできる性格で、面倒見も良い。赤斗の世話役として補佐につく。
一時は、自分たちとは違う考え方や知識を持つ赤斗に恐怖心を持っていた。
政治、軍事、外交と様々な仕事をこなすが、諸葛亮(朱里)には僅かに及ばない。
苦手なもの:酒(飲めるが、酔うと周りの人間にからむようになる)
能力値:統率3・武力1・知力4・政治4・魅力4
オリジナルキャラクターC『太史慈』
姓 :太史
名 :慈
字 :子義
真名:嶺上(りんしゃん)
武器:雷電(らいでん)……二本の小型の戟。
非常に勇猛かつ、約束に律儀な武将。銀髪レゲエの女性。
孫策(雪蓮)と一騎打ちして引き分けたことがある。
それ以来、孫策の喧嘩友達になっており、よく喧嘩をしている。
孫尚香(小蓮)や諸葛瑾(藍里)と仲が良く、孫尚香(小蓮)の護衛役をしている事が多い。
子供好きで、よく街の子供たちと遊んでいる。
弓の名手でもあり、その腕は百発百中。
好きなもの:子供
能力値:統率4・武力4・知力3・政治2・魅力3
オリジナルキャラクターD『司馬懿』
姓 :司馬
名 :懿
字 :仲達
真名:不明
武器:不明
黒尽くめの衣装を身に纏った、曹操軍の軍師。
曹操軍に属しているが、曹操からの信頼はないといっても良い。
色々と裏で暗躍しており、虎牢関では張遼を捕え、術により自分の傀儡にしている。
魏から姿を消していたが、赤壁の戦いに現れ曹操に反旗を翻した。
能力値:統率5・武力5・知力5・政治5・魅力?
オリジナルキャラクターE『玄武(げんぶ)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:魏軍正式採用剣……魏軍に配備されている剣。
司馬懿の部下。
普段は何の変哲もない魏軍の鎧を身に纏い、普通の兵士にしか見えない。
しかし、眼の奥からは異質な気を醸し出している。
鎧の下には黒の衣を纏っており、素顔は司馬懿に似ている。
虎牢関では、鴉と一緒に張遼を捕えた。
能力値:統率2・武力4・知力3・政治1・魅力2
オリジナルキャラクターF『鴉(からす)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:爆閃(ばくせん)……司馬懿から受け取った回転式拳銃。
司馬懿の部下。
性格は軽く、いつも人を馬鹿にしているような態度をとる。
司馬懿と同じ黒い衣装だが、こちらの方がもっと動きやすい軽装な格好をしている。
寿春城では、孫堅(火蓮)を暗殺しようとした。
能力値:統率2・武力4・知力2・政治1・魅力3
オリジナルキャラクターG『氷雨(ひさめ)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:氷影(ひえい)……氷のように透き通った刃を持つ槍。
司馬懿の部下。
青い忍者服を着た長い白髪の女。
背中には“氷影”を携えている。戦闘時には全身からは氷のように冷たい殺気が滲み出す。
洛陽で董卓(月)と賈駆(詠)を暗殺しようとした所を、赤斗と甘寧(思春)に妨害される。
官渡の戦いでは、呂布の部下を連れ去り、それを止めようとした陳宮を殺害する。
水関で、趙雲や甘寧を超スピードで圧倒するも、恋姫の世界に帰ってきた呂布に敗れて死亡。
能力値:統率2・武力4・知力3・政治1・魅力3
オリジナルキャラクターH『宮本虎徹』
姓 :宮本(みやもと)
名 :虎徹(こてつ)
字 :なし
真名:なし
武器:虎徹……江戸時代の刀工が作った刀。
赤斗の古武術の師匠。
年齢は50歳。実年齢よりも、肉体年齢は若い。
赤斗と一緒に、恋姫の世界に飛ばされたと思われる。
最初は河北に居て、それからは用心棒をしながら、色々と辺りを転々としている。
赤斗の修行をやり直した後、天の世界に戻ったようだが、詳細は不明。
赤斗曰く、『無双無限流の妙技を見せてやるっ!』が口癖で、その実力は呂布(恋)以上。
能力値:統率?・武力6・知力5・政治?・魅力?
オリジナルキャラクターI『兀突骨』
司馬懿の部下。
全身鎧を纏った大男。
許緒や典韋以上の怪力の持ち主で、気を操る事もできる。
赤壁の戦い後、呉蜀同盟の本陣に単独に乗り込み、赤斗との戦い敗れる。
その後、尋問を受けている途中に自爆する。
能力値:統率3・武力4・知力3・政治2・魅力3
オリジナルキャラクターJ『木鹿大王』
司馬懿の部下。
無精髭を生やし頭から虎の毛皮を纏った大男。
虎や豹などの獣を操る事ができる。
南蛮で兀突骨とともに劉備軍を襲撃するが、失敗に終わる。
関羽たちに殺された獣の復讐をする為、黒い巨獣と化して関羽を襲撃する。
透明になって関羽や赤斗を苦しめるが、二人の連携により倒される。
能力値:統率4・武力4・知力2・政治1・魅力3
※能力値は「5」が最高だが、呂布の武力と劉備の魅力は「6」で規格外。
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また一人、恋姫の世界に帰ってきます。 主人公も含めてオリジナルキャラクターが多数出てきます。 未熟なため文章や設定などにおかしな部分が多々あるとは思いますが、長い目で見てくださると助かります。 |
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コメントありがとうございます。(ryo) おっ!いつのまにやら100話!(かんがるーO) 100話目おめでとうございます。(tsukuyomi) |
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