真(チェンジ)!!仮面ライダーディケイド〜紅蓮の破壊者〜【第10話:疑念のT・黄昏と激突 前篇】
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「はあ…」

時は夕刻…

斗貴子は鳴海探偵事務所の窓に寄りかかり外を眺めていた…。夕日を背にした巨大な風車『風都タワー』が非常に絵になる。

カズキは奥で何やらフィリップと話しているようだ…。余計な事を話さなければ良いが…

因みになぜ2人が事務所にいるか、と言うと彼らは元々宿を探す予定だったが翔子は『纏まっていたほうが行動しやすい』と言われブラボーは遠慮したものの四季が例の3人(シュテル、レヴィ、ロード)を連行したためちょうど寝床が空いているとのことでお世話になることなったのだ…。

 

「はあ…」

 

だが、彼女は今は溜め息ばかり…

夢の悪魔と酷似した『仮面ライダーディケイド・ブラット』。

悪夢の続き…

メモリの戦士と怪人…

スティンガー、コーウェンの狙い…

 

T2コア計画…

 

 

(解らないことばかりだ…)

 

T2コア計画は恐らく『核鉄』を使った悪事のことだろう…。『核』という字からそれは判断できるが『T2』は何を意味するのか…

翔子に訊ねると『心当たりがある』とのことで彼女は自らの師なる人物と連絡をとると言っていた…。

 

 

(今は…考えてもどうしようも無いか…)

斗貴子はそう思うとまた夕日をただ、ぼうっと眺めていた…。

 

 

 

 

 

 

カフェ『スプリング』…

 

「お客様〜!注文は何になさいますか〜?」

「塵か…お客様、ご、ご注文を…」

「御待たせいたしました。『ハードボイルド・コーヒー』です。」

 

今、食い逃げ2人とシュテルは働いていた…。

「身体で払えとは言われたけど…」

「くっ…これはこれで屈辱なり…」

 

 

数時間前…

「さーて、お前らはどうしてやろうか…。」

 

あわよくば逃げれると思っていた2人だが四季はそこまで甘くは無かった。

『四季〜!こういうのは身体で払って貰うのが一番だぞ〜!』

「「ええ!?」」

「どうぞ煮るなり焼くなり…」

「「そんな!!」」

 

キルバットがとんでもない発言をし挙げ句の果てに翔子にまで見捨てられた食い逃げ2人。

「それじゃ…遠慮なく…」

 

「お、王様…」

「れ、レヴィ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、待って下さい!!」

四季の前にシュテルが立ち塞がる。

「シュテル!!」

「おお…!!シュテル、私がお前が助けてくれると信じていたぞ!!」

希望の光をみた2人。

「確かにこの2人は『バカ』『アホ』『残念』の最悪コンボですが、これでも私の大事な家族です。どうか2人に手を出すなら私の身でご勘弁を…。」

「「シュテル、そんな事思ってたの!?」」

 

当前だろ…と思った四季。

「なら…」

「…!!」

 

「「シュテルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」」

シュテルが覚悟し目をつむった…

「ほい。」

四季は黒い使い古されたエプロンを出した。

 

「「「え?」」」

 

困惑する3人。

「きっちり、代金分は働いて貰うぜ。」

「「「…」」」

 

 

 

 

 

そして、現在3人は必死に働いているのである。しかも、皆それなりに美人なため噂を聞き付けた客で繁盛している。

 

「いや〜あの髪短いシュテルって娘、中々良いね。このままウチで働いてもらいたいよ。」

「確かになオーナー、それは同感だ。だが食い逃げ2人、レヴィは良いが…あのロードって奴、表情固いな。」

オーナーと共に調理を担当する四季。オーナーはフライパンで野菜を炒め、四季は食材を切る。

それでも四季は食い逃げ2人への注意は怠らない。

特にもうひとりの食い逃げ犯、『闇の王ロード・ディアーチェ』はかなり注意している。

 

 

 

 

午後6時…

「さて、今日はこれくらいで勘弁してやる。」

「「むぎゅ〜」」

仕事も一段落ついたので食い逃げ2人を解放する四季。

「おのれ!このままでは済まさん!!」

ボブの髪を逆立てるロード。負け犬の遠吠えという奴だ。しかし…

「王様!!何をしているんですか!?まだ片付けが残ってます!!」

店からシュテルが出てくる。

「いや、良いよ。後、俺やるから。疲れたろ?」

「いえいえ、仕事はきっちり最後までやる物。さあ、行きますよ!」

「や、やめ…シュテル、勘弁してくれぇぇぇ!!!!!!」

ロードは悲痛な叫びをあげながらシュテルにひきづられていった…。

「あの…これって僕もいった方が良いのかな?」

別に強制された訳ではないがレヴィもついていく。

 

 

約一時間後…

 

「ふう…」

「「…(反応が無いただの屍のようだ…)」」

カフェ『スプリング』ではやり遂げた感Maxのシュテルと絶望にゴールしたレヴィとロードの姿があった…。

「いやいや、皆よく働いてくれたね。晩ご飯にしようか。」

オーナーは3人をテーブルに座らせるとオムライスを三人分持ってくる。

「わあーい、オムライスだ!!」

「おお…なんと卵の輝きがまぶしい…」

レヴィとロードは喜んで飛び付こうとする。

「あの…良いんですか?」

シュテルは遠慮しているようだ…。

「いや、遠慮しなくていいよお食べ。」

「そうですが…なら…」

「「頂きます!!」」

ガツガツ…

「あ!こらレヴィ、王様!!行儀が悪いです。」

早速がっつく2人を叱るシュテル。その姿は母のよう…

「へへ…母さんか…」

四季は3人を眺めていると…

 

 

 

 

 

 

 

 

『こら、行儀悪いですよ!!』

 

 

 

 

 

 

 

ズキン!!

「ぐお!?」

突如、激しい頭痛が四季を襲う。

「があァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?」

余りの痛さに頭を抑えのたうち廻る四季…。

 

「四季!!」

「四季さん!!」

「四季!!」

「塵芥!?」

 

4人の声が響いたが四季はそのまま意識を手放した…。

 

 

 

カフェ『スプリング』二階、四季の部屋

 

突然、倒れた四季は今は自室のベッドに寝ている。

その隣にはオーナーとシュテルが座っている…。キルバットも心配そうに飛び回っている。

「四季さん…どうされたんでしょう…?」

シュテルはオーナーに問う。

「多分…無くした記憶の断片に近づいたのかな…」

「え?」

「四季はね…私の子供では無いんだよ…」

 

 

 

 

時は12年前…

その日は雨だった…

そして、カフェ『スプリング』の前に1人の少年が倒れていた…。

少年はちょうど買い出し帰りのオーナーに保護された…。

「お名前は?」

「…」

 

「お父さんとお母さんは?」

「…」

 

「どこから来たの?」

「…」

その少年に話を聞いてみても反応を示さない…まるで…

 

 

からっぽだった…

 

「これは参ったな。」

困ったオーナーはとりあえず温かいココアをだした…すると…

 

少年は笑顔になった…

 

そして、後少年は記憶喪失だと判明。録に喋らなかったのはそのためだった…。それに身元も解らないということでオーナーが引き取ることになった…。

引き取る当日

 

「…」

「お前…名前が無いんだってね?」

「…」

「良ければおじさんがつけても良いかな?」

「…?」

「そうだな…お前の名前は『四季』!西門 四季!!」

「…!」

「四季折々の表情豊かで魅力のある人になるように。てね。」

「四季…」

「そうお前は四季!!」

「四季…!」

この時、少年の西門 四季の時間が動きだしたのである…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな過去が…」

四季の過去に驚くシュテル。

「昔はよくあったんだよ。その度、あんなふうに頭痛に襲われて…恐らくあの子は拒絶してるのかもしれない…『過去を取り戻す』事を…」

「聞いたことがあります…記憶喪失の人が以前の記憶を取り戻すと無くした後の記憶を無くすと…」

 

 

四季の過去は解らないが記憶を失うとなれば相当の事だろう。それに今の記憶を失ってまで思い出したいモノではないだろう…。

「さあ、もうお休み。四季は私が見ておくから。」

オーナーは一旦3人を事務所に帰すことにした…。

シュテルは不安そうにしていたが仕方なくレヴィ、ロードを引き連れ帰路についた…。

 

 

 

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