IS〜彷徨いし剣の担い手〜やっちまった……
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ICHIKA:SIDE

 

「それではこの時間は実戦で使用する各種装備の特性について説明する。」

 

この時間の授業は山田先生ではなく千冬姉が行っていた。そして俺は早速分からない単語と遭遇してしまった。

 

「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな。」

 

「(クラス対抗戦?代表?)」

 

なんだよ、その呪文は?

 

「分からないと言った顔をしている織斑に分かりやすく説明しよう。」

 

千冬姉の話をまとめると……

 

 

・クラス委員のようなもの。

・生徒会の開く会議や委員会への出席しなければならない。

・クラス対抗戦と言うISバトルに出ないといけない。

・一度決まると一年間変更は無い。

・自薦、他薦は問わない。

 

 

うん、凄くめんどくさいなと思う。誰かに押し付けようと考えた時点で重大な事実に気付いた。

 

「はいっ。織斑君がいいと思います。」

「あ、わたしもー。」

 

恐れていた展開が来てしまった。

 

「(ちくしょう、俺かよ!?俺も誰かを推薦すれば・・・・・・うん、名前知ってるのがクラスに2人しかいねえ!!考えろ、考えるんだ。)」

 

布仏さんは……押し付けるのには罪悪感を感じるから却下。それならと名前知ってるもう1人、小4の時に転校した幼馴染である篠ノ之箒を推薦しようとして……やっぱりやめた。

 

「(……なんか怖いし辞めておこう。)」

 

オリヴィエ達と話している時、箒からの視線を凄く感じたからな。嫌われてんのかな?と思いながら打開策を模索するが・・・・・・思いつかなかった。

 

「さて、他にはいないのか?」

 

そうこうしているうちに千冬姉が最後の確認をしてるだと!?

 

「ちょ、ちょっと待った!俺はそんなのやらな―――」

「待ってください!納得がいきませんわ!」

 

慌てて拒否しようとしたのだが、それは甲高い声に遮られた。バンッと机を叩いて立ち上がったのは、先ほどの休憩時間に何かを言おうとした金髪だった。

 

「そのような選出は認められません!大体、男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」

 

この金髪の名前はセシリア・オルコットって名前なのかと思いながら、ひょっとしたら何とかなるんじゃね?と少し期待しながらオルコットさんの演説を聞く事にした。

 

「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然。それを、物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります!わたくしはこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!」

 

物珍しいからという理由でってところは賛成だな。さあ、もっと言ってくれ。

 

「いいですか!?クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ!大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で―――」

 

クラス代表は実力トップがなるべき……それは分かる。

だが今、こいつは何と言った?

 

 

文化としても後進的な国?

耐え難い苦痛?

 

 

この言葉を聞いて、頭の中で何かが2、3本ほど切れた音がした。

 

「黙れ、金髪。」

「なっ……!?」

 

俺の口からぽろっとこぼれた言葉に金髪は怒髪天をつくとばかりに怒りで顔を真っ赤にして、クラス全員の視線が俺に集まる。

 

「文化としても後進的な国で暮らすのが耐え難い苦痛になるんだったら我慢せずにさっさと自分の国に帰れ。」

 

俺ってここまで口が悪くなるんだなとどこか冷静に思いながらも言いたい事を口にする。やっぱり俺にも愛国心ってあったんだな。

 

「『クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ』だったか?自分の事をそんなに言うのなら自分で自分を自薦すれば良いだろうが。それとも何か?他の人から推薦されるのでも待ってたのか?」

 

この言葉に「そう言えば・・・」「・・・確かに。」みたいな呟きが聞こえ始める。この呟きに耐えきれなくなったのか金髪さんは俺の方を指さし宣言する。

 

「決闘ですわっ!」

「なんでそうなる?まあ、良いけどな……ところで一応聞いておくけど。」

 

いきなり決闘言われても訳が分からない、するにしても1つ心配な事があるからぜひ確認しないといけない事がある。

 

「なんですの?」

「俺は(・・)どのくらいハンデをつければ良い(・・・・・・)?」

 

一瞬の沈黙……そして大爆笑が起こった。

 

「あなた、ふざけてますの!!」

 

金髪が怒髪天をつくを通り越しているのが良く分かる声で怒鳴りつける。

 

「お、織斑くん、それ本気で言ってるの?」

「男が女より強かったのって、大昔の話だよ。」

「織斑くんは、それは確かにISを使えるかも知れないけど、それは言い過ぎだよ。」

 

 

 

クラスのみんなはそう言うけどさ……だって俺が今まで戦ってきたのがアンデット、ドーパント、グリード、ヤミ―、イマジン、ミラーモンスターを始めとした一部を除き人外だったんだぞ……正直、人間相手じゃ手加減しないと……どうなるんだろう?そう考えていると少し冷静になれた。

 

 

 

「言い過ぎたかな?」

「身の程知らずもいいところですわ、ハンデなら私がつけなけれ「それは辞めてほしい。」何故ですの?」

 

悪いけどハンデはつけないでほしいな。だってさ……

 

「ハンデを負けた理由にしてほしくないからな。」

 

この言葉がトドメとなり金髪さんと1週間後に『クラス代表』を決めるISバトルを行う事になった。

 

 

・・・・

・・・

・・

 

 

やっと昼休みになった・・・と思ったらオリヴィエと簪の2人が同じタイミングで教室にやって来たので布仏さんも合わせた4人で食堂に向かった。ちなみに周りの視線が凄くて食欲がなくなる。

 

「昼食なのに……視線が気になる。」

 

天ぷらうどんの味がしない……何とかならないかな?

 

「気にしちゃ負けだよ。」

「助けて下さい。」

 

オリヴィエの励ましは嬉しいけどさ、この状況を何とかできませんか?後、昼なのに天丼を食べても大丈夫なのか?

 

「「「無理だよ(かな)(だね)」」」

 

オリヴィエ、簪、布仏さん、みんな同じ返事だった……なんでなんだよ。因みに2人はざるそばを食べていた。

 

「皆が冷たい。」

 

世の中の不条理を噛みしめつつ、先ほどの『代表候補生』と言う言葉について教えてもらう事にした。

 

「それでは、『代表候補生』について説明します。」

 

そう言ってオリヴィエはどこからか取り出した眼鏡をかける。

 

「よろしくお願いします。ところでアインハルトさんは?それとその眼鏡は何だ?」

「お姉ちゃんは二年生だからね、別の食堂で食べてると思うよ。後、この眼鏡は飾りだから気にしないでね。」

 

なるほど、伊達眼鏡ってやつなのか。

 

「まず『国家代表』は……分かるよね?」

「それはさすがに分かるぞ。」

 

『国家代表』は21の国と地域が参加して行われるIS同士での対戦の世界大会、モンド・グロッソの出場選手の事だよな。格闘部門など様々な競技に分かれ、各国の国家代表が競い、各部門の優勝者は「ヴァルキリー(Valkyrie)」と呼ばれ、総合優勝者には最強の称号「ブリュンヒルデ」が与えられる。

ちなみに千冬姉は元日本代表。第一回モンド・グロッソで優勝し『ブリュンヒルデ』の称号を持っている。

 

「大体はな……そう言えばアインハルトさんは、イタリアの『国家代表』だったな。」

「「そうなの?」」

 

俺の発言に驚く簪と布仏さんの2人だった。まあ確かに、身近に国家代表が居るって言われたら驚くよな。

 

「つまり、『代表候補生』とは『国家代表』の予備軍と言ったところになるんだよ。もちろん、そうなるには並大抵の努力じゃ無理なんだけどね。」

「分かりやすい説明をありがとうございます。」

 

なるほどな、将来の千冬姉候補……あれ?『代表候補生』ってすごく物騒な人達の事を指す言葉なのか?

 

「ちなみにかんちゃんは日本の『代表候補生』なんだよ。」

「そうだったのか?」

「そうなんだよ。」

 

布仏さんの言葉に俺が驚き、簪が珍しく胸を張ってそう言った。あまり無いが……

 

「一夏?何を考えているのかな?」

「ナンデモナイ、ナニモカンガエテナイデス。」

 

やばい、簪の瞳の色が消えてる!?誰か、誰か話題を振ってくれ!!

 

「ところでかんちゃん達はおりむーと何時知り合いになったの?」

 

布仏さんナイス!後で何かお菓子を奢ろうと誓い会話に加わろうと口を開く。

 

「オリヴィエ達とは去年のGWだったな。金が貯まったのと諸事情で、イタリア1人旅に行った時に会ったんだ。」

 

その時のGWは9日有ったんだが『あの事件』に巻き込まれて潰れたと言っておこう。イタリア全土を巡れなかったが、オリヴィエやアインハルトさん、スクライア教授と教授夫人、彼らのチームの人達と知り合えたから良いんだけどな。

 

「諸事情?」

「メダル関係。」

「「ああ……」」

「メダルってなに?」

 

オリヴィエと簪はメダルが何を指すのか分かったのか納得していた、メダルが何を指すのか分からない布仏さんは教えて教えてみたいな顔で聞いてくる。

 

「悪いけど企業機密だ。」

 

布仏さんに説明するとしたらこの前の『メダルの器』の一件も説明しないといけないしどうしようかなと考えていると今度はオリヴィエが空気を読んでくれた。

 

「そう言えば更識さんは一夏さんと何時知り合ったの?」

「簪でいい。私は去年の夏休みに一夏と知り合った。」

「……上様達と知り合った時だよな。」

 

今思うと金髪さんの言葉を聞いてキレたのは上様達と知り合って、暫くお世話になったからだろうな。

 

「「上様?」」

「「暴れん坊将軍。」」

 

上様が誰か分からないオリヴィエと布仏さんが上様って誰?みたいに尋ねてきたので俺と簪両方が口を開いた。

 

「えっ?」

 

『暴れん坊将軍』を知らないオリヴィエは頭の上に?が幾つも浮いていた。『暴れん坊将軍』を知っているのか布仏さんは驚いていた。

 

「アレって実話だったんだな。」

「うん、ビックリしたよね。」

 

上様無双を直に見たからな……ちなみに簪は上様と変身した俺による無双を見ている時は目が凄くキラキラとしていたのを覚えている。

 

 

説明
今回は・・・一夏がキレる。

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