ガンダム学園で僕と握手 001 変わった世界<1st・逆シャア・Z・00>
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宇宙世紀0093

一機のガンダムを中心に、複数のジェガンやギラ・ドーガが地球に降下する小惑星(アクシズ)を押し返した。

アムロ・レイが言っていた。

「だから、世界に人の心の光を見せなけりゃならないんだろ!」

それを押し返したのは、人の心の光なのか…

その光景がシャア・アズナブルが見た最後の光景だった。

 

 

 

 

 

…暗いな。

ここは一体どこなのだろう。

…静かだ。

私は今何をしているのだろう。

「…ろ」

…今声が聞こえた。

誰の声かは分からない。だが、母のような温かさをもった声だ。

「…ろ!」

…いや、母のような温かさはない。むしろ父のような厳しさを含んでいる。

私はゆっくりと目を開けた。

「起きろ俗物」

「…何だこれは」

私の最初のセリフはそれだった。

目の前にいたのはハマーン・カーンその人であり、すでに故人と聞いている。

「ハマーン…だと? 何でお前がここにいる」

「ほう…折角貴様を起こしてやったというのにその態度か。どうやらここが貴様の死に場所らしいな」

「何でお前が俺を起こしている。というかここはどこで、今いつだ。何故貴様が生きている。そもそも何でお前は学校の制服を着ている」

あまりの疑問の多さに、私自身も戸惑っていた。

優れたニュータイプや、自称天才ならばこの状況をすぐに把握できるかもしれない。

「…とうとう頭がダメになってしまったか。こんな所で朽ち果てる己の身を呪うがいい」

「まず質問だ」

とりあえずハマーンは人の話を聞かないというのは知っているので、一つの質問に答えてもらうことにした。

「これは夢なのか。それとも地獄か」

「…まだ寝ぼけているな貴様。良いだろう」

ハマーンは私の頭を掴みぐわんぐわんと揺らす。

「ええい! 冗談ではない! 何故私がこんな目に!」

「これで夢ではないことが分かっただろう。それとも、これで終わりにするか、続けるか? シャア!」

「そんな決定権がお前にあるのか! …ええい! 話が進まん!! 少し私は記憶が混乱しているようだ。私のことを簡潔に説明してくれ、ハマーン!」

「…良いだろう。だが困ったものだなぁ。お前はものの頼み方を知らないようだ」

「くっ…」

このハマーン、格好は違えど自らの知っているハマーンと全くもって同じである。

もしこれが夢であったなら、私はドMということになってしまう。

「分かった。誠意を示そう」

こんなものは一時の恥であり、それによって私に益をもたらすのならば、いくらでも頭を下げて道化になろう。

とりあえずベッドの上で土下座を行った。

「ふっ…お前の名前はシャア・アズナブル、17歳。本名はキャスバルだが、それは置いておこう。お前は今日からニュータイプ高校の高校3年生だ」

「…それで」

「父母妹の4人で私の隣に住んでいる。これでいいか」

「了解した」

なるほど。どうやらややこしいことが私の身に起きているようだ。

こういうときのハマーンは、私に対して嘘はつかない。

それに、こんな嘘をハマーンがつけるとも思えない。

にわかには信じがたい話だが、ここは私の知っている世界ではないようだ。

「それでハマーン、私は学校に行く準備をしなければならない。お前がいると着替えにくいのだが…」

「!! この俗物が!!」

何故かハマーンは近くにあったハロぬいぐるみを私の顔へとぶつけ、部屋を出ていった。

「…」

とりあえず、数日いろいろ過ごしてみよう。

まず、自分の部屋を探索してみる。

見たところ、ハロのぬいぐるみ以外はサボテンが花をつけていることくらいしか気にならなかった。

一応、ベッドの下を確認したところ、当然のごとく18禁の本が置いてあって健全であった。

今度は机の当たりを見てみるが、特に変わったところはない。通信機の類も、軍事関係の者は何一つない。

ただ、机の上にはハマーンと一緒に写っている写真が置いてある。

…その裏にはララァの写真があった。

「…まさかララァもいるのか?」

ララァがいてもおかしくはない。だとしたらアムロ・レイ、奴もこの世界にいるのかもしれない。

私の最後の記憶では、アムロ・レイと自分は一緒にいた。

「…ややこしくなってきたな」

最後に、テレビの方を見ると、一台のゲーム機がテレビに繋がっていた。

テレビゲームなど、私には全く縁のないものだ。ほとんどやったことはなかった。

ただ、そのゲーム機に書いてある文字だけは気になった。

「GUNDAM…!!」

私がそのゲーム機に触る瞬間、廊下から怒鳴り声が聞こえてきた。

「兄さん! いつまでハマーンさんを待たせるの!?」

「アルテイシアか!?」

私は驚きを隠せなかったが、このままでは妹にさらに怒られてしまう。

「すまない。着替えに手間取っていた」

私はハンガーにかけてある制服をとり、カバンを持った。

確かハマーンは私が今日高校3年生になると言っていた。

つまり、始業式に違いない。ならば、かばんの中身を変える必要はない。

私は、そう論理的に考えてリビングへと向かう。

それにしても…制服姿が意外に似合う。顔が若返っているからか。

「ハマーンさん、遅刻するからって先に行きましたよ。私ももう行きますから、戸締りきちんとして下さいよ」

アルテイシアが私にそう言い、先に出ていく。

「ああ。悪かった」

ハマーンの奴、少しくらい待ってくれてもいいとは思うのだが。

まぁあいつと登校しても仲良くはいかない気がするが…

私は、とりあえず出来るだけ急いで食事をとり、学校へと行くことにする。

家を出て鍵を閉めるが、ここで重大なことに気が付いた。

ニュータイプ高校ってどこにあるのだろう?

私はとりあえず前を歩く人に訊くことにした。

「すまない。少しいいかな?」

「あ、どうか…ってシャアじゃないか!」

「アムロ!!」

あまりに焦って気が付かなかったのか、あの天然パーマの後ろ姿は明らかにアムロ・レイではないか!

これも何かの縁なのかもしれない。

「シャア貴様! 昨日途中でオフラインにしただろ!」

「何のことだ」

「とぼけるな! GUNDAMのことだ! 折角あと少しでアクシズの落下が止まって俺の勝ちになりかけたのに…!」

「アクシズの落下だと!? お前一体何を知っている!?」

「シャア…? まさかお前…」

アムロが困惑した顔をする。

それも当然だ。冷静になって考えてみよう。

GUNDAMというのは、先ほど家にあったゲーム機のことで、オフラインということは、おそらく昨日私とアムロはオンラインでゲームをしていた。

そして、そのゲーム内容がアクシズの落下についてなのだろう。

だが、いくらなんでもそんな偶然が…

「お前も宇宙世紀から来たのか」

「!!」

「実は今、新世紀0078という暦でな…宇宙世紀じゃないんだここは」

「アムロ…まさかお前も…?」

「ああ。とりあえずここじゃなんだ。もう少し人気のいないところに行こう」

私はその言葉に頷き、アムロに付いていった。

「ここならいいだろう」

「それで」

「俺もお前と同じなんだ。この世界に突然飛ばされた。あのアクシズの後だ。ただ、もう1年も前の話だ」

「1年前…だと?」

「ああ」

つまり、アムロはすでにこの世界に1年滞在していたということになる。

「何か分かったのか?」

「いや…ただ、この世界は俺達のいた世界に比べてかなり平和だ。戦争なんてないしな」

「戦争が無い世界…?」

「俺にも想像がつかない世界だったよ…だが人は代わりにGUNDAMというゲームで戦争をしている」

「あれが…か」

「それがまぁこの世界と俺達の世界を何らかの形で結んでいる…のかもしれない」

「そうか…いろいろ確かめる必要があるな」

「その必要は無いかもしれないな」

だが、そのとき後ろから誰かの声がした。

「付けられていたのか!?」

「迂闊だった…」

アムロとシャアは付けていた男を見る。

男は自分たちと同じ制服を着ており、さらに自分たちと同じ3年生だった。

「よっ。はじめまして…だよな」

男は茶色く長い髪をしており、さらには美形であった。

「君は一体…」

私もアムロも知らない人間であったので、質問をする。

「俺の名前はロックオン・ストラトス。ソレスタルビーイングのガンダムマイスターだ。って言っても、分からんだろうなぁ」

男は少し溜息を吐いて頭を掻いた。

「実は俺もアンタ達と同じでな、元いた世界からこっちに来たんだ。もっとも、元いた世界で死んじまったんだがな…」

「君もか!?」

「アムロ・レイ。実は去年から俺はアンタのこと怪しいと思って狙ってたんだ。でも中々尻尾が出なくてな。ま、つまりはアンタが俺と同じ境遇だったら情報を得ようと思った訳だ」

「なるほど…だから君は俺を…」

「そういうこと。悪いがさっきの会話を盗み聞きしちまったからな、俺も話すぜ。俺は宇宙世紀じゃ無く、西暦っていう世界から来たんだ」

「西暦…聞いたことないな」

アムロも私もこの男とは関わりをもったことが無いのは、違う世界から来たからなのだろう。

だとすると、私たちと彼の他にも同じ境遇の人間がいるかもしれない。

「で、アンタらはこの世界に来る前に何か願ったり考えたか?」

「え?」

「どういうことだ?」

「実はこの世界、俺たちが願ったり考えたりした世界を表しているんじゃないか、っていうことだ」

「何だと!?」

ロックオンの発言に私もアムロも再び驚く。

「いや、あくまでもこれは俺の考えだ。一応俺はこの世界に2年いる。アンタらより長い分、考える時間が長かった故の仮説だ。アンタらも自分のいる世界に変革を望んでいたり、少なからず不満を抱いたりしていたんじゃないか?」

「…正しいな」

「シャアは不満だったかもしれないが、俺は確かに変えようとはしていたかもしれない。人間自身を、だが」

「そこでだ」

ロックオンが真面目な顔で近寄ってくる。

「俺達はこの世界で何をすべきだと思う?」

「「何?」」

「確かにこの世界は快適だし、今のところ不満はない。だが、元いた世界のことを考えると心が苦しくなる。これは逃げているんじゃないか…とかな」

「でも君はすでにその世界では死んでいるんだろう? ならどうしようもないじゃないか」

「そうなんだがな…」

ロックオンは置いていったマイスターたちやフェルト、CBの仲間たちが気になってしょうがないようだ。

アムロはあまり気になっていないようだが。

「俺は自分のやるべきことは果たした。後は個人に任せるさ。さすがに全人類の面倒は見きれないさ…」

アムロは肩を竦める。確かにあのとき世界に人の心の光は見せた。

ならば、後はそれを見て世界が、人類がどうするかだ。

「まぁそこのところについては人それぞれだからいいんだけどな。アンタはどうするんだ?」

「そうだな…」

私は考える。私がこの世界で何をするかを…そして一つの結論に至る。

「私は見極める。この世界を」

「シャア…」

「そして、必要ならばまた全人類を粛正する」

「ははは、アンタ元いた世界で凄いエゴなことやってたんだな」

「おいロックオン君。笑い事じゃないぞ。シャアは本気でやりかねないからな」

「いや、そうはならないさ…この世界はな」

ロックオンは笑いを止めてシャアを見る。

「まぁとりあえずは普通に過ごしてみるさ」

あんな大見得切っていったものの、今の私は何の権力もないし、武器もない。

それに戦争が全くなく、地球を食いつぶさない世界ならば、する必要もない。

だから見極めるのだ。この世界を。

…というかすでにハマーンとあんなやり取りしている時点で、粛正する気が半減するのだが。

あまりにも平和すぎる。

「で、話は変わるんだが…」

アムロが私とロックオンの二人に話しかけた。

「俺たち、遅刻確定だな」

「あ」

「げっ」

元々遅刻しそうな時間帯に家を出ていたうえ、二人と結構長く話しこんでしまった。

これは明らかにアウトコースだ。

「急げ!!」

3人は走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

「申し訳ない、遅刻をした」

「僕たちの言い分も聞いて下さい!」

「敢えて言おう、カスであると」

遅刻にも厳しいギレンであった。

 

説明
宇宙暦0093.シャアはアクシズの光に包まれ意識を失った。だが、気がつくとシャアは見知らぬ世界にいた!その世界は、歴代のガンダムのキャラクターたちが学園を中心に生活している世界だったのだ!シリアス成分は少な目で、ほぼギャグのバカコメディ。キャラ崩壊なんて日常茶飯事!作品は1stなどの宇宙世紀作品を始め、平成4作品とSEEDや00などオールです。<>内に主な登場作品を記載しています。
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コメント
こう言う小説をみてみたかったんですよぉ!(駆蘭)
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