魔法少女リリカルなのはA's00〜とある日常〜(仮)−−01 刹那・F・セイエイ−−
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−−刹那・F・セイエイ−−

 

12月初旬。朝日の昇りきらない薄暗い空。

時刻は午前5時。

「……朝か」

癖のある黒髪に褐色の肌、歳のころ16,7の少年が目を覚ました。

冬場の朝となれば寒く、普通は温かい布団から起きるのは億劫に思うものだが、少年はそんな感じも微塵も出さずにベッドから出て、昨夜就寝につく前に椅子に掛けておいた上下紺のジャージを手早く着る。

単に目覚めがいいのか、それとも別の要因があるのか定かではないが、少年は日課……というよりは趣味である筋力トレーニングを始める。

 

少年の名は、刹那・F・セイエイ。

中東出身であるが、ワケあって今はここ……日本の海鳴市内のマンションの一室を借りて住んでいる。

海鳴市内でも高級物件に入るであろうこのマンションに、たかだか16,7の少年が借りられるとは思えないのだがこれにも訳がある。

春先に起きた【事件】をきっかけに出会った者達の協力により一室を借りることが出来たのだ。

 

筋力トレーニングを終え、着替えを持って浴室へ向かう。

汗を流しにシャワーを浴びるためである。

一通り汗を流し、浴室を出て玄関へ新聞を取りに行く。

毎朝、新聞に目を通すことも日課の一つである。

国内情勢は勿論だが、海外に関する記事は入念に読む。

リビングのソファーに座り新聞を読んでいると背後から声をかけられた。

「刹那、おはよう」

声のする方へ振り向くと、金の髪に赤い瞳の少女と少女の足元に一匹の子犬。

オレンジの毛並みと額に赤い宝石……と少々変わった子犬である。

「ああ。起きたか、フェイト。アルフ」

 

少女の名は、フェイト・テスタロッサ。

子犬の名は、アルフ。

春先の【事件】で出会った者達で同居人達である。

本来なら彼女たちとは同居するはずではなかったのだが、部屋の広さと刹那に部屋を割り当てた人物によって同居することになってしまったのだ。

 

「ふわぁ〜〜〜よく寝た。おはよう、刹那」

フェイトに続き、欠伸をしながらアルフも挨拶をする。

子犬が喋るなど前代未聞だが、刹那もフェイトも特段気にしていない。

というよりも、二人にとってアルフが喋ることは可笑しなことではない。

アルフはフェイトの【使い魔】と呼ばれるものである。

昔、フェイトが瀕死のアルフを拾い、契約を行ったことでアルフは一命を取り留めた。

以後、彼女の使い魔として支えている。

そう、フェイトは【魔法】が使える。無論、アルフも。

刹那も使えるが、彼女達とは若干異なる。

魔法などお伽噺話の類、この地球にあるはずもない。

そう思うのが普通であるが、フェイトもアルフも地球とは異なる世界の生まれであり、生まれた時から魔法が身近にあった。

では、地球出身である刹那が何故魔法を使えるのか?

刹那は地球出身だが【ここ】とは違う地球……所謂、平行世界の地球出身であることが要因の一つだろう。

春先の【事件】の際に、何らかの事故によりこちら側へ来てしまったのだ。

何とも奇妙な話だが、ここに住んでいるのは異世界出身者同士である。

 

「さて、食事の準備でもするかね」

子犬から女性の姿へ変えながらアルフが言う。

かつて、フェイトの家庭教師から一通り教わったため、食事や洗濯等の家事はアルフが中心に行っている。

「手伝おう。フェイト、顔を洗って支度を整えてこい」

新聞を折りたたんで、リビングのテーブルに置く。

刹那自身、料理は出来ないが何もせず座って待っているのも気が引けるのか手伝うと申し出た。

食器出しなどの簡単な作業なら出来るし、その方が早く済むと思ったのだろう。

「うん。わかった」

踵を返し、パタパタと洗面所へ向かうフェイトを確認してから、アルフと共にキッチンへ向かう。

ここで暮らし始めてまだ一週間。だが、各々慣れた感じである。

 

「刹那、なんか食べたい物ある?」

「特にはない」

尋ねるアルフに、そっけなく答える刹那。

別に二人の仲が悪いわけではなく、刹那という人間がこうなのだ。

「アンタ、いつもそれだね。好きな食べ物ってないの?」

「食えれば文句は言わない。強いて言えば、即座にカロリー摂取が出来るカロ……」

「はいはい。今日はちょっと遅いし、トーストにベーコンエッグ、サラダでいっか。

土曜日でフェイトの学校も半日だから、お弁当を用意する必要もないし」

「お前はそれで足りるのか?」

以前、ここで暮らす前にも彼女達と食事をともにしたことがあったが、少食のフェイトに比べ、アルフはかなり食べる。

それゆえに、刹那はアルフに確認したのだ。

「子犬フォームは燃費がいいからね。大丈夫だよ」

「そうか」

「そんじゃ、始めますか。刹那はトーストを頼むよ」

「わかった」

 

いつもどおり、刹那の正面にフェイトが座り。

フェイトの隣にアルフが座る。

「いただきます」

テーブルに並べられた朝食を前に食事前の挨拶をする。

適当に千切ったレタスにキャベツ。きれいに切り揃えられたキュウリとトマト。千切りの人参。

簡単なサラダ盛り付け。

各々にトーストとベーコンエッグ、牛乳。

刹那とアルフはトースト2枚。フェイトは1枚。

元々口数の少ない刹那とフェイト、和気藹藹とは言えないが、他愛のない話を交えつつ朝食の時間は過ぎていく。

 

「フェイト、そろそろ時間ではないか?」

「うん」

朝食を済ませ少しのんびりしていると、刹那が白い制服を身に纏ったフェイトに声をかけた。

「準備はできているのか?」

「大丈夫。昨日のうちに済ませてあるから」

「そうか」

鞄とコートを取りに自室へ向かうフェイト。

フェイトはこれから学校へ登校する。

私立聖祥大附属小学校。

そこの三年生。つい先日、転校生として入学したばかり。

白い制服の上に薄い茶色のコートを羽織って鞄を持ったフェイトが自室から出てきて玄関へ向かう。

「刹那、アルフ。行ってきます」

「いってらっしゃい。フェイト」

「気をつけてな」

笑顔のフェイトに、やはり笑顔で答えるアルフ。

かたや刹那は無表情で見送る。

 

フェイトを見送った後、リビングで読みかけの新聞を読み始める。

こちら側は、あちら側の地球と違い大規模な紛争はないようで少し安堵する。

もっとも、あったとしても一人ではどうすることも出来ないし、するつもりもない。

 

紛争……刹那は元の世界であらゆる紛争に対して【武力介入】を行っていた。

【ソレスタルビーイング】。戦争根絶を掲げる私設武装組織。

全高約18mの人型の機動兵器、通称((MS|モビルスーツ))。

従来のMSとは比較にならない高性能のMS【ガンダム】を所有し、その((操縦者|パイロット))を【ガンダムマイスター】と呼ぶ。

刹那はガンダムマイスターの一人であり、【ガンダムエクシア】と共に最前線で戦い続けた。

武力介入を繰り返した結果、世界は国連軍を組織し、ソレスタルビーイングは国連軍の苛烈な攻撃により壊滅状態へ追い込まれた。

戦争根絶を掲げ世界を一つへ。

皮肉にも『ソレスタルビーイングを倒す』という意志で世界は一つになった。

 

最後の戦い。

漆黒のMSと相討ちになった際、相手の機体の爆発により目の前が真っ白になった。

そこまでは覚えている。

気がつけば地球にいた。

……おかしい。自分は宇宙にいた筈なのに。

ガンダムといえど損傷した状態で、しかも自分は気を失って機体制御をしていない。

そんな状態で大気圏を突破できるとは思えない。

何より、自分の周囲にガンダムがなかったのだ。

ガンダムから放り出されたのか……ありえない。

それならば、自分は生きてはいない。

それに、周囲に被害もない。

ガンダムが地球へ落下したのであれば、地表とガンダムの衝突で大なり小なり被害が出るはず。

その被害すらない。

自分が違う地球へ来たと気付くまで、それほど時間はかからなかった。

 

物思いに耽っていたようだ。時間が迫っている。

刹那はこれからアルバイトへ向かう。

フェイトと違い学校へ通っていないため、日中はすることがない。

それに、いくら『家賃を含め全てこちらで負担する』と言われても、何でもかんでも甘えるわけにはいかない。

せめて食費や自分が揃えたい物については最低限自分で稼ぐ。

そんな思いで慣れないアルバイトは始めた。

「アルフ、俺もそろそろ出る。後のことは任せた。施錠だけはしっかり頼む」

「はいよ、いってらっしゃい」

グレーの長ズボン。白いシャツの上に深い青色の長袖。

そして、赤いマフラーを首に捲いて出ていく。

 

行先はマンションからさほど遠くない市内の商店街。

その真ん中にある喫茶店【((翠屋|みどりや))】

ここのウェイターとして雇ってもらっている。

翠屋はフェイトの友人、高町なのはの両親が経営している。

正直、刹那の人間性を考えると接客業に向いているとはお世辞にも言えない。

だが、愛娘の友達であるフェイトとその保護責任者の頼みを無碍に出来なかった。

何より、愛娘がフェイトと一緒に刹那と楽しそうに(刹那は無表情だが)話をしている姿を見て、少なくとも信頼できる人間だと、なのはの父士郎は思った。

「おはよう、刹那君。今日もよろしくね」

「ああ」

なのはの母、桃子が笑顔で声をかけるが、刹那は相変わらず無表情で淡々としている。

士郎は苦笑しつつも開店の準備を進める。

 

喫茶【翠屋】

ケーキを中心としたスイーツと自家焙煎のコーヒー。

商店街では有名な喫茶店で、駅前の商店街という立地条件もあって、学校帰りの若い女性客が多い。

今日は土曜日で午前で授業が終わった女子生徒を中心に賑わっていた。

上着を脱ぎ、白いシャツの上から黒いエプロンを身につけ、ウェイターとして注文されたケーキや紅茶をテーブルへ運ぶ刹那。

「注文の品だ」

客に対してまで無愛想な刹那。

自分たちへはともかく、せめて客には少しは愛想よくして欲しいと思う士郎。

いつかクレームが出るのではないかと、内心ヒヤヒヤしていた。

だが、女性客は気にするどころか、それが逆に『イイ』と言っている様だ。

まだ幼さが残るが、刹那は整端な顔立ちをしている。

刹那の外見から、愛想よくされるよりも多少冷たくされる方が、女性受けはいいようだ。

現に、刹那が働き始めてから高校生を中心に若い女性客の来店が増えたのも確かだ。

 

正午を過ぎ、流石に昼食にケーキとコーヒーという客もおらず、来客数も一旦落ち着いてきた頃、入口の方から元気な声が聞こえてきた。

「お父さん、お母さん。ただいま!」

栗色の髪を頭の左右で結った少女。

士郎と桃子の愛娘。高町家の末っ子、高町なのはだ。

「こ、こんにちは。お邪魔します」

なのはに続いて申し訳なさそうに入ってきたのはフェイト。

「「お邪魔します」」

その次に入ってきたのは深い紫の髪の少女、月村すずか。

フェイトと同じく金の髪の少女、アリサ・バニングス。

「おかえり、なのは。フェイトちゃん達もいらっしゃい」

桃子が笑顔で出迎える。

「えへへ。あ、こんにちは。刹那君」

「こんにちは、刹那さん」

「お仕事、お疲れさまです」

「お疲れさま……刹那」

なのは達が刹那に声をかける。

「ああ」

相変わらず淡々とした刹那に、苦笑いのすずかとアリサ。

刹那の態度に慣れているのか、なのははにゃははと笑い。

なのはと同じく慣れているフェイトは、微笑んでいた。

 

なのはと出会ったのは、フェイトと出会ったのと同時期。

やはり春先の【事件】絡みである。

【ジュエルシード事件】。

【ジュエルシード】と呼ばれる物を巡って、なのはとフェイトは幾度となく戦った。

刹那は直接戦ってはいないが、フェイトと同等の力を持ち、意志の強い少女であることは確かだった。

なのはも【魔法】を使用できる【魔導師】だ。

この場でなのはが【魔導師】である事を知っているのは刹那とフェイトだけだ。

なのはは家族やすずか、アリサにこの事実を打ち明けてはいない。

いずれ、なのは自身が話すだろう。

だから、刹那からは何も言わない。

 

「なのは、奥にお昼の用意をしてあるから。食べていきなさい。フェイトちゃん達もどうぞ」

「うん、わかった」

「え、いいんですか?」

「もちろん!」

「それなら、お言葉に甘えます。あっ、アルフに連絡しなきゃ」

桃子がなのは達に昼食を促していると、士郎が刹那に声をかけた。

「刹那君も一緒に食べてきなさい」

「いいのか?まだ、休憩時間ではないが……」

「大丈夫だよ。お客の数も落ち着いているし、もうすぐ美由希も来るしね」

美由希はなのはの姉で、学校が終わると店の手伝いをしている。

また、兄恭也から剣術を教わっているそうだ。

「……わかった」

少し思案したあとエプロンを外し、なのは達の後をついて行く。

 

「刹那君と一緒のお食事は、久しぶりだね」

なのはがニコニコしながら、刹那の方を振り返って話しかける。

「私たちは初めてね。ね、すずか」

「うん」

アリサとすずかは多少緊張しているようである。

 

奥の間で昼食をとる少女4人と無表情の少年。

なのはとアリサが良く喋り、フェイトとすずかも時折会話に交じりながら、楽しく食卓を囲む。

年頃の男子ならば羨ましがる状況だろう。

しかも、少女4人は美少女とも言える。

だがそんな状況でも刹那は気にもせず、ごく稀に相槌をつく程度。

活発なアリサにとって、刹那の反応はいささか不満ではあるが、折角の楽しい時間を台無しにするつもりはなく口には出さない。

それに、これが刹那という人間なのだと思う事にした。

 

昼食を終え、なのは達は家で遊ぶからと実家へ向かい、刹那は引き続き仕事に専念した。

 

夕方、午後6時30分。

日も完全に沈み、客足もまばらになって、手持無沙汰の時間が多くなってくる時間帯。

店内の様子を見て士郎が僅かに頷くと、

「刹那君。今日は、もうあがっていいよ」

「そうか。なら、先にあがらせてもらおう」

エプロンを外し士郎に渡すと「お疲れ様」と労いの声をかける。

桃子も刹那に労いの声をかける。

「お疲れ様、刹那君。明日もよろしくね」

「ああ。失礼する」

二人を正面に見据えて、しっかりとした口調で返答し、翠屋をあとにする。

 

刹那の姿が見えなくなると、

「しかし、彼のコミュニケーションはもう少し何とかならいかな」

ふぅと士郎がため息をつきつつ、ポロリとこぼす

「そうね。でも、素直でいい子よ」

と、桃子が笑顔で答える。

 

寒空のなか、帰路につく刹那。

歩みを止め、ふと空を見上げると数多の星が輝きを放っている。

宇宙に出れば星などいくらでも見ることができる。

さらに、余計な光がないため、地上から見るよりもその輝きは強く美しい。

「……」

何か思うところがあるのか、暫く星を見つめていた。

「……帰るか」

歩みを再開し、先ほどよりも速度を上げて帰路につく。

 

「戻った」

マンションの玄関ドアを開け、靴を脱ぎリビングへ向かう。

「おかえり、刹那」

「おかえり〜」

フェイトとアルフが出迎える。

マフラーを外し、適当にソファーへ置く。

「行くぞ」

「うん」

「はいよ」

帰ってきたばかりで、一体何処へ行くというのか。

だが、フェイトもアルフも分かっているため、刹那のあとをついて行く。

 

刹那達が借りている部屋の1階上の部屋。

そこのベルを鳴らすと

『はいは〜い』

と、活発そうな女の子の声がインターフォンから聞こえてきた。

「こんばんは。エイミィ」

ガチャっとドアが開くとエイミィと呼ばれた女の子が出てきた。

「三人ともいらっしゃい。待ってたよ」

「やっ!」

「失礼する」

「どうぞ、どうぞ」

エイミィは三人を招き入れた。

 

リビングへ向かうと碧の髪の女性と刹那と同じ黒髪の少年がソファーに座って待っていた。

「こんばんは。フェイトさん」

「こんばんは。リンディて……リンディさん」

リンディと呼ばれた女性は、言い直したフェイトにクスリと笑った。

リンディ・ハラオウン。

フェイトの保護責任者であり、刹那達に部屋を割り当てた本人。

「いらっしゃい。フェイト、アルフ、刹那」

「お、クロノ」

「ああ」

クロノと呼ばれた少年が、ソファーから立ち上がって刹那達に声をかける。

彼はリンディの息子である。

「今日は、お鍋だよ!」

エイミィがキッチンのテーブルに少し大きな土鍋を置きながら、皆に声をかける。

そう、刹那達は毎日、夕食の時はこうして集まって食事をするのだ。

 

リンディ・ハラオウン。

クロノ・ハラオウン。

エイミィ・リミエッタ。

この三人も【ジュエルシード事件】で知り合った者達だ。

【時空管理局】。

次元世界を管理する司法機関。それが、三人が所属する組織の名前である。

【魔法】が未発達の地球は管理外であるが、管理外世界であっても【魔法】や【((古代遺失物|ロストロギア))】が使用された場合は別である。

そして、【ジュエルシード】が【古代遺失物ロストロギア】に該当する。

【ジュエルシード】はユーノ・スクライアという少年によって発掘され、移送中の事故でこの地球に散らばってしまった。

なのははユーノと【魔法】に出会い、散らばってしまった【ジュエルシード】の回収の手伝いを。

フェイトは母親の為に。

なのはとフェイト、それぞれの思いを胸に何度も戦った。

【ジュエルシード事件】は、フェイトにとって悲しい結末を迎えた。

母プレシア・テスタロッサに見放され、再び会う事は叶わない。

それでも、悲しいことばかりではない。

なのはやすずか、アリサと友達になり。

リンディから養子の話もある。

フェイト自身の心の整理はまだつかないだろうが、暗い未来ではない。

 

フェイトとアルフは事件後に管理局の嘱託魔導師となった。

刹那は管理局には入らず、民間協力者として力を貸している。

刹那がバイトをしているのもこの辺りが要因の一ついえる。

『管理局が全て負担する』と言っても、自分は管理局に属していないからだ。

貸しをあまり作りたくないのだろう。

 

では、事件が終わったにも関わらず、何故管理局員が地球に住んでいるのか。

それは、ここ最近地球を中心に魔導師が襲われる事件が多発しているためだ。

そして、つい先日なのはが襲われた。

赤い服の勝気な少女。

桃色の髪の凛とした女剣士。

アルフ同様の獣の耳と尻尾を持った男。

現場に着いた時点でなのははだいぶ消耗していた。

間一髪といったところだった。

だが、【結界】を破壊するために、なのはが魔法を放つ瞬間、リンカーコアから魔力を蒐集されてしまった。

詳しくは分からないが、【闇の書】というロストロギアが絡んでいるそうだ。

【闇の書】の魔力蒐集は一人につき一度きり。

再びなのはが襲われる可能性は低いが、事件調査と対応。そして、なのはの護衛ということで現在このマンションを拠点としている。

 

マンションの広さを考えると、多少窮屈かもしれないが6人でも生活できないこともないが、もう一室借りることが決まった。

割り当てとして、男女別になるのが妥当なのだろうが、刹那とクロノの二人だと家事に問題がありそうだということ。

リンディとクロノは親子だから一緒の方がいいだろうと。

そんな、あれこれと理由をつけられてフェイトとアルフの三人で同居するに至った。

 

夕食を終え、【闇の書】への対応。今後の捜査方針を話合う。

午後9時を回ったところで、今日はお開きとなった。

 

「ただいま」

「……」

部屋へ戻った時、フェイトが口にした。

部屋の住人はこの場に一緒にいる。

フェイトは居ようと居まいと必ず言う。

刹那は無言。

そもそも外出から帰っても「ただいま」とは言わない。

刹那の今帰る場所は確かに【ここ】だが【ここ】ではない。

自分は、本来この世界に存在しない。

もっと言えば、この世界に関わる事象に存在してはならないのだろう。

いずれは元の世界へ戻り、自分達が変えた世界がどうなったのか、この目で確認しなければならない。

 

夜は更けていく……。

これは、限りなく無いに等しい可能性……IFの一つ。

刹那・F・セイエイの一日。

 

 

 

 

 

 

 

 

「待っていろ。お前の不安、俺が取り除いてやる」

「パパ?」

「刹那君!?」

「刹那!」

「ダブルオーライザー、刹那・F・セイエイ。【ゆりかご】を破壊する!!」

これも可能性の一つ。未来の姿。

説明
魔法少女の世界へ飛ばされた、ガンダムマイスター刹那・F・セイエイと魔法少女達のとある一日。魔法少女リリカルなのはA'sと機動戦士ガンダム00のクロスオーバー作品……などという大それたものではなく、物書き未経験の素人による処女作で駄文です。読みづらい、誤字脱字等の至らないところが多々あると思います。
作者の原作知識は、それほど高くありません。
また、オリジナル設定が含まれておりますので、原作を大切にされている方はご注意ください。
コメント欄にはご自由にお書きください。
注)本小説は、某サイトにて投稿していたものを移したものです。
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コメント
・・・・・・・・・・・マジかぁああああああああ!!?(アサシン)
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