IS〜彷徨いし剣の担い手〜コーチが決定、さあ特訓だ |
6話:コーチが決定、さあ明日から特訓だ。
ICHIKA:SIDE
入学式の翌日、俺は早朝に自宅を出てIS学園の食堂に居た。
「はあ、まさか前倒しになるなんてな。」
昨日の山田先生の電話は、俺の学生寮に入るのが前倒しになったと言う連絡だったのか……話を聞いた時すでに自宅側だったので昨日は自宅に泊ったんだよな。
「どうしたの?」
「おりむー、おはよう。」
簪と布仏さんが朝食を乗せたトレーを持って俺が居るテーブルにやって来た。因みに俺は軽めの朝食(白飯、豆腐の味噌汁、焼き魚、卵焼き、焼のり)を食べている。やっぱり朝は和食が一番だな。
「いや、実はな……」
学生寮に入るのが前倒しになった事を言うと2人とも驚いていた。
「じゃあ、おりむーは誰かと一緒の部屋になるの?」
「どうなるんだろう?そう言えばそこは聞いてない。」
部屋の鍵は後で渡すって言われたからな。これは相部屋とかも覚悟しておいた方が良いかな?……頼む、1人部屋、1人部屋を頼む。
・・・・
・・・
・・
・
「ところで織斑、お前のISだが準備まで時間がかかるそうだ。」
授業が終わった後に千冬姉からいきなりそう言われた。
「いきなり言われても訳が分かりません。」
「『鴻上ファウンデーション』から連絡が来てな、お前の専用機の調整が遅れているらしい。」
この言葉に辺りがざわめくがそこは無視、それよりも気になる事を聞いて見る事にする。
「遅れるって……1週間後には間に合いますか?」
「それは分からん。」
実は金髪さんとの口論の末に1週間後に『クラス代表』を決めるISバトルを行う事になっている、間に合わなかったら量産機で戦うしかなくなるぞ?
「織斑先生、質問なんですけど……」
「なんだ?」
「『鴻上ファウンデーション』って|あの(・・)「『鴻上ファウンデーション』ですか?」
ここで鴻上ファウンデーションについて説明しよう。
鴻上ファウンデーションは日本では知らない人がいないと言っても良いぐらいの大企業でその影響力は諸外国も無視できないほどのものだ。それに様々な事業に投資もしている。IS業界の参入では遅れを取ったと言われるが、日本に在る『倉持技研』と同等と言われる技術力を持ちIS業界でのシュアは世界第5位の位置に立つと言われている。
―――――その他にも別の顔を持つのだがそれは世間の大部分には知られていない―――――。
俺が知ったのも偶然に近いが、その時に『困ったら力になろう。』と言われ、頼ったら『鴻上ファウンデーション所属のテストパイロット』の地位を用意してくれ各国の圧力を排除してもらったなど色々と世話になっている。
「そうだ。織斑は『鴻上ファウンデーション所属のテストパイロット』として企業から専用機を与えられる。」
その言葉に辺りから驚きの声があがる。
「せ、専用機!?」
「1年生のこの時期にですか!?」
「ああ〜いいなぁ……。」
周りから羨望の声があがる中でそれとは別の感情が籠った声が響く。
「安心しましたわ、まさか訓練機で戦うなんて馬鹿な真似をするつもりかと思いましたけどしっかりと準備されているのですね。」
腰に手を当てて金髪さんが此方にやって来た。
「まあ、勝負は見えてますけどね。」
「なんでだ?」
いや、なんとなく理由は分かるぞ。それでも聞いておこうと思う。
「このわたくし、セシリア・オルコットはイギリスの代表候補生として専用機を与えられていますの。」
「やっぱりな。」
専用機持ちならあの自身に満ちた態度も頷ける。頷けるんだが、あの発言を聞く限りだとな……イギリスは代表候補生の選考基準をもう少し厳しくするべきだと思う。
「あら、知っていましたの?」
「いや、ぜんぜん。」
正直、ラウズカードの1件で頭がいっぱいだったからな……それさえなければもう少しIS関連の知識を覚えられたな。
「ま、まあ、どちらにしてもこのクラスで代表にふさわしいのはわたくし、セシリア・オルコットであることをお忘れなく。」
そういって立ち去って行ったんだが……その立ち振る舞いがやけにさまになってるんだよな。
・・・・
・・・
・・
・
「……ってことがあったんだよ。」
俺達4人の昼食は布仏さんのこの言葉で始まりました。
因みに4人の昼食の献立は
俺・チャーハン大盛
布仏さん・サンドイッチ
簪・スパゲッティ
オリヴィエ・うな丼
となっている。
「一夏さん、代表候補生を嘗めてるでしょう?」
「そうだよ、幾らなんでもね。」
イタリアと日本の代表候補生から駄目だしを貰っています一夏です。
「そうかな?」
昨日ネットで代表候補生について調べると色々な情報が出てくるわ出てくるわで驚いたがおかげで色々と分かったからよしとする。
「一夏さんはIS戦闘は素人当然でしょう?それは私も似たようなものですけど。」
「そうなの?」
そう言えばオリヴィエと初めて会った時、オリヴィエは考古学を専攻してたっけ……なんでIS操縦者になったんだろう?
「そう言えばかんちゃんは4組のクラス代表になったんだよね。」
「そうなんですか?私は3組のクラス代表になりました。」
3人の会話を聞きながら簪もオリヴィエも2人とも凄いなと思った。ちょっと待てよ……2人に教えてもらえば良くないか?
「2人とも放課後って時間取れる?」
一応、確認してみよう。もし大丈夫だったら頭を下げてでも頼もう。
「一応、取れるけど?」
「国に居た時よりは自由に使えますけど?」
よし、大丈夫っぽい。
「もし2人が良ければ…「ねえ。君って噂のコでしょ?」……どちらさまでしょうか?」
いきなり出鼻を挫かれた。
††††††††††††††††††††††††
KANZASI:SIDE
「ねえ。君って噂のコでしょ?」
「……俺ってどんな噂をされてるんですか?」
3年生の先輩の言葉に戸惑う一夏を見て、知らぬは本人ばかりって言葉を一夏に教えてあげたいと思った私は悪くないと思う。
「代表候補生の子に勝負を挑んだって聞いたけど?」
「そう言う噂ですか……確かに俺の事ですね。」
少し笑いながらそう言うけど……心配は全くしてないんだよね。
「でも君、ISは素人だよね?大丈夫なの?」
「実は凄く不安なんです。」
えっ?実は心配してたの!?一夏は、ISは素人だけど|別の意味(・・・・)で戦闘経験はあるから大丈夫だと思っていた。
「それなら、私が教えてあげようか?」
「それなんですけど……」
「「私が教えるから大丈夫ですよ。」」
気付いたら一夏が口を開くより前に私とオリヴィエ(呼び捨てで良いと言われた)が口をそろえて言っていた。先輩は話の腰を折られたのが不満だったのか私の方に視線を向けた。
「あなた達1年生よね?私の方が上手く教えられると思うけど?」
確かに先輩の言う通りなんだ、普通だったらね。
「大丈夫です、私はイタリアの代表候補生で専用機持ちですから。」
「私も日本の代表候補生で専用機も持ってるから……」
生憎だけど私達は『代表候補生で専用機持ち』と言うアドバンテージが有る。
「そ、そう。それなら仕方ないけど君はどうなのかな?」
「俺は2人が良ければ教えてほしいと頼もうとしていたので気持ちはありがたいのですが……」
一夏がそう言った瞬間、私達の方に突き刺すような視線を感じた。気付かないふりをしてそちらの方に視線を向けると私と同じ1年生の女子が此方を睨んでいた。
「そっか、じゃあ頑張ってね。」
一方、3年生の先輩は納得したのか一夏に励ましの言葉をかけて私達から離れて行った。
††††††††††††††††††††††††
ICHIKA:SIDE
先輩は優しい人が多いんだなと思いながら俺は改めて簪とオリヴィエに頭を下げて頼みこんだ。
「そう言う訳で俺にISについて教えて下さい。」
そう言った瞬間、俺に向かって突き刺すような視線を感じた。
「喜んで。」
「頑張るよ。」
3人とも気付いたみたいだが殺気がなかったので無視する事にしたようだ。まあ今は、それよりも2人からの承諾の言葉が聞けて良かったと思う。
「それで何時から始めますか?」
「明日からで大丈夫か?」
本当なら今日から教えてほしいけど寮の部屋の事や荷物の整理とかしたいしな。
「どうして明日からなの?」
「今日は荷物の点検をしたいんだ、それと部屋の整理。」
理由を言ったら納得してくれたから良かったよ。
「部屋が決まったら教えてね。」
「了解。」
さて、午後からの授業を頑張るとしますか。
・・・・
・・・
・・
・
午後も授業をなんとか乗りきった俺は千冬姉から俺の荷物と部屋の鍵を渡されこれから世話になる寮の部屋へと歩いていた。
「部屋の番号は……1030号室か。」
鍵についてあった番号と部屋のドアについている番号札を見比べながら目的地、1030号室のドアの前へと辿り着く。
「鍵は・・・閉まってるな。ノックぐらいはするかな。」
中に誰かいたら(可能性は低いだろうけど。)拙いからな、念のためにとノックしてみたが反応はなかった。
「反応がないって事は……1人部屋か?」
それだったら気楽に出来るなと思いながらドアを開け、中へと入る。
「……倉庫?」
部屋に入ってそう口にした俺は決して悪くは無い。何故なら、目の前には本、本、本ととにかく本が塔や山を作っていたのだから。
「部屋を間違えたか?ってちょっと待て!?」
本の山から腕や足が出てる!?触ってみたら造り物じゃないし……ってちょっと待てよ!?
「埋まってる?埋まってるのか!?」
慌てて本の山をどかして行くと……凄―く見覚えのあるって言うか昼食を食べ終えて、食堂で別れた人がいました。
「なんでオリヴィエが埋まってるんだ?」
取りあえず話を聞くか。
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ORIVIE:SIDE
本の雪崩で埋まっていた私は同室になった一夏と一夏が呼んだ簪の2人に助けられました。
「それでこうなってるの?」
「はい。」
呆れている簪と本の山を整理する一夏を見ながらどうしようかなと考えていた。
「国に送り返せよ。」
「そんな!!読んでない本も結構有るのに酷いよ。」
「俺の寝る場所がないだろう!」
一夏の言葉に真っ先に反論するけど、一夏の言う事は正論・・・困ったな。
「大丈夫。私のベット貸すから、それだけは許して。」
「そういう話じゃないだけど!?」
じゃあ、どうすれば納得してくれるのかな?
「とりあえず、『クラス代表決定戦』に向けての対策を始めようか?」
「「賛成」」
ここは簪の言葉を聞いて誤魔化そうと思いました。
『人はそれを現実逃避、または問題の先送りと言う。』
by一夏。
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