魔法少女リリカルなのはA's00〜とある日常〜(仮)−−04 八神はやて−−
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時間軸は「刹那」の前になる、はやて視点です。

−−八神はやて−−

 

いつからだったやろか。

私の足が動かなくなったんは。

よく覚えておらへん。

気がついたら、車椅子の生活やった。

 

いつからだったやろか。

私が一人になってもうたのは。

よくは覚えておらへん。

広い家に一人。

誰もおらへん。

両親も兄妹も。

家族と呼べる人は一人もおらんかった。

あの日までは……。

 

 

海鳴市図書館。

私は本が好きやからよく図書館へ行く。

「う〜ん。やっぱり、届かへんな〜」

足が動かへん私には、踏み台があっても意味があらへん。

棚の高い位置にある本にはどうやっても手が届かへん。

かといって利用者は少ないし、お仕事をしている図書館の人を呼ぶのも気が引けるし……。

諦めようかと思ってたところやった。

「どの本だ?」

「え?」

いきなり、声をかけられた。

横をみると、男の子が立っていた。

黒髪で、日本では珍しい褐色の肌。

「取れないのだろう?」

「あ、えっと……」

「取ってやる。どれだ?」

「じゃあ、そこの青い本をお願いします」

目的の本を指し示す。

無言で手に取り、私に差し出す。

「ありがとうございます」

 

 

男の子が取ってくれた本を持って、棚から離れて二人で座席スペースに移動する。

男の子が座った傍に車椅子を停めて、

「改めて、ありがとうございました」

「ただ、本を取っただけだ。礼はいらない」

何とも無愛想な男の子や。

私より年上みたいやけど。

「足が不自由な様だが……父親か母親と一緒ではないのか?」

「私一人です」

「……職員に頼めばよかったのではないか?」

「お仕事しているのを邪魔しちゃ悪いかな〜って気後れしてしまって」

苦笑しながら言うと、男の子はため息をついた。

「私、八神はやてっていいます」

「……俺は、刹那・F・セイエイ」

「刹那さんは図書館にはどんな用事で?」

「調べ物だ」

「調べ物?」

「ああ。ちょっとな……」

「そうですか。あの……」

「なんだ?」

「えっと、刹那さんは日本人……ではなそうですね」

「中東出身だ」

「そうでしたか」

「……」

「えっと……怒ってます?」

「何故だ?」

「あ、いえ迷惑をかけてしまいましたし」

「俺は怒っていないし、迷惑に感じてもいないが?」

「そ、そうでしたか」

なんや、無愛想というか淡々としているから私の態度に怒ってるんかと心配してもうた。

ホンマは、優しい人なんやね。

 

他愛もない話をしとったら、いつの間にか夕方になってもうた。

そろそろ、家に帰って夕飯の支度をせな。

あ、途中のスーパーで材料を買わな。

「刹那さん。私、そろそろ帰りますね」

「……一人で来ていると言ったな」

「はい」

「父親か母親が迎えに来るのか?」

「いえ……」

「……いないのか?」

「はい……」

「お前も……」

「私も?」

「いや……」

「ひょっとして、刹那さん」

刹那さんもご両親がおらへん?

「……お前が思っているとおりだ」

そっか、刹那さんも両親がおらへんのか。

 

「いつから一人になったのかは覚えていません。この足のことも」

「……」

「でも、家はありますし、財産やら難しいことはお父さんの友人……おじさんがやってくれましたし、援助もしてくれてますから何とか暮らせてます。もっとも、おじさんには一度も会ったことはありませんけど」

苦笑しながら言うと。

「大丈夫なのか?そのおじさんとやらは」

「大丈夫ですよ」

「……」

あ、またため息ついた。

刹那さん、あんまため息をつくと、幸せが逃げてまうで。

「お前、今いくつだ」

「9歳です」

「学校は?」

「休んでます。一人暮らしでしたから」

「そうか……」

「でも最近、家族が増えたんです」

「家族?」

「はい」

そや、一人やった私に【家族】が増えたんや。

 

半年ほど前。

丁度、誕生日の前の日。

いつものようにベッドに横になって、本を読んでいた。

ついつい夢中になって、気がつけば夜中の12時。

6月4日。

自分の誕生日にそれは起きた。

いつからあったかは覚えてない。

本棚に置かれていたその本は、ちょっと変わってた。

茶色で、十字に鎖で縛られた厚みのある本。

その本が急に光だして、浮いたかと思ったら、まるで生きているかのように脈打っていて。

次の瞬間、鎖を千切ってページがパラパラとめくれる。

ありえへん。

本が鎖を千切るなんて。

いや、そもそも光ったり、浮いたりするわけがない。

そこで一回記憶が途絶えた。

 

目が覚めると、病院で石田先生が心配そうに見つめてた。

それから、黒い服?を着た。女の人二人。女の子一人。男の人一人。

というか、男の人には獣の尻尾と耳が?

4人に疑いの眼差しを向ける石田先生を何とか誤魔化す。

桃色の髪の女性は、シグナム。

金髪の女性は、シャマル。

赤い髪の女の子は、ヴィータ。

白髪の男性は、ザフィーラ。

4人の話によると、私は【闇の書】の((主|あるじ))で、自分達は私に仕える【守護騎士】だとか。

闇の書に【魔力】を集めることで、私は【力】を手に入れられるとかなんとか。

でも、それって人様に迷惑がかかるってこと。

だから、4人にはっきりと言った。

「人様に迷惑がかかることしたらあかん。現【闇の書】の主、八神はやては何も望まへん。だから、皆で静かに暮らそ」

4人は、最初は困惑していたけど、次第に慣れていって今では普通に生活しとる。

最近は、皆やりたい事が見つかったみたいで、家に居ることが少なくなった。

少し寂しい気もするんやけど、それでもかまへん。

守護騎士とかいう決められた……縛られた一生よりも、自分で決めた、やりたい事に一生懸命になれる方がずっとええ。

 

「血は繋がっていませんけど、今は5人で暮らしています」

「血が繋がっていないのに……家族?」

「はい。なれますよ家族に」

「そうか……」

「刹那さんは?やっぱり、一人なんですか?」

「いや、一緒に暮らしている者がいる」

「ご家族で?」

「家族とは、違うな」

「そうなんですか?」

「ああ。ちょっとわけありでな。付き合いは、9ヶ月程になるな」

「……ずっと一緒に暮らしているんですか?」

「一緒に暮らし始めたのは((こっち|・・・))に来てからだな。まだ、三日目か。その前も似たようなものだったが」

「一緒に暮らしている人……ちょっと可哀想かも」

「可哀想?……何故だ?」

「だって……」

「?」

「刹那さん、その様子だと「行ってきます」とか「ただいま」って言ったことないんじゃないですか?」

「……そうだな」

「その人は、刹那さんに言って欲しいって思っていると私は思いますよ?」

「そうか?」

「ええ、きっと」

「……」

あ、何かあんま分かってなさそうや。

でも、人様のお((家|うち))の事情にとやかく言うのは失礼やし。

あとは、刹那さん次第やな。

 

「それじゃあ、刹那さん。今日は本当にありがとうございました」

「ああ」

「また、お会い出来たら、その時もお話してください」

「……わかった。八神はやて……だったな」

「はい」

「今度は、普段どおりで構わない」

「え?」

「言葉遣いだ」

「……!」

びっくりや。

もしかして、最初から気づいてたんかな?

「俺の勘違いだったか?」

「いえ。その、よく分かりましたね」

「何となく違和感を感じただけだ」

「そうですか。それなら、次からは」

「ああ」

「それじゃ、今度こそ本当に失礼します」

「ああ」

 

「はやてちゃ〜ん」

図書館を出てスーパーへ向かおうとしたら、金髪の女性が走ってきた。

家族の一人。シャマルや。

「シャマル。迎えに来てくれたんか?」

「はい」

笑顔で答えてくれるシャマル。

やっぱり、家族ってええな。

「シャマル。私、スーパーに行きたいんよ。冷蔵庫の中が、ちょー寂しいみたいやから」

「私も一緒に行きますよ」

「うん」

 

シャマルと一緒にお買い物や。

今日はええことあったし、少しくらい奮発しよかな?

「はやてちゃん。今日は何かいい事でもありました?」

「そう見えるかー?」

「はい。とってもニコニコしてますから」

「実はなー……」

 

さっき、図書館で会った男の子の事をシャマルに話しながらスーパーへ向かう。

刹那さんも家族の良さに、早く気づけるとええな。

 

優しき心が伝えるのは家族の形。

 

 

 

 

 

 

「パパ〜。抱っこ」

「……」

六課で預かることになった子が両腕を上に広げて、刹那君に抱っこをせがんでた。

「パパ?」

「あんまり、刹那君を困らせちゃ駄目だよ」

「ほら、向こうでママ達と一緒にご本を読もう」

その子に困った表情を見せる刹那君と、窘めるなのはちゃんとフェイトちゃん。

「……」

「なんや刹那君、まだ受け入れられへんの?」

「はやて……」

「前に言うたやろ?血が繋がってなくても家族になれるって」

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読了おつかれさまでした。

はやての言葉遣いが、よくわかりません。

説明
魔法少女の世界へ飛ばされた、ガンダムマイスター刹那・F・セイエイと魔法少女達のとある一日。魔法少女リリカルなのはA'sと機動戦士ガンダム00のクロスオーバー作品……などという大それたものではなく、物書き未経験の素人による処女作で駄文です。読みづらい、誤字脱字等の至らないところが多々あると思います。作者の原作知識は、それほど高くありません。また、オリジナル設定が含まれておりますので、原作を大切にされている方はご注意ください。コメント欄にはご自由にお書きください。
注)本小説は、某サイトにて投稿していたものを移したものです。
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