魔法少女リリカルなのは TFG 第8話「初任務」
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きっかけは、リンディさんからの電話だった

トゥルルル

「はい八神ですが?」

「あ、紫苑君?リンディだけど今大丈夫?」

「えぇ、別段急ぎの用事とかは。」

「そう、なら都合がいいわね。これからちょっとした仕事をしてもらいたいの。」

「別に構いませんがまたどうして?」

するとリンディさんはちょっとばつが悪そうな風に

「実はね、あなたを形式的に局員にして私の部下として扱ってたんだけど。それが陸の方にばれちゃって。局員なら仕事しろーって怒られちゃったのよ。」

砕けていってるが、そう軽いモノじゃないだろう・・・

それに本局と地上本部は仲が悪いって前に聞いたような・・・

「そんなわけで、ちょっと簡単な仕事を引き受けてほしいわけなのよ。」

「まぁどの道引き受けるつもりではいましたけど。そういうことならなおさらですね。」

「ありがとうで、今回の仕事なんだけど、先方が一つ条件を付けてきて・・・。」

と、任務の詳細な内容を聞いた

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「そして今俺はとある次元世界で発見されたロストロギアの捜索任務にあたっていたのであった。」

「・・・誰に向かって言ってんだ?」

「気にするな。」

とまぁ行きがけに暇そうにしてたヴィータも巻き込んできたわけだが

条件が誰か一人を連れていくだったからな、仕方ない

「ところでお前、ほんとにその移動法でいいのか?ぶっちゃけかなり疲れんだろ?」

とまぁ大層怪訝そうな顔でこっちを見てくる

「そういうなって、お前らと一緒に行動するにはこれが一番楽なんだからよ。」

そう言いながら飛んでいるヴィータの隣を走りながら苦笑いをする

そう、走りながら(・・・・・)

シグナムとの訓練(という名のイジメ)の過程で俺は「飛べないことはないがものすごく遅い」

ということが判明した

そもそもイメージが大事だとか言われても、自分が空を飛ぶイメージなんてものがホイホイ出てくるはずもない

まぁそんな一般論は、結局のところまったく通じなかったのだが・・・

 

そこで、俺が考えたのがプロテクションを足場にしてそこを走るというやり方だった

当然連続して空間内に足場を出さないといけないので処理が膨大な量になり苦労したが

その辺の処理はナイアがそれを引き受けてくれたため、何とか実用化することができた

ナイア曰く

(―――この位僕にとってはなんてことないよ。)

ということらしい

まぁついでにデバイスのほうも半ば浸食するような形でナイアが管理しているんだけどな

おかげで複雑な変形機構を少ないラグで行使できているんだから文句を言ういわれはない

「しかしこれ、飛べない局員に教えたらかなりいいんだと思うんだが?」

「なーに言ってやがんだよ。大体おめーがそれを使えるのだってその体(なか)にあるもんのおかげだろうが。」

実はあの宴会事件の後俺は自分の中にいるナイアについて八神家のみんなに説明をしていた

その時のみんなの反応がこちらである

「ふ〜ん。なんや、紫苑さんもうちと似たようなもんやったんな〜。」←はやて

「そうか、で?」←シグナム

「・・・それだけ?」←シャマル

「んなことよりゲームしようぜシオン。」←ヴィータ

「・・・」←ザフィーラ(犬モードなので無視)

(・・・結構重大なカミングアウトだったんだけどなぁ)

思ったのとは違う反応に少しがっかりしたのは内緒である

まぁ正直その反応が納得できるくらいにそのあと聞かされたはやての告白には驚かされたんだがな

「ん〜。ちょっとマルチタスク能力が高い奴ならできそうなんだがなぁ。」

「ちょっと、ねぇ・・・。」

そんなとりとめのないことを話しながら捜索していく俺たち

(にしても・・・)

ふと、となりを飛ぶヴィータに目を向ける

(・・・いくらなんでもこのなりで俺の何倍も生きてるとか言われてもなぁ)

「あん?なんだよ?」

「いや、なんでも?」

下手に藪をつついてもいいことなどはない

「・・・まぁいいか。」

特に深く追及する気もないようだ

「にしてもよシオン、実際オメーはこっちの世界を知ってからちょっとの間で十分すぎるほど強くなったと思うぜ?」

ふとヴィータがそんなことを言ってきた

「いやいや、俺なんてまだまだだろう?」

「それにさ、敵にとってみれば歴戦の勇士であるお前も、ヒヨッコ同然の俺も、等しく敵なんだ。たとえ俺が初心者にしてはどれほど強かったとしても、そんなものに意味はない。」

目の前に相対したら、たとえ女子供でもひとつの脅威(てき)として対処しろってオヤジに散々言われたからなぁ

そのおかげで助かったことも一度や二度じゃないんだがな

「・・・やっぱお前、すげぇよ。」

「すごくはない、生き延びるのに必死なだけだ。」

「いや、アタシ等にしてみたらその歳でその考えにたどり着いてるっていうのが十分評価できることなんだけどな。」

ヴィータが感心したように、しかしわずかにほかの感情も混ぜた感じでそう言った

「まったく、買いかぶりすぎだ。」

 

と、そんな風にある意味和やかに雑談していると

(―――紫苑、センサーに反応あり、この辺に目標があるみたいだよ?)

ナイアがそう告げた

(具体的な距離は?)

(―――岩場が邪魔してよくわからないけど多分進行方向右側の距離1キロ以内)

(了解)

「ヴィータ、センサーに反応ありだ。」

「あぁ、こっちでも確認した。」

「よし、じゃあここらを重点的に探すぞ。」

「ん、りょーかい。」

そう言って俺とヴィータは高度を下げて周囲を注意深く探す

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目当てのものが見つかったのは探し始めてからわずか5分後だった

「意外とあっさり見つかったな。」

「そうだな。」

「しっかし簡単すぎるな、こんな簡単な任務ならわざわざヴィータについてきてもらう必要はなかったかもな。」

「いんや、なかなか面白い話が聞けたからよ。そいつだけでも十分さ。」

「そうか、それならいいんだけどな・・・ならついでにオヤジの話もしてやろうか?

「へー面白そうじゃねぇか。」

食いついてきたか

「まぁ今でこそオヤジなんて呼んでいるがな、最初は敵同士でな。だから初めて出会ったのは戦場だった。」

「ふーん」

「その時俺がいたところが最悪でな、俺を始めとした同じくらいの年の奴らが少年兵として集められていてな。いっぱいいたんだがほとんどが最前線とか殿に当てられて死んでいった。その部隊を壊滅させたのがオヤジたちだったんだ。」

あの頃のことは今では朧気にしか思い出せないが、まぁいい思い出なんてひとつもなかったと思う

「だから俺・・・いや俺たちにとってオヤジたちには返しても返しきれないほどの恩があるんだよ。」

「へぇ、なるほどな。んで?」

「で、他の奴らは孤児院とかに預けられたんだがなぜか俺だけそのままオヤジたちと一緒に行動するようになってたんだよ。理由は結局わからずじまいだったな、何度聞いても答えてくれなかったし。」

「なるほどな、そのあとはそいつらと一緒に戦場ってわけだ。」

「まぁな。」

(思えばいろんなとこに行ったなぁ・・・)

「そんなこんなで俺も結構楽しんでたんだが、今から4年前の冬に、オヤジがいなくなった。」

「俺はその時、実際にその場に居合わせたわけじゃないから何とも言えないんだが、一緒にいた仲間の話だと

オヤジが先行して突入した直後に敵の拠点から火の手が上がってそのまま誰も出てこなかったそうだ。」

後で確認に行った仲間の話では、敵拠点の中はまるで地獄のようだったらしい

内部に生存者はおらず、尋常じゃない火力で焼かれていたのだろう炭化したナニカが転がっているだけだったそうだ・・・内容が内容だけに言う気にはならないが

「元々オヤジのカリスマだけでまとまっていたような奴らだったから、オヤジがいなくなった途端に

傭兵団は解散。俺もフリーでいろいろやってた。」

その後もギルとだけは繋がりがあったが、ほかのメンバーは今どうしているのだろうか

「なんだかな。あたしはこんなナリでも結構生きてんだけどよ。おめーみたいなのにあったのはホント初めてかもしんねぇな。」

と、ヴィータにそうしみじみと言われた

「ま、人に人生ありって奴だな。」

 

とそこまで話したところで

(―――紫苑、前方に転移反応。何か来るよ)

(なんだって!?)

「ヴィータ!!」

「あぁ、わかってる。」

突然敵の反応が知らされた

(・・・ここは敵性勢力のないとこじゃなかったのか?)

(―――わからない、けどこのタイミングで来るとしたら、それは敵以外ないと思うよ)

そうこうしている間に展開された魔方陣から人影が現れてきた

その数10人

敵は皆思い思いの武器を装備している

(パッと見、前衛7の後衛3ってとこか・・・。)

(ナイア、局に援護要請頼む)

(―――了解)

さて、俺はなるべく時間を稼ぐとしようか

「何者だ?」

「・・・なに、名乗るほどのものではない。我々はそこにいる咎人に罰を与えに来た、それだけだ。」

「咎人、だと?」

「そう、我々は皆闇の書の被害者だ。そして貴様の隣にいるのは闇の書の守護騎士ではないのか?」

「あぁ、そうだぜ。アタシはヴォルケンリッター鉄槌の騎士ヴィータだ。」

「そうか・・・ならばその首取らせてもらう」

「ハッ!やれるもんならやってみろ!アイゼン!」

「ja vohl!」

「まぁ落ち着け。」

と今にも吶喊しそうなヴィータの首根っこを?まえる

「なにすんだよ!はーなーせー!」

バタバタと手足を振り回すヴィータを抑えながら

(ここでやりあってもこちらに得はない。しばらく時間を稼げ。じき援軍が来る。)

と念話で告げる、するとヴィータは少し考える様子を見せると、沈んだ調子で

(・・・いや、多分援軍はこねぇ。)

と言ってきた

(・・・何?)

(あいつらも言ってただろ?元々アタシらはお尋ね者だ。そして、あそこにいる奴らほどじゃないが

局の人間もアタシ等には良い感情を持ってねぇ。そんな奴らがわざわざ身を切るような真似をするとは思えねぇな。)

・・・マジか・・・予想外だな

これは思った以上にキツイかもしれん

敵戦力は不明、援軍の見込みはなし、さて、どうするか・・・

(なぁ、シオン。)

不意にヴィータが声をかけてきた

(なんだ?)

(ここはアタシが何とかするから、オメーは早く行け。)

そんなことを言ってきた

まったく、何を言い出すかと思えば

(んなことできる訳ないだろうが。)

思わずため息が出てきた

(お前ひとりに任せておけるわけがないだろうが。ここは二人で切り抜けるぞ。)

(けど、これはお前とは関係・・・。)

(『何があっても仲間は見捨てるな、何があっても敵を見逃すな。』オヤジの遺した言葉だ。)

(・・・わかったよ。)

(じゃあ具体的な作戦を説明するぞ。)

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「待たせたな。」

「末期の会話は終わったか?」

「言ってろ。」

そういうと、敵のリーダーらしき人物は後ろの人たちのほうを向いた

「さぁ、同志諸君!積年の恨みをを果たす時が来た!今こそあの悪魔共に正義の鉄槌を!!」

「オォ!!」

リーダーの檄に応えるように雄叫びを上げるメンバー・・・やる気は十分、か

「さて、向こうはやる気満々だが、大丈夫か、お前?」

ふと見るとヴィータの表情が若干強張っている

「何てことはねぇよ。今に始まったことじゃないしな。」

「・・・そうか。」

到底大丈夫そうには見えないが・・・まぁ気にしても仕方ないか

「じゃあいくぞ。」

 

そして戦いの幕が上がる

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このまま後編に続きます

 

2012 7/16 本文一部改訂

 

 

 

 

説明
お久しぶりです。
JUNEです
今回から若干シリアス入ります
なので好き嫌いが出てくるかと思います

あと、最初のほうと比べると紫苑のキャラが若干違ったりするところがあるかもしれません
そういう箇所があった場合は随時修正していくので教えていただければと思います
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コメント
敵の強さは果たしてどの程度なのだろうか……そして、紫苑はどう切り抜けるのか(勇心)
さて、敵はヴィータの首を取ることができるのか?(ヲイwww(量産型第一次強化式骸骨)
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