IS〜彷徨いし剣の担い手〜代表決定戦までにやれる事をやろう。
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7話:代表決定戦までにやれる事をやろう。

 

ICHIKA:SIDE

 

「まずISに乗るのは明後日だね。」

「なんでだ?」

 

オリヴィエの言葉にそう聞き返したんだが聞く途中でなんとなく答えが分かった。

 

「予約がいっぱいだったの、これでも明後日取れたのだって奇跡なんだから。」

「ありがとう、じゃあ今日は何をするんだ?」

 

まさか学園のISが全機予約済みとは……2、3年の先輩達って学年変わったばかりなのにすげえな。感心しつつ今日は何に使われるのか気になった。まさかIS関連の知識を覚えるのに使われるのか?

 

「今日はこれを見ようか。」

「DVD?」

 

まさかの映像学習か?俺は勉強があまり好きじゃないんだけどな。

 

「そう、これからセシリア・オルコットの入試試験の時の映像を見るよ。」

「簪、それどうやって手に入れた?」

 

専用機持ちの代表候補生の入試試験の時の映像って……下手をしたら情報流失で外交問題に発展しないか?そう心配した俺なんだけど……

 

「内緒だよ。」

 

……どう見ても小悪魔っぽく笑う簪を見て考えるのを辞めた。というか『更識』の人間なんだし『あの人』の教えも受けているから大丈夫だろうとそう考えるようにした。

 

 

 

††††††††††††††††††††††††

 

 

 

KANZASI:SIDE

 

「機体名、ブルー・ティアーズ。イギリスの第3世代機。」

 

私の説明に画面に映るセシリア・オルコットの入試試験の映像を見ている一夏とオリヴィエが思い思いに口を開く。

 

「遠距離戦闘の機体か?」

「見た感じだとそうだよね。」

 

そうなんだよね、さて次は武装についての説明かな。

 

「主武装はレーザーライフルの『スターライトMK−III』、それにビット型の武器『ブルー・ティアーズ』だね……他にも隠してそうだけど。」

「実弾兵器とか?」

 

私の説明に一夏が口を挿むけど一夏の考えには賛成かな。

 

「問題は『ブルー・ティアーズ』だよ。」

 

一夏曰く自由に動く移動式の銃口。まあ、厄介なのは分かるけどそれは一夏のIS次第なんだよね。そう言えば一夏のISについて聞いてない事を思い出す。

 

「そもそも一夏の専用機の情報は無いの?」

「ごめん、まったく無い。」

 

会長の事だからケーキと一緒に送って来そうとか訳が分からない事言っているけどどう言う事だろう?

 

「何を教えればいいかな。」

「とりあえず機動とかハイパーセンサーの使い方だね。」

 

オリヴィエに聞かれた私は取りあえず考えた事を言う。一夏の専用機が遠距離か近接戦用か分からない以上、基礎的な事を教えるしかないと思う。

 

「飛行については……別の意味で心配無いよね。」

「タジャドルコンボやプトティラコンボで慣れているからな。」

 

一夏が苦笑しながらそう言うけど……まあ、何も知らないよりは良いかな?

 

「ISとは違う感じがすると思うけど……それならこの1週間は知識面や戦術面を中心で組もうか。」

「よろしくお願いします。」

 

よし、頑張ろう。

 

 

 

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ICHIKA:SIDE

 

簪とオリヴィエが特訓の方針を決めた次の日。SHRが終わると教室から出て行く千冬姉が此方を振り向いた。

 

「織斑、放課後は空いているか?」

「すいません、特訓が有るんですが……」

 

いきなり言われて驚いたが取りあえず答える。

 

「ふむ・・・なら昼休みで良い、第8アリーナのIS格納庫に来るように。」

「分かりました。」

 

そして昼休みになったから、言われた第8アリーナのIS格納庫に来たら中に千冬姉と薄暗くて良く見えないがISが一機置いてあった。

 

「織斑先生、居ますか。」

「早かったな。」

「急いで来ましたから。」

「とりあえず、これを見ろ。」

 

そう言われて電気を着けると先程まで良く見えていなかったISの細部が見えた。

 

「これって七刀!?」

 

そこに在ったのは入試試験の一件でお世話になったISがそこに在った。懐かしいなと思いつつふと気になった事が有ったので聞いてみる事にした。

 

「初期化してないんですか?」

 

七刀は元々IS学園所有のISのだから何とかしているんじゃないかと思ったんだけど違ったみたいだな。だって千冬姉が珍しい事に苦虫を噛み潰したような顔をしてるし。

 

「その事だが……暫く、と言っても専用機が来るまでで良いからコレを操縦しておけ。」

「データ取りですか?」

「そう言う事だ。」

 

俺が企業のテストパイロットに近い立場になったからな。それも関係しているのかな?

 

「待機状態には「出来ないそうだ。」…じゃあ、何処に置けば良いんですか?」

「このアリーナに置いておく。『七刀』に関してはあまり情報を流したくない。」

 

簡単に動かせないとなるとここで使うしかないよな。念の為に聞いておくか?

 

「じゃあ、放課後の特訓で此処を使えますか?」

「安心しろ、貸し切り状態だ。それと他の学生には出来るだけ見られない様にしろ。その辺りの加減はお前に任せる。」

「分かりました。」

 

俺に任されるんだったら簪とオリヴィエの2人には教えても大丈夫だな、さっそく連絡を入れておこう。

 

・・・・

・・・

・・

 

「……と言う訳なんだ。」

 

それで放課後になったので事前に連絡を入れた2人+布仏さんと一緒に第8アリーナのビットに集まり俺はISを装着していた。

 

「『打鉄・七刀』って第二世代機だよね?」

「元は『打鉄』だしな。」

 

簪が七刀について聞きてきたのは武装にビーム兵器が存在していたのが気になっていたからだそうだ。

 

「とりあえず行ってみようか。」

 

オリヴィエに了解の返事を返して俺達はビットからアリーナに飛び出した。

 

「それが2人の専用機なんだな。」

 

俺の視線の先にはISを纏った簪とオリヴィエの2人が居た。

 

「これが私のIS、機体名は『打鉄弐式』。第三世代機だよ。」

「簪のISって『打鉄』の後継機なのか?」

「そうだよ、防御重視の打鉄と違って、機動性に特化しているんだ。」

 

まずは簪のISについて聞いた、次はオリヴィエのISについて聞いてみようかな。

 

「そうなんだ、ところでオリヴィエのISって……なんていうかシンプルなんだな。」

「私のISは『ラジエル』って名前の第三世代機なんだけど……実際は『パッケージのテスト機』って言った方が良いからね。」

「「パッケージのテスト機?」」

 

簪は驚いたように、俺は良く分からないので分からないと素直に言ってみた。

 

「イタリアのISのコンセプトの関係でね、後は国家秘密と言う事で。」

 

国家秘密じゃ仕方ないか。

 

「とりあえず特訓開始といくか。」

 

 

 

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ORIVIE:SIDE

 

「……うん、教える事無いね。」

 

一夏のISの操作を見て口にした言葉がこれだった。

 

「なんか納得いかない。」

 

簪も一夏のIS操作を見てこんなことを言っている。だってIS初心者と言っても良い一夏に教えられることがそんなに無いんだよ。なんか自信を失くすな。そんな私達を見て苦笑しながら口を開く。

 

「『打鉄・七刀』は一度乗ってるし実戦も経験したからな。」

「どういう事?」

「そう言えば……」

「一応、機密情報の類だから聞かないでくれ。」

「分かった。」

 

一夏の言葉に私は疑問を覚え、簪は何かを思い出したかのように呟くが一夏に言われて口を閉ざす。機密情報って言葉は気になったけど『雉も鳴かねば撃たれまい』という諺を思い出して聞かない事にした。

 

「ところで気になったんだけど……」

「どうした?」

 

そんな事を考えていた間に簪が一夏に尋ねていた。

 

「私達にISを教えてほしいって言った時に私達を睨んだ人がいたよね、ひょっとして一夏の知り合いかなって。」

「ああ、箒の事か。」

 

そう言えば私も気になっていたんだ。どうやら知り合いみたいだし私も聞いてみようかな。

 

「箒って名前なんだ。」

「そう、篠ノ之箒。俺の幼馴染だな、小4の時に転校したてそれ以来会ってないんだけどな。」

 

篠ノ之ってあの篠ノ之なのかな?

 

「篠ノ之ってあの篠ノ之?」

「多分、簪とオリヴィエの想像通り。箒は篠ノ之束博士の妹だ。」

 

簪も気になったのか私が考えたのと同じ事を尋ね、一夏が肯定する。有名人の妹が居るなんて……一夏と言う『織斑千冬の唯一の肉親』である『男性唯一のIS操縦者』といい今年のIS学園って何気にISの重要人物の親族が揃ってる?

 

「なら一夏さんは篠ノ之博士と知り合い?」

「まあ、何度かあった事が有る。」

 

私が考え込む間、簪と一夏は何気に会話を楽しんでいた。

 

 

 

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ICHIKA:SIDE

 

「あっという間に1週間が過ぎたね。」

 

簪の言葉にこの1週間の事を振り返る。やれる事はやったと言える1週間だったと断言できる。

 

「そうだよな・・・2人とも本当にありがとう。」

「「どういたしまして。」」

 

そう言ってくれて本当にうれしいな。後は、1週間の成果を発揮するだけだ。

 

「それでおりむーの専用機って何処に在るの?」

「本音、言わないで。」

「やっと忘れられたのに・・・」

 

布仏さんが言う通り……実は俺のISがまだ届いてないんだよ!!この時間までには間に合わせると言ってたよな!?

 

「こうなったら『七刀』を使うしかないか。」

 

念の為に一応『七刀』もこのビットに運んできているし、時間が無いからな。

 

「織斑君織斑君。」

 

それで装着しようとしたら山田先生が駆け足で此方にやって来た。

 

「……ただいま留守にしております。発信音が鳴った後にメッセージを「そこまでにしておけ。」……分かりました。山田先生、来たんですね。」

 

俺のジョークは千冬姉によって簡単に切り捨てられた。悔しくなりつつも肝心なことを確認するべく山田先生に話しかけた。

 

「そうです、織斑君の専用機が到着しました。」

 

その言葉と共にビットの一室の扉が開いていく。

 

「これが織斑君の専用機、白式です!!」

 

そして其処に眩しすぎる程の白の鎧が在った。

 

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機体設定

 

 

・ラジエル

 

オリヴィエの第3世代型IS。基本的にオールラウンダ―な機体。複数のパッケージのデータをサンプリングするために開発された実験・試作機という意味合いが濃い。状況によってパッケージの換装を行う為、基本装備が少なく攻撃力が他の第3世代型ISと比べ低い。待機形態は首にかかっている十字架のネックレス。機体カラーは白とシアン。

 

武装一覧

 

・ビームライフル - ラジエルの遠距離攻撃用の装備。やや出力が抑えられているが連射性に優れている。

 

・多目的機能シールド - 左腕を覆う様に装備された小型のシールド。左腕のみを覆うだけの大きさのために機体の動きに干渉しない。後、追加装備としてシールド左右にビームブーメランを装備可能で取り外しが可能。またシールドに装着した状態でビームクローとしても使用可能。

 

・ビームサーベル - ラジエルの近距離攻撃用の装備。普段はシールドの裏に収納されている。

 

 

説明
クラス代表決定戦までの一夏達の様子。

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