IS−転生者は漆黒の騎士となりて− 第8話
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side悠也

 

夢を見た。すごく懐かしい夢を見た。

 

その夢に広がっていたの前世の光景。

 

俺の日常

 

俺の家族

 

俺の友人

 

だけどどんなに手を伸ばしてももう届かない。

だけど俺は手を伸ばす。たとえ届かないと理解していても手を伸ばす。

 

その伸ばした手が何かに触れる寸前俺は光に包まれた。

 

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何か凄く懐かしいモノを見た気がする。

だけど懐かしい感じがするだけで何を見たかは思い出せない。

 

「おはよう悠也。……泣いているようだが何かあったのか?」

「……え?」

 

ティエリアに言われ俺は顔に手を当てる。

そこには確かに涙が流れていた。

 

「……なんだかねとても懐かしい夢を見たんだ」

「……そうか」

「気晴らしに少し船内を歩いてくるよ」

 

俺はそう言って部屋を後にした。

 

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今俺がいるのはソレスタルビーイング号、日時は日本時間で1月1日。つまりは元旦。両親はやっぱり家におらずだからこそ俺は人数の多いここで新年を迎えようとした。

そこで俺はさっきの夢を見た。

 

「……何かあるのかな?」

 

俺はなんとなく地球が見える展望ブリッジに足を運んだ。

そこは普段だれもいないブロック。否、いないはずだった。

 

「やあ、ひさしぶりだな」

 

そこには俺を転生させた神様がいた。

しかし未来の技術の結晶の中にそれもバックに宇宙空間と地球がある中古代ギリシャのようないでたちで佇んでいるってかなりシュールな光景だな。

 

「……なんであなたがここにいるんですか?まさかまた俺死んだ!?」

「そう焦るな。おまえに話すことが2,3ばかりある。それと今ここはあらゆる時間及び空間から切り離されているから誰かが入ってくる心配はない」

「話すこと?」

「そうだ。まず一つ目はお前の能力のことなのだが…」

「能力?ああそれなら俺からも聞きたいことが」

「恐らくそのことだ。まずお前が転生する際に5つばかしの特典をつけたな?」

「ええ、そうですね」

 

この船とヴェーダのデータとイノヴェイター化と精神年齢のことだな。

 

「ああ、その特典のことなんだが5つめは完全に呪いの類でな、全くもって特典としての容量を消費しておらず3個目も2個目に準ずる形の物だからこちらもあまり消費していない」

「そうなんですか?3個目はもし意地の悪いのだったときのために頼んだんですけどね」

「失敬だな。自分で言うのもなんだが私は神の中でもかなりの良識派でお人よしだ」

 

いや、だって管轄が死者の国って言ってたから性格悪いのかと。それに神話とか読んでるとロクな奴いなかったし。

 

「それを言われると耳が痛いな」

「それって実際に同じ様なモノだと?」

「そうだな、神話などで語られるのとそう変わらん」

「へぇ、それじゃああなたは?」

「私が何かということはどうでもいい。話を戻すぞ。特典の容量が余ったのでお前に幾つかの能力を付与した」

「というと俺の身体能力が高いのもそのせいだと?」

「概ねそうだな。だが、多少は第4の特典によるものでもある」

「その言い分だと他にも何かありそうですね」

「ああ、いくつかスキルを付けさせてもらった。そのスキルは…」

 

説明によると俺に付与されたスキルは『直感』『心眼(真)』『無窮の武練』『黄金律』のようだ。

道理で勘がよく当たるしイノベイション社の方も気が付けば世界有数の企業になっている訳だ。

 

「ここからが本題だ」

「本題?」

「ああ、実はなお前を転生させる際にこの世界に歪みができてしまった」

「歪み?」

「ああ。本来はその様な歪みができない様に修正が入るはずだった。だがあの戯けがやらかしおった」

「するとどうなるんです?」

「ああ、歪みは是正されるものだ。しかしその際の皺寄せが押し寄せる。それにより本来起きえぬことが起きたりするようになる」

「それを何故俺に?」

「ああ、事前に伝えておこうとな。まだその皺寄せは起きていない。起こるとすればこれからだろう」

「じゃあ一応対策のしようはあるんですね?」

「ああ。伝えるべきことは伝えた。私は戻るとしよう」

「ええ、ありがとうございました」

「ではな………………我が子孫」

「え?」

 

そういって煙のように消えていってしまった。最後に何か言っていったようだけどよく聞き取れなかった。一体なんだったんだろうか?

 

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sideティエリア

 

悠也が出て行って数分後悠也が戻ってきた。

 

「おかえり悠也。随分と早かったな」

「え!?ああそうだね」

「?どうしたんだそんなに慌てて」

「なんでもない!なんでもないよ!」

「そうか…それより落ち着いたのか?」

「ああ…そうだね。目の前にやることが色々できたからね」

「そうか…それより彼女がご立腹だぞ」

『マスター!!今まで私を置いて何をしてたんですか!?』

「げっ!?DIVA!」

『げとは何ですかマスター!』

 

僕のことは完全に視界からフェードアウトして2人(?)で言い争いを始める。しかしDIVAも本当にAIなのだろうか?ハロとかではあのような反応は示さないぞ。この前なんかは悠也と話せなかったと僕に愚痴ってきたぞ。悠也も十分にマッドサイエンティストの資質はあるな。

 

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side神

 

「ただ今戻ったぞ」

「お帰りなさいませ」

「ハァ……弟には本当に困ったものだな。アレと関わると碌な目に合わない」

「そのようなことを仰って宜しいのでしょうか?」

「構わん。好き好んでこのような場所まで来て聞き耳を立てる物好きはいないだろう。実際アイツの言う事を聞いて良かった例がない」

 

実際今回の転生者もアイツが間違って落雷で殺したのだが……何故か私が転生させる羽目になるし……しかも転生のプロセスにおいて重大なミスをやらかしその説明を私にさせる……

 

だがこの物語における私の出番はこれで最後だろう。だから最後に一つだけ……

 

「十神悠也、汝の生に幸あらんことを……」

説明
第8話
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