死にたがりの第七十二話 好敵手ってやっぱ必要だよね
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あらすじ

 

 

原作通りって……案外つまらない物なんだね……

 

 

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「さて、皆。どうして正座させてるか分かってるよね?」

 

 

ただ今時刻はもうすぐで9時になる所だ。

そんな時刻なのに、こいつらはさっき帰って来たのだ。

 

 

「えっと……お言葉ですが主……」

 

 

「何?シグナム」

 

 

「その手に持っている物は……一体……」

 

 

「さぁ、何でしょう?」

 

 

俺はにっこりしながら答える。

俺の手にはバールのような物は握られている。

まぁ、良いじゃない……。

 

 

「どうして、海鳴市で魔力反応があったのかな?」

 

 

「えっと……それは……その……ですね、アニス君……」

 

 

「魔導師の魔力を蒐集していた。以上だ」

 

 

「おい、アンク……」

 

 

「少しは誤魔化そうとはしないのかお前は!」

 

 

……はぁ、こいつは……何を開き直ってるんだか……。

それにしても、あの魔力は……間違いなくなのはの物だった……。

アンクはそれを知っててやったんだろうけど、俺の事も考えろよ。

結構罪悪感あるねんぞおい。

 

 

「はぁ……もうそこまで言い切られると、清々しいよね……。まぁ、怒ってはいないさ。みんな、お疲れ様、ありがとう。ホントは俺が蒐集できれば良んだけど」

 

 

「主は一人で良く頑張られました。後は我々守護騎士がやります。主はどうか、ご自分の体の心配を……」

 

 

「ありがとう、ザフィーラ。それと、少し怪我してるけど……そんなに相手、強かったの?」

 

 

「……はい、少しばかり手間取りました……」

 

 

「シグナムも……何だか嬉しそうだね」

 

 

「良き好敵手に巡り合えたからです」

 

 

「そっか。逆に、ヴィータは不服そうだけど……」

 

 

「あいつ、アニスからもらった帽子を撃ち落としたんだ!今度会ったらぶっ潰してやる!」

 

 

おいおい、物騒な事言っちゃ駄目だろ……。

まぁ、ここまでは原作通りか……。

 

 

言っちゃなんだけど、安心したかな。

 

 

「それじゃみんな、今日は解散ね。それと、もう魔導師から魔力を蒐集するのは止めておいた方が良いよ?管理局が動き出しただろうしね」

 

 

「良くお分かりになられましたね。今日、管理局が介入してきました……」

 

 

「だから、これまで通りに次元世界の生物から蒐集した方が良いよ。分かった?」

 

 

「了解しました」

 

 

……まー、そう言って聞くような奴らじゃないからね。

どうする事も出来ないよ……。

 

 

そうこう考えてる内に、皆部屋から出て行ってしまった……。

ふぅ、何か疲れちゃった……寝よう……。

 

 

俺はリモコンで電気をけし、そのまま眠りにつく。

 

 

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〜なのはサイド〜

 

 

ただ今リンカーコアを見てもらっています。

どうやら私は、リンカーコアの魔力を持って行かれたようで……。

リンカーコアが小さくなっていているらしいです。

 

「……うん、流石若いね。もうリンカーコアの回復が始まってる。ただし、しばらくは魔法が使えない空、気を付けるんだよ?」

 

 

「あ、はい。ありがとうございます!」

 

 

その時、ドアが開かれる。

そこにはフェイトちゃんとクロノ君が居た。

 

 

「あぁ、ハラオウン執務官ちょっとよろしいでしょうか?」

 

 

「はい、何でしょう?」

 

 

「こちらへ」

 

 

「……何か?」

 

 

お医者さんとクロノ君は一緒に部屋から出てしまった。

久しぶりに会ったのに……。

 

 

「………なのは」

 

 

 

「…………」

 

 

お互い沈黙してしまう……。

どう話を切り出していいか……。

 

 

「あ、あの、ごめんね、折角の再会がこんなので、怪我大丈夫?」

 

 

「あ、ううん、こんなの全然……それよりなのはが」

 

 

「私も平気。フェイトちゃん達のお蔭だよ、元気元気!にゃははは」

 

 

私は笑ってフェイトちゃんに言う。

だけど、フェイトちゃんの表情は変わらない……。

 

 

「フェイトちゃん………?」

 

 

私は心配になり、ベッドから降りて、フェイトちゃんに近づこうとする。

 

 

「フェイトちゃっうわ!」

 

 

 

やっぱり、まだ体が回復してないので。

バランスが取れずに倒れそうになる。

 

 

「あ、なのは!?」

 

 

 

そして、倒れそうになったところを、フェイトちゃんが支えてくれる。

 

 

「にゃはは、ごめんね、まだちょっとフラフラ」

 

 

フェイトちゃんはやっと私の顔を見てくれた。

もう、フェイトちゃんのせいじゃないのに……。

 

 

「助けてくれてありがとう、フェイトちゃん、それから、また会えて凄く嬉しいよ」

 

 

「……うん、私もなのはに会えて嬉しい」

 

 

フェイトちゃんとそう言葉を交わし。

互いに抱き締めあう……。

 

 

「所で……アニスだけど……」

 

 

「うん……やっぱり、出て来れなかったね……」

 

 

「アニスの呪い、まだ治ってないんだね……」

 

 

「そうなんだよ……。それに、最近アニス君とは会ってないから……」

 

 

「そう……何だ……」

 

 

「うん……」

 

 

「……もし、アニスが戦えてたら。あの人達、皆倒してたのかな?」

 

 

「……アニス君だし、あり得るかもね」

 

 

「……もっと、強くなりたいね……」

 

 

「そうだね……頑張ろう、フェイトちゃん!」

 

 

「なのは……うん、そうだね……」

 

 

アニス君、今……何をしてるのかな?

そうだ、地球に戻ったら、アニス君に連絡しよっと!

 

 

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〜シグナムサイド〜

 

 

「はやてちゃん、お風呂のしたく出来ましたよ」

 

 

「うん、ありがとう」

 

 

「ヴィータちゃんも、一緒に入っちゃいなさいね」

 

 

お風呂か……。

今日は無理だな……テスタロッサに受けた傷があるし……。

 

 

「はーい」

 

 

「明日は主の病院だ、余り夜更かしはするなよ、八神」

 

 

「はーい」

 

 

「シグナムはお風呂どうします?」

 

 

「私は今夜は良い。明日の朝にするよ」

 

 

「そう」

 

 

「お風呂好きが珍しいじゃん。それとも、アニスが居ないと入りたくないのか?」

 

 

「……後でレヴァンティンの錆にしてやろう、ヴィータ」

 

 

「うわっ、シグナムが怒った!」

 

そう言って、一目散に浴室に向かうヴィータ。

全く……あいつは困りものだ……。

 

 

「……今日の戦闘か?」

 

 

「……敏いな、その通りだ」

 

 

私は服をめくり、傷を見せる。

まさか、あの一撃が入っていようとは……。

 

 

「お前の鎧を撃ち抜いたか……」

 

 

「テスタロッサに受けた傷か。お前にしては、中々珍しいな」

 

 

「澄んだ太刀筋だった……良い師に学んだんだろうな。武器の差が無ければ、少々苦戦したかもしれん」

 

 

「だが……それでもお前は負けないだろう……」

 

 

「て言うか、こいつが負ける所なんて想像できないっての」

 

 

「……そうだな」

 

 

「こいつ……肯定しやがった……自画自賛かよ」

 

 

「……先ずは貴様からレヴァンティンの錆にしてくれよう、アンク」

 

 

「上等だ、やってみやがれ」

 

 

何故こいつは上げ足を取ってくるのだろうか……。

やはりいけ好かない……。

 

 

「……何、喧嘩してんのさ……」

 

 

その時、後ろから声が聞こえてくる。

振り向くと、そこには車いすに乗っている主が居た。

 

 

「主、どうしましたか?」

 

 

「いや、トイレしに起きて来ただけだよ。そしたら何か言い合いしてるから、リビングに来てみたんだけど……喧嘩は駄目だよ」

 

 

「いえ、喧嘩ではありません。アンクが私の揚げ足ばかり取るので」

 

 

「もう……アンクさぁ、何でシグナムに突っかかるのさ?」

 

 

「お前が気にする事じゃねぇよ」

 

 

「はぁ……前よりは仲良くはなったけど……まぁ良いか……それじゃ、俺はもう寝るは。お休み」

 

 

そう言って、部屋から出ようとする主。

 

 

「部屋までお連れします、主」

 

 

「あ、別に良いよ。これ電動だから、自分で操作できるし」

 

 

「いいえ、お連れします」

 

 

「……そう?……うん、ありがとう」

 

 

私はそのまま車いすを押し、主を自室へと運んだ。

それにしても、呪いはどんどん進行していると言うのに、前に比べたら体重が戻ってきている……。

最近ではちゃんと三食食べているみたいですが……凄く無理してる様にも見えます……。

 

 

主を車いすから降ろし、ベッドに入れ、掛布団を掛ける間にそう考える。

 

 

「……ねぇ、シグナム」

 

 

不意に、主に呼び止められる。

 

 

「どうしました、主」

 

 

「……アンクはさ……悪い奴じゃないから、その……嫌わないで上げて?あいつ、素直じゃないからさ……後、少し八つ当たりも入っちゃってるんだと思う。無理に好きになってとは言わないけど、それでも……嫌わないで上げてほしいんだ……」

 

 

「主……大丈夫です。確かに、気に入らない部分もありますが、嫌いではないです。安心してください」

 

 

「……そっか。ありがとう、シグナム。それじゃ、お休み」

 

 

「えぇ、ゆっくりお休みになられてください、それでは失礼します」

 

 

そして、私は部屋から出る。

……主、貴方は優し過ぎます……。

我ら守護騎士を家族として扱い、尚且つ犯罪者になるな……とは……。

 

 

だが、そんな主だからこそ……助けたい。

救いたいんです……。

 

 

「我らの身勝手な行動を……どうかお許しください、主……」

 

 

そう呟き、部屋から離れる。

……絶対に、負けるものか……。

説明
でも現実世界でライバルだって相手に行っても、何言ってんだあいつ……みたいな目で見られそうだよね……主に学生とか……
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