死にたがりの第七十五話 敵地でゆっくりしたくないんだけど……
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あらすじ

 

 

罪悪感で胸が痛い……

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「はい、今日の診察はこれでお終いです」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

診察を終えて、服を元に戻す。

聴診器って冷たいからピクッてなっちゃうよね。

 

 

「今のところは何とも無いですね。それと、足の方なんですけど。やっぱり原因不明なんです……。体内には黒い影がポツポツ見えてはいるんですが、肝心の足の方には何も……」

 

 

「そうっすか……分かりました、ありがとうございます。また来ますんで……」

 

 

敬語を使うアンク、希少価値高いなこれ。

それにしても、やっぱり原因不明なんだね。

 

 

「行くぞ」

 

 

「ほいよ」

 

 

アンクが車いすを押し始める。

いやぁ、それにしても、この病院も人がいっぱいだね……。

 

 

「ねぇ、病院に行く意味ってあんのかな?」

 

 

「薬があるのと無いとでは違うかもしれないだろう?」

 

 

「ちぇっ」

 

 

あんまし病院に良い記憶は無い。

前世では色々と自殺未遂でお世話になってたからだ。

 

 

入院などもってのほかだよもう。

 

 

「で、どうするんだ?わざわざ敵に会いに行くのか?」

 

 

「……あー、どないしようかな……」

 

 

でも、いかなアカンあろうな……。

あぁ、行くさ、行けばいいんだろう!

 

 

「行くお……アンク……」

 

 

「……プルプル震えるほど嫌なら断れば良い物を……」

 

 

「こ、これはむ、武者震いなんだにゃっ……け、決してこ、怖いなどとは……お、思ってないにゃん……」

 

 

「口調も統一されてねぇし……」

 

 

「……にゃん♪」

 

 

「……わざとやったるだろお前……」

 

 

「ひゃん♪」

 

 

ガスッ!

 

 

「おふっ!?」

 

 

……ま、まさかかの突き手……しかも狙いは頭……。

物凄く痛い……拳骨とはまた違った痛さがあるね……。

 

 

「行くぞ」

 

 

「……ふぁい……」

 

 

頭を押さえながらさめざめと泣く。

物凄く痛いんですけど……。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「あ、アニスくーん!」

 

 

あれからすぐに翠屋に来たんだけど。

外になのはとフェイトが居ました。

 

 

他の二人はと聞いたら。

用事があるからもう帰るって言って、帰ったらしい。

 

 

「それじゃあアンクさん、アニス君お借りしますね」

 

 

「あぁ、あんまり無理はさせるなよ」

 

 

「分かってます・さ、行こう♪」

 

 

行くって何処に……。

て言うか何処へ……。

 

 

「えっと、何処に行くんですか?」

 

 

「フェイトちゃんが住んでるマンションだよ」

 

 

……あれ?俺、詰んだかも……。

いや、でも!闇の書は今持ってきてないし、繋がりや魔力も、シャマルが隠してくれてるのでバレる心配がない!

 

 

そう、そうさ!大丈夫に決まってる!

だってそうじゃないか、はやてだってばれなかったんだし!

 

 

行ける行ける絶対行ける逃げるな逃げちゃ駄目だ逃げたらそこで試合終了だぜ!

 

 

「……あの、アニス」

 

 

「はい、何です?」

 

 

「……昨日、魔力反応があったの、分かってる?」

 

 

「……はい、一応こっちでも感知しましたけど……それがどうしましたか?」

 

 

「……私達、昨日戦闘したんだ。新しい魔導師たちがこの町に来たんだよ」

 

 

「……マジですか……」

 

 

一応リアクションをしとく。

しとかないと怪しまれるしね。

 

 

「け、怪我とか……してないですか?」

 

 

「あ……うん……し、してないよ?」

 

 

……うわぁ、明らかになのはの挙動が不審なんですけど……。

この子、マジで嘘下手なんですけど……。

 

 

「なのはちゃん……」

 

 

「な、何かな?」

 

 

「なのはちゃんって……嘘下手だね……」

 

 

「あうっ!?」

 

 

「……やっぱり怪我したんだね?」

 

 

「も、もう大丈夫だよ!アースラに居るお医者さんに診てもらったから!」

 

 

ヴィータェ……。

まぁ、俺の友人って事は知らなかったわけだし、仕方ないか。

 

 

「なのは、嘘ホントに下手なんだね……」

 

 

「フェ、フェイトちゃんも言わなくたって……」

 

 

あ、落ち込んだ。

まぁ、その方がなのはらしいし、良いか。

 

 

「それにしてもアニス、最後に会った時よりもやつれた感じが無くなったね?」

 

 

「あー……最近、ちゃんと三食食べるようにしてますからね。あの時は一日一食とか、三食全部抜くとかザラだったんで」

 

 

「……やっぱり、その時期から呪いが酷かったの?」

 

 

「まぁ、そうなりますね……」

 

 

あぁ、軽くなった空気がまた重く……。

ど、どないせいっちゅうねん……。

 

 

「だ、大丈夫ですよ!もう少しでホントに治るんで、二人が気にする事ないんですよ!」

 

 

「で……でも……」

 

 

「ねえ……」

 

 

「心配しないでくださいって、ホラホラ、二人とも笑顔が可愛いんですから、笑ってくださいよ!」

 

 

「「あ……ありがとう……」」

 

 

二人とも顔を赤くしながら俯く。

あれれ?逆効果だったかな?

 

 

まぁ、そんなこんなで、何とか空気を軽くして、それから他愛もない会話をして。

数十分くらい歩いて、ようやくマンションに着きました。

 

 

「階段使えないから、エレベーターで行かないとね」

 

 

「……フェイトちゃんが前住んでたマンションとは違いますね」

 

 

「あ、そうだね。前のマンションはもう少し先に行った所だったような……」

 

 

「フェイトちゃんって前マンションに住んでたの?」

 

 

「うん、アルフと二人でね」

 

 

「……そんな所に、アニス君と……ナニをしたのかな?」

 

 

「ただ一緒に寝ただけだよ?」

 

 

……二人の目が笑ってないんですけど。

後、ハイライトも消えてるんですけど……。

 

 

チンっ!

 

 

ナイスエレベーター!

 

 

「ほ、ほら二人とも。つ、着いたよ?」

 

 

「そうだね、それじゃあ行こうか」

 

 

「そうだね……」

 

 

くそぉぉぉぉぉぉ!二人のハイライト消えとるやんけぇぇぇぇぇ!

くそぉぉぉ!直れよぉぉぉぉ!!

 

 

「今はここに住んでるんだ。と言っても、今日引っ越してきたばかりなんだけどね」

 

 

「そうなんですけ〜」

 

 

ガチャッ。

 

 

フェイトはドアを開ける。

あ、どうしようかな……車いす。

車輪部分汚いから、一回拭くか、もしくは抱っこしてもらわないと駄目なんだよね……。

 

 

「あの、お邪魔します……」

 

 

「お邪魔しまーす」

 

 

「ただいまー」

 

 

一応挨拶はしとかないとね……。

 

 

「あ、お帰りフェイ……」

 

 

「……子犬……?」

 

 

あれ?でもどこかで見た事あるような……。

……額に宝石……あぁ、子犬形態のアルフか。

 

 

「あ、ああああ、アニス!?アンタどうしたんだい!?車いすなんかに乗って!?」

 

 

「ちょっ、声デカイよアルフ!?あと子犬形態可愛いなおい、抱きしめさせろ!」

 

 

いきなりどうしたお前!?

後俺も!でもアルフ可愛いんだもん……。

 

 

ほら、アルフに釣られて来ちゃったじゃん人。

つうか、プレシアさんとアリシア……後はクロノにエイミィにリンディに淫獣……。

 

 

俺は見世物じゃないやい。

 

 

「お兄ちゃん……何処か悪いの?」

 

 

「いや……あの……その……」

 

 

そんな純粋な目で俺を見ちゃ駄目ぇ!

胸が痛い胸が痛い!

 

 

「とにかく、中に入りなさい。話はそれからよ」

 

 

プレシアさんマジパネェっす。

取り敢えず……どうしようかな……。

 

 

「だ、誰か抱っこかおんぶ、してくれませんか?歩けないんで、移動できないんですよ……」

 

 

「「「私がする!……あれ?」」」

 

 

何かなのはとフェイトとアリシアが名乗り出たんだけど……。

いや、アリシアは無理だろ……。

 

 

「はいはい、ここは喧嘩するから私が運ぶよ」

 

 

そう言って、アルフは人間素体になり、俺を抱っこし、そのままお姫様抱っこに切り替わる。

どうしてこうなったし……。

 

 

そして、俺は敵地でゆっくりする事になってしまった……。

説明
ゆ っ く り し て い っ て ね
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