超次元ゲイム ネプテューヌmk2 〜Blue Wind〜(〜awakeing〜)
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――――それから十日が過ぎた。

 

プラネテューヌに再びリンダのような犯罪組織の一味が来ることはなかった。

 

そしてネプギアは依然として目を覚まさない。

 

今の所イストワールに残された問題はこれだけである。

 

 

チチチ―――

 

そして―――鳥のさえずりと共に今日もまた一日が始まろうとしていた―――。

 

 

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プシュ――!

 

自動ドアが横に開く。

「ギアちゃん?ちょっと失礼しますです〜。」

コンパが手に盆を載せ入ってきた。盆上には彼女が作ったスープや、水が入ったペットボトルが乗っていた。

「ギアちゃん?」

予想はしていたものの彼女の呼びかけに返事がなかったため、そのまま部屋に足を踏み入れる。

そう、ここはネプギア姉妹の部屋だった。

あれからコンパは毎朝毎晩、ネプギアを看護していたのである。

「……よいしょ。」

 

カチャッ――

 

ネプギアの寝ているベッド脇にある小型のテーブルにコンパはそっと盆を置く。

「ギアちゃん、ご飯ですよ〜。」

返事が無いということは分かっていたがそれでもつい固く瞼を閉ざしているネプギアに声をかけてしまう。

 

―――まずは水分を取らせないと……

 

キュッ、と音をたててコンパはペットボトルの蓋を開ける。

 

スッ―――

 

ナースと言うだけあり手馴れた手つきでそっとネプギアの体の上半身を抱き上げる。

そしてそっとネプギアの口元にペットボトルの口をつける。

 

―――こくっ、こくっ……

 

かなり微量ずつだが、ペットボトルの水が少なくなっていくのが分かる。

コンパはペットボトルを離すと再びネプギアの体を寝かせる。

 

プシュ―――!

 

「?」

その刹那、自動ドアが開きコンパは振り返る。

「Hey!具合はどうだ?」

そこに居たのは小さな花束を手にしたソニックだった。

「ソニックさん、静かに……!」

少し大きな声で入ってきたソニックにコンパはしーっ!と人差し指を口の前に立てる。

「ぁ……sorry……!」

そんなコンパにソニックは後頭部を掻きながら苦笑いをする。

静かに寝息をたてるネプギアに気を取られていたコンパはソニックがいつの間にか隣に来ていたことにも気づかなかった。

「……なぁコンパ、ちょっといいか?」

「何でしょう?」

カチャカチャと音をたてスープをかき混ぜるコンパにネプギアを見下ろすソニックが尋ねた。

「……実は俺、ギョウカイ墓場でお前達が女神達を救出しに行った後どうなったかを知らないんだが……結局あの後どうなったんだ?」

スープをかき混ぜる音が止まった。

「……?」

ソニックはコンパの顔を覗き込む。

「……実は―――」

 

重い口を開けたコンパの言葉は途中で遮られた。

 

「……ん」

 

ベッドから聞こえた声に二人の視線がベッドに向けられた。

「ギアちゃん?」

コンパは思わず声をかける。ネプギアの瞼が少しだけ震えているのが分かった。

 

―――そしてゆっくりと、ネプギアが瞳を見せた。

 

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ボーっとする。

なんだか凄く頭が重かった。

気分もあまり優れない。

目の前が霞んでよく見えないが、恐らくここは自分の部屋だということが分かった。

何度も目にしたこの天井――間違えるはずがなかった。

 

「―――!」

「――!―!」

 

近くで声がする。

 

私はゆっくりとその方向へ顔を向けた。

 

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「――コン………パ………さん……?」

 

ネプギアは弱々しい声でその名を呼ぶ。

「ギアちゃん!よかった〜、気がついたんですね?」

そんなネプギアに安堵し、コンパは笑顔で答える。

ネプギアはゆっくりと上体を起こしううん、と頭を振る。

「あ、大丈夫ですよ無理に起きなくて。」

「……いえ、もう大丈夫です。ここって私の部屋ですよね?」

ネプギアはベッドの傍にある小窓から外を眺める。

「はいです。心配したんですよ?十日間も目を覚まさなかったので――」

「十日間……!」

日数に驚き目を丸くしたネプギアは顔を再びコンパに向ける。

そして、見慣れない顔に首を傾げた。

「あなたは……?」

 

―――そこに居たのは、青いハリネズミ。

 

「俺はソニック!ソニック・ザ・ヘッジホッグさ!」

ハリネズミ―――ソニックは親指を立て笑顔を見せる。

「ギョウカイ墓場で私達を助けてくれたんですよ。」

そんなソニックの自己紹介にコンパが補足する。しかし、ネプギアの思考は『ギョウカイ墓場』という単語に支配されていた。

「―――コンパさん、お姉ちゃんは……!?ギョウカイ墓場はどうなったんですか……!?」

ネプギアは少し身を乗り出しコンパに問う。

その言葉にコンパとソニックの表情から笑顔が消えた。

「ギアちゃん……」

何と言えば良いか分からず、コンパは口籠ってしまう。

「……」

ソニックも敢えて何も言わずコンパを見つめる。

しかし、コンパは何も言わない。

 

―――いや、何も言えるわけがなかった。

 

「………」

ネプギアは俯く。

「……やっぱりお姉ちゃんは……」

「ギアちゃん……」

小刻みに震えだすネプギアにコンパは逡巡する。

「………すみませんコンパさん、ソニックさん……少しだけ一人にしていただいてもいいですか……?少ししたら私もいーすんさん達の所へ行きます……」

ネプギアは再び小窓の方へ向き外を眺める。その表情は確認できなかった。

「……分かりましたです……」

コンパはネプギアの心情を悟り、そっと出入り口へ歩き出す。

「………」

少し遅れてソニックも歩き出した。

 

シュンッ――

 

ドアが閉まった。

 

ネプギアは外を眺め続ける。

 

「…………」

 

何だか物凄く切なくなる。

 

我慢していたものが溢れそうだった。

 

胸が苦しかった。

 

何か頬を温かいものがつたった。

 

それはそのまま顎につたう。

 

そして手が濡れる。

 

 

「―――そっか………私……負けちゃったんだ……」

 

 

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プシュ――!

 

謁見室の自動ドアが開く。

室内ではコンパ、アイエフ、イストワールが先程まで何か話していたのか三人で輪を作っていた。少し離れてソニックが壁にもたれて座り足を組んでいた。

彼女らの視線はドアが開いたのと同時にこちらに向けられた。

「えっと……おはようございます。」ネプギアは少し戸惑うも小さく挨拶をする。

「ネプギアさん!もう具合は大丈夫ですか?」

まっ先にイストワールが返してくれた。

「はい!心配かけてすみませんでした。」

ネプギアは三人の所へ歩み寄ってきた。

「…………」

その刹那重々しい沈黙が流れる。

何を言えば良いか分からない――その場に居た全員が同じ心情だった。

「え……えっと……」

その沈黙を破ろうとしたのはネプギアだった。彼女の心は満たされていた――負けてしまったことへの罪悪感で。

 

「……いーすんさん、すみま―――」

「ネプギアさん、申し訳ありませんでした。」

しかし一寸先にイストワールがネプギアに頭を下げる。

予想外の行動にネプギアだけでなくアイエフとコンパも呆然とする。

「貴女方をこんな無謀な戦いに行かせて、このような結末を招いてしまったのは全て私の責任です。ネプギアさん、申し訳ありません。」

「い、いーすんさんは何も悪くありませんよ!私が弱いからこんなことに……」

「お前は弱くなんかないさ!」

狼狽するネプギアの声に別の声が重なった。

「ソニック?」

アイエフが振り返るといつの間にか彼女の斜め背後にソニックが腰に手をつけ立っていた。

「さっきお礼を言うのを忘れてたけど、あの時助けてくれてありがとな!」

「え?」

笑顔で感謝するソニックにネプギアが聞き返す。

「それって――」

「それに、悪いのはイストワールでもネプギアでもない。全部犯罪組織のせいさ。Right?」

聞き返すネプギアを遮りソニックが二人を激励した。

「…………?」

 

―――しかし、ネプギアが首を傾げているのに誰も気づくことはない。

 

「ありがとうございますソニックさん。……ですがやはり私が犯罪組織を少し甘く見ていたのが原因です。」

しかし、責任を感じているイストワールにソニックの言葉もほぼ無意味だった。

ソニックは小さく溜息をつく。

「ネプギア、話してくれる?三年前に何があったのか。」

 

―――これは、質問したアイエフだけでなくコンパやイストワールにとっても蟠っている疑問だった。

 

「……はい。」

ネプギアは瞬時困惑した表情を見せるも、一部始終を話し始めた。その言葉に誰もがショックの色を隠せなかった。

「……女神が……負けた……?」

「しかも……たった一人の相手に手も足も出なかったんですか……!?」

アイエフとコンパの顔は絶望に染まっていた。無理もないだろう。守護女神として国を守ってきた親友が完敗したのだから。

「……そんなに強い奴だったのか?」

ソニックも渋面で腕を組んでいた。

「はい……皆次々に倒されて、辛うじてまだ戦える状態だったお姉ちゃんも善戦していましたが……結局負けちゃって、私達は捕まってしまいました……。」

ネプギアは申し訳なさそうな面持ちになり俯く。

「つーことは、他の女神達はまだギョウカイ墓場で捕まっているってことか。」

「私達は他の女神様達の救出に失敗しちゃったですぅ……。」

スッ、とネプギアは顔を上げた。

「あの……あれからゲイムギョウ界はどうなってしまったんですか?」

 

―――もうあれから三年も経っている。

 

イストワールは背後にあった長机のキーボードを叩き、机の上にホログラムを映し出した。

 

ブワンッ!

 

そこに映し出されたのは円グラフ。

しかし、圧倒的に多くを赤いゲージが占めていた。大きな差をつけられるも次に多いのが紫色のゲージ。その他の黒、白、緑色のゲージはほぼ同じ大きさだった。

それぞれ赤が75%、紫10%、黒白緑は5%と記してある。

「これって……」

「はい、赤がマジェコンのシェアです。」

「Hun!?」

ネプギアとソニックが愕然とした。

「そういえばソニックにもシェアの割合を見せてなかったわね。」

アイエフは腕を組み冷静に言う。再び謁見室に重い空気が流れる。

「……今、ゲイムギョウ界中でマジェコンが随所に蔓延しています。」

「マジェコンが75%って……そんな……!!」

ネプギアは驚きを隠せない。

「犯罪組織を信仰する分、女神への信仰がどんどん少なくなっています。このままの状態が続けばもうシェアクリスタルを作ることさえ困難になります。」

「シェアクリスタル?」

初めて聞く単語にソニックが首を傾げる。

「女神達へのシェアを凝縮して結晶化したものがシェアクリスタルです。教祖にしか作ることが出来ないクリスタルで、主に弱った女神に使用します。」

「要するに薬みたいなものってことか?」

「まぁ……ちょっと違う気がするけどざっとそんな感じね。私達はそのシェアクリスタルを使って女神達を救出しに行ったのよ。」

「それがあの時……俺達が出会った時か?」

「はいです。ですが、このような状況で作ったシェアクリスタルは物凄く小さくて……作るのにもかなり時間がかかったですぅ……。」

「おまけに、ネプギアを救出した時にそのシェアクリスタルも壊れちゃったのよね……」

だとしたら――とソニックが渋面で腕を組む。

「俺達の状況はかなりマズイ……ってことか?」

「そうなるわね。」

再びその場は重い空気に支配される。

 

「……ですが、まだ手が残されています。」

 

イストワールが口を開く。

その言葉に一同の視線がイストワールに向けられた。

「ゲイムギョウ界にはネプギアさんのような女神の妹―――『女神候補生』が残されています。」

ネプギアがそっと自分の胸に手を当てる。

「……私のような女神候補生が他にも……?」

「はい、女神が居ない今シェアを集められるのは女神候補生だけです。女神候補生がシェアを取り戻していけば………状況が一転するかもしれません。」

「なぁーんだ、結構簡単じゃん!」

ソニックは渋面から笑顔に変わる。

「いや、シェアを集めるのは結構大変なのよ?そんなに簡単に――」

「だったら諦めるか?」

「それは……ッ!」

言い合う二人に構わず、ネプギアは一人不安そうに顔を歪める。

 

―――私にそんなことができるんでしょうか……?

 

そんなネプギアの様子に気づくことなくソニックは言葉を続ける。

「よーするに、シェアを集めて女神助けて犯罪組織を潰せばいいんだろ?ちょろいちょろい!」

「……ハァ、アンタ事の重大さに気づいてないでしょ。」

「でも間に合うんですか?相手がシェアを回収するのが早かったら……」

コンパが不安そうに告げる。

「後、各国の『ゲイムキャラ』の協力を得て力を借りるのです。」

「「「『ゲイムキャラ』?」」」

三人の声が重なった。

どうやらアイエフやコンパも知らないらしい。

「古の女神様達が生み出したと言われている世界の秩序と循環を司る存在です。各国の土地に宿り国に繁栄をもたらしていると。そして有事の際にはその時代の女神を助け、悪を滅ぼす力を秘めている……と。」

「そんな凄い奴が居るんなら何でプラネテューヌの『ゲイムキャラ』を頼らないんだ?」

ソニックは頭の後ろに手を組む。

「私も行方を追っていますが正確な居場所まではまだ掴めていません。ですので、その間アイエフさん達にプラネテューヌのシェアの回復を依頼してもよろしいですか?発見次第連絡致します。」

「「はい!」」

「All right!」

返事をする三人の他、ただ一人返事をしないのは―――ネプギア。

未だに先程の件で悩んでいたのだ。

「?」

流石に不審に思いソニックが顔を覗き込む。

「Hey!」

「えッ!?」

ソニックが声をかけるとネプギアの体が痙攣する。

「アンタ、話聞いてたの?」

「は、はい!聞いてました!」

ネプギアは一瞬狼狽えたが笑顔で返す。

「ネプギアさん、これを。」

ネプギアに近寄ったイストワールはネプギアの手に携帯ゲーム機のような機器を手渡す。

「What’s this?」

ネプギアの代わりにソニックが尋ねる。

「『Nギア』です。便利な機能満載の万能デバイスです。きっとこれから役に立つと思うので……」

「ありがとうございます!いーすんさん!」

ネプギアはNギアを大事そうにポケットにしまい込む。

「では、失礼します。」

イストワールは浮遊する本に乗り謁見室の奥にある扉へ浮遊していった。

 

プシュ――!

 

ネプギア達も謁見室を後にした。

 

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「……で、これからどうするんだ?」

プラネタワー内のエレベーターで地上に向かう中、ソニックは尋ねる。

普通のエレベーターよりも速いスピードで地上に降りていくエレベーター内では体が上に持ってかれそうな気さえした。またエレベーターについている窓からはプラネテューヌ全体を見回すこともできた。

「とりあえずシェアを集めないといけないです。」

「どうやってシェアを集めるんだ?」

アイエフが考えるように目を瞑り、額に手を当てる。

「……う〜ん………やっぱりギルドかしらね……」

「「ギルド?」」

ネプギアとソニックが首を傾げる。

「ゲイムギョウ界中から様々な依頼を受ける場所のことよ。」

「それでシェアが溜まるのか?」

「溜まるわ。量は依頼内容によるでしょうけど。ギルドの依頼はシェアだけじゃなく報酬も貰えるのよ。」

アイエフの瞳が僅かに燦然としているように見えたのは気のせいだろうか。

「……どうやら道は長そうですなぁ。」

するとアイエフは何かを思い出すかのようにネプギアを振り返る。

「そうだ、ネプギアもう体は平気なの?」

「はい!もう平気です。」

「コンパが毎朝毎晩お前の看病をしていたんだぜ?」

「え?そうだったんですかコンパさん。」

ネプギアがコンパを見つめる。

「はいです!ナースとしての使命です!」

「こ……コンパさん……?」

瞳に炎の浮かびそうなコンパの妙に気合の入った返事にネプギアはちょっと怖かったらしく、頬に汗を浮かべ一歩後ずさる。

「あ〜この子最近念願のナースになれたことが相当嬉しかったらしくて……何か最近妙に気合入ってるのよね……。」

アイエフも少し苦笑いしている。

「べ、別に気合入ってないですッ!」

(それはそれで問題な気がする……。)

ネプギアは苦笑いする。コンパは何故か少し慌てていた。

「コンパ……確かネプギアが意識を失った日の晩ネプギアの部屋から『やったるでぇ!!』って声が―――」

「そ、ソニックさん!変な作り話をしないで欲しいですッ!」

(――いや、別に作り話なんかしていないが……ってかこんな話普通思いつかねぇっての……)

「……コンパさん……一体私に何をするつもりだったんですか……?」

何故かネプギアがエレベーター内の隅っこで戦慄していた。

「ぎ、ギアちゃん!信じないでくださいッ!」

 

ポ―ン!

 

エレベーター内の目的のフロアに着いたのかよく耳にする例の音が聞こえた。

「あ、着いた?」

アイエフが言うと同時にドアが開く。

どうやら四人で話している間に着いたらしい。

「……私って一体……ですぅ……。」

次々と降りていく中、コンパだけは何故かズーンと落ち込んでいた。

 

(――何かごめん、コンパ by 青針鼠)

 

 

説明
ソニックはいつものようにエッグマンの計画を阻止しようとしていた。だがそれはエッグマンの罠だったのだ。カオスエメラルドの力で別世界へと飛ばされてしまったソニック。そこはゲイムギョウ界と呼ばれた異世界だった。そしてその世界でネプギアと言う名の少女に出会い―――……ネプギアは姉を助け出すことは出来るのか?ソニックは元の世界へ帰れるのか?これは、ネプテューヌmk2にソニックが居たら――のもしもの物語である。――――
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ネプテューヌ ネプギア ソニック クロスオーバー 

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