魔法少女リリカルなのはA's00〜とある日常〜(仮)−−06 剣の騎士−− |
剣の騎士vs・・・のお話。
−−剣の騎士−−
その者と初めて刃を交えた時の高揚感を今でも覚えている。
主はやてとの誓いを反故にした。
騎士の誇りを捨ててまで、やらねばならぬことがある。
闇の書に魔力を蒐集させて、闇の書を完成させる。
主はやてを【救う】ために。
無人の砂漠の世界でのテスタロッサとの三度目の戦い。
初めて戦った時とはまるで別人の様な強さ。
元々速かったが、更に速くなった。
扱いの難しいカートリッジシステムも使いこなしている。
本人の才能もあるだろうが、訓練を欠かさず行っているのだろう。
消耗が激しいが、退くわけにはいかない。
お互いが動いた時だった。
テスタロッサは不意をつかれ【仮面の男】にリンカーコアを摘出された。
「奪え」
冷酷に言い放つ男を睨みつける。
「貴様っ!」
「どうした。さぁ、蒐集するがいい」
「このようなやり方!」
「今更なにを躊躇する。お前達はどんなことをしてでも闇の書を完成させたいのではないのか?主のために」
「くっ!」
やもなく、闇の書に魔力を蒐集させる。
蒐集が終わると、仮面の男は消え。
暫くすると、黒髪の少年とオレンジの髪の女が現れた。
「……テスタロッサに、すまないと伝えておいてくれ」
テスタロッサを砂の上に寝かせ、数歩下がる。
黒髪の少年とオレンジの髪の女がテスタロッサに走り寄り、女はテスタロッサを抱きかかえて飛んで行ったが、黒髪の少年は私を睨んでいた。
その表情は怒り以外のなにものでもない。
「こんなこと言えた義理ではないが、見逃してもらえないか?」
「そんなことすると思うか?」
そう言うと、右腕を向けた。
やるつもりか。
レヴァンティンを構える。
テスタロッサとの戦いで消耗しているとはいえ、ここで大人しく捕まるわけにはいかない。
ヴィータの話では、剣による接近戦と射撃による遠距離戦も可能な武器だという。
剣が折り畳まれているということは、射撃体勢。
と、私から銃口をやや下げた。
何を狙っている?
次の瞬間、一発放ち、砂の地表に着弾し、砂塵と爆煙が辺りに舞う。
「目眩ましか!」
周囲を警戒する。
だが、一向に仕掛けてくる気配がない。
先ほどの舞い上がった砂塵と爆煙はかなり薄くなっている。
自分が有利な状況を作ったのに、それを活かさず仕掛けてこないとは。
ヤツは何を考えて。
ふと、自分に影が差した。
「上か!」
咄嗟に見上げる。
が、
「うっ!」
太陽の光が目に入り一瞬動作が鈍る。
次に目に入ったのは、刀身を起こし右腕を振り上げたヤツの姿だった。
レヴァンティンを前に出し、何とか受け止める。
更に、左右から連撃を打ち込んでくる。
視力が戻り、鍔迫り合いに持ち込む。
もう少しヤツの速度が速かったら、渾身の一撃をもらっていた。
「……残念だったな。お前がテスタロッサ並の速度を持っていたら、私を追い詰めることが出来ただろう」
「……」
「太刀筋も悪くない。……だが!」
力を込めて弾き飛ばす。
「……っ!」
「レヴァンティン!」
《シュランゲンフォルム》
連結刃となったレヴァンティンを振り上げる。
「お前にこれが凌げるか?」
「……」
私の言葉に無言で正面から見据えている。
「はああああぁぁぁぁぁ!!」
レヴァンティンを振り下ろすと連結刃がヤツの周りに迫る。
だが、ヤツは包囲される前に滑るようにそのまま後ろへ下がる。
「無駄だ!お前の速度では、レヴァンティンからは逃げられん!」
連結刃の切っ先が速度を上げて、ヤツに迫る。
と、ヤツは立ち止まって、右腕を前に出す。
射撃か?
そんなものは通用せん。
だが、ヤツは刀身を起こしたまま迫りくる切っ先を見据えていた。
連結刃の切っ先がヤツの刀身にあと僅かの距離まで迫ったところで、ヤツが一歩前に出た。
すると、右腕を払い刀身を連結刃にぶつけた瞬間、腕を少し下げて、そのまま円を描くように腕を上げ、直後振り下ろし正面で止める。
「なっ!」
ヤツは、刀身に連結刃を((絡ませた|・・・・))。
更に、その状態から刀身を折り畳むという暴挙に出た。
ガキンという音と共に、力が拮抗する。
「くっ!」
無理に戻そうとすればレヴァンティンが壊れかねない。
だが、それはヤツも同じだ。
この方法。下手をすれば、自身の武器を破壊しかねない。
迂闊に動くことが出来ないが、それはヤツも同じ……。
そこで、気が付いた。
自分とヤツの立ち位置は正面。
そして、刀身を折り畳んだ右腕は前に向いている。
「っ!」
反射的に左手を前に出し、防御魔法を展開する。
直後、防御魔法に光が当たり、辺りに爆煙が舞う。
立て続けに何発もの射撃魔法が放たれ、防御魔法の障壁に当たる度に爆煙が舞う。
何発受け止めたのか分からない。
このまま、こちらの魔力と体力を奪う気か。
暫くすると攻撃が止んだ。
辺りは爆煙で何も見えない。
障壁を展開したまま、周囲を警戒していると、レヴァンティンを握っている右腕に張り詰めていた力が緩んだ。
おそらく、刀身に絡ませていたレヴァンティンを解いたのだろう。
《シュベルトフォルム》
通常状態に戻している途中で、目の前の煙が揺らいだ。
と、同時に刀身を起こし右腕を振り上げた……((赤く輝く|・・・・))ヤツが現れた。
「!?」
レヴァンティンの戻りを待っていては、やられる。
そう判断して、咄嗟に鞘を使って受け止める。
「くっ!」
だが、最初の一撃とはまるで重みが違う。
受け止めたまま、後方へ押される。
押し戻せない。
何だ、この力は!
今度は自分が弾き飛ばされ、地に足を着けて砂塵を巻き上げながら何とか踏み止まる。
力だけではない、スピードも。
ヤツとの距離と速度を考えたら、レヴァンティンが戻る方が早いはず。
だが、ヤツは目の前に居て既に攻撃態勢に入っていた。
態勢を整えて前を見るが、居ない。
「!?」
気配を感じとると、左から迫っていた。
攻撃を受け止めて、鍔迫り合いになる。
既に赤い輝きはおさまっていた。
「……カートリッジではなさそうだが、能力が上がる何か……か」
「……」
お互い力を込めて弾き飛ばし、反動で距離が開く。
……これだけの距離があれば退けるか。
「シグナム」
「ザフィーラか」
撤退をしようとしたところで、ザフィーラが来た。
二人ならヤツを倒せるかもしれないが、消耗が激しいうえにカートリッジはもうない。
これ以上、ここで時間をかけると管理局が来て撤退の機会がなくなる。
それに、先程の力を出されたらこちらに勝ち目はない。
体を浮かせてザフィーラの隣に並ぶ。
「待て!」
「私は、ヴォルケンリッターが将。((剣|つるぎ))の騎士、シグナム。お前の名は?」
「……刹那・F・セイエイ」
「セイエイ。いずれ、決着をつけよう。さらば」
ザフィーラと共に家に帰り。
シャマルに今日の戦闘で受けた傷を癒してもらってから、汗を流すために風呂に入った。
気持ちが落ち着いたところで、今日の戦闘を思い出す。
仮面の男。
あの男のおかげで、魔力蒐集を行えたが……。
テスタロッサには悪いことをしてしまった。
そして、刹那・F・セイエイか。
テスタロッサのみならず、あれ程の強者がまだ居たとは。
砂塵と爆煙で視界を遮り、その隙に太陽が背になる位置まで移動し強襲する。
ただ強襲するのではなく、砂塵が薄くなってから強襲する。
砂塵が濃い間では太陽光が砂塵に阻まれるからだ。
そして、連結刃を絡める技量と動体視力。
「ヴィータが手こずるわけだ。……それにしても」
あの赤い輝き。
明らかにカートリッジシステムとは違う。
力も速度も倍以上だ。
もう一つ違いがある。
カートリッジは瞬間的な爆発力だ。
だが、ヤツのは持続時間がある。
少なくともあの戦闘では三十秒以上はあった。
テスタロッサはまだ強くなる。
そして、セイエイは見るからに万全の状態ではなかった。
つまり、本気ではないということ。
無論、自分も消耗した状態だったわけだが。
「ふっ。今度は、お互い万全の状態で戦ってみたいものだな」
テスタロッサと出会った時と同じ、((好敵手|とも))に会えた喜びがあった。
だが、私にはやらなければならないことがある。
そのために、私は再び剣を取る。
主はやてを【救う】ために。
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読了おつかれさまでした。
説明 | ||
魔法少女の世界へ飛ばされた、ガンダムマイスター刹那・F・セイエイと魔法少女達のとある一日。魔法少女リリカルなのはA'sと機動戦士ガンダム00のクロスオーバー作品……などという大それたものではなく、物書き未経験の素人による処女作で駄文です。読みづらい、誤字脱字等の至らないところが多々あると思います。作者の原作知識は、それほど高くありません。また、オリジナル設定が含まれておりますので、原作を大切にされている方はご注意ください。コメント欄にはご自由にお書きください。注)本小説は、某サイトにて投稿していたものを移したものです。 | ||
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魔法少女リリカルなのはA's 機動戦士ガンダム00 クロスオーバー 刹那・F・セイエイ シグナム | ||
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