そらのおとしもの〜天使と仮面騎士の物語〜 第11話『灰色のD/無邪気な混沌』 |
【風都、河原】
「翔太郎君、猫は見つかった?」
「駄目だ、全く見つからねえ」
鳴海探偵事務所の3人(・・)は猫探しの依頼を受け、河原を捜索していた。
「なんで僕まで猫探しに付き合わされるんだ?」
事務所の頭脳労働担当のフィリップはぶつくさ文句を言いながら草を掻き分けながら猫探しをする。
「部屋にこもってばかりだと身体に悪いからよ」
「僕はそこまで言われるほど引きこもりじゃないよ」
「おい! 無駄口を叩いてる暇があったらさっさと猫を探せ!!」
自称ハードボイルドは2人を一喝する。
「んっ?」
フィリップは顔を上げて空を見たときにふと違和感を覚える。
「どうした、フィリップ?」
「空から何かが近づいてきている」
側にいた亜樹子も興味津々に近寄ってきて「なんだなんだ?」と見上げていると、瞬く間に何かはグングンと近づき、大きな音を立てて翔太郎達の近くに墜落した。
「うわっ!?」
「なんだい、これは!?」
「確かこの間も似たような事があったよな」
亜樹子とフィリップが驚くなか、翔太郎は割と冷静だった。墜落によって発生した土煙が収まると、クレーターの中心部に黒い修道服を着た幼い女の子の姿が見えた。そのかっこうもさることながら少女を最も異質に感じさせるのは、背中から生えている手術用具のような翼だろう。
「お前、もしかしてイカロス達と同じ世界の住人か?」
翔太郎が恐る恐る近づきながら尋ねる。その口から発せられた言葉に少女は食いついた。
「イカロスお姉ちゃんのことを知っているの!?」
「ああ、今は幼なじみの家に居候中だ。それより、君の名前はなんて言うんだい?」
「私の名前はカオスって言うの。よろしくね」
「俺は左翔太郎だ。よろしくな」
翔太郎とカオスは挨拶する。だが、この場にいる誰もが気づいていなかった。カオス墜落の衝撃で吹き飛んだスタッグフォンに着信が入っていたことを……。
★★★★★
【工藤家・リビング】
刹那はリビングのテーブルから家庭菜園に増設されたスイカエリアに水やりをしているイカロスをじっと無表情で見ていた。
「お義母さんも時々そうしていましたけど、じっと見ているだけでよく飽きませんね」
家の中であるのをいいことにノースリーブの白いタンクトップに青い短パン姿のリインが話しかける。
「そうでもないぞ」
「そんなに女性の体が見たいのなら私を好きなだけ見てくださいよ、お兄ちゃん」
リインが刹那に抱きつきながらささやく。少なからぬ愛情を義妹に注ぐ身としては嬉しいのだが、刹那は表情を変えようとしない。そのまま恋人ウォッチングを続けていたら携帯に着信が入ったので手に取る。
「もしもし」
『照井だ。少し見てもらいたい奴がある。そっちにデータを送るぞ』
刹那は送られてきた画像を通話状態を維持した上で再生する(それが出来るよう携帯は設計されている)。そこには、死体のあった場所を示す白いテープと灰(・)だけだった。
『3時間前、突然そうなったそうだ。何か分かるか?』
「十中八九オルフェノクの仕業でしょう。しかし、不味いですね」
『何故だ?』
「それは……」
刹那が説明しようとした途端パトカーのサイレンが鳴り響く。
「まずは、事件現場に向かいましょう。話はそれからです」
『そうだな』
刹那は通話を切り、リインの拘束から素早く抜け出し、イカロスに外出を告げて事件現場に向かった。
★★★★★
【市民ホール前】
『お前はもう包囲されている! 速やかに投降しろ!!』
『そうだそうだ!!』
照井の部下である刃野と真倉が何台ものパトカーにより囲まれている灰色の牛型怪人オックスオルフェノクにメガホンで投降を呼び掛けていた。
「今回は楽勝でしたね」
「まだ油断するなよ。相手はドーパントと同じ怪物なんだからな」
「もう包囲網は出来上がっているんです。問題あり――」
真倉の遮るようにバズーカ弾が飛来し、パトカーを1台撃破した。それに続くようにソルジャーフォルスの部隊が出てきて警官隊を奇襲した。
「いつもより数が少ないと思ったら近くに隠れていやがったのか!!」
奇襲による混乱でろくな反撃も出来ずに警官は1人また1人と命を落としていった。刃野と真倉があたふたしていると、仮面ライダーアクセル・バイクモードが高速で乱戦の中に飛び込み、ソルジャーを1体轢き飛ばした。
「仮面ライダーだ!! 仮面ライダーが現れたぞ!!」
「同胞の無念、ここで晴らさせてもらう!!」
ソルジャーは強襲してきたアクセルを迎撃すべく銃口を向けるが、パトカーを通じてミラーワールドから出てきたゲイザーが背後から切り裂く。
「今回は、貴方が1番乗りですか」
カウンターキックでソルジャーを蹴り飛ばしながらゲイザーは話しかける。
「警察というのは事件に対して迅速に対応するものだからなっ!!」
人型に戻ったアクセルはエンジンブレードでソルジャー部隊をなぎ払いながら応えた。ゲイザーは辺りをキョロキョロ探し、オックスオルフェノクを見つけた。
「お前が指揮官だな!!」
「くっ、可能な限り仮面ライダーとの戦闘は避けろと言われている!! 撤退だ!! 撤退するぞ!!」
オックスオルフェノクは巨大化し、ケンタウロスをイメージさせる疾走態へと変化し、ゲイザーが現れた方向とは逆方向へと全力疾走した。ソルジャー部隊もスモークチャフを展開して撤退していった。それを見てゲイザーは心の中で舌打ちした。
「今は、とても追撃出来るような状況じゃない。体勢を整えるぞ」
「分かっています」
2人は周りを見渡し、生存者を探すが、警官隊は半壊状態で、無傷な存在を探すのがかなり困難な状況だった。
「かなり手酷くやられましたね」
「救急車を呼んでくれ。俺は被害状況を確認する」
「分かりました」
ゲイザーが携帯を取り出していると、アクセルは地面に倒れていた警官の1人の指がピクリと動いたのを見過ごさなかった。
「う……う……」
「おい! しっかりしろ!!」
アクセルが急いで近づき、体を起こすと、体がオックスオルフェノクと同じ灰色に発光し、点滅を繰り返した。
「これは一体どういうことなんだ……?」
アクセルは目の前で起こっている現象に自分の目を疑い、呆然とした。
説明 | ||
[そらのおとしもの〜天使と仮面騎士の物語〜] 設定集 http://www.tinami.com/view/401137 プロローグ http://www.tinami.com/view/401710 第1話『破壊の後継者/Iとの再会』 http://www.tinami.com/view/402298 第2話『驚愕の転校生/忍び寄るFの影』 http://www.tinami.com/view/402305 第3話『その名はゲイザー/忍び寄るFの影』 http://www.tinami.com/view/402731 第4話『不死身のM/新たな天使』 http://www.tinami.com/view/402733 第5話『破砕の衝撃』 http://www.tinami.com/view/402734 第6話『嫉妬と蜂と医者』 http://www.tinami.com/view/402741 第7話『紫槌と決着と未来』 http://www.tinami.com/view/402829 第8話『Dを捕まえろ/奪われたクリュサオル』 http://www.tinami.com/view/403205 劇場版仮面ライダーゲイザー〜受け継がれし天使と悪魔の力〜 プロローグを兼ねた予告 http://www.tinami.com/view/403209 劇場版仮面ライダーゲイザー〜受け継がれし天使と悪魔の力〜 EPISODE1 http://www.tinami.com/view/403211 劇場版仮面ライダーゲイザー〜受け継がれし天使と悪魔の力〜 EPISODE2 http://www.tinami.com/view/403213 劇場版仮面ライダーゲイザー?受け継がれし天使と悪魔の力?EPISODE3 http://www.tinami.com/view/403215 劇場版仮面ライダーゲイザー?受け継がれし天使と悪魔の力?EPISODE4 http://www.tinami.com/view/403235 劇場版仮面ライダーゲイザー?受け継がれし天使と悪魔の力?EPISODE5 http://www.tinami.com/view/403621 劇場版仮面ライダーゲイザー?受け継がれし天使と悪魔の力?EPISODE FINAL http://www.tinami.com/view/403624 第9話『探索者A/暴走するIとR』 http://www.tinami.com/view/403626 第10話『探索者A/2人のS』 http://www.tinami.com/view/404050 [ACE学園] 設定集 http://www.tinami.com/view/401701 プロローグ http://www.tinami.com/view/401705 第1話『終焉の後継者と古代ベルカの戦姫』 http://www.tinami.com/view/401708 |
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