死にたがりの第九十五話 その友人は何を見る |
「ハァッ!!」
「ハァッ!」
アンクとフェイトが闇の書に向かっていく。
だが、二人の攻撃は悉く障壁で防がれる。
「ちぃっ、どんだけ堅いんだ……」
「ハァッハァッ」
アンクは顔をゆがめ、フェイトは息を切らす。
「アクセルシューター、シュート!!」
今度はなのはが攻撃を仕掛ける。
闇の書の後ろに回り、魔力弾で攻撃を開始する。
「……ザケル……」
だが闇の書は放出系のザケルで、まとめて魔力弾をかき消す。
それを見て、今度ははやてが攻撃を開始する。
「グリフィティー・カタストロフ!!」
はやての手のひらに、球体上の魔力弾が現れ。
それを思い切り闇の書に向かって放つ。
「マ・セシルド」
闇の書はそれを、今度はシールド系の呪文で防ごうとする。
それを見て、はやては不敵に笑みを浮かべる。
「皆、離れとき!来るで!」
はやてがなのは達に向けてそう言い放つ。
それを聞いて、三人はこの場から離れる。
そして……。
バチィン!ゴォォォ!
はやてが放った魔力弾は、シールドに当たり、大きな爆発を生む。
それを見て、少々驚いた顔をする闇の書……。
「……スオウ・ギアクル……」
そう呟くと、手のひらから水が出て、それがどんどん大きくなり。
一つの龍が生まれ出た。
その龍をぶつけて、爆発を相殺させる。
「そんな!?」
それを見て、はやては驚く。
ほぼ全力に近い攻撃を放ったのに、いとも簡単に防がれてしまったことに、驚愕を隠せない。
「良くやった八神!今だ!」
「分かった!ハァッ!」
「ハァッ!」
アンクの合図で、ユーノとアルフが闇の書にバインドを掛ける。
「……砕け……」
《Breakup》
パキン!
だが、簡単にそれをバインドブレイクされてしまう。
その一瞬のすきをついて、なのはは闇の書に狙いを定める。
《Divine buster, extension》
「シュゥゥゥゥット!!」
更には……。
《Plasma smasher》
「ファイヤ!!」
フェイトも駄目押しとばかりに攻撃をする。
だが闇の書は両手を突きだして。
「……盾」
そう呟いた……。
《Panzerschild》
ドガァ!
ガガガガガガガガガガガ!
桃色の砲撃と、黄色の砲撃が音を立てて防がれる。
二人は顔を歪めながら踏ん張っている。
「……刃を似て、血を染めよ……」
《Blutiger Dolch》
闇の書の言葉に、小さな魔方陣が反応し、上昇していく。
それを見てなのはは驚く。
「……穿て、ブラッディ―・ダガー」
そして、無数の魔力の閃光が放出される。
その閃光は、的確になのはとフェイトを打ち抜いた。
「くっ……!」
「っ……!」
二人は何とかかろうじてガードが間に合ったのか。
互いに無傷で煙の中から出てきた。
「くそ、これも駄目なのか……」
アンクは軽い舌打ちを加えながら言う。
その時、闇の書が腕を上げる……。
「……咎人達に、滅びの光を……」
その瞬間、闇の書の手に、周囲の魔力が集まっていく……。
桃色の魔力光が、どんどん闇の書の手に……。
「まさか……」
「あれは……」
「星よ集え……全てを撃ちぬく光となれ……」
「スターライト……ブレイカー……?」
魔力が大きくなって行き、物凄い物量になる……。
「お前ら!全力でここから離れろ!!」
アンクの叫び声で、ここに居るみんなは一目散に離れる。
「……貫け、閃光……」
「なのはの魔法を使うなんて……」
「なのはは一度蒐集されている。その時にコピーされたんだ」
ユーノは逃げながら冷静に話す。
一方なのは達は……。
「フェ、フェイトちゃん!こんなに離れなくても!」
「至近で喰らったら、防御の上からでも落とされる!……それに、なのはの砲撃だし……」
「……今最後に何か呟かなかったかな……フェイトちゃん……」
「砲撃魔の砲撃はやっぱり怖いねんな……」
「はやてちゃん酷い!?」
「良いから黙って逃げろ馬鹿!」
その時、バルディッシュが何かを感知する……。
《Sir, there are noncombatants on the left at three hundred yards》
それを聞いて、四人は驚く。
……一般市民が居る……そう、バルディッシュが言った……。
《こっちも感知したぜ。どうやら迷い込んだようだな。しかも二人も》
グリードもそう言いだす。
なのは達はスピードを上げ始める。
そして、徐々に距離が縮まっていく……。
《Distance: seventy, sixty, fifty……》
《嬢ちゃん達、この辺だぜ!》
グリードが叫ぶ。
それを聞いて、四人は地面におり始める。
なのはは思い切り地面に着地し、足でブレーキを掛ける。
アンクは電柱の上で待機し、闇の書を見張っている。
フェイトとはやては空中で止まっている。
そして、周りをきょろきょろと見渡す。
その時、路地裏から二人の子供が飛び出してきた。
「あの!すみません!危ないですから、そこでじっとしててください!」
なのはの声に、二人の動きがピタッと止まる。
「えっ……今の声って……」
「……なの、は……?」
「フェイト、ちゃん……?それに、はやてちゃんも……」
そこには、なのはの友達の、アリサとすずかの姿があった……。
五人とも、物凄く驚いた顔をしている……。
それを見て、アンクが叫ぶ。
「おい、何呆けてやがる!来るぞ!!」
アンクの声で我に返るなのはとフェイト。
そして振り向くと、闇の書が魔力をチャージし終えて、魔法を放とうとしていた。
「スターライト……ブレイカー……」
ドガァァァァァン!!
そして、とうとう放たれてしまった……。
桃色の砲撃は、まっすぐとなのは達を狙っていた。
(フェイトちゃん、はやてちゃん、アリサちゃん達を)
(うん!)
(分かったで!)
なのははフェイトとはやてに念話を送り、二人を守る様に指示する。
フェイトはバルディッシュのカートリッジをロードし、はやては魔力を溜めている。
「二人とも、そこでじっとして!」
《Defenser plus》
「そんで強化っと」
《カーボンアップ》
フェイトは二人に黄色のバリアを張り。
更にそのバリアを、はやてが強化させる。
色が微かに黒くなっている。
そして、フェイトとはやてが地面におり、障壁を張る。
アンクは自分の身を魔力で包み、守っている。
「レイジングハート」
なのはもレイジングハートのカートリッジをロードする。
《Wide area protection》
自分の前にレイジングハートを突きだして、障壁を張る。
そして……全員が、桃色の光に包まれた……。
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