死にたがりの第九十八話 アニスが本気を出すそうです
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あらすじ

 

 

アニス復活ッッ!アニス復活ッッ!アニス復活ッッ!

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「アニス〜!」

 

 

「あはは、よしよし。ほらほら、泣いちゃ駄目だってヴィータ」

 

 

外に出てすぐに、ヴィータが抱き着いてくる。

いやぁ、正直これ、俺が抱き着いてるように見えるね……。

 

 

「御無事で何よりです、主」

 

 

「いやぁ、まぁねぇ……」

 

 

一応、眠ってただけだしね。

でも、無事上手く行ってよかったよ。

 

 

「元気になって何よりです、アニス君」

 

 

「あはは、まぁ一時的だけどね」

 

 

たぶんリィンフォースと離れたら、普通にまた動けなくなっちゃうけどね。

嫌だなぁ、それは……。

 

 

「さて、みんなお帰り。そして、今までご苦労様」

 

 

今まで頑張って蒐集してくれたみんなを労う。

コレ大事だよね、いやマジで。

 

 

「アニスくーん!!」

 

 

その時、四人がこっちにやってくる。

ふむ、何だか不思議な感じだね。

目の前にホントの夜天の主が居るのに……。

 

 

「やあやあ、うちの子が迷惑をお掛けしてすいません」

 

 

「今はそんな悠長な事言ってる場合か」

 

 

アンクにツッコまれた。

けど、心なしか嬉しそうなんだけど。

 

 

「アニス君、これ」

 

 

そう言ってはやてが俺に渡してきたのは、俺のデバイスだった。

クイーンか……正直今はシュベルトクロイツで十分なんだけどな。

 

 

《マスターや!完全復活したマスターや!》

 

 

「はいはい、良いから落ち着けクイーン」

 

 

なんかめめっちゃハイテンションなんですけど。

お前の出番ねぇから!

 

 

「なのはちゃんとフェイトちゃんも、今までありがとうね」

 

 

「アニス君……」

 

 

「アニス……」

 

 

何か二人が泣きそうになってる。

あはは、何かすいません。

 

 

「すまない、水を差してしまう様だが、良いかな?」

 

 

いつの間にかクロノが後ろに居ました。

……はぁっ、クロノマジKY。

 

 

「あ、KYで変態なクロノだ」

 

 

「だから!僕は変態じゃないって!それとKYでもない!」

 

 

「えっ、嘘っ……」

 

 

「駄目だよなのは、本人がそう言ってるんだから」

 

 

「そやで、無自覚すぎるのも罪やけどな」

 

 

「やっぱり僕に味方は居ないのか……」

 

 

あはは、ドンマイクロノ。

まぁ、同情はしないよ。

 

 

「時間がないので手短に話すぞ、アニス」

 

 

「あいあい、どうせあの黒い淀みの事っしょ?分かってる分かってる。闇の書の防衛プログラムっしょ?」

 

 

「あ、ああ。分かっているのなら問題ない。あれは後数分の内に暴走を開始する。僕らはそれを、何らかの方法で止めないといけない。アルカンシェルの使用許可は下りているが、どうやってその防衛プログラムの核を取り除いて転送するかが問題だ」

 

 

「ああ、それだったら俺一人でやるから。んで、転送はシャマル、ユーノ、アルフの三人にお願いするよ」

 

 

『………はい?』

 

 

ここに居る全員が、目を丸くしている。

いや、アンクははぁっとため息をついてるね。

 

 

「き、君は何を言ってるんだ!そんな事一人で出来ると思ってるのか!?」

 

 

「出来る出来る。つうかいい加減体動かしたくてうずうずしてるんだ」

 

 

「で、でも!」アニス君は病み上がりなんだよ!?」

 

 

「大丈夫。これ位平気さ。みんなは休んでて良いよ?これは俺なりのけじめだから」

 

 

別に、今までの闇の書の主達にってわけじゃない。

俺の為に頑張ってくれたみんなの為に、一人でやりたいんだ。

 

 

ここで皆に手伝わさせたんじゃ、俺が納得いかないしね。

 

 

「シグナム達も、それでいいよね?」

 

 

「主がそう仰るのなら……ですが、手助けが必要と感じましたら、加勢いたします」

 

 

「んっ、ありがとう。みんなも、ここは譲っちゃくれないかね?」

 

 

「……分かった」

 

 

「ユーノ君!?」

 

 

以外にも、あっさりと賛成したのはユーノだった。

これは一体どういう風の吹き回しだい?

 

 

「良く聞くんだなのは。あの闇の書の防衛プログラムはアニスの魔力と、今まで蒐集して来た魔力であそこまで強大になったんだ。もしあれが、アニスの魔力そのものだとしたら」

 

 

「……あっ、そうか。私達の攻撃は、絶対に届かない……」

 

 

あー、そうなっちゃうね……。

まぁ、仕方がない事なのかも……。

 

 

「そう。だから、ここはアニスに任せるしかないんだ……でも、補助だけはさせてもらうよ?防衛プログラムの動きは、僕とアルフと、そしてアニスの守護騎士とでサポートするよ」

 

 

「うん、分かった。ザフィーラ、お願い」

 

 

「了解しました」

 

 

よし、これでおk。

ふむぅ、案外あっさり行きますねぇ……。

 

 

「待て待て!勝手に話を進めるな!」

 

 

「ええい黙れKY。皆が良いって言ってんだから察しろ」

 

 

「だからKYって言うな!全く……僕は反対とは言っていないだろ」

 

 

およっ、確かにそうだね……。

まぁ、まだ言ってないね……。

 

 

「アニス、最初は防衛プログラムを弱らせるだけで良い、そこで僕がグレアム提督からもらったこのデバイスで、プログラムを凍らせる」

 

 

そう言ってクロノが出したのは、カード状で待機しているデバイスだった。

……て言うか会えたんだ。

 

 

「そして、改めてアニスの一番強い魔法をぶつけて、破壊する。出来るか」

 

 

「……あっははは!クロノ最高!良いねぇ、その提案乗ったる!」

 

 

こうして、俺がプログラムを止めるに決定した。

うっしゃやったろう。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「始まる……」

 

 

クロノがそう呟く。

海から闇その物が噴出してくる……。

あれが……。

 

 

「夜天の魔導書を、呪われた闇の書と呼ばせたプログラム……闇の書の、闇……」

 

 

……ブシュゥゥゥゥ!!

 

 

黒いドーム状の物が割れ、中から黒い衝撃が噴出される。

そして、現れたのは化け物だった……。

 

 

『アアアアアアアア!』

 

 

悲しい……悲しい悲鳴が響き渡る……。

 

 

「チェーンバインド!」

 

 

「ストラグルバインド!」

 

 

アルフとユーノがバインドでプログラムから出ている触手めいたものの動きを止める。

……キモイ……。

 

 

そして、そこから切断する。

……バインドぱねぇ……。

 

 

「縛れ、鋼の軛!でぇぇぇぇいやぁ!!」

 

 

そこから今度はザフィーラが鋼の軛を使い、一掃していく。

……それも切れ味ぱねぇ……。

 

 

『アアアアアアアアアア!!』

 

 

さっきよりも大きな声が響き渡る……。

さて、行こうか……。

 

 

「おいで」

 

 

俺は一振りの斬魄刀を掴みとる。

そして、そのまま……。

 

 

「咆えろ、蛇尾丸!!」

 

 

始解をする。

相手はでかいんだ、まずは斬魄刀で障壁を破っちゃる。

 

 

「そして、卍解!」

 

 

今度は蛇尾丸を卍解させる。

俺の格好が死覇装に変わり、姿は恋次そのもの。

 

 

そして後ろには巨大な蛇尾丸が。

それを見て、なのは達が驚く。

 

 

「お、おっきな蛇!?」

 

 

「……狒々王蛇尾丸……ハァッ!」

 

 

蛇尾丸を振り、プログラムを攻撃する。

だけど、本体には当たらずに、障壁で防がれてしまう。

 

 

何枚あるんだっけ……今ので二枚ぶち抜いたから……。

まぁ、良いや。いずれ終わるっしょ。

 

 

「戻れ!」

 

 

斬魄刀をリリースして、元にバリアジャケットの姿に戻る。

今度は……。

 

 

「バルギルド・ザケルガ」

 

 

手をプログラムの方に突きだして呪文を唱える。

次の瞬間、プログラムの上方から雷が降り注ぐ。

 

 

バキィィィン!!

 

 

だけど、上にも障壁があったらしく、障壁が割れた音が響く。

うむぅ、めんどくさい……。

 

 

「……その触手……邪魔くさいなぁ……」

 

 

俺は一本の斬魄刀を呼び出す。

そして、刀を構えて。

 

 

「我が封神の型をとりて、一心に彼奴の術を打ち破らん!バルバロス・ソルドン!」

 

 

アースの呪文を唱える。

そして、海上から何かが現れ出る。

 

 

「巨大な手ぇ!?」

 

 

「な、何やねんあれ!?」

 

 

「頭が痛くなってきた……」

 

 

後ろの人達が物凄く驚いている。

うん、気持ちいい。

 

 

そして、その手には俺と同じ刀がしっかりと握られている。

その手は横一線に触手みたいなのを斬り裂き、更には障壁まで斬り裂いた。

あ、今ので障壁無くなったっぽい。

 

 

「そんじゃ、次は普通の魔法でもっと……」

 

 

夜天の書を開き、シュベルトクロイツを振り上げる。

 

 

「石化の槍、ミストルティン!!」

 

 

プログラムの顔周辺に、小さな魔方陣が浮かび上がり、そこから光が差し込んでいる。

その光はプログラムに刺さっていき、その個所から徐々に石になっていく。

 

 

『アアアアアアア……』

 

 

石化により、声が聞こえなくなる……。

そしてそこから崩壊が始まり、上部分が崩れて無くなる。

 

 

だけどその部分からまた新たに違う巨大な顔が現れ出る。

……キモイ……キモすぎる……。

 

 

「うっわぁ……!」

 

 

「何だか、凄い事に……」

 

 

アルフとシャマルが軽く引いている……。

うん、分かる……。

 

 

「クロノ、今だ!」

 

 

「分かった!行くぞ、デュランダル」

 

 

《OK, Boss》

 

 

《オッケーボスだっておwwww》

 

 

「茶化すな馬鹿クイーン」

 

 

かっけぇじゃないの、ボスって。

まぁ、クロノには似合ってないけど……。

 

 

「悠久なる凍土、凍てつく棺の内にて、永遠の眠りを与えよ……」

 

 

クロノが両手を広げて、魔力を溜める。

そして、クロノが向いている方向が、凍り始める。

 

 

それはプログラムの全体を凍らせるほどの、強力な凍土だった……。

 

 

「凍てつけ!」

 

 

《Eternal Coffin》

 

 

……バリィィィィン!

 

 

プログラムの数か所が砕け散る。

だけど、まだまだ元気なプログラム、生きが良いねぇ……よし、潰す。

 

 

「それじゃあ……留めと行きますか!」

 

 

留めには……やっぱりこれとこれとこれで。

先ずは……。

 

 

「来い……氷輪丸!」

 

 

ペキッ……ピシッ……バリィィィィィン!!

 

 

俺は始めから始解状態の氷輪丸を取り出す。

後ろには氷の龍が浮いている。

 

 

久々だね、氷輪丸。

 

 

「こ、今度は氷の龍……」

 

 

「うおお!めっちゃカッケェ!」

 

 

シグナムが静かに驚き、ヴィータがはしゃぐ。

まぁ、かっこいいから仕方ないよね。

 

 

「卍解……大紅蓮……氷輪丸!!」

 

 

あの日以来だ……氷輪丸の卍解を使うのは……。

大切な人を失った日……初めて人を殺した日……。

 

 

色々な思いが、俺の頭の中を払しょくする……。

でも……今は目の前の敵だ。

 

 

「……千年氷牢……」

 

 

氷輪丸の切っ先をプログラムに向ける。

そして、大気の水分や、海の水分が氷だし、プログラムを囲う。

それは氷の牢獄……大きな大きな、冷たい牢獄……墜ちれ。

 

 

ビシィン!!

 

 

無数の巨大な氷柱が、プログラムの動きを一時的に、停止させる。

次は……これ!

 

 

俺は氷輪丸を戻し、シュベルトクロイツも戻す。

そして……。

 

 

「クイーン、行くよ!」

 

 

《待ってました!》

 

 

クイーンの出番である。

いやぁ、ちょっとやりたいことが出来たので、動きが止まってるうちにちょいとね。

 

 

「クイーン、セットアップ!」

 

 

《スタンバイれでぃー、セットアップ!》

 

 

いやぁ、自分のデバイスを起動させるの、めっちゃ久しぶりなんですけど。

そう思いながら、俺はバリアジャケットを纏う。

 

 

「……ん〜〜〜〜〜……これだよこれ!!!」

 

 

久々のブリジット風バリアジャケットキタ――――!

いやはや、やはり着なれた物でないとね、感じが出ないってわけよ。

 

 

「ア、アニス君……!?」

 

 

「か、可愛い……」

 

 

「あいつ……ホントに趣味わりぃな……」

 

 

「ああ、アニス君……はぁはぁ……」

 

 

……後ろがはぁはぁ言ってるけど気にしない。

見えないし聞こえない。

 

 

「そんじゃクイーン、あのフォーム、行ってみようか」

 

 

《……マジでやるんですか……?》

 

 

「うん!当たり前っしょ!」

 

 

《……はぁっ……アンクに怒られても知りませんからね?では、行きます。モード・エヴァ!》

 

 

クイーンがそう言った瞬間、俺のバリアジャケットがまた変わり始める。

マントが現れて、着ている者はレオタードにフリフリが着いた感じだ。

 

 

はっきり言うと、修学旅行編に登場したエヴァンジェリンの格好だね。

……あ、寒い……。

 

 

「ぶーっ!?」

 

 

「おいお前!なんつう格好してんだ!!」

 

 

案の定、アンクが怒ってる……。

聞こえなーい。

 

 

「アニス君大胆なの……」

 

 

「あそこまで私も露出できないよ……でも、可愛いなぁ……」

 

 

「アカン、襲いたい……はぁはぁ……」

 

 

「主……グッジョブです……」

 

 

「アニス……」

 

 

「アニス君、流石です……」

 

 

「……良い……」

 

 

ザフィーラ、何か小さい声でつぶやいたよね?

まぁ、良いけども……。

 

 

「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック!契約に従い(ト・ジュポライオン)我に(ディア―コネートー・)従え(モイ・ヘー)氷の(クリユスタリネ・)女王(バレレイア)!来たれ(エビゲネーテート)!とこしえのやみ(タイオーニオンヘレホス)!えいえんの(ハイオーニオ・)|ひようが(クリユスタレ)!」

 

 

ギシッ!!

 

 

千年氷牢の上からさらに凍りつく。

すげぇ寒いんだけど……どうしたらいいかな?

 

 

「おわる(コズミケー・)せかい(カタストロフエー)、砕けろ……」

 

 

パチン!!

 

 

パキャァァァァァァァン!!

 

 

プログラムの体の半分が砕け散る。

うわぁ……スクナをも砕いた魔法なのに、それでも半分しか崩せないとか……。

マジぱねぇ……。

 

 

まぁ良いや。

どっち道、次で終わらせようと思ってたし。

 

 

俺はクイーンを解除して、またシュベルトクロイツを掴む。

バリアジャケットの上に、甲冑が付き、そのまますぐに、夜天の書を開く。

……これで最後だよ……。

 

 

パァァァァァ!

 

 

上に掲げたシュベルトクロイツに魔力がたまっていく……。

 

 

「……ごめんね……お休み……」

 

 

俺は一度、そっと目を瞑り……そして、見開き、魔法を唱える……。

 

 

「響け終焉の笛!ラグナロク・ブレイカァァァァァ!!」

 

 

ゴゴゴゴゴゴ!ズガァァァァァァァン!

 

 

魔方陣から砲撃が射出される。

それはプログラムにぶち当たり、すべてを壊していく。

 

 

そして、プログラムが居た場所からは爆発が起き。

完全に姿が無くなる。

 

 

「本体コア、露出」

 

 

シャマルがプログラムのリンカーコアを探り、取り出そうとする。

 

 

「捕まえ、た!!」

 

 

リンカーコアを固定し、すぐさま転送の準備に取り掛かる。

 

 

「長距離転送!」

 

 

「目標、軌道上!」

 

 

プログラムのリンカーコアの上下に、魔方陣が浮かび上がる。

そして三人は同時に……。

 

 

「「「転送!!」」」

 

 

魔力を開放して、プログラムを宇宙に転送する。

後は……リンディの仕事だ。

 

 

念話で中継みたいな感じで、声がつながる。

 

 

(アルカンシェル、バレル展開!)

 

 

エイミィの声だ……。

アルカンシェルのバレルを展開している。

 

 

そして、その声のすぐ後に……。

 

 

(アルカンシェル、発射!)

 

 

アルカンシェルが発射される合図が出される。

…………。

 

 

(……降下空間内の物体、完全消滅。再生反応、ありません!!)

 

 

(準警戒態勢を維持。もうしばらく、反応区域を観測します)

 

 

 

その声が聞こえた途端……。

俺達は……。

 

 

『……やったぁぁぁぁぁぁ!!』

 

 

大声を上げて、みんなで喜び合った……。

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残り一話……長かったのぜ……
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