魔法少女リリカルなのはA's00〜とある日常〜(仮)−−08 刹那と???−− |
お正月に続いて、崩壊(?)ネタです。
−−刹那と???−−
2月に入り、冬の寒さもいっそう厳しくなった。
気温の寒さはそれほど問題ではないが、どうにも雪を踏みしめる感触にまだ慣れない。
そんなことを考えながら、翠屋へ向かう。
いつも通り、翠屋でウェイターのアルバイトをする。
最近は、特注のチョコレートを販売している。
何でも期間限定バレンタイン用の販売だそうだ。
最近、よく見かける文字だが、興味がないため誰かに聞こうとも調べようとも思わない。
それに、自分には関係ないだろう。
「戻った……ん?」
アルバイトを終えて、マンションへ帰り玄関のドアを開けると、見慣れない靴が目に入った。
「おかえり」
「刹那、おかえり〜」
「おかえりなさい、刹那君」
「なのは」
フェイトとアルフ、なのはが出迎えた。
見慣れない靴はなのはのものだったようだ。
「珍しいな、この時間になのはがここにいるのは」
「えへへ。ちょっとね」
「?」
笑っているだけで、答えを誤魔化された。
「それじゃあ、フェイトちゃん。私、帰るね」
「うん。今日はありがとう、なのは」
「お邪魔しました。バイバイ、フェイトちゃん」
「バイバイ」
入れ替わるように家に帰るなのはを見送る。
「……何かあったのか?」
「え?あ、なのはに勉強を教えてもらったんだ。ほら、私国語とか苦手だし」
「……そうか」
少し引っ掛かったが、気にすることでもないか。と、頭から追い払いマフラーを外して、いつも通りにリンディ・ハラオウン達の元へ向かう。
翌日。
マンションへ帰ると、また見慣れない靴があった。
「お帰り、刹那」
「お邪魔しとるよ〜」
「帰ったか。セイエイ」
「今日は、はやてとシグナムか」
「何だ。私と主が居るのは不満か?」
「そんな事は言っていない」
「シグナム」
やや、ムッとしたような表情で言うシグナムを窘めるように、はやてが言う。
もっとも、シグナムが本気言っているわけではないことはわかっている。
「それじゃあ、フェイトちゃん。私達、そろそろ帰るな〜」
「うん」
「セイエイ」
「なんだ?」
「今度、手合わせを……」
「断る」
「しかしだな……」
「シグナム、帰るよ〜」
「呼んでいるぞ」
「……」
やや、不満そうな顔をするが諦めたのか、はやての待つ玄関へ向かう。
「フェイトちゃん、アルフさん。お邪魔しました」
「邪魔をしたな。テスタロッサ」
「また来てね、はやて。……シグナムも」
「うん」
「そうさせてもらおう」
「またね〜。はやて、シグナム」
はやてとシグナムを見送ってリビングへ戻る。
「今日も勉強か?」
「うん、そんなところ。シグナムは、はやての付き添い」
「そうか」
さらに翌日。
マンションのドアノブに手をかけて、ドアを開けようとしたが開かなかった。
鍵がかかっている。
上着のポケットから鍵を出す。
刹那とフェイト。必ずしもどちらかが部屋に居るとは限らないため、お互いに鍵を持っている。
中に入り、電気とエアコンを点ける。
アルバイトを終えて、帰宅する時間は午後7時近く。
フェイトが今まで居なかったことはない。
「珍しいこともあるものだな」
独り言を呟きながら、ソファーに座りテレビを点けて、ニュース番組を見る。
テレビを見始めて10分程たった頃だった。
「ただいま」
「ただいま〜」
フェイトとアルフが帰ってきた。
「珍しいな、二人が俺より遅いとは」
「あ、ごめんね」
フェイトが少し俯く。
「謝る必要はない。お前にはお前の用事があるだろうし、俺にどうこう言う権利はないからな」
「う、うん。ありがとう」
顔を上げて微笑む。
「さて、行くか」
「うん」
そんなことが数日続き。
2月14日。
今日は午前中から客が多い。
時折、複数の強い視線を感じる。
敵意はなさそうだが、
なんなんだ?まるで、戦場に居るかのようなこの感覚は?
翠屋でアルバイトを始めて二カ月。
今までで一番辛い日になりそうだと、刹那は感じた。
だが、刹那は気づかない。
密かに刹那を狙っている女性客の好意の視線であったことに。
午後4時を回ったところだった。
「刹那君、ちょっといいかい?」
士郎が店の奥から顔を出し手招きをしている。
頷き、店内を離れ奥の部屋へと向かう。
「何かあったか?」
「いや、特別ないよ」
「なら……」
「刹那君、今日はもう上がっていいよ」
「……何故だ?普段であれば、これから客が増える時間帯だ。忙しくなるのではないか?」
「まぁ、そうなんだけどね」
士郎が苦笑しながら答える。
「ならば……」
「刹那君は、この二ヶ月間一日も休まずに頑張ってくれたからね。だから、ちょっとしたご褒美みたいなものかな」
士郎の言い分はわかる。やや不自然に感じるが、
「……わかった。その言葉に甘えよう」
「ん。じゃあ、また明日からよろしくお願いするよ」
「ああ」
エプロンを外し、上着とコート、マフラーを取りに行こうとした時、士郎に声をかけられた。
「あ〜、刹那君。今日は裏口から出てくれるかな?」
「?……わかった」
「それから、真っ直ぐ帰るように」
「?」
ますます怪しいが、頷くことしかできない。
着替えを済ませ、士郎の言うとおりに裏口から出て真っ直ぐマンションへ向かう。
「あなた」
「桃子」
「刹那君は?」
「今、裏口から帰ったよ」
「そう」
「刹那君はかなり怪しんでいたけどね」
士郎が苦笑しながら話す。
「あとは、なのは達次第ね」
刹那が翠屋を出てから、士郎と桃子がこんなやり取りをしていたことを本人は知らない。
玄関のドアを開けると、また見慣れない靴があった。
「早かったな。刹那」
「クロノ」
リビングへ向かうと、クロノとユーノ、ザフィーラが居た。
「ユーノにザフィーラまで居るとは……何があった?」
「朝、なのはから今日はこっちに来て欲しいって連絡があって、お昼頃にクロノのところに行って暫くのんびりさせてもらっていたら、はやて達が来て……」
「エイミィ達の追い出された」
「追い出された?……何故だ?」
「我にはわからぬ。これから大事な作業があるから、としか言われなかった」
ユーノは、なのはに呼ばれて。
ザフィーラは、はやての供。
だが、クロノと一緒に追い出された?
……意味がわからない。
一旦、部屋に戻りコートとマフラーを置いてくる。
リビングに戻って5分程経った頃、玄関のドアが開く音がした。
「ただいま」
「お邪魔しま〜す」
フェイトとなのはを先頭に、はやて、リインフォース、シグナム、アリサ、すずか、ヴィータ、アルフ、シャマル、エイミィ。
人数の多さに目を丸くする。
「……何かあったのか?」
「何かあったんよ〜」
「刹那、帰ってたんだね。おかえり」
「「お邪魔します。刹那さん」」
「お母さんの言ったとおり、タイミングばっちりだね」
はやてにフェイト、アリサとすずかが各々口にする。
なのはは桃子から何かしらの連絡を受けたようだ。
「それで?」
「はい、フェイトちゃん。代表してどうぞ」
エイミィが布巾のかかった大きめのバスケットをフェイトに渡す。
「わ、私?」
「そそ」
「え〜と……」
男性陣全員の頭に「?」が浮かんだ。
とん、と軽い音を立ててテーブルにバスケットを置く。
「……フェイト?」
クロノがフェイトを見る。
「布巾、取ってみて」
「……」
フェイトに言われてクロノが布巾をそっと取る。
「……これは?」
「チョコチップクッキーだよ」
刹那の疑問になのはが答える。
「何故これを?それとこの量だ。多くないか?」
「今日はバレンタインやろ?だから、四人に食べてもらおーと思ってな」
「バレンタイン?……最近、街や翠屋で見かけたが、それとこれとどう関係があるんだ?」
「え?刹那君、バレンタイン知らへんの?」
「知らない」
「……ホンマに?」
「嘘を言っても何もならない」
刹那の知らない発言に、はやてが驚いたようにもう一度聞く。
「え〜と、ユーノ君とクロノ君は?」
「僕も知らない」
「僕もだ。刹那と同じで、見かけた程度だ」
なのはは、ユーノとクロノに確認するが、やはり二人とも知らない。
「もちろん、ザフィーラは」
「知らぬ」
「だよな〜」
ヴィータがザフィーラに聞くが、当然の答えが返ってくる。
「で、結局のところなんなんだ?」
「……」
一度、女性陣が全員顔を見合わせる。
「?」
さっきから、男性陣は頭に「?」が浮かびっぱなしである。
「え〜と、今日はな。日頃お世話になっている男性に、女性がチョコを送る日なんよ」
「……そうなのか?」
「はい」
「あたしらも、つい最近知ったんだけどね〜」
はやての説明に頷くシャマルとアルフ。
もちろん、はやての説明は日本で浸透している習慣とは違う説明だが、男性陣がそれを知る由もない。
「そんなわけで、皆で作ったんだよ。もちろん、リンディさんも手伝ってくれたんだよ」
と、なのは。
「皆ということは……シャマルもか?」
ザフィーラが何やら不安そうな声を上げている。
「安心するといい、ザフィーラ」
「我らがしっかり見ていた」
「そ、そうか」
「リインフォースもシグナムもザフィーラも酷い!はやてちゃ〜ん」
涙目のシャマルがはやてに抱きつく。
「ま〜、シャマルはもうちょっと頑張らな〜」
「はやてちゃんまで!」
「それよりも、皆で折角作ったんだから」
「食べてみてください」
アリサとすずかが促す。
とはいえ、
「俺は(僕は、我は)甘いものは苦手なんだが」
「大丈夫。甘さ控えめだから」
刹那、クロノ、ザフィーラ。三人の返答を見越したかのように言うフェイト。
「ザフィーラにチョコは危ないから、こっちな」
はやてが持っていた少し小さなバスケットをザフィーラに見せる。
狼であるザフィーラには、害がないように特別に作ったようだ。
「ほら、ザフィーラ。人間になって、食べてみて」
「……主がそう仰られるのであれば」
瞬く間に人間の姿になるザフィーラ。
それぞれ、クッキーを一枚手に取る。
甘い香りが鼻腔を擽る。
「いただきます」
一口齧る。
「おいしい」
「ああ」
「確かにそんなに甘くないし、おいしいな」
ユーノ、ザフィーラ、クロノが感想を口にする。
女性陣が安堵する中、刹那だけは何も言わなかった。
そのため、不安になったフェイトが尋ねる。
「刹那、口に合わなかった?」
「いや、うまい」
「本当?」
「ああ」
「んだよ。なら、ちゃんと言えよ」
ホッと胸を撫で下ろすフェイトと刹那の態度に声を上げるヴィータ。
「だが……」
「え?」
「やはり、量が多い」
「なら、君達も一緒にどうだ?」
刹那の言葉にクロノが女性陣に一つ提案をする。
「え?」
「僕たちだけでは食べきれそうにない。折角、皆が集まったんだ。少しお茶会でもどうだ?」
「……」
クロノの提案に呆気にとられる女性陣。
それはそうだろう。
それぞれの想いは違えど、ここにいる男性陣の為に作ったものを自らが食べることになるとは思ってもみない。
全員顔を見合わせて、少し苦笑いをして頷く。
「じゃあ、皆で食べようか」
なのはが言うと、テーブルの周りに集まる。
流石にこの大人数でリビングのソファーには座れないため、小皿に取り分けてキッチンのテーブルとに分かれる。
飲み物を用意しようとするが、コップが足りない。
「私が戻って取ってくるよ」
エイミィが手を挙げる。
「エイミィ。折角だから、母さんにも声をかけてみてくれ」
「りょ〜かい」
そう言うなり、走って出て行った。
暫くして、エイミィがリンディを連れて戻り、お茶会が始まった。
「ザフィーラ。おいしいか〜?」
「はい。主」
「ちゃんと味わって食えよ。あたしらが作ったんだからよ」
「わかっている」
「しかし、こんな日がこようとはな」
「こんな日を過ごせるのは、我が主となのは、フェイトのおかげだ」
「ふふ、そうね」
「これ、めちゃくちゃおいしい!」
「って、アルフ!ザフィーラの分がなくなるだろ!」
「ユーノ、おいしい?」
「うん。おいしいよ、アリサ」
「ユーノ君は甘いもの平気だもんね。たくさん食べてね」
「ありがとう。なのは」
「はい。クロノ君、あ〜ん」
「エイミィ。そんなことしなくてもちゃんと食べる」
「ちぇ〜。ノリが悪いな〜」
「はいはい。本当にあなた達は……」
「刹那、甘さは大丈夫?」
「ああ」
「良かったね、フェイトちゃん」
時々、席を替えて交流を深めながらささやかなお茶会の時間は過ぎていく。
夕食の時間が近くなったことで、お茶会はお開きとなり、なのは達を見送ったあと、リンディとエイミィは夕食の準備ため自分達の部屋へ戻り、刹那達は食器等を片付てからリンディ達の元へ向かった。
夕食から戻り、リビングでニュースを見ていると、自室へ戻っていたフェイトがやって来た。
「あ、あの……」
「どうした?」
「こ、これ……」
差し出されたの綺麗に包装された小さな箱。
「?」
「その、今日はバレンタインだから」
「それならば、昼間に受け取ったぞ」
「あれは、皆からで、これは、私個人から感謝の気持ち」
「……いいのか?」
「う、うん」
フェイトが差し出す箱を受け取る。
「あ……」
「どうした?」
「う、ううん。何でもない。ありがとう、刹那」
「礼を言うのは俺の方だと思うが?」
「そ、そうだね。ふふ……」
「?」
微笑むフェイトを見ながら、今日は本当にわからないことが多い一日だったなと、思う刹那だった。
読了おつかれさまでした。
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魔法少女の世界へ飛ばされた、ガンダムマイスター刹那・F・セイエイと魔法少女達のとある一日。魔法少女リリカルなのはA'sと機動戦士ガンダム00のクロスオーバー作品……などという大それたものではなく、物書き未経験の素人による処女作で駄文です。読みづらい、誤字脱字等の至らないところが多々あると思います。作者の原作知識は、それほど高くありません。また、オリジナル設定が含まれておりますので、原作を大切にされている方はご注意ください。コメント欄にはご自由にお書きください。注)本小説は、某サイトにて投稿していたものを移したものです。 | ||
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