魔法少女リリカルなのはA's00〜とある日常〜(仮)−−09 風邪をひきました−−
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−−風邪をひきました−−

 

ピピピ、と目覚まし時計の電子アラームが起床時刻を報せる。

普段であれば、直ぐに起きるところであるが、ベッドで寝ている人物は一向に起きる気配がない。

と、毛布に包まっていた子犬……フォームのアルフが起きた。

女性の姿に変わって、鳴り続ける目覚ましのアラームを止める。

「フェイト。朝だよ」

声をかけるがそれでも起きる気配がない。

フェイトが起きないなんて、珍しいこともあるもんだねぇ。

そう思いながら、今度は肩を揺すりながら声をかける。

「フェイト。朝だってば」

「ん〜、アルフ?」

声を少し出して頭だけ動かすフェイト。

「フェイト。まだ、寝ぼけてる?」

「ん……コホッ」

「……フェイト?」

「……何でもないよ……コホッ」

少し咳をしながら、体を起こしベッドから出ようとするフェイトをアルフが止めた。

「ちょっと待った」

「アルフ?」

フェイトの額に手を当ててみる。……熱い。

逆にフェイトは、アルフの手がひんやりとしていて気持ちいいと思った。

「熱があるね」

「熱?私は大丈夫だよ」

「駄目だよ。ほら、横になって」

ベッドから出ようとしたフェイトだが、アルフに止められ布団をきちんとかけられてしまった。

「ちょっと待っててね」

そう言うと、部屋から出て行ってしまった。

「……コホッ」

また、咳が一つ出た。

 

何だかボーとする。

暫く、天井を見つめていると部屋の扉が静かに開いた。

頭だけ動かすと、視界にアルフの姿が映った。

アルフは一度、私の方を見ると廊下の方を向いて頷いた。

「入るぞ」

その言葉から少し間をおいて黒髪の少年が部屋に入る。

「刹那」

その言葉に特別反応を示さず無言でフェイトに近づく刹那。

体を起こそうとすると、

「起きるな。そのまま寝ていろ」

制された。

「アルフから熱があると聞いたが?」

フェイトの傍に立ち見下ろしながら刹那が容態を聞く。

「大丈夫……だよ……コホッ」

「……アルフ」

「はいよ」

アルフに声をかけると、フェイトから少し離れる。

「はい。これ」

と、電子体温計を渡された。

「とりあえず、体温を測ること」

「……うん」

 

暫くすると、ピピピピ、と体温計から音が出る。

体温計を見ると、38.2℃の表示。

「風邪か?……リンディ・ハラオウンに連絡してくる」

そう言うと、刹那は部屋から出て行ってしまった。

「刹那。私は大「丈夫じゃないよ」……」

アルフに遮られた。

「はい。寝てる」

「アルフ」

「……駄目だよフェイト」

「……わかった」

「うん」

アルフは微笑むと、部屋から出て行った。

暫くすると呼び鈴が鳴り、複数の足音が聞こえてきた。

きっと、リンディさん達だ。

コンコン、と扉をノックする音がしてからリンディさんとエイミィが入ってきた。

「リンディさん」

「大丈夫?」

「はい……」

体を起こそうとすると、

「起きなくていいわよ」

やっぱり止められた。

「フェイトちゃん、大丈夫?」

「エイミィ。大丈夫だよ……コホッ」

「大丈夫じゃないと思うなぁ」

エイミィが苦笑いしている。

「学校の方には私が連絡しておくから、今日は一日安静にしているといいわ」

「……はい。すみません」

「謝ることじゃないわ。アルフも私も仕事があるから、本局へ行っちゃうけど、エイミィがついててくれるから安心して」

「任せてください」

「ありがとうございます」

「いいのよ。それじゃあ、私は行くわね」

「はい」

エイミィがしゃがん聞いてくる。

「フェイトちゃん。食欲はある?」

「……あんまり……コホッ」

元々食が細いうえに、体調不良で余計に食欲がなくなっている。

「でも、少しは食べないとね。やっぱり、お粥がいいよね。ちょっと、待っててね」

立ちあがって、部屋を出て行ってしまった。

「……オカユって何?」

聞き慣れない単語に答えてくれる人はいなかった。

 

1分も経たないうち、エイミィが来た。

もう、オカユが出来たの?

……そんなわけないよね。

「とりあえず、はい」

と、額にタオルを置いてくれた。

冷たくて気持ちがいい。

「それじゃあ、出来たら持ってくるから。眠くなったら寝ちゃってもいいから」

「うん。ありがとう、エイミィ」

「どういたしまして」

 

少しウトウトしていたら、エイミィがおぼんを持って部屋に入ってきた。

「出来たよ」

おぼんのうえには、小さな土鍋とお茶碗。あと、レンゲって言ったかな。

土鍋からは湯気がかなり出ている。

口の中、火傷しないかな?

そんな不安を読みとったのか、エイミィがニッコリ笑って、

「土鍋のままだと熱すぎるからね。お茶碗に少しずつよそって食べようね」

「……うん」

体を起こして、パジャマの上に普段着ている上着を肩にかける。

土鍋を見ると、

「……お米?……でも、黄色い?」

「そのままだと味がないしね。卵を入れたんだ」

土鍋からお茶碗によそって、レンゲで少し口に運ぶ。

ほんの少ししょっぱい。

「塩?」

「少しね。美味しくないかな?」

エイミィが不安そうな顔をした。

「そんなことないよ。おいしいよ」

「本当?」

「うん」

「よかった〜」

と、ノックする音がした。

「は〜い」

エイミィが扉に向かう。

『俺だ』

「刹那君」

エイミィが扉を開くと、入室の確認をとる。

「入って大丈夫か?」

一度、エイミィがこちらを見て頷く。

「うん」

部屋に入り傍まで来て、

「これから、翠屋に行ってくる」

「アルバイトだね……コホッ」

「ああ。アルフも無限書庫の手伝いに行った」

「そっか。私だけ休んじゃって、何だか悪い……コホッ」

「気にするな。エイミィ・リミエッタ。あとは任せた。何かあればエクシアを通して連絡をくれ」

「はいは〜い。任せておきなさい」

「ではな」

踵を返して、部屋を出ていく刹那の背中に声をかける。

「いってらっしゃい」

刹那は一度立ち止まって、「ああ」と短く答えてから後ろ手で扉を閉めて行ってしまった。

「……刹那君は相変わらずだね〜」

「……そう?最近は結構お話もするよ」

「そうなの?」

「うん」

もう一度、レンゲを口へ運んだ時だった。

「ふ〜ん。ああ、それもそうだね」

「え?」

「この前は、膝枕してもらってたんもんね〜」

「……むぐっ!エ、エイミィ!!」

エイミィが口元の手を当てて、意地悪そうな笑みを向けている。

「あれから、またしてもらった?」

「ないよ!それにあれは偶然そうなっちゃっただけで!」

お正月に起きた事件。

そう、私にとっては事件。

大事件と言ってもいい、新年早々に起きた事件。

結果的に、刹那に膝枕をしてもらう形になってしまって……。

思い出したら恥ずかしくなってきて、風邪とは別に急激に顔が熱くなってきた。

「ごめんごめん。ほら、冷めないうちに食べて」

「う〜」

エイミィを少し睨んだ。

 

オカユを食べて薬を飲むと、少し眠くなってきた。

「眠い?」

「ちょっと」

「いいよ。寝ちゃって」

「うん。ありがとう」

エイミィにお礼を言って、睡魔に身を委ねた。

 

目が覚めたのは、正午前だった。

「あ、起きたね」

「……エイミィ」

声がする方に顔を向けと、エイミィが傍で床に座っていた。

「ふふ。おはようって言うのは変かな?」

「そうだね」

二人して少し笑う。

額のタオルをエイミィに渡して体を起こす。

「フェイトちゃん、お腹は空いてる?」

「……そんなに……コホッ」

「だよね。う〜ん……そうだ」

立ちあがって部屋を出ていく。

「エイミィ?」

「直ぐ戻るね」

その言葉のとおり、2分程で戻ってきた。

「はい。リンゴを((擂|す))ってきたよ」

擂ったリンゴが入った小さな容器とスプーンを渡された。

「それなら、入るでしょ?喉も潤せるし」

「……ありがとう」

 

リンゴを食べてもう一度、体温を測る。

「……37.6℃」

「少し下がったね」

と、床に置いてあったエイミィの小型端末が鳴った。

「何かあったのかな?」と、端末を持って廊下に出る。

暫くすると、申し訳なさそうな顔をして戻ってきた。

「どうしたの?」

「それがね。緊急の呼び出しがあって、本局に行くことになっちゃって……」

「そっか。私は大丈夫だから、気にしないで」

「ごめんね。一応、皆にも連絡しておいたから」

「うん」

「それじゃあ……行ってくるね」

「ありがとう、エイミィ。いってらっしゃい」

「うん」

 

 

独りになって天井を見つめていた。

「静か……」

聞こえてくるのは、鳥の囀りやバイクの音くらい。

普段なら学校で午後の授業を受けている時間。

先生の声や校庭で体育の授業を受ける他の生徒の声も、今は聞こえない。

そういえば、こうして独りで過ごすのって久しぶりかもしれない。

((海鳴|こっち))に来てからは特に。

必ず誰かと一緒にいた気がする。

……少し、寂しいな。

体を横にして、布団の中で体を丸めるように縮こまる。

 

 

 

夢を見ていた。

とても温かな夢。

なのはやはやて、アリサにすずか。

シグナム達とアースラの皆も一緒にいる。

でも、誰かがいない気がする。

なのはに聞いたら、ちゃんと皆いるって。

……誰?

誰がいないの?

……わからない。

ふと、少し離れた場所に光が溢れているの気が付いた。

他の皆は気付いていない。

光に近づくと、その光は緑色のような光だった。

とても温かくて……でもどこか寂しい感じだった。

手を伸ばすと、一瞬眩い光を放って消えてしまった。

 

 

 

「……ん」

少し目を開けると、黒髪の少年の横顔が映った。

「起きたか」

「せつ、な?」

「ああ」

「ええ!?」

一気に目が覚めて、体を起こす。

何だか、最近こんなことばっかり。

時計を見ると午後1時半より少し前。

あれから、そんなに寝ていなかったことを確認する。

刹那はベッドの横で壁に背を預けて床に座っていた。

「……コホッ。どうして?アルバイトでしょ?」

「士郎と桃子が気を利かせてくれた」

士郎さんと桃子さんが。

「……熱は?」

「お昼頃に測った時は、37.6℃」

それを聞いた刹那は、少し考え込んでから体温計を出した。

測れって事だよね。

体温計を受け取って熱を測る。

「……37.8℃」

少し上がってた、タオルをしていなかったからかな。

「喉は乾いているか?」

「……ちょっと」

「少し待っていろ」

立ち上がって部屋から出て行ってしまった。

 

ノックがして間を置いてからおぼんを持った刹那が入ってくる。

さっきと同じ場所に座って、おぼんを床に置く。

コップ……にストローが入っていて、コップの口はラップがしてある。

「帰りにスポーツドリンクを買ってきた。それから、これを使え」

渡されたのは長方形の布……のようなもの。

「額に貼れ。それなら、わざわざタオルを使う必要もないし、体勢を変えても落ちない」

「……あ、ありがとう」

透明フィルムを剥がして額に貼る。

……気持ちいい。

差し出されたコップを持って、ストローに口をつける。

少し飲んで刹那に返す。

「とりあえず、横になれ。寝ろと言われてもなかなか寝れないだろうが、体を楽にするだけでもだいぶ違う」

「う、うん」

刹那に言われて横になって、布団をきちんとかける。

私が横になったのを確認して、その場で本を読み始める。

「暫くいるから、何かあったら言え」

「え……そ、そんな悪いよ。刹那だって……コホッ……やりたい事があるんじゃないの?」

「気にするな」

「でも……」

軽くため息をついて、こっちを見る。

「お前は、疲れていても他のヤツが動いているから休みたいと言わなかった。違うか?」

「う……」

「お前は遠慮しすぎる。まだ子供なんだ。もう少し、遠慮せずに色々言ってもいいんじゃないか?……もっとも、お前の性格では無理かもしれないがな」

「……」

「調子が悪い時ぐらい遠慮するな」

そこまで言って読書を再開した。

 

 

10分くらい経ったかな。

刹那が立ち上がった。

「あ……」

「どうした?」

「え、えっと……」

「?」

刹那は私の部屋から出るだけ。

居なくなっちゃうわけじゃない。

それでも、さっき感じた寂しさを思い出して、思わず声をあげてしまった。

「その、刹那はさっき『遠慮するな』って言ったよね」

「ああ」

「お願い……してもいいかな?」

「何だ?」

「アルフが帰って来るまで……そ、傍に……居てくれないかな?」

「……」

「ご、ごめん。やっぱり、いい」

刹那は無言で部屋から出て行ってしまった。

いくらなんでも、やっぱり無理だよね。

何言ってるんだろう。

気落ちしていていると、扉が開いた。

そこには数冊の本を持った刹那が立っていた。

「?」

「本を取ってきた」

そう言って、傍まで来て床に座る。

「アルフが帰ってくるまでここに居てやる」

「……刹那」

私の呼び掛けには答えず、読書を始めてしまった。

「ありがとう。刹那……」

 

 

本を読み始めて5分程経った頃だろうか。

静かな寝息が聞こえる。

横を見ると、フェイトが寝ていた。

視線を本に戻すと、刹那は昼間のことを思い出していた。

 

『刹那君』

『エイミィ。何かあったのか?』

『実はね。急な呼び出しがあって、これから本局に行かないといけないんだ』

『本局に?そうなると、フェイトは独りか?』

『そうなんだよ〜』

『……とりあえず、事情はわかった』

『うん。一応、アルフにも連絡をしておくね』

『ああ』

エイミィとの連絡を終えると、士郎が声をかけてきた。

「どうかしたのかい?」

「ああ。エイミィに急用が入って、フェイトが独りになってしまうそうだ」

「それは……」

「一応、アルフにも連絡を入れるそうだ」

「フェイトちゃん独り……ちょっと心配ね」

桃子が心配そうに呟く。

「……刹那君」

「今日は帰ってフェイトちゃんの傍にいてあげなさい」

何となく、そんな事を言われるような気がしていた。

「……」

「ほらほら、早く帰ってあげなさい」

士郎が急かす。

「しかし」

「体調が悪い時ってね。結構、心細くなるの。誰かに傍にいて欲しいものなのよ」

「……そういうものなのか?」

「そういうものよ」

桃子が微笑みながら言う。

「……わかった」

帰り支度をしていると桃子がメモを差し出した。

「これは?」

「途中でここに書かれている物を買っておくといいわ。きっと役に立つから」

メモを受け取り、翠屋をあとにする。

 

フェイトの【お願い】。

傍にいてほしい。

「桃子の言ったとおりということか……」

独り呟いて、読書を再開する。

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読了おつかれさまでした。

説明
魔法少女の世界へ飛ばされた、ガンダムマイスター刹那・F・セイエイと魔法少女達のとある一日。魔法少女リリカルなのはA'sと機動戦士ガンダム00のクロスオーバー作品……などという大それたものではなく、物書き未経験の素人による処女作で駄文です。読みづらい、誤字脱字等の至らないところが多々あると思います。作者の原作知識は、それほど高くありません。また、オリジナル設定が含まれておりますので、原作を大切にされている方はご注意ください。コメント欄にはご自由にお書きください。注)本小説は、某サイトにて投稿していたものを移したものです。
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タグ
魔法少女リリカルなのはA's 機動戦士ガンダム00 クロスオーバー 刹那・F・セイエイ フェイト・テスタロッサ 

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