仮面ライダーディケイド〜紅蓮の破壊者〜【オールライダー・バトルカーニバル】 |
第十二話、共・鳴・暴・走
ハジメとヤマトはダイと名乗る怪しげな青年とその脇に引っ付いていたツインテールの少女、凰ファン 鈴音リンインの案内によりコロシアムのすぐ近くまで来ていた。現在、ヤマトと鈴音は楽しげに話している。
「ヤマトさんもライダーなんですか?」
「うん、そうそう…。そういえばダイさんは?」
「…」
時おりダイにも話かけてはみる2人だがとうのダイは興味のなさそうな目を向けると目線をそらし無言のまま黙々と歩き続ける…。
(何なんだ…この男?)
一方、ハジメはというとダイを警戒し後ろから距離をとって歩いていた…。それだけダイの雰囲気は異様なのだ。
「全く…そんな目線で後ろから見ないでくれないか?」
「!」
しかし、ダイはそんなことにはとっくに気づいていたらしく不快な声をだす。
「やれやれ…そんなんじゃ落ち着いて歩けもしない。」
「…貴方は何者なんだ?」
ここは単刀直入に聞いてみるハジメ。それに対しダイの答えは…
「通りすがりの……いや………呪われた…仮面ライダーさ。」
「ライダー?ならアンタもカーニバルに出るのか?」
「いや、僕はでないよ。なんせ僕は誰からも世界からも嫌われ者でお呼びでないからね。」
ダイは意味不明な言葉で返すとまた黙々と歩き続ける…と思いきや手をあげ全員に止まるように指示をだす。
「どうやら…招かねざる客は僕だけではないようだ。」
「えっ?どうしたの…」
鈴音が言い終える前に建物の隙間や屋上からローブを被った人影から次々と現れる。
『イーッ!』
『イーッ!』
『イーッ!』
そしてローブを取ると骸骨の模様が入った全身黒タイツに鷲のマークの入ったマスクが露になる。ショッカー戦闘員だ。
「なっ!?何なのよコイツら!?」
「下がって!!」
「ここは俺たちが相手を…」
ハジメとヤマトは鈴音を下がらせて自らの変身ツールに手をかけようとするが…
「まさか…君たち『この程度』の奴らに変身する気かい?」
ダイは半ば呆れた声をだしショッカー戦闘員を見据える。睨まれた戦闘員は構えるが…
「構えが…三流以下だ。」
『!』
すぐにダイが懐に入ってくる。それを見た他の戦闘員がダイに襲いかかるが…
「目だ!」
グシャ!
『イッ!?』
「耳だ。」
ザクッ
『イイッ!?』
「鼻だ!」
グシャ
『イーッ!?』
あっという間にダイに蹴散らされてしまった。
「危ない!!」
『イーッ!』
その時、残った戦闘員が後ろからダイに襲いかかり鈴音の悲鳴が響く。
「甘い。」
だがダイは身を低くしかわし羽織を脱ぐと振り向き際戦闘員に投げつける。
『イイッ!?』
戦闘員は視界が突如、奪われパニックになる。
「ククク…」
更にダイは周りにいた戦闘員の首に足をかけへし折るとそれを羽織を払った戦闘員に投げつける。
「うわ…えげつな…」
「ヤマトさん!油断してる場合じゃないですよ!」
戦闘員を殴りとばしながら率直な感想をもらすヤマトと同じく戦闘員を蹴散らすハジメ。一方、鈴音は…
「何すんのよ!」
パチン!パチン!パチン!
『イッ!イッ!イッ!』
「おうりゃあ!」
ズドン
『イーッ!!』
ダイに劣らず絶好調でありビンタを炸裂させたり更には掴みかかってきた戦闘員を背負い投げしていた。
「最近の女の子って案外強いなあ〜」
「絶対違うと思いますよ!」
またもマイペース発言をするヤマトにつっこむハジメだが後ろから戦闘員が来たため股間を蹴ってダウンさせた。
そして、残るは未だにローブをとらない奴1人になった…。
「これでラストォォ!」
ヤマトが勢いよく殴る…
が…
ガァァァン!!
「…」
「…」
「…」
「……」
「痛ってぇぇぇぇぇぇ!?」
殴ったヤマト本人のほうが痛がる。
『フフフ…』
ローブの男はヤマトの首片手でを締めるとハジメたちのもとへ投げつける。
「ちっ!」
バンバン!!
鈴音も両手で抱えられるほどの大きさの緑のラインが入った銃、バースバスターを構えて引き金を引く。しかし、放たれた金色の弾丸はローブを焦がすだけでローブの男にはダメージは無さそうだ。
「…」
バンバンバンバン!!
それを見かねたダイも腰に引っ提げていたディロウガドライバーを抜き撃ちまくる。
しかし、これも効果は無い。
「『鋼鉄の少年』…メタルチック・ボーイか…。」
ダイがそう呟くと男は焼け焦げたローブを振り払う。
「「「!」」」
そしてその姿を見た鈴音、ヤマト、鈴音に衝撃が走る。何故なら…
男は全身が『鋼鉄』だったのだ…。そう、目玉に至るまで…
『貴様のようなライダーはデータベースには無かったな。それに私を知っているようだが…』
「そう、僕は君を知っている。何故なら君は未来で僕に殺されているのだから。」
『ほう……面白い。私が貴様のような若造に殺されるとはジョークが上手いようだな。構えろ!』
メタルチック・ボーイと呼ばれた異形の男はダイに変身を促す。
「良いだろう…。これで君を殺すのは二度目だ。」
『KAMEN RIDE…』
「狩れ、ディロウガ!変身!!」
『DE-LOUGA』
ダイはディロウガドライバーにカードを装填し仮面ライダーディロウガへと姿を変えた。
一方…
コロシアムリング…
「ライダァァァロケットドリルキック!!」
「ぐわあァァァァ!!」
フォーゼが相手のライダーを必殺技で撃破していた。
「ふぅ…何とか勝てた…」
息を切らしながらドライバーのスイッチを切り変身を解くフォーゼ…。そこから現れたのは昴ではなく金髪の少年、天田 空であった…。
「お疲れさま、空君。」
「あ!ティアナさん…!」
待合室に向かうとオレンジの髪を後ろで纏めたティアナがそこで待っていた。
「その…竜馬さんは?」
「ああ…竜馬ならハヤトとムサシを探しにいったわよ。アイツらいないと『三人乗り』が試せないからね。」
「三人乗り?」
空は『三人乗り』という単語に疑問を持ったが特に気にしなかった。
現在、試合はかなり進み激戦をくぐり抜けた猛者が揃いつつあった…。あと今日のところはあと3試合ほどするらしい…。
「さて…次の組み合わせは…」
空の視界に飛び込んできた電子掲示板の組み合わせは…
☆西門 四季vsロックオン・ストラトス
高見 大智vs流 竜馬
織斑 唯vsミハエル・ブラン
剣立ハジメvsレオナルド・ボアーマン
加藤ヤマトvs商喜助
凰鈴音vsティアナ・ランスター
観客席…
「おつかれさん。」
「うっす!」
四季は先に出番が回ってきた藤馬にねぎらいの挨拶をする。
「ほい、キバット。スプリング特製トマトジュースだ。」
『お!これは四季殿、かたじけない…。』
「タツの坊は特製オレンジジュースだ。」
『有り難うございます。』
キバットにはトマトジュースをその周りにいつの間にかいた竜の子(?)『タツロット』にオレンジジュースをあげる四季。
「どうだ調子は?」
藤馬にスポーツ飲料をなげわたしながら訊ねる四季。
「っつ!まあ、上々っすね。カイザって奴結構手強かったし何だか不快なビジュアルで愚痴ってるし…」
スポーツ飲料をキャッチし応えるとそのまま流しこむように飲む藤馬。しかし、何処か虚しそうな顔をしてるのを四季は見逃さなかった…。
「そう言えば四季さん、次出番すよね!?しかもここでやるんでしょ?」
「ああ…まあな…」
何だか曖昧な返事をする四季…。ここでキバットが四季がしきりに腹をさすっていることに気がつく。
『四季殿…もしや斬られた跡が…』
「いや…大丈夫だ。わりい、わりい。」
ディロストに斬られた跡のことを気にするキバットだが四季は心配させまいと気丈に振る舞う。
「さて…いきますか。」
彼はブラックディケイドライバーを懐から引っ張りだしその場を後にした…。
コロシアム待合室…
「気を付けろロックオン…。相手はメモリでもアストロスイッチのライダーでもない。」
「わかってる一夏。心配しなくて良いわよ。」
1人の少年が銀髪の少女を送りだそうとしていた…。
「俺は一旦外を見廻りしてくる。だから…」
「平気、平気!そう簡単に負けはしないわよ♪」
少女はウィンクをすると少年の頬にキスをしリングへ向かった…。
(何故だ…ここまで胸騒ぎするのは…?)
だが少年は嫌な予感がしており、これが的中するとは夢にも思っていなかった…。
数分後…
コロシアムリング…
四季は腹に手をあてて相手が出てくるのを待っていた。
(やべえ…結構痛いぜ。)
腹痛に苦しみながらも相手のコーナーを見る四季。するとそこから銀髪の少女が現れる。
「ほう…変わった名前だからよくわからなかったがまさか相手がレディだとはな…」
四季は軽口を叩くとブラックディケイドライバーを構える。
「ええ…よく言われるわ。それに貴方も四季って良い名前だと思うわよ。」
「そいつはどうも。んじゃここは一つ、お手柔らかに頼むぜお嬢ちゃん。」
「こちらこそ。」
ロックオンと名乗る少女は青のフレームにに黒の球体が取り付けられたベルト『メテオドライバー』を装着する。
【メテオ・レディ?】
ロックオンは青いスイッチ、メテオスイッチをドライバーに挿入する。同じく四季もブラックディケイドライバーを装着しハンドルを開きディケイド・ブラットのカメンライドガードを構える。
「「変身!」」
『KAMEN RIDE DECADE BLOOD』
ロックオンはレバーを引き銀色のオーロラが頭上に現れそこから青い光が降り注ぐ。そして彼女は青い球体に包まれ姿を変える。
星空のようなボディ
蒼き流星をモチーフにしたマスク
右肩にはメテオドライバーから青い装甲がラインを引いている
「仮面ライダーメテオ…お前の運命は私が決める!」
そして、ロックオンは仮面ライダーメテオへと変身した。
が…
四季はカードを装填したままうずくまってしまう…。
「ちょ…貴方大丈夫?」
メテオはこれでは運命決める以前の問題だと心配そうに声をかける。
観客席…
「どうしたんでしょう…」
「さあ…」
アインハルトとオトヤはその様子を見ていた。
(でも何だろう…この感覚…。前に何処かで…)
純粋な心配を向けるアインハルトに対しオトヤは嫌な汗が伝うのを感じていた。
コロシアム廊下…
「!」
唯は異常な気配を感じ取った。
「この気配!奴か!!」
そのまま彼はオーズドライバーを取りだし観客席に駆け出した。
コロシアム便所…
「そうか!!奴が出たかァァ!!」
浅倉は鏡の映る自らの契約モンスター、ベノスネーカーにディロウガ出現の報を聞いていた。そのままコロシアムの外へ出ていこうとするが
「何だ?」
何かを感じとり足を止めた…。
コロシアム観客席…
「うおい!?四季さんどうしたんだ?」
藤馬は四季の異常に驚く中でキバットのみ神妙な顔をしていた…。
『馬鹿な…この気配は!?』
コロシアムリング…
(な、なんだ!?)
ドックン!ドックン!
四季は身体が疼くいていた。今までディケイド・ブラットに何度も変身してきたがこんなことは一度も無かった…。
(まさか…)
ディロウガに斬られた瞬間を思いだした時…
彼の瞳が紅く染まり身体は黒い炎に包まれる。
「うあァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
そのまま四季はディケイド・ブラットへと姿を変えていく…。
しかし、その姿はいつもとは違う…。
マスクや複眼は刺々しく白いはずのスカーフは黒く染まっている…。
この姿は…
仮面ライダーディケイド・ブラット…
激情態…
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