仮面ライダーIX(イクス) 前編
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●プロローグ

 

SE:夜の都会の喧騒

   ブロロオオォォーーーーーーーーーーッ(疾走するバイクに跨る少女)

 

 

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第一話〜キューティ・チェイサー〜

 

●シーン1:工事現場

 

SE:ガンガンガン、ザザーーーーーッ(工事現場の作業員達)

 

男A「おい、兄ちゃん!それ運んだらこっち来い。休憩すっぞ」

 

SE:ガラガラ、ザーーーーッ(一輪の砂をあける青年)

 

青年「――――はい」

 

SE:キシュッ、ゴクゴクゴク(缶コーヒーを飲み干す男A)

 

男A「――――っはぁーーーーっ、今夜も冷え込むよなぁ」

青年「はぁ…」

男A「どうした、兄ちゃん?元気ねえなぁ」

青年「いえ、別に…」

男A「初めて見る顔だけど、このテの仕事は辛ぇか?まぁ、でも俺たちがいなけりゃ、このビルも建たねぇんだ。

   ――――俺はこの仕事に誇りを持ってる。

   設計するヤツがどんなに偉くっても、それを建てるのは俺たちなんだからな、だろ?」

青年「…それは…そうですが…」

男A「辛気臭ぇなぁ、おい…

   いいかぁ、兄ちゃんの身の上に何があったか俺は知らん。

   ―――あの水溜り見てみな」

青年「―――?」

男A「結構、澄んで見えるだろ?でもな、以外に底は淀んでるんだ。で、この棒でな―――」

 

SE:バシャバシャ(水溜りを掻き混ぜる音)

 

青年「――――」

男A「ほうれ、あっという間に濁っちまった。

   ――――人生もこんなもんだ、綺麗に見えるヤツでもそれは見えているトコだけだ。

   誰だって、苦労もすりゃイイ思いもしてるんだぜ。

   頑張って生きてりゃ、きっとイイ思いも出来るって。なぁ?」

 

   SE:ザッザッザッ(近付く足音)

 

少女「――――その通り…イイこと言うわ、オジサン…」

青年「――――ッ !! 」

男A「ヒューーーー♪(口笛)そうかい?お嬢さんみたいな可愛いコに褒められるとは嬉しいねぇ」

少女「どういたしまして☆…さて…」

青年「―――あ…あ…」

 

 

男A「どうしたい、兄ちゃん?震えちまって――」

青年「う…うわああああぁぁぁっ!」

 

SE:ダダダッ(走って逃げる青年)

 

男A「兄ちゃんっ !? 」

少女「――――やれやれ、往生際の悪い…」

 

SE:ザッ(踵を反す少女)

 

男A「おっ、おい!アンタ、あの兄ちゃんの知り合いなのか?」

少女「…そうね…アタシというより、アタシの『中の人』がね―――」

 

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●シーン2:工事現場の路地

 

SE:ダッダッダッ(逃走する青年)

 

青年「はぁ、はぁっ」

少女(遠くからのエコー)「観念しなさい!もう逃がさないわ―――」

 

SE:タッタッタッ(追う少女)

 

少女「この近さなら、探知システム無しでもアタシには丸見えよ!

   ―――――その角ねっ!」

 

SE:ガシイィッ(何かに捕らえられる少女)

 

少女「――――ッ !? 」

 

SE:ギシイッ(体に絡み、軋む糸)

 

少女「巨大な蜘蛛の巣―――やられたぁ…―――(はっ)上っ?」

 

SE:キュイィィィ(異形の怪物の奏でる怪音)

 

少女「鉄骨っ !? ――――しまったぁっ!」

 

SE:ピィンッ(糸の切れる音)

   ガラガラガラーーーーーーーーーーッ

   ガガガガアアアァァァァーーーーーーーーンンンンッ(少女の上に降り注ぐ鉄骨)

 

   静寂

 

SE:シュルルルルルルッ(地面に降り立つ異形の影)

 

怪物「ギ…ギギッ…」

 

SE:ゴワアアァァァーーーーーンッ(鉄骨を吹き飛ばす音)

 

怪物「ギギギッ?」

 

SE:ガランッ(鉄骨を踏みしめて立つ少女)

   ジジジジジジジジ(形容し難い羽音のような共鳴音を放つ少女の変異体)

 

少女(変異体)「―――ふぅ…危ない危ない…」

怪物「ギギッ、ギギギッ !? 」

 

SE:ゴキ、ゴキッ(ストレッチをする少女の変異体)

 

 

少女(変異体)「この姿に驚くことないでしょう?―――アタシも貴方と同じなのよ…でも…」

 

SE:ダダダダダーーーーーッ(走り出す少女)

 

少女(変異体)「『中の人』はチョット違うけどねーーーーーーーっ!」

怪物「ギギギイイィッ!」

 

SE:ガッキイイィィッ(組み合う二体)

 

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●シーン3:謎の建造物

 

SE:指令センター内の機械音

 

小春「―――シグナル、確認しましたぁ!」

日和「探知システム作動、映像入ります」

 

SE:キュンッ(スクリーンに映し出される映像)

 

 

猛「――――なっ、アイツ…変身してるじゃないかっ !? 」

小春「そのようですねぇ」

日和「『イクス』の覚醒承認は出ていませんが」

猛「当たり前だ、出すのは俺なんだからなっ!」

小春「また無許可ですねぇ…」

日和「始末書の用意は出来ています」

猛「後でいいっ!―――兎に角、今はサポートが先だっ」

小春「はいぃっ!」

 

SE:コンソールパネルを叩く二人のオペレーター

 

日和「―――出ました、当該対象一致。『タイプ・スパイダー』です」

猛「―――よしっ」

 

●シーン4:工事現場

 

SE:ガッキイイイッ、ギリギリギリ(組み合ったままの二体)

少女(変異体)「――――くっ…この馬鹿力がぁ…」

猛(通信)「――愛、聞こえるか?愛ッ!」

少女(変異体=以下:愛)「猛?―――聞こえてるわよ!今チョット忙しいんだけど?」

猛(通信)「そりゃ悪かったな!――――耳寄りな情報だったんだが、もう切るぞ」

愛(変異体)「悪かったわヨ、冗談よ!いわゆるアメリカンジョークってやつヨ!」

猛(通信)「…ドコの州の冗談だ…――――いいか、よく聞け!ヤツは『毒性有り』だ。

      捕獲が出来れば一番だが、それが出来ないなら、何とかヤツの毒を採取して持ち帰れ」

愛(変異体)「なっ、早く言いなさいよっ!――――――ほいっ」

怪物「ギギイーーーーーーッ!」

 

SE:ガブウウゥッ(噛み付く怪物)

 

愛「くっ―――――!」

 

●シーン5:司令センター内

 

小春「ああっ !? 自分から噛ませちゃいましたよぉっ!」

日和「毒の採取、完了です」

猛「あの馬鹿がああぁぁっ!」

 

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●シーン6:工事現場

 

愛(変異体)「――――くぅっ…結構痛いわねぇ―――」

怪物「ギギギッ?」

愛(変異体)「いつまで噛んでんのよ、離れなさいーーーーーーーーッ!」

 

SE:バキイイイィッ(怪物を蹴りとばす愛)

 

怪物「ギギイイイィィッ」

愛(変異体)「―――持って帰って調べるより、アタシが肌で感じた方が早いのヨ…」

怪物「ギギギイィッ」

愛(変異体)「――――――またハズレか…いつになればアイツに…」

 

SE:ザッ(怪物に向き直る少女)

 

怪物「ギギギイイッ!」

愛(変異体)「…もうアンタに用は無いヮ…大人しくプラントに戻ってもらうわヨ!」

 

SE:ダダダダッ(駆け出す愛)

 

怪物「ギギギーーーーーッ」

愛(変異体)「やあーーーーーーっ!」

 

SE:バキイッ(チョップ音)

 

怪物「ギエェェッ」

 

SE:シャアアアアアァァッ(糸を吐く怪物)

 

愛(変異体)「遅いっ!―――――はああぁっ!」

怪物「ギャアアアァァッ!」

 

SE:ドシャアアッ(地面に叩きつけられる怪物)

   ザッザッザッ(怪物に近寄る愛)

 

愛(変異体)「――――さぁて…覚悟しなさ―――うっ…」

 

SE:ガクッ(膝を付く愛)

 

●シーン7:指令センター内

 

SE:鳴り響くアラーム

 

猛「愛ッ !! 」

小春「ああーーーーーっ、大変ですぅ!」

日和「毒素が中和しきれなかったようです。『イクス』、機能低下」

猛「言わんこっちゃない―――――愛ッ!」

 

●シーン8:工事現場

 

愛(変異体)「うっ…く、くっそぉ…」

怪物「ギ…ギギギッ!」

 

SE:シュルルルルルッ(糸を伝って逃走する怪物)

 

愛「待ちなさいっ…――――――くぅっ…」

 

SE:ドサアァッ(倒れこむ愛)

 

猛(通信)「愛ッ、しっかりしろ!今、救援がそっちに向かった!おい、聞いてるか?愛ッ !? 」

愛「――――聞いてるわヨ…猛…―――――ゴメンね、志郎……志郎―――……」

 

説明
夜の街を疾走する赤いバイクに跨る少女。
彼女はある使命をおびていた。
そして彼女自身にも驚くべき秘密が…
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