女王様の頑張る日々。
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薄明るい森の中。白い服に白い髪、傍らに白と黒の小型機械を浮かべる少女、イヴは困っていた。

 

いくら歩けども変わり映えしない景色、徐々に違和感を感じる脚。

そう。つまりは迷ったのだ。

 

 

 

この世界には話す機械なんてそうはない。そうはいないだけで存在はする。

それが彼女ら、意思を持つ機械【ナソード】である。過去エルという世界の動力源を食い散らかす欠陥品としてことごとく廃棄されたナソード、イヴはその生き残りである。

 

彼女とお付きのナソードギア、白の【レビ】と黒の【モビ】の目的は、いわばナソードの復興。なのだが………。

 

「ここは……どこ……?」

『歩き初めてから5時間57分と13秒。』

『歩いた距離は大体12kmだ。』

『現在時刻8時41分34秒。』

「ボクでも、いい加減金属疲労が……」

 

徐々に足取りも悪くなり、ふらつき始めたイヴ。

若干浮いているとはいえ脚は動かしているため徐々に疲労は出る。

現にイヴの脚の付け根からギギギ、という音もしていた。

 

『どうかんがえても女王みたいな人型が出す音じゃねぇよな』

『まぁ女王がどうやってできてるのかよくわかんないしな。』

「モビ、レビ。無駄口叩いてる暇あったらボクを乗っけるか人里探すかして。」

『『Yes,Queen』』

 

イヴが近くの樹に腰かけ、モビとレビが周囲を回り始めた。

それを見つめるイヴ、まさに蝶を眺める少女のよ

 

『ビンゴ。』

『何か来るぞ女王。戦闘準備。』

「…っ。」

 

とっさにイヴが立ち上がり、モビとレビがイヴの近くに寄る。

三人(一人と二機)が向く方向の草むらががさがさと怪しげに揺れ、イヴの警戒心を煽る。

数秒、がさがさした後――――――

 

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「ぷはっ!!!!あーもう、エルスの奴どこ行ったのよー……。」

 

「……」

『……』

『……』

 

紫髪の少女が顔を出した。

その期待外れ感と残念さに思わず三人は絶句。

 

「……?あれ、あんた誰?」

 

少女がイヴたちを見て一言。

その一言でイヴ達の意識が戻ってきた。

 

「…モビ。」

『あんだ女王』

「戦闘、コレとするの?」

『…正直、こんなんが出るとは予測できなかった。』

『所詮モビの黒ずんだ思考回路じゃあその程度ってことだな。』

『んだとレビ。お前みたいな真っ白な思考回路じゃあわからないことを考えてるんだよ。』

「少し黙ってて。」

『『Yes,Queen』』

 

 

二機を黙らせ、少女に近づき、手を差し伸べるイヴ。【この辺りが人間とは違う出来るナソード】とは本人の談。

 

「……?」

「僕はイヴ。立てる……?」

「ああ、大丈夫。ありがと。」

 

イヴに手をひかれ、少女が草むらから引き出された。

イヴぐらいの人間の少女だ。

 

「あ、あたしはアイシャ。超次元天才魔法美少女アイシャ様よ。」

『おい何かぬかしてんぞこいつ』

『こんな奴チビ子でいいんじゃね?』

「誰が豆粒ドチビよ!!!…ってあれ?どっから声が…?」

 

モビとレビの声に条件反射で反応し、きょろきょろと辺りを見渡す少女。

イヴはそれを無表情で眺めていた。

 

「はぁ、はぁ…。あんた、イヴっつったわね。何なのよその周りに浮いてるの。」

「モビとレビ。こっちの黒いのがモビ、白いのがレビ。」

「いや、名前聞いてるんじゃなんくて。何?」

「ナソード。」

『いいやがったよこの女王』

『隠した方がいいと思ったんだけどねぇ。』

 

イヴの言葉を聞き、絶句する少女、アイシャ。

口をぱくぱくと開き、必死に空気を取り入れている。

 

「……マジ?」

「マジ。」

「本当にナソードなの?」

「うん。」

 

「…………た」

「…?」

 

 

 

「キタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

「!!!???」

『鼓膜防御』

『聴覚機能閉鎖』

 

突然大声で絶叫したアイシャ。耳をふさぐのが遅れたイヴは表情を歪め、モビとレビは平然と防いでいる。

何故声を出す本人は無事なのだろうか。それは誰にもわからない。

 

 

ソニックブームが起きそうなレベルの大声が止み、アイシャが輝いた目でイヴの手を掴んだ。

 

「本物!本物のナソードよ!!!あの失われた技術とも言われたナソード!魔導技術の発展は目の前ね!ついでに私の名声もうなぎ上り!圧倒的美少女絶対神アイシャ様の天下は目前ね!!」

「………。」

『何か言ってるぞこのチビ子』

『ほっとけ。子供のたわごとだろ。』

「……!」

『おい、女王も目輝いてるんだが』

『…ゲキリュウニミヲマカセドウカスル』

『ナソードが最速で思考放棄するんじゃねぇ!!』

 

レビががんがんとモビに体当たりするの光景を他所に、イヴはアイシャの瞳を見つめていた。

メトメガアウー

 

「……ナソードを、怖がらないの?」

「こわがるわけないでしょ!寧ろ大歓迎よ!ナソードなんて動力なんとかすれば人間の発展は目の前よ!」

「…人間と、ナソードの発展?」

「ええ!この超次元圧倒的美少女絶対神アイシャ様にかかれば、何だって可能よ!」

 

(無い)胸を張り、断言するアイシャ。その姿にイヴは言葉を失い、見とれていた。

傍から見れば果てしなくシュール。

 

「……アイシャ。あなたの目的は…?」

「フッ…。魔導科学の発展、そして私の為の理想郷よ!ナソードでもなんでもきなさい!」

「……!!!(キラキラ」

『女王の目が輝いてるどころか発光してるんだが』

『そのうち戻るだろ。』

 

 

〜数分後〜

「レビ、モビ。アイシャを連れて行く。」

『『どうしてそうなった。』』

 

数分見つめ合った後、我に返った(?)イヴの発言にモビとレビ、絶句。

アイシャも何かしら満足そうだ。

 

「何か文句はある?」

『ありません女王様。』

『ありやがりません女王様。』

「あんたら、口悪いけどイヴには従順なのね。」

『お前とは違うんだよチビ子』

『チビ子と女王を比べんな。』

 

上下にふよふよと動きながら話すモビとレビ。

話す内容も内容だけにアイシャの怒りは大きく上がっていく。

 

「モビ、レビ。アイシャに酷いこと言わない。」

『『Yes,Queen』』

「何なのよ…。」

「それでアイシャ。人里どこかわかる?」

「え、イヴ知らないの?」

 

「「『『………』』」」

 

 

結局、迷子が一人増えただけだったとさ。

説明
ぷちっと女王様ことイヴ様がなんかこう、いろいろ頑張る物語。

※この小説はオンラインゲーム【エルソード】の二次創作小説なんだぜ。
※ハンゲブログでやれ?気にするな!
※アイイヴを諦めない
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エルソード

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