仮面ライダークロス 第一話 宵闇のC/十字架を背負う男 |
至るところに風車が存在するエコの街『風都』。今は夕方、とはいっても、日は落ちてしまい、まだほんの少しだけ明るい、夜なのか夕方なのかよくわからない、そんな微妙な時間帯。
風都の船着き場で、一つの戦いが起きていた。
戦っているのは、この街を護る仮面ライダー、Wと、サメのような姿をした怪人、メガロドン・ドーパント。
「オラァッ!!」
Wに変身している左翔太郎は、気合いを入れて蹴りを繰り出す。
しかし、メガロドンはあまりダメージを受けておらず、拳を振り回してくる。
『大したパワーだね。強敵だ』
Wの右半身に意識を宿すフィリップが言う。
「ならこれで行くぜ!」
翔太郎が言い、Wはダブルドライバーからサイクロンメモリとジョーカーメモリを抜き、新たなメモリを出し、スイッチを押す。
《HEAT!》
《METAL!》
起動を確認したWは、ヒートメモリとメタルメモリをドライバーに挿す。
《HEAT/METAL!》
Wはヒートメタルにハーフチェンジした。
「うおおおっ!!」
Wはメタルシャフトに炎を付加し、メガロドンに連撃を叩き込んでいく。ヒートメタルはパワー重視の形態であるため、ダメージも大きい。
「くっ、クソッ!!」
敵わないと見たメガロドンは海の方へと走って行く。
『翔太郎!海中に逃げるつもりだ!』
「させるかよ!」
Wは新たなメモリをドライバーに挿す。
《LUNA!》
《LUNA/METAL!》
Wはルナメタルにハーフチェンジし、右腕を伸ばして、飛び込む寸前のメガロドンを絡め取った。
さらに、そのまま近くのコンテナにぶつける。
「ウ…グア…」
『よし、メモリブレイクだ。』
「ああ!」
Wはグロッキーな相手にとどめを刺すべく、メタルメモリをメタルシャフトのスロットに挿した。
《METAL・MAXIMUM DRIVE!》
「『はあああああああ・・・!!』」
Wがメタルシャフトを振り回す。と、Wの周囲にいくつもの光輪が出現する。
そして……
「『メタルイリュージョン!!!』」
Wは光輪をメガロドンに向けて飛ばした。
「ぐああああアアアアアッ!!!!!」
メガロドンは爆発を起こす。
そして、メガロドンから破損したメガロドンメモリが排出され、メガロドンに変身していた男は倒れた。
「よーし、あとは警察だな。」
翔太郎は変身を解こうとする。だが、
『待て翔太郎!』フィリップがやめさせた。
『何かいる。』
「何かって何が…」
翔太郎は見つけた。さっきメガロドンをぶつけたコンテナ、その隣にあるコンテナの上に、漆黒のマントをはためかせて立っている何者かを。
その何者かの姿はWによく似ていた。だがWとは違い、両半身ともが真っ黒で、胸を中心に、頭から股間にかけて白い十字の塗装がされている。
そして、十字架のような形をしたドライバーを着けていた。
『新しい……仮面ライダー…?』
フィリップは呟いた。
彼と翔太郎が知っているこの街のライダーといえば、刑事の照井竜が変身するアクセルと、今は亡き翔太郎の恩師、鳴海荘吉が変身するスカルだけだ。
だが目の前にいるこのライダーと思われる何者かは、どちらとも一致しない。
ならば、新しいライダーが現れた、と捉えるのが正解だろう。
翔太郎はこの何者かの正体を探るべく尋ねる。
「てめえ、一体何モンだ!!」
「……クロス。」
「あ?」
「仮面ライダークロス」『仮面ライダークロス?君は一体…』
フィリップは詳しい事を聞こうとするが、クロスと名乗ったライダーはコンテナの向こう側に飛び降りて、見えなくなってしまった。
「あっ、オイ!」
Wは慌てて追いかける。だが、もうクロスの姿はなかった。
「何なんだよ…」
Wは変身を解いた。
風都 テメンニグル学園。
高校生の白宮光輝(しろみやこうき)は、いつものように自分の教室、3年B組に入る。光輝の家は学園に近いため、彼はいつも遅く登校する。だから彼が入って来たときには、教室内はいつもクラスメイトでいっぱいなのだ。
と、光輝の席の近くから声がかかる。
「おーいコウキ!」
声の主は光輝の親友、ダンテだ。
「おはようみんな!」
光輝は元気よく挨拶し、自分の席に座る。
今僕の席の周りにいるのは、ダンテ、バージル、レディさん、トリッシュさんの四人だ。
ダンテとバージルは、スパーダ理事長の息子さんで、双子。
二人とも剣の達人で、ダンテは銃の扱いにも長けている。
レディさんはダンテと同じくらい銃の扱いがうまい。ちなみにレディっていう名前は本名じゃないんだけど、本名で呼ぶとものすごく怒る。この間なんか、本名で呼んだ人を半殺しにしてたし。あと、常に武器を隠し持ってる。
そんな過激な人だけど、根は優しいからこれといった問題は、多分ない。
トリッシュさんはすごく大人で、何かとトラブルを起こすダンテのたしなめ役をやってる。
僕は勉強を教えてもらってるよ。
あれ?そういえば…
「ねえバージル。照山は?」
「…そういえばいないな…」
照山最次(てるやまもみじ)。僕の友達の一人で、ニードレスっていう超能力者。能力名は『炎』だ。
実は不良キャラなんだけど、結構真面目で、遅刻やずる休みは絶対にしないはずなんだ。
すると、ドアが開いて、僕の一番の友達、ドナルドが、
「ハッハッハッハ☆」
笑いながら入って来た。
ドナルドはテメンニグル学園最大の謎と言われている存在で、小学生時代からの付き合いである僕でさえ、彼のことはよくわかっていない。
反対に、ドナルドは全校生徒の名前や、趣味などを完全に把握している。ドナルド曰く「みんなの事が大好きだから」らしい。
そうだ、ドナルドなら、何か知っているかもしれない。
「ねえドナルド。照山知らない?」
「うーん、ドナルドはまだ会ってないなあ。」
「そっか…」
照山、本当にどうしたんだろう?
結局チャイムが鳴ってしまい、教師の銀八が入って来た。
「朝からうるせーぞ。出産直後の赤ん坊ですか、コノヤロー」
そしてホームルームが始まった。
「早速ですがみなさん、悲しいお知らせがあります。照山くんが入院しました」
銀八は全然悲しくなさそうに言った。クラス中が騒然となる。
光輝が尋ねた。
「原因は何なんですか!?」
「軽い打撲だそうだ。」
光輝は安心した。打撲ぐらいならすぐ治る。
「俺は自業自得だと思うぜ?不良キャラなんてくだらないもん守ってるから…」
銀八かそう言った瞬間、ダンテが愛用の拳銃エボニーとアイボリーを、トリッシュが同じく拳銃のルーチェとオンブラを、レディがマシンガンを、それぞれ抜いて銀八に乱射した。
「うおわあぁっ!!」
銀八は慌てて逃げるが、その先にいたバージルが日本刀『閻魔刀(やまと)』の切っ先を銀八の顔面に突き付け、逃亡を阻止する。
「クラスメイトを侮辱することは許さん。」
「わかった!!わかったからその物騒なモン降ろせ!!」
銀八は青くなって叫ぶ。
それに満足したのか、バージルは閻魔刀を鞘に収め、ダンテ達もそれぞれの武器をしまった。
緊迫した状況のなか、ドナルドだけが爆笑していた。
光輝は気を取り直して銀八に尋ねる。
「でも、何でそんな事になったんですか?」
「知らねぇよ。事情を聞こうにも脳震盪が激しいらしくて、まだ目が覚めてないんだからな。」
「そうですか…」
「ただ照山の奴…」
「えっ?」
「うわ言で、ゾウがこっちに来るって連呼してたんだよ。」
休み時間。僕は照山のことについて、みんなと話をした。
「ゾウがどうとか言ってるらしいけど、どういう事なんだろう?」
「そりゃあれだ。ゾウに襲われたんだ」
ダンテが言った。
でも、照山はニードレスであり、その強さもかなりのもの。本当にゾウに襲われたとしても、負けるはずがない。
じゃあゾウってどういう意味なんだろう。
僕らが話していると、
「そのことなら、いい情報を知ってるわよ。」
同じクラスのディスクさんが混ざってきた。
「ディスク?何か知ってるの?」
レディさんが尋ねた。
ディスクさんは身体が半分機械で、そのため頭の中に膨大な量のデータが入っており、情報屋として一部の生徒の間で有名だ。
ちなみに彼女はスキャンという能力を持つニードレスで、一度見た相手の力量からスリーサイズまで、全てを知ることができる。
ディスクさんは質問に答える。
「ええ。あなた達は、ここ最近起きている通り魔事件のことを知っているかしら?」
トリッシュさんが反応する。
「ああ、それなら知ってるわ。うちの生徒ばかりが被害にあってるっていうあれの事でしょ?」
「そうよ。」
「それと何の関係がある?まさか…」
今度はバージルが尋ねたけど、何か予想がついているみたいだ。
「そのまさかよ。今まで被害にあった人全員が、照山最次と同じ証言をしているの。」
ディスクさんの話では、照山を襲った犯人と通り魔事件の犯人は同一らしい。
通り魔、ゾウ、これらの情報から導き出される答えは、一つしかない。
「ドーパント、か…」
「その可能性が高いわ」
ダンテの答えにディスクさんが同意した。
その時、校内放送のアナウンスが入った。
『生徒会役員の人に連絡します。緊急会議を行いますので、生徒会役員は放課後、生徒会会議室に集合してください。』
「会議だって。」
レディさんはバージルを見る。バージルは生徒会役員なんだ。
トリッシュさんが推測する。
「恐らく、照山のことね。」
ダンテは尋ねる。
「ドーパント一匹ぶっ潰すのに生徒会が動くのか?」
「奴ならやりかねん。」
僕はバージルに同意した。
「確かに、あのアークライト会長ならね。」
その後、何事もなく授業は進み、ホームルームもいつも通りに終わった。
僕が掃除用具を取りに行くと、高町なのはさんとフェイト・テスタロッサ・ハラオウンさんが、何か話しているのが目についた。フェイトさんは役員だ。
少し距離があったけど、内容は聞き取れた。
「なのは、はやては?」
はやてというのは、二人の親友の八神はやてさんだ。その人も役員なんだけど、
「もう行っちゃったよ。」
らしい。
「フェイトちゃんは今から?」
「うん。」
「役員は大変だね。あのアークライトさんが会長なんだから」
「本当だよ…あの人威圧感すごいんだもん。」
確かに。
「にゃはは…じゃあ先に部活始めてるから。」
「うん。またあとでね」
二人は出て行った。
(…じゃあ掃除しようかな)
僕は掃除を始めようとする。
と、僕は二人を見送る存在に気付く。
与那国猛(よなぐにたける)。少し前からフェイトさんにゾッコンで、告白して見事にフラれちゃったんだけど、まだ諦めてないのかな?
確かにフェイトさんは美人だし、スタイルも抜群で、性格だって最高だ。諦めたくない気持ちは、わからなくもないけど…。
その時、彼の目が一瞬、ほんのわずかに、茶色く発光したのを、僕は見逃さなかった。
掃除を終わらせた光輝は、生徒会会議室の前でフェイトが出て来るのを待っていた。
と、中から生徒会会長のアダム・アークライトが出てきた。
「アークライト会長…」
「私に何か用かね?」
「いえ、用があるのはフェイトさんなんです。」
「そうか…最近起きている通り魔事件は知っているかね?」
「はい。」
「風都署の超常犯罪捜査課が、調査を請け負ってくれた。ほどなく解決すると思うが、油断せぬよう下校してくれたまえ。」
「は、はあ…」
アークライトは去った。
(相変わらず、すごい威圧感だなあ…)
光輝がそう思っていると、
「はー、ようやく終わった!何であの人あんなに威圧感すごいん?」
「ふふ、百戦錬磨って感じがするよね。」
はやてとフェイトが出てきた。
「フェイトさん。」
「光輝?どうしたの?もしかして待ってた?」
「まあね。」
二人がそんなやり取りをしていると、
「ほほーう、愛の告白か?この間のことといい、フェイトちゃんも罪作りやねー♪」
はやてが、あまり品の良くない笑みを浮かべながら割り込んできた。
「ちがうよはやてさん。もっと大切なこと」
光輝は否定した。
「もっと大切なこと?」
「それって何なん?」
二人は尋ねてくる。
「フェイトさん、今日はできるだけ大人数で帰った方がいい。」
「えっ?どういうこと?」
「まだ確証がないけど、恐らく次に狙われるのはフェイトさんだ。」
「何か知っているの?」
「…今はここまでしか言えない。とにかく今日はできるだけ大人数で帰った方が良い。」
「…わかった。ありがとう」
「じゃあ気を付けて。」
光輝は二人と別れた。
僕は銀八先生から照山が入院している病院を聞き出して、照山のお見舞いにきた。
照山はベッドの上で眠っている。
「うっ………」
「照山!?」
僕は照山が目を覚ましたかと思った。でも違った。
「ゾウが…ゾウが、こっちに来る…!!」
「照山…」
照山はしばらく呻いたあと、また眠った。
「…」
僕はフェイトさんの事を考えた。フェイトさんは僕の言うことをちゃんと聞いてくれる。
それに、フェイトさんとその友達のなのはさん、はやてさん、シグナムさん、ヴィータさんは、すごく優秀な魔導師だ。負ける事なんて考えられない。
…でも…
「万が一には、備えた方がいいよね?」
僕は病室を後にした。
フェイトはテニス部に入部しており、部活を終えた彼女は、現在、同じテニス部のなのは、はやて、シグナム、ヴィータと一緒に帰っていた。
「ごめんねみんな。」
フェイトは誤った。
「にゃはは、大丈夫だよフェイトちゃん。」
「アークライト会長はもうすぐ解決する言うとったけど、危ないのは事実やしな。」
「しかし光輝の奴も甘いよな。大事なクラスメイトを売りたくないのはわかるけど、悪い事は悪いってちゃんと言わねぇと…」
「奴はどうにも優しすぎるからな。まあ、それが奴の一番の長所なのだが。」
五人はおしゃべりしながら帰る。
「…ちょっと、近道しようか。」
なのはの提案で、五人は一番の近道である船着き場を通ることにした。
そこは、昨夜Wとメガロドンが激闘を繰り広げた場所でもあるのだが、彼女達がそんな事に気付くはずもない。
その時、コンテナの陰から何者かが飛び出してきた。
全員が立ち止まり、様子を伺う。
「誰だ!?」
ヴィータが警戒する。だが、なのははその何者かを見て驚く。
「与那国くん!?」
そう、何者かの正体は与那国だったのだ。
「気を付けろ!様子がおかしい!」
シグナムが警告する。確かに目が普通じゃない。嫌な笑みまで浮かべているので、不気味過ぎる。
やがて、与那国が言った。
「フェイトさん。今度こそ、あなたを振り向かせる!」
《MAMMOTH!》
与那国はガイアメモリを取り出すと起動させ、首筋の生体コネクタに挿した。
すると、与那国の姿が変わり、与那国はマンモス・ドーパントに変身した。
「どっ、ドーパント!?しかもゾウってことは、まさか、与那国くんが連続通り魔事件の犯人!?」
はやてはうろたえる。
「ウアァァッ!!!」
マンモスは襲いかかってきた。
「みんな、行くよ!」
なのはは冷静な判断を下す。
五人はそれぞれのデバイスを起動し、バリアジャケットを纏う。
「フェイトさん自ら審査してくれるのかい?嬉しいなあ!」
マンモスは再び向かってくる。
五人はそれを迎え撃つ。
状況は、劣勢だった。
マンモスは、その屈強な肉体で五人の攻撃を跳ね返し続け、圧倒的なパワーで五人を追い詰めていく。
しかも、なのはやはやてに大規模な攻撃を撃たせないように攻撃してくる。その辺りは、やはりクラスメイトであるが故に、手の内は知り尽くしている、という事なのだろう。
「私がパワーで負けるなんて…!!」
ヴィータはショックを受けている。
「強い…このままじゃ、勝てない…!」
なのはも焦り始める。
「どうだいフェイトさん?振り向いてくれる気になったかい?」
「くっ…」
その時、
《ENGINE! JET》
マンモスの背中に衝撃波がぶち当たった。
「ん?」
マンモスが振り返ると、そこにはWとアクセルがいた。
「みんな、早く逃げろ!」
翔太郎が言った。
「仮面ライダー…でも!」
「テスタロッサ、ここは退くぞ。」
「シグナム!?」
「悔しいが、我々では与那国に勝てない。ここは仮面ライダーに任せるべきだ」
「…わかった。」
五人は退いた。
「お前らのせいでフェイトさんに逃げられちゃったじゃないか。」
「ドーパントの都合など知ったことか!」
「そういうことだ。行くぜ照井!」
二人はマンモスに突撃をかける。
しかし、マンモスは攻撃を跳ね返し、反撃してくる。
「だったらこれだ!」
《HEAT!》
《METAL!》
《HEAT/METAL!》
《ENGINE! ELECTRIC》
「「はああああああああああ!!!」」
Wはヒートメタルにハーフチェンジし、さらにメタルシャフトに炎を付加。
アクセルはエンジンブレードに電撃を付加し、マンモスに再び突撃する。
だが、
「ウオオオオオオオオオオオオ!!!」
マンモスも全力で突撃してきた。
そして、
「「うわあああああああああ!!」」
Wとアクセルは押し負け、吹き飛ばされて変身を解除させられてしまった。
なのは達は隠れて様子を見ていた。
「オイ、どうすんだよ!仮面ライダーやられちまったぞ!?」
「仮面ライダーですら勝てんとは…!」
「とどめを刺してやる。」
マンモスは呻く翔太郎と照井に歩み寄っていく。
その時、
ブウゥゥーン!
バイクに乗った何者かが現れた。
何者かはバイクを停め、ヘルメットを外す。その下にあったのは…
「光輝くん!?」
なのはは何者の正体に驚いた。
光輝はヘルメットを置くと、マンモスに向かって歩いていく。
「お前は…」
「いい夜だね。この夜風に当たっていると、嫌なことなんて全部吹き飛びそうだ。」
光輝は呑気なことを言っている。爽やかな顔で。
しかし、その顔が突然真剣な物になった。
「でも、現実はそんなに甘くない。そうだろ?与那国」
言われたマンモスは変身を解く。
「…何でわかった?」
「君の目が、一瞬だけ発光したのを見たからさ。ガイアメモリ使用者特有の反応だからね」
「なるほどなぁ。しかしそんなところを見るなんて、お前は本当に運が」
「そんな事より、何で通り魔事件なんか起こしたんだ?」
光輝は与那国の言葉を遮って尋ねた。
与那国はその事に若干苛立ちを覚えたが、質問に答えることにした。
「…理由は二つだ。一つはこの力を試すため、もう一つはフェイトさんに近づく悪い虫を駆除するためだ。」
「なるほど、歪んだ愛情だね。」
光輝は自分の感想をそのまま言った。
「黙りな!」
《MAMMOTH!》
与那国は再びマンモスになった。
「俺はこの力で、今度こそフェイトさんを振り向かせる!邪魔するってんなら容赦しねぇぞ!!」
「逃げろ!そいつは危険だ!!」
翔太郎が叫んだ。
しかし光輝は逃げる素振りを見せない。
「君は僕が止める。」
「止める?笑わせんな!仮面ライダーさえ倒したこの俺相手に、何ができるってんだ!?」
光輝は少し間を置いてからいう。
「…一年前の僕には無理だ。でも、今は違う。いまの僕は…十字架を背負っているんだから!」
光輝は十字架の形をしたドライバー、クロスドライバーを腰に装着した。
「あのドライバーは…!」
翔太郎は驚く。
しかし光輝はそれに構わず、Cと書かれた白いガイアメモリを取り出し、起動させる。
《CROSS!》
「変身」
光輝はガイアメモリ、クロスメモリをドライバーに挿す。
《CROSS!》
二度目のガイアウィスパーが聞こえ、ドライバーから白い十字架型の光が出現し、光輝の目の前に平行移動。さらに胸の高さまで垂直移動し、戻ってきて光輝の胸にぶち当たる。
その瞬間、光輝の身体は光に包まれ、光が収まった時、光輝の姿は、昨夜Wが見た謎のライダーと同じになっていた。
「光輝くんが、変身しちゃった!」
なのはは驚く。
「何だ、あれは!?」
照井はあまりの出来事に目を疑う。
「…クロス」
翔太郎が呟いた。
「何?」
照井が尋ねる。
翔太郎は、再びその名を繰り返す。
「仮面ライダー、クロス……!!」
クロスは右手を伸ばし、人差し指をマンモスに向けて言う。
「さあ、暗黒に沈め。」
「死ぬのは、お前だ!」
逆上したマンモスは全力で突撃する。
しかし、クロスは横へ一歩、踏み出すことによってそれをかわし、かわし様にマンモスの後頭部へ裏拳を叩き込んだ。
「グオアッ!!」
マンモスは転ぶ。
クロスはマンモスを見て一言。
「僕はこっちだよ。」
「ぐっ…!」
マンモスは起き上がり、再び突撃。だがまた同じようにかわされ、今度は足を引っ掛けられた。
マンモスはまた転ぶ。
クロスはそんなマンモスを見て、また一言。
「どこを狙ってるの?」
「ぐううっ!調子に乗るなぁっ!!」
完全に頭にきたマンモスは、拳を、蹴りを、無茶苦茶に繰り出していく。
だが、クロスにはかすりもしない。
「この…!!」
らちが開かないと見たマンモスは、力をため、
「ラアッ!!!」
全力の拳を繰り出す。
しかし、
パシッ!
クロスはそれを、片手で止めてしまった。
「なっ、何!?」
マンモスは自分の全力を容易く受け止められたことに激しく驚いた。
「力で物事を解決しようとする奴の力なんてこんなものさ。ふんっ!!」
クロスはマンモスを蹴り飛ばした。
「ぐあっ!!」
マンモスは地を転がり、それでもどうにか立ち上がる。
クロスは立ち上がったマンモスに拳を叩き込み、再び転がす。
その後もマンモスに様々な攻撃を食らわせ、戦闘開始から僅か数分で相手をグロッキーにしてしまった。
「強ぇ…!」
翔太郎は呟いた。
「凄まじい力だ!」
物陰に隠れているシグナムも驚く。
無理もない。仮面ライダーや魔導師の力を持ってしても敵わなかったマンモスを、一方的に叩きのめしているのだ。
「ぐはっ!」
マンモスはコンテナに叩きつけられた。
「ウ…グ……!!」
「じゃあ、メモリブレイク、させてもらうよ。」
クロスはドライバーの中心に付いている銀端子に親指で触れ、
「フィニッシュ」と発音。すると、
《CROSS・MAXIMUM DRIVE!》
「はああああ…!!」
ドライバーからエネルギーが流れ出し、両足に集中する。
そして、クロスは勢いよく飛び上がり、
「クロスインプレッション!!」
マンモスに両足蹴りを叩き込んだ。
クロスは反動を利用して着地する。
「眠れ。深淵の底で」
「ウオアアアアアアアアアア!!!!」
マンモスは白い十字架のオーラに包まれ、爆発した。
マンモスメモリが破壊され人間に戻った与那国は、呻いていた。
「フェイトさん…やっぱり…俺は…あなたが…!!」
光輝は変身を解き、与那国に言う。
「本当にフェイトさんの事が好きなら、好かれるよう努力をするべきだ。メモリなんかに頼らず、ね…」
「………」
与那国は意識を失った。
光輝は翔太郎に言う。
「与那国の事、頼みます。あと、警察に言っておいてください。丁重に扱うようにって…」
翔太郎は答えず、光輝は去ろうとする。
「待ちたまえ!」
背後から声がした。
光輝が振り向いてみると、そこにはフィリップと亜樹子がいた。リボルギャリーがあることから、戦いの最中に来たんだろう。
フィリップは尋ねる。
「君は一体、何者なんだ?」
「…今はまだ言えません。ですが、近い内に必ずお話しします。」
「そうか…」「…またお会いしましょう。」
光輝はバイク、マシンロイヤルランナーに乗ると、闇の中に消えていった。
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次回、
仮面ライダークロス!!
フェイト「どうして黙っていたの?」
トリッシュ「連続感電死事件?」
?「どうだ!近づけまい!」
クロス「これが僕の、新しい力か…!!」
第二話
Rを送ろう/鎮魂の剣
これが裁きだ!!
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