仮面ライダークロス 第七話 Dが見ていた/決めろ!トリプルマキシマム |
理科準備室。スカリエッティは不気味な笑みを浮かべていた。視線の先には、レリックがある。
「ようやく完成した。この前はダンテとベオウルフに邪魔されたが、今度こそ、私は世界を手にする。ふふふふ…」
その時、
「ダアァァァァンテエェェェェ!!!」
窓を突き破ってダンテとベオウルフが入ってきた。
「今日こそ!今日こそ貴様を!!」
「それ、何度目だ?どうせ今日も、俺は倒せねぇよ!」
「黙れぇぇぇぇ!!!」
ベオウルフが豪腕の拳を繰り出し、ダンテはそれをかわす。
「…」
スカリエッティの脳裏に数週間前の悪夢が蘇る。
次の瞬間、ダンテがレリックへと手を伸ばした。
だがスカリエッティは間一髪のところでダンテより早くレリックを確保。二人から離れる。
「危ない危ない。もう少しで同じ失敗を繰り返すところだった」
しかし、
ズガンッ!!
「え?」
ドガアァァァァァン!!!
…何が起きたか説明しよう。
ダンテがエボニーを発砲→レリックに直撃→大爆発。
「手の鳴る方へ!」
「ダアァァァァンテエェェェェ!!」
二人は出て行った。
「…」
理科準備室は消し飛び、あとには黒コゲになったスカリエッティだけが残った。
「ぬおっ!!スカリエッティ先生!!」
音に驚いてやってきた保健医のギドが、スカリエッティに駆け寄る。
「またか!一体何が起こったのじゃ!?」
「…」
スカリエッティは答えなかった。
どうも皆さんこんにちは。白宮光輝です。
今は体育の授業中なんですが、大変なことになってます。
ダンテとベオウルフが喧嘩をしてるんです。
「ワンパターンな奴だな。犬なだけに!」
「何だと貴様ぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ダンテは今、人化の術を解いたベオウルフの攻撃をかわしつつ、エボニーとアイボリーでベオウルフに銃撃をしかけています。
あんまり激しい戦いはしないでほしいなぁ…このままだと、またなのはさんのスイッチが入って…
「やめるんだ二人とも!!」
この声は…確かユーノ・スクライアだったかな?ってあの戦いに飛び込んで行くつもり!?よせ!やめるんだ!!
「ヴォルケイノ!!」
ベオウルフが地面を殴って、光の爆発を引き起こす。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
あわれユーノは巻き込まれ、吹き飛ばされてしまった。あーあ…
「ユーノくぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!!」
なのはさんが叫んだ。そういえば、なのはさんとユーノって、付き合ってたな…まずい!!
「…レイジングハート」
なのはさんはバリアジャケットを展開。
「ディバィィン、バスタァァァァァァッ!!!」
ダンテとベオウルフを砲撃する。
ダンテはそれをかわし、ベオウルフはまともに食らった。でもあんまり効いてないみたいだ。
「貴様、また邪魔をするのか!」
怒るベオウルフ。対するなのはさんは、
「いつも言ってるよね?ちゃんと先生の言うこと聞こうよって…これじゃあ授業の意味、ないじゃない…」
スイッチが入っていた。
「知ったことか!邪魔をするなら貴様も倒してやる!あの愚か者のようにな!!」
ベオウルフ!煽らないでってば!
「あの愚か者のように?ユーノくんのことか…」
あれ?なんかなのはさんの髪が逆立ち始めたよ?それに金色に光って…
「ユーノくんのことかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ええええ!?なのはさんが超サイヤ人になったぁぁぁ!?しかも髪が長いから3か!怒りが限界の限界の、そのまた限界を超えたのか!
…何を言っているんだ僕は。なのはさんはもとから髪が長いじゃないか。まあ超サイヤ人になったってだけでも問題なんだけど。
そして始まる大激闘。どうすんのさこれ…西村先生は頭を抱えて苦悩してるし。一応鉄人って恐れられている人だけど、こんな人外の喧嘩に割り込もうとは、やっぱり思わないよね。
……仕方ない。テメンニグル学園が誇る最終兵器に止めてもらおう。
「ドナルド、行ける?」
「もちろんさぁ♪」
よし。いつもみたいにドナルドマジックで…ってなんか走り出したよ!?
「スターライトォ…」
しかもなのはさんはスターライトブレイカーを撃とうとしてるし!
まさかダンテ達の盾になるつもりか!?
「やめろ!よすんだ!!」
「ブレイカァァァァァァァァァ!!!」
「あらぁっ!」
「ドナルドォォォォォォォォ!!!!」
ドガアァァァァァァァァァン!!!!!
ドナルドはスターライトブレイカーの射線上に飛び出し、ダンテ達の盾になった。
「ドナルド…」
何てことだ…ドナルドが…
その時、
「ハッハッハッハ☆」
土煙の中から、聞き慣れた笑い声が聞こえてきた。
そして、土煙が晴れた時、そこには無傷のドナルドが立っていた。
「ドナルドには効かないよ。」
ドナルドは笑顔で言った。
ええええええええええええええええ!!?
誰もが驚いた。それはそうだろう。なのはさんの最強魔法、スターライトブレイカーを受けてノーダメージなのだから。
「ドナルドは嬉しくなると、つい殺っちゃうんだ♪」
すると、
「ラン」
ドナルドが両手を交差させて両肩に置き、
「ラン」
目の前で手を叩き、
「ルー!」
両手を思いっ切り突き上げた。
次の瞬間、
ドガアァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!!
大爆発が起きた。
「きゃあああああああああああ!!!!」
「ぐおおおおおおおおおおおお!!!!」
なのはさんとベオウルフはそれに巻き込まれ、土煙が晴れた時、ボロボロの姿をさらしたベオウルフが音を立てて倒れ、なのはさんは超サイヤ人化が解けて気絶していた。
「危ねぇ危ねぇ。何だったんだ?今の」
僕のそばでダンテが言った。いつの間に…
「僕にもわからない。っていうかダンテ。あの技を見るのは今日が初めてじゃないだろ?」
「そうだけど、相変わらずわかんねぇんだよな、あの技の仕組み。」
確かに。
その後、なぜかスカリエッティ先生が救急車で運ばれていったけど、後から聞いてみたら、また理科準備室で起きた原因不明の爆発に巻き込まれたんだって。
あの先生、自分の欲望を満たすためなら何にでも手を出すから、そのせいで悲惨な目にあうこともしばしばなんだ。もしかしたら、前回と今回の爆発も、その一つかもしれない。
何にしても、過ぎたるは及ばざるが如し。
生きていくうえで欲望が必要とはいえ、過度な欲望は、逆に身を滅ぼす。あの先生、天才のわりにそういうことがわかってないんだよね。
まあそのことは置いておこう。
問題は、フェイトさんが僕に言った言葉だ。
「そういえば、光輝はどうして仮面ライダーになろうと思ったの?」
一瞬僕の脳裏に悪夢が蘇った。
フェイトさんは僕の様子を察してか、慌てだした。
「ご、ごめんね!話したくないなら別に…」
僕は黙った。別に、怒ってるわけじゃない。ただ、言おうか言うまいか迷ってるだけだ。
「どうするコウキ?嫌なら言わなくていいらしいぜ?」
ダンテが尋ねてきた。
「…いいよ。いつかは話さなきゃいけないし」
僕は話すことにした。
「フェイトさん。一年前僕の家が火事になって、僕の両親が死んだのは知ってるね?」
「う、うん…」
「実はあれ、事故じゃないんだ。」
「!?」
フェイトさんは驚いた。無理もない。あれは事故だ、って片付けられたんだから。
「僕の両親はね、ドーパントに殺されたんだ。」
「そんな…どうして!?」
「理由は僕にもわからない。とにかく、殺されたんだ。その後、地下室を見つけて、そこにあったのがクロスドライバーとクロスメモリだった。」
「…もしかして、復讐のために?」
「それもある。でも…」
「でも?」
「僕にとっては、みんなを守ることの方が大切だから…」
「光輝…」
そこにダンテが割り込んでくる。
「律儀な奴だよ。俺達はお前のお守りなんかいらねぇって言ってんのにいでっ!」
バージルがダンテの頭を殴った。痛がるダンテを無視して、バージルはフェイトさんに言う。
「心配するな。光輝は強い。お前も知っているだろう?」
「……うん」
「そういやぁコウキ、お前…」
ダンテが尋ねてきた。
「なに?」
「両親の仇に会ったらどうするんだよ?」
「…倒すよ。奴は僕から両親を奪った。それを許すつもりはないし、許してもいけないことだから…」
そうだ、僕は奴を許さない。必ず、この手で……
下校時間。今日はティアナとスバルがついてきた。
ティアナは照井さんに会うため、スバルは付き添いだ。
「でも僕と一緒にいるからって、照井さんに会えるとは限らないよ?」
「それは、そうですけど…」
「いいんですよ白宮先輩!あたし達、仮面ライダーと一緒に帰れるってだけで嬉しいんですから!ね、ティア?」
「ま、まあ…」
そうかな?僕も、うまいこと照井さんに会わせてあげられたらいいんだけど…
その時、僕は突然嫌な予感を感じた。僕は走る。
「白宮先輩?」
「あっ!待って下さいよぉ〜!」
なぜか今の僕は二人を無視した。今までとは比べものにならないくらい、嫌な予感がしたからだ。
僕は目を疑った。起きている現象が、あまりにも信じられなかったからだ。
まず見たのは、全身が炎上しているW。
次に見たのは、這いつくばった照井さん。
そして、冷気のようなものを纏っている白いドーパント。
「これって、一体…」
僕が驚いていると、
「照井さん!」
ティアナが飛び出そうとした。スバルが慌てて止める。
「危ないよティア!」
「離して!照井さんが…!」
「今飛び出したら絶対怪我するって!あのドーパント、よくわかんないけどすごい力感じるし、Wもなんか変だし!」
スバルの言う通りだ。照井さんは、恐らくあのドーパントに倒されたんだろう。だとしたら下手に挑むのは危険だ。
一方Wからは、ガイアウィスパーがマキシマムドライブを連呼している。状況が不透明だ。とりあえず、近くにいた亜樹子さんから情報を聞き出そう。
「亜樹子さん!」
「光輝くん!スバルちゃんにティアナちゃんも!?」
「何が起きているんですか!?」
僕は尋ねた。
亜樹子さんの話によると、あのドーパント、ウェザー・ドーパントの正体は、井坂深紅郎という男で、照井さんの家族の仇らしい。
復讐に暴走した照井さんがウェザーに挑んで、翔太郎さんも加勢したけど、相手が強すぎて照井さんは変身を解除され、翔太郎さんは状況を打開するために、二本のメモリによるマキシマムの同時発動、ツインマキシマムを発動したんだという。
「あれが…照井さんの家族の…仇…」
「必殺技の同時発動って、それ危険すぎるんじゃ…!?」
ティアナもスバルも驚く。その時、
「うおおオオオオオオオーっッ!!!!!」
Wがトリガーマグナムの引き金を引き、ウェザーに向けて火炎放射を放った。
ウェザーは照井さんにしかけようとしていた冷気を消し、火炎放射を正面からガードした。
ドゴオオオーン!!!
ウェザーは爆炎に包まれた。轟く音にスバルが小さな悲鳴をあげる。
まもなくして、Wの変身が解け、翔太郎さんがボロボロの姿をさらした。
なんて攻撃だ。反動で変身が解けるとは…これだけ激しい一撃を受けて立っていられる奴なんて…
でもウェザーは立っていた。ほとんどダメージを受けていない。
「倒されてないじゃん…あたし聞いてない!」
僕だってびっくりだよ亜樹子さん。でもどうしよう。あれだけの一撃を受けてダメージがほとんどないんじゃ、僕でも…
「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ティアナは怒りを抑えられなくなったのか、クロスミラージュを起動してバリアジャケットを展開。
「わあああああああああああ!!!!!」
ウェザーに向けて魔力弾を乱射する。
でもウェザーは何のダメージも受けなかった。
「魔導師ですか?目障りですよ!」
ウェザーは手から電撃を放った。
「ティア!危ない!」
スバルはティアナを突き飛ばし、どうにか直撃を避けられた。
「ふん。まずあなた達から消してあげましょう!」
「待て!僕が相手だ!」
僕は追撃を加えようとするウェザーを制し、
〈CROSS!〉
「変身」
〈CROSS!〉
クロスに変身した。
「ほう…あなたが噂の…これは面白い。あなたはこの二人より強いと聞いています。ぜひとも、お手合わせ願いましょう!」
ウェザーは電撃を放ってくる。
僕はそれをレイブンクロークで防ぎ、右手にレクイエムサーベルを持って斬りかかる。
僕がレクイエムサーベルを降り下ろすとウェザーはそれを左腕で止め、僕はすかさず左拳を繰り出す。だがウェザーはそれを右手で掴んで止める。僕はウェザーを蹴り飛ばした。
このチャンスを逃さず、僕は左手からエネルギー弾を撃ち出してウェザーにダメージを与える。
「これはなかなか…やりますねぇ。」
「人殺しに褒められたって、嬉しくもなんともありませんよ。」
僕はさらに攻撃しようとする。
その時だった。突如としてヘドロのような闇の波動が現れ、全身に鳥肌が立った。
これは恐怖。それも、一年前に感じたものと全く同じ…
そして…
「はっはっはっはっはっはっ!」
奴が現れた。王冠のような頭をしたあのドーパントが、高笑いをあげながら。
「お前は!!」
僕が驚くと、ドーパントは気付いて僕を見た。
「面白い偶然だな。ちょっとした用で来たというのに、まさか例の仮面ライダーに会えるとは」
「あの時の…父さんと母さんの仇…!」
「やはり、隼人君の息子だったか。そのメモリもドライバーも、君が扱うには過ぎた代物だが…まあいい。今は、君の相手よりも大切な用があるからね。」
そう言って、奴はウェザーを見た。
「何の用でしょうか?」
「見てわからんかね?お茶の誘いだよ井坂君。」
「それは光栄です。お供しましょう」
ウェザーは闇の波動に包まれ、姿を消した。そして奴も、
「我々は、いずれまた出会う。その時まで、せいぜい今の生活を楽しんでおくんだね。」
僕にそう言ってから消えた。
「…」
僕は奴を追わなかった。いや、追えなかった。わかってしまったんだ。今のままじゃ、奴には勝てない…!!
「翔太郎くん!」
僕は亜樹子さんの声で我に返り、変身を解いて翔太郎さんに駆け寄った。
鳴海探偵事務所。僕はスバルとティアナを連れて、詳しい話を聞いた。
ことの発端は一つの依頼。それはマジシャン、フランク白銀の娘さん、リリィ白銀からのもので、自分にインビジブルのガイアメモリを売った黒服の男を捜してほしいとのことだった。
それが井坂深紅郎であり、しかもインビジブルメモリは彼が特殊な処理を施したため、このままだとリリィ白銀は死んでしまうらしい。
「助ける方法はないんですか!?」
スバルは尋ねた。
フィリップさんの検索結果だと、方法は一つ。そのためにはアクセル、照井さんの協力が不可欠らしいんだけど…
「俺の復讐が先だ。」
照井さんは聞こうとしない。
「どうして!?目の前に死にそうな人がいたら、助けるのが仮面ライダーじゃないんですか!?」
スバルはくってかかる。でも…
「俺に、質問するな…」
今の照井さんは、復讐のことで頭がいっぱいみたいだ。
この状態の照井さんに、何を言っても無駄だろう。僕がそう思っていた、その時、
バキィッ!!!
ティアナが照井さんを殴り倒した。
「見損ないましたよ、照井さん。今のあなたは、私が憧れる照井さんじゃない!」
ティアナは怒りで顔を真っ赤にし、目に涙を浮かべて出て行った。
「ティア!待ってよ!」
スバルもティアナを追いかけ、事務所を出て行く。
僕も帰ることにした。
復讐するべき相手を前にして何もしなかった僕が言えたものじゃなかったけど、今の照井さんは最低だ。
「あの子が怒った理由、あなたを殴った理由を、よく考えて下さい。あなたが仮面ライダーなら」
僕は事務所を出て行った。
翌日、光輝は落ち込んでいた。
ダンテが話しかける。
「どうしたコウキ?ずいぶん元気がなさそうだな?」
「…昨日…」
「ん?」
「両親の仇に会った。」
ダンテが数秒黙る。レディが尋ねた。
「倒したの?」
光輝は無言で首を横に振る。今度は照山が尋ねた。
「やっぱり強かったのか?」
「…わからない。戦わなかったから…」
「どうして戦わなかったの?」
次はトリッシュが尋ねた。
「それもわからない。しいて言うなら、怖かったから、かな…負けることがわかってた。だから戦わなかった、かな……僕、意気地無しだよね…」
光輝はさらに落ち込んだ。だが、
「戦わん方がよかったかもしれんぞ。」
バージルがそう言った。
「え…?」
光輝はバージルを見る。
「お前はそいつを見て、勝てんとわかったのだろう?それは、お前の実力がそいつと戦えるレベルに達していなかったからだ。下手に戦っていたら、お前まで両親と同じ道をたどっていたかもしれん。それに、恐怖を感じられないことの方が悪い。」
「…」
「焦るな。少しずつ強くなっていけばいい。親父もそう言っていた。お前が鍛練を欠かさなければ、いつか必ずそいつに勝てる。今はまだその時ではなかった、それだけだ。」
「…」
光輝はバージルの話を聞き、笑顔で返す。
「ありがとう。少し楽になったよ」
「お前の慣性は正常だ。それは保証する。頑張れ」
バージルも笑顔で返した。
その後、光輝はフィリップから連絡を受け、スバル、ティアナと共にフィリップの元へ向かった。
「二人とも、本当にいいの?」
「はい。ティアは照井さんと仲直りしなくちゃいけないし、あたしにはそれを見届ける義務がありますから。」
「ないわよそんな義務!」
ティアナはスバルにデコピンを食らわせた。
光輝達はフィリップと合流し、目的の場所へ向かう。
たどり着いたのはマジックのステージ。ここでフランク白銀とリリィ白銀のマジックショーが行われるらしい。
そこには、照井と亜樹子がいた。
「フィリップ、頼む。俺に力」
バキィッ!!
フィリップは照井を殴り倒した。
「今のは翔太郎から教わった、仲直りの儀式さ。」
フィリップは照井に手を伸ばす。
「…左も粋なことを教える…」
照井は立ち上がった。が、
バキィッ!!
今度はティアナに殴られ、照井は再び倒れる。
「!?」
「仲直りの儀式です。」
ティアナは笑って手を伸ばした。
「…フッ…」
照井も笑って立ち上がった。光輝もスバルも、笑顔でそれを見ていた。
フランク白銀のラストステージが始まった。
華麗に登場を決めるリリィ。
光輝達はそれを座って見ている。
その時、
「これは奇遇ですねぇ…」
井坂が現れた。
光輝もスバルもティアナも、顔写真を見せてもらったので、知っている。
「この際ついでです。片付けてあげましょう」
〈WEATHER!〉
井坂はウェザーに変身した。
「哀れな家族の生き残り君。」
さらに照井を挑発する。だが…
「お前などの相手をしている暇はない。」
照井は乗らなかった。
「何?」
フィリップと亜樹子は笑顔になる。
「もうじきメモリの副作用であの娘は死ぬ。無駄なことをなぜ?」
「簡単なことだ。彼女もマジシャンのはしくれ。俺も、仮面ライダーのはしくれだからな!」
「ハハハハ!これだから青臭いドライバー使いは!」
ウェザーは手から火炎弾を撃ち出す。
だが出現したアクセルのユニット、ガンナーAに阻まれ、さらにガンナーAは突撃する。
しかし、ウェザーはそれを受け止め、ガンナーAを凍らせていく。
光輝が前に出た。
「僕が戦います。その間に…」
「わかった。」
フィリップが了承した。
「白宮先輩!」
「私達も戦います!」
スバルとティアナも前に出るが、
「危険すぎる。僕は一人で大丈夫だ」
「でも…」
「大丈夫だって言ってるだろ?負けはしないさ。」
「…はい」
光輝は二人を下がらせた。
〈CROSS!〉
「変身」
〈CROSS!〉
光輝はクロスに変身した。
クロスはウェザーと激戦を展開する。
クロスはレクイエムサーベルや、拳による攻撃を簡単に止められてしまうが、すぐに次の攻撃を加え、ウェザーに反撃の隙、能力を使う暇を与えない。
二人はつばぜり合いに入り、クロスは尋ねる。
「一応聞いておきますよ。なぜ照井さんの家族を!?」
「そのことですか。あの時は正直誰でもよかったんですよ!私の力を試せれば!それが偶然彼の一家だった。それだけです!」
「そんなことだろうと思った。許さないぞ、井坂深紅郎!!」
「あなたなどに許してもらおうとは思っていませんよ!」
「貴様…!!」
二人は一度離れ、拳を同時に繰り出した。
見事消える大魔術を成功させた。リリィ。だが副作用が始まり、舞台裏に駆け込んで苦しんでいた。
そこに照井達が現れる。
リリィの身体は少しずつ透明になっていく。
「ありがとう。最後までやらせてくれて。さようなら……ちょっと怖いけど……格好いい…刑事…さん………」
リリィの姿は完全に消えた。
「君は俺が守る。」
〈ACCEL!〉
「変・身!」
〈ACCEL!〉
照井はアクセルに変身した。
「フィリップ。」
「ああ。」
フィリップはメモリガジェット、デンデンセンサーを使っててリリィの居場所を特定する。
〈ENGINE! ELECTRIC〉
アクセルはエンジンブレードにエンジンメモリを装填。
そこにフランクが現れ、驚く。
「何をするんだ!?」
「死んでもらう!」
アクセルはリリィに電撃剣を放った。
「あああああーっ!!!」
「「!!」」
戦いを続けていたクロスとウェザーは突如として聞こえてきた絶叫に驚き、手を止める。
「今の声は…」
その時、隙を突いてウェザーがクロスを蹴り飛ばした。
「ぐあっ!!」
クロスは地を転がり、ウェザーは声のした方へ走った。
そして、ウェザーは舞台裏に飛び込む。
「何をしたのです!?」
ウェザーが見たものは、アクセルが手に持つインビジブルメモリ。そして、生存しているリリィだった。
「死なない限り排出されないメモリが!!」
フィリップが説明する。
「彼女は一度死んでいる。」
「!?」
「逆転の発想さ。『殺さずにメモリを抜く』方法がないなら、『死ぬのを前提』に考えればいい。一度心臓を止め、メモリに彼女は『死んだ』と認識させて体外に排出させた。」
「まさか!?」
「そして電気ショックで再度、心臓を動かす。」
「ちょっとした大魔術だろう?井坂!」
アクセルはインビジブルメモリを握り潰し、捨てた。
「…持ち主を殺す程の力を内包したメモリ。それを我が身に挿す実験が私の楽しみだったのに…」
井坂は見るも無惨な姿となったインビジブルメモリを見て、怒りを募らせていく。
「許せん…!!」
次の瞬間、
〈ALLEGRO!〉
クロスが高速で連撃を叩き込み、ウェザーを吹き飛ばした。
「どういうつもりかな?僕から逃げるなんて。」
「貴様ら…!!」
ウェザーは拳を握りしめ、クロスに挑んだ。
アクセルもエンジンブレードを振りかぶり、突撃する。
戦いの舞台はマジックショーのステージ上に変わる。
観客達はアクセル、クロス、ウェザーの激闘を恐れ、逃げていった。
ウェザーはクロスを無視し、アクセルに集中攻撃する。
アクセルを吹き飛ばしたウェザーは、ウェザーマインという武器を取り出す。
「もはや凍らせて砕くなど生温い!塵になれ!!」
ウェザーがウェザーマインを振ると、小さな雷太鼓のような鎖が伸び、アクセルを襲う。
「くっ!」
クロスはアクセルの前に飛び出し、レクイエムサーベルで鎖を弾いていく。
その時、恐竜のような形をしたガイアメモリ、ファングメモリが飛び出して、ウェザーの攻撃を遮る。
ファングはそのままフィリップの手に収まり、フィリップはファングを変形させて、
〈FANG!〉
起動する。
「行くよ、相棒!」
「「!!」」
クロスとアクセルは驚いた。
「ああ、フィリップ!」
〈JOKER!〉
「「変身!」」
フィリップの腰にダブルドライバーが出現。フィリップはファングメモリを挿した。
〈FANG/JOKER!〉
フィリップはWファングジョーカーに変身した。
「左!」
「目が覚めたんですね!」
『そういうことだ。照井、光輝。』
「僕も驚いたよ。大丈夫なんだろうね?」
『そう思うんなら、とっとと片付けて休ませろ。』
「ははっ!了解した!」
〈ARM FANG〉
Wはファングメモリのタクティカルホーンを叩いて、右腕からアームセイバーをはやした。
「行くわよスバル!」
「了解!」
ティアナとスバルもデバイスを起動し、Wと共に激闘に混ざる。
それぞれがあらゆる方向から攻撃をしかけ、ウェザーにダメージを与えていく。
「リボルバー…」
「クロスファイア…」
「「シュート!!」」
スバルとティアナが一瞬の隙を突き、ウェザーに魔力弾を食らわせる。
「ぐうっ!」
〈CANTABILE〉
「はっ!」
間髪入れず、クロスがレクイエムサーベルから光線を放つ。
「ぐおっ!」
最後にWが蹴りを、アクセルがエンジンブレードの斬撃を叩き込んで、ウェザーを舞台から引きずり降ろした。
「ぬううううう…!!」
怒りが頂点に達したウェザーは、巨大な竜巻を発生させる。
『おっとぉ、またヤバそうなのが来そうだぜ…』
「スバル、ティアナ、下がって。君達じゃあれは無理だ」
クロスは二人を下がらせた。
「アクセル、クロス、マキシマムでいこう。いけるよね?」
「はい!フィニッシュ!」
〈CROSS・MAXIMUM DRIVE!〉
〈ACCELE・MAXIMUM DRIVE!〉
『そう来なくちゃな』
〈FANG・MAXIMUM DRIVE!〉
三人は必殺技を発動させる。
「おおおおおおああああああ!!!」
竜巻はどんどん大きくなっていく。
『いいか?タイミングを合わせて、ライダートリプルマキシマムだ。』
「わかりました!」
「俺もか!?」
「君もだ。」
「ぬあっ!!」
ウェザーが竜巻を飛ばしてきた。
「今こそ呪われた過去を、振り切るぜ!!」
アクセルの言葉を皮切りに、三人は飛び上がる。
「「「『ライダー・トリプルマキシマム!!!!!』」」」
アクセルがアクセルグランツァーを、Wがファングストライザーを、クロスがクロスインプレッションを、竜巻に向けて同時に放った。
竜巻は三つに分裂し、ウェザーに向かって飛んで行く。
「何!?うっ、うおああああああああっ!!!」
ウェザーは吹き飛ばされた。
「井坂もウェザーメモリも見当たらない。逃げたのか…」
照井は残念そうに言った。
「だが、リリィ白銀は救えた。それにしても、あの危険なメモリ摘出方法を何の躊躇もなくやり遂げるとは…すごい男だ。」
フィリップは照井を褒めた。
「なんだよいつの間にか仲良くなりやがって。」
翔太郎は横になりながら言った。
ティアナは照井を見る。
「…何だ?」
「…戻りましたね、私の憧れる照井さんに。」
「……ああ。」
照井は微笑んだ。
光輝とスバルは嬉しそうに見ていた。
その光景を、少し離れた場所から見ているものがいる。
包帯を巻いた黒ずくめの女性、シュラウドである。
「強くなってきた。いいわ、竜。光輝。……来人……」
シュラウドは呟いた。
その日の夜、光輝はトレーニングに励んでいた。
(もっと強くならないと…)
光輝はサンドバッグに拳を、蹴りを打ち込みながら、今日の戦いを思い出している。
(トリプルマキシマム…あれ程の攻撃を放っても井坂は倒せなかった…)
そして、昨日の出来事を思い出す。
(あれを上回る攻撃を僕一人でも出せないと、奴には、あのドーパントには勝てない…)
思い出して、また打ち込む。
(もっと強くならないと…僕がみんなを守るんだ!!)
「はあああああ!!!」
光輝のトレーニングは、午前0時を回るまで続いた。
************************************************
次回は番外編です。その後は長編を書く予定なのですが、詳しいことは次回の後書きで書きます。
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またうろ覚えです。しかも『Dが見ていた』なのにデンデンセンサーがほとんど活躍してない… | ||
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