仮面ライダークロス 仮面ライダーディケイド〜新たなる序章〜前編
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どこかの屋台。老人、光栄次郎が注文をすると、店主は黙ってあるものを出した。

栄次郎はそれを手に取る。

「ほう、イカで、ビールか。」

出されたものは、イカのスルメと、ビールだった。栄次郎はイカもビールも大好きだが、ここで何かに気付く。

「ん?イカで、ビール?なんだか前にもこんなことがあったような気がする……イカでビール…………イカデビル!?」

それは彼にとって、非常に聞き慣れた単語だった。

そして、目の前の店主もまた、彼にとって見慣れた存在だった。

だが悪い意味で、である。

店主の正体は、世界の秩序を守ろうと暗躍する謎の人物、鳴滝だった。

「そうですよ。」

鳴滝はニヤリと笑って言った。

「や、やっぱり!うわああああ!!」

栄次郎は逃げようとしたが、飛んできたマントに包まれてしまった。

数秒後、栄次郎はゆっくりと立ち上がった。だが、彼はもう栄次郎ではなかった。

「私は、ハイパー死神博士!」

「そして私は、」

鳴滝もコートを脱いで、名乗りを上げる。

「ハイパーゾル大佐!」

 

二人はどこかの基地に場所を移した。

ハイパー死神博士は笑う。

「スーパーショッカーが強化復活した我らハイパーショッカーの進撃は、まさに破竹のごとし!残ったライダーもあとわずか!もう少しで、我らの悲願は達成される!」

ハイパーゾル大佐は進言する。

「だが、油断してはいけないぞハイパー死神博士。」

「なぜだハイパーゾル大佐?」

「奴ら仮面ライダーは絶対に諦めん。追い詰められたネズミほど、警戒すべき存在はないからな」

しかしハイパー死神博士は気に止めない。

「何を恐れることがある?奴らにとっての最後の希望すら消えたのだ。あとの雑魚どもなど、恐るるに足りん!」

「そうは言うが、私は奴の死体を確認していない。生きている可能性は充分にある」

「まったく、なぜそこまで警戒するのだ?」

「警戒するさ。あれぐらいのことで死ぬとは思えん。何せ奴は…」

ハイパーゾル大佐は間を置いてから言う。

「世界の破壊者だからな。」

 

 

 

テメンニグル学園。フェイトは未だに登校してこない光輝のことを考えていた。

なのはが話しかける。

「どうしたのフェイトちゃん?さっきからずっと上の空だよ?」

「え?う、ううん、なんでもないよ。」

フェイトの反応を見たはやてがニヤニヤしながら言う。

「はは〜ん、さては光輝くんのこと考えとったね?」

「な!?/////」

考えていたことをズバリ言い当てられ、フェイトは顔を赤くする。

「やっぱり。そうやね〜、フェイトちゃん光輝くんに何回も助けてもらっとるもんな〜、恋にも落ちるわな〜。」

ますますニヤニヤするはやて。

「ち、違うよ!私は、光輝遅いな、って思って…/////」

フェイトは否定するが、顔が赤いため、説得力がない。

そういえばとヴィータが気付く。

「確かに光輝のやつ遅いよな。」

「我々が気付いていないだけで、もう来ているかもしれんぞ?テスタロッサ、ダンテ達に聞いてみたらどうだ?光輝は奴らと仲がいいからな。」

「…そうだね。」

シグナムに言われ、フェイトはダンテ達の元へ行った。

「ねぇ、光輝まだ来てない?」

「…いや、まだ来てねぇな。」

ダンテが答えた。バージルが考える。

「妙だな。光輝なら、今の時間帯はもう来ているはずだが…」

「寝坊でもしたんじゃないの?」

レディが言った。

そういえばとトリッシュが気付く。

「ねぇ、ドナルドも来てないわよ?」

確かに、ドナルドも姿を見せていない。

「ったく、何やってんだよあいつら…」

照山は窓の外を見て、光輝達がどこにいるのかを捜す。

と、照山は驚く。

「オイお前ら!ありゃあ何だ!?」

クラスメイト達は照山の言葉に反応し、窓の外を見る。

 

そこには、巨大な灰色の何かがあった。

 

カーテンともオーロラとも見えるそれは、とにかく巨大だった。学園より大きいかもしれない。しかも…

「なんか近づいてきてねぇか?」

ダンテの言う通り、だんだんとこちらに近づいてきていた。

「まずいぶつかる!」

シグナムは慌てたが、カーテンは校舎にぶつからなかった。

窓や壁をすり抜けて、中に侵入してきたからだ。

生徒、教師の両者は成す術もなくカーテンに呑み込まれた、。

テメンニグル学園には誰もいなくなった。

 

 

鳴海探偵事務所。ここでも異変が起きていた。

「さて、今日は何を検索しようか…」

いつものようにフィリップが検索対象を探していると、

フィリップの目の前に灰色のカーテンが現れた。

「これは、あの時と同じ…うわっ!」

フィリップはカーテンに呑み込まれた。ついでにリボルギャリーも。

「どうした〜フィリップ〜?」

声に気付いた翔太郎と亜樹子が、部屋に入って来た。

「…フィリップ?」

しかし、フィリップの姿はない。

「リボルギャリーもないじゃん!」

驚く亜樹子。

そして、二人の前にも灰色のカーテンが現れ、二人は消えた。

 

 

風都署。照井は超常犯罪捜査課に向かって歩いていた。

そして、灰色のカーテンが現れる。

「何だこれは!?」

照井は消えた。

 

 

 

どこかの荒野。灰色のカーテンが通り抜けると、おびただしい数の人が現れた。先ほど消えたテメンニグル学園の生徒達である。

「何だ!?何が起こった!?」

ダンテは周りを見渡す。

「なのは!」

「フェイトちゃん、大丈夫!?」

「私は平気。でも…」

フェイトもなのはと一緒に辺りを見る。

「どこなの?ここ…」

フェイトは不安そうに言った。

バージルは冷静に思考を巡らす。

(なぜこうなった?確か俺達は…)

三年B組の教室にいた。だが、今は違う場所にいる。

原因は間違いなく、あの灰色のカーテンだ。

(…どうやら、飛ばされてきたのは俺達だけではないらしい)

今この場にいるのは、バージル達だけではなかった。

隣のクラスのイヴ、一年生のスバルやティアナ。小等部や教師連中、理事長や校長教頭までいる。

「…全員飛ばされてきた、か…」

そう、学園の全生徒、全教員が来ていたのだ。

その時、また灰色のカーテンが現れ、今度は翔太郎、フィリップ、亜樹子、照井が、リボルギャリー、ガンナーAと一緒に出てきた。

「なになに!?ここどこ!?あたし聞いてない!!」

大パニックの亜樹子。

「落ち着け亜樹子。」

「僕達は前にも同じようなことをしているだろう?」

亜樹子をなだめる翔太郎とフィリップ。

「どういうことだ?」

照井が尋ねた。

「まさか君まで来ているなんてね。」

フィリップは驚く。

「照井さん!」

そこにスバルとティアナがやってきた。

「君達、どうしてここに?」

照井は、今学園にいるはずの二人がこの場にいることに驚く。

「いやー、私達もさっぱりでして…」

「灰色のカーテンのようなものに呑み込まれたと思ったら、もうここにいたんです。もしかして、照井さん達も?」

「ああ。」

そのころ、ムンドゥスとアルゴサクスは慌てていた。

「こ、これは一体!?校長!私はどうすれば!?」

「私に聞かないで下さい!ここはどこで、なぜこんなことに!?」

「落ち着け貴様ら。生徒をこれ以上動揺させる気か」

見かねたスパーダが二人を落ち着ける。

「は、はあ…」

「申し訳ありません理事長。」

「それで、理事長はどう思われますか?」

ムンドゥスは尋ねた。

スパーダは数秒の思案のあと、言う。

「私が思うに、恐らくここは我々がいた世界ではない。俗にいう異世界だろう」

「なんと!」

「異世界とは…!」

二人はまた慌てかける。

その時、悲鳴が上がった。

「何だ!?」

スパーダは二人を連れて走った。

 

スパーダ達が駆け付けると、そこには数十からなる異形の怪人達がいた。

「これは、ドーパント!?」

「しかもこんなにたくさん…」

「…いや、ドーパントではないな。ガイアメモリの波動を感じない。別種の怪人のようだ」

スパーダは冷静に敵の正体を把握する。

「いずれにせよ、生徒の安全が第一。倒すとしよう」

言ったスパーダの手に、ダンテのリベリオンと同じ大きさの両刃の大剣、フォースエッジが現れた。

「どうやら、魔剣の転移機能は適応されるようだな。」

スパーダはフォースエッジを構えた。

怪人の群れに飛び込もうとするスパーダだったが、そんな彼の前にアークライトが現れる。

「理事長の手をわずらわせるまでもありません。ここは、我々生徒会におまかせ下さい。」

アークライトが言うと同時に、生徒会の役員達が、怪人達の前に立ちはだかる。

「俺も手を貸すぜ。」

「面白いじゃない。私もやるわ」

「仕方ないわね。」

「私も!」

「はやてとなのはは、私が守る!」

「私も加勢しよう。」

「行くわよ、未央!梔!」

「んぃ!」

【×業界 〇了解】

ダンテ、レディ、トリッシュ、なのは、ヴィータ、シグナム、セツナ、未央、梔も参戦する。

「俺達も行くぜ!フィリップ、照井!」

「ああ。」

「わかった。」

 

〈CYCLONE!〉

〈JOKER!〉

〈ACCEL!〉

 

「「変身!」」

「変・身!」

 

〈CYCLONE/JOKER!〉

〈ACCEL!〉

 

翔太郎達もWとアクセルに変身して立ち向かう。

そして、戦いが始まった。

 

ここで生徒会役員達の実力を紹介していこう。

アークライトはポジティブフィードバックゼロ(以下PFゼロ)という能力を持つニードレスだ。この能力は相手の技、能力を覚え、威力を倍加させて放つことができる。能力を覚える手段としては、相手の技を見る、食らうという二通りの方法が主だが、そのほかにも、彼の額に付いている青い水晶のような器官、白毫(びゃくごう)で相手の額に触れることでも、覚えることができる。

この方法は相手に近付かなければならないのでリスクが高く、めったに使わないが、見たり食らったりするだけでは覚えられないものもあるので、あくまでも最終手段である。まあイヴのドッペルゲンガーを覚えているため、一撃で死なない限りはドッペルゲンガーの部分変身で再生できるのだが。

「テンペストスレッド!!」

アークライトは大量の斬糸を浴びせかけ、怪人達を一掃する。

続いて離琉の能力だが、彼女の能力は『サイコキネシス』。つまり念動力だ。その力は凄まじく、自分の何倍もの大きさのビルを浮遊させたり、銃弾を止めることさえ可能である。

「エターナルディストーション!!」

離琉は衝撃波を放って怪人達を吹き飛ばした。

次は左天。彼の能力『第四波動』は、熱エネルギーを吸収し、炎に変換する能力である。彼はこの能力を完璧に使いこなしており、熱を奪うことで相手を凍らせて動きを封じたり、変換を利用して小型台風を発生させるなど、応用している。

「第四波動!!」

左天は右手から炎を出し、怪人達を焼き払った。

次は右天。彼の能力は『透明』。生き物以外の物を透明にすることができる。ただそれだけの能力だが、透明にしたナイフを投げることで高速攻撃を繰り出しているように見せかけるなど、応用力があるため、決して侮れない。とはいえ、直接的な戦闘には向かない能力なので、補助に回ることが多い。

「バミューダアスポート!!」

右天は透明にした大量のナイフを投げつけ、怪人達を攻撃した。彼のナイフ投げは強力なので、能力と合わせれば充分な脅威になるのだ。

次はアルカ。彼女もまたニードレスであり、能力名は『アグニッシュワッタス』。照山と同じ炎の能力なのだが、アルカの能力は炎のニードレスの中でも最上位に位置しているため、全てにおいて照山を上回っている。また、マイクロウェーブを発生させることも可能。

「ヒートエクスプロージョン!!」

アルカは炎を纏って怪人達に突撃した。

続いてバージル、はやて、フェイトの実力だが、紹介する必要はないだろう。今まで散々書いたし、あまりくどいとうんざりされてしまう。

しいて言えば紹介すべきははやてだ。彼女は広域魔法の達人であり、その力はなのはやフェイトと同レベル。つまり凄まじく強い。

「デアボリック・エミッション!!」

はやての広域魔法による爆発が、怪人達をなぎ払った。

 

 

状況は優勢。戦える者は次々と反撃を始めているので、襲ってくる怪人達は瞬く間に倒されていく。

その時、

「姉さん!」

アルカの元へ、彼女の弟、クルスが走って行った。

「クルス!?駄目だ来るな!」

だが時すでに遅し。クルスに怪人の一体、ゴートオルフェノクが襲いかかった。

「うわぁっ!!」

「クルスゥゥッ!!」

アルカも走るが間に合わない。このままクルスは殺されてしまう。アルカがそう思った、

次の瞬間、

 

〈ATTACK RIDE・BLAST!〉

 

大量の銃弾が変幻自在な軌道を描きながら出現し、ゴートオルフェノクを弾き飛ばした。

アルカは一瞬何が起きたかわからなかったが、すぐに正気に戻り、

「貴様ぁぁ!!よくも私の弟に!!」

ゴートオルフェノクに突撃、

「アグニッシュワッタス!!」

マイクロウェーブを叩き込んで爆砕した。

「クルス!大丈夫か!?」

「う、うん…」

そこへ、顔にいくつものプレートが刺さったような仮面を付け、全身をスーツで包んだ戦士が現れた。

「怪我はないかい?」

「は、はい。あなたは?」

「僕かい?僕は…」

ダンテはバージルとなのはに尋ねた。

「なぁ、今思ったんだけど…」

「何だ」

「どうしたの?」

「この学園、戦力ありすぎじゃねぇか?」

「にゃはは…そうだね…」

「今ごろ気付いたのか?」

 

「シグナム!後ろ!」

「なっ!?…!ヴィータ!後ろだ!」

「何!?」

シグナムの背後からマンティスロードが、ヴィータの背後からスパイダーイマジンが、それぞれ襲いかかった。

だが、

「はあああ!!」

「やああぁーっ!!」

突如として現れた二人の戦士に倒された。

「大丈夫ですか!?」

「あとは俺達に!」

「す、すまない!」

「悪い!」

シグナムとヴィータは二人に礼を言って、再び怪人掃討作業に入った。

 

 

やがて怪人達は全滅し、乱入してきた三人の戦士が残った。

「お前達は何者だ?」

スパーダは尋ねる。

「俺達は、仮面ライダーです。」

三人のうちの一人、クワガタのような戦士が答えた。

「仮面ライダーだと?」

そこへ、Wが割り込んできた。

「あっ!こいつらどっかで見たと思ったら、仮面ライダーディエンドに、仮面ライダークウガ、仮面ライダーキバーラじゃねぇか!」

「久しぶりだね、仮面ライダーW。アクセルも一緒か」

すると、三人は変身を解いた。Wとアクセルも変身を解く。

「…どうやら本当らしいな」

スパーダは呟いた。

三人は自己紹介する。

「僕は海東大樹。」

「俺は小野寺ユウスケ。」

「光夏海です。ここは危険ですから、とりあえず場所を移しましょう。」

夏海と名乗った女性に言われ、スパーダ達は生徒達を連れて場所を移すことにした。

 

 

やって来たのは、今はもう使われていない廃病院。少々小汚ないが、生徒達を全員入れるには充分なスペースがあった。

スパーダは生徒達をそこに避難させ、夏美達の言っていた『光写真館』という場所へ行こうとする。

だが、それをアークライトが止めた。

「光写真館には我々生徒会が伺います。理事長はこちらでお待ち下さい」

こうして、光写真館にはアークライトを含めた生徒会役員に、なのは、シグナム、ヴィータ、ダンテ、レディ、トリッシュが行くことになった。

ダンテが言う。

「照山、留守は頼むぜ。」

「ああ!任せとけ!」

離琉もセツナ、未央、梔の三人に言う。

「あなた達も、みんなを守ってね。」

「はい!」

「んぃ!」

【お気を付けて】

アークライト達は光写真館に向かった。

 

 

光写真館では、すでに翔太郎、フィリップ、亜樹子、照井の四人が待っていた。

そこにアークライト達が到着し、海東が話しだす。

「君達が別の世界から来たということは、もう察しがついている。」

「ここは一体どこだ?」

アークライトが単刀直入に尋ねた。

海東が答える。

「ここは、君達がいた世界とは異なる世界。そして、僕達を含めた仮面ライダーが、『ハイパーショッカー』と戦っている世界だ。」

「ハイパーショッカー?さっきやり合った連中か…」

翔太郎が先ほど戦った怪人達のことを思い出す。

ユウスケが説明する。

「奴らは、いろんなライダー達の世界の悪の組織が手を組んだ組織、『大ショッカー』が強化復活した組織、『スーパーショッカー』が、さらに強化復活した組織なんだ。」

「なんかややこしいな…」

ダンテがぼやいた。

バージルが尋ねる。

「戦況は?」

海東が答える。

「劣勢だよ。残っているライダーは僕達を含めて、もう五人しかいない。それに、よくわからない秘密兵器もあるみたいだ。」

ヴィータは翔太郎、フィリップ、照井を見る。

「一応ここにライダーが二人いるけど…」

「たった二人、焼け石に水だ。」

シグナムが事実を告げた。

「でも!戦況は変えられます!」

夏美が言った。海東も頷く。

「この劣勢を覆す方法が一つだけある。」

トリッシュが驚く。

「これだけの劣勢を一発で覆すなんて、そんな方法があるの?」

「ある。」

ユウスケが即答した。

と、ここでフィリップがあることに気付く。

「そういえば、彼は、仮面ライダーディケイドはどうしたんだい?ここにはいないようだが…」

すると、三人が目を伏せた。

「ど、どうしたの?」

急に訪れた重苦しい雰囲気に、亜樹子は一人慌てる。

やがて、ユウスケが口を開いた。

「夏海ちゃん、あれを…」

「はい…」

夏海は、ある物を持ってきた。

それはカメラのような形をした何かと、本のようなものだった。いずれもボロボロだ。

海東が言う。

「これはディケイドライバーとライドブッカー。仮面ライダーディケイド、門矢士が変身に使うものだ。」

夏海が説明する。

「士くんはハイパーショッカーとの戦いで、行方不明になったんです。」

ユウスケが捕捉する。

「俺達も士を捜したけど、見つかったのはこれだけだった。」

右天は考える。

「戦いの後から見つかったのがこれだけってことは、もしかすると、その士って人は、もう……」

左天の頭にも最悪の状況が浮かぶ。

「可能性としては、あり、か……」

「士くんは生きてます!!」

夏海は声を荒げた。それはそうだろう。彼女は大切な人である士が死ぬことなど、考えたくなかった。

そして、それは翔太郎も同じだった。

「俺も、あいつがそんな簡単にやられちまうとは思えねぇ。」

照井も同意する。

「同感だ。その士という男がどんな奴かは知らんが、死体さえ確認されていなければ、生きている可能性はある。」

そこでアルカが尋ねる。

「それで、私達はどうすればいい?元の世界に帰る方法がわからない以上、私達はあなた達に従うしかない。」

すると、海東は何かをこらえるような顔をしてから、言った。

「君達に士を捜索してほしい。」

「私達が、ですか?」

フェイトが反応した。ユウスケが頷く。

「さっきも言った通り、俺達は劣勢だ。もっとくまなく士を捜したいけど、ハイパーショッカーとの戦いで手一杯だから、できない。こうしている間にも、ハイパーショッカーの世界征服は進んでいるからね。奴らは世界の壁を乗り越えて、自在に別の世界に行けるんだ。」

その事実には全員が驚いた。

亜樹子が尋ねる。

「世界の壁って、あのオーロラみたいなやつのこと!?」

「はい。私達は、世界の架け橋って呼んでます。」

アークライトは考える。

「ここでハイパーショッカーを倒さなければ、我々の世界にも侵攻される可能性があるということか…」

トリッシュも考える。

「もしかしたら、私達はハイパーショッカーを倒すために、この世界に呼び出されたのかもしれないわね…」

バージルは疑問を言う。

「しかし、ライダーは七人だろう?今さら一人加わったところで、何が変わるとも思えんが…」

「それについては心配ない。士には、ライダーを復活させる力がある。」

海東の発言に、またしても驚く一同。

なのはが尋ねる。

「ライダーを復活させるって、そんなことが!?」

「できる。士は、仮面ライダーディケイドとは、そういう存在なんだ。」

ディケイドとは物語を紡ぐ存在。かつて消滅の危機にあったライダー達の世界は、ディケイドによって再び物語を紡がれることで消滅を免れたのだ。

「だからこそ、君達に士を捜索してもらいたい。これは君達にしかできないことなんだ」

「お願いです!協力して下さい!」

夏海は頭を下げる。

「わかった。その依頼、引き受けるぜ。」

翔太郎は了承した。

「我々も協力しよう。ハイパーショッカー、そのような連中をのさばらせておくわけにはいかん。」

「私達の世界も危ないというなら、なおさらね。」

アークライトと離琉も同意する。

「そいつを捜すだけじゃもの足りねぇ。ついでにハイパーショッカーってのもぶっ潰してやるぜ」

「案外あいつらを倒したら帰れるかもしれへんからね。」

ダンテとはやては意気込む。

「皆さん、ありがとうございます!」

夏海は再び頭を下げた。

 

その後、一同は士について簡単な特徴を聞かされた。

はやてが一番目立つ特徴を復唱する。

「いつもマゼンタ色のトイカメラを首から提げてるんですね?」

「はい。見ればすぐわかると思います」

目標も決まったところで、アークライト達はどう行動すべきか検討することにした。

左天は尋ねる。

「で、これからどうしますか会長?」

「まずは理事長に現状を報告する必要があるな…そのためにも一度戻るべきだ。」

アークライトの答えを聞いた翔太郎とフィリップが言う。

「じゃあ俺達は先に士を捜すぜ。」

「何かあったらスタッグフォンを飛ばして連絡する。」

翔太郎達は士を捜しに行った。

「よし、戻るぞ。」

アークライトを先頭に、生徒会役員達は廃病院に向かった。

「怪人達に気を付けてね!」

ユウスケの言葉を聞きながら。

 

 

 

「やはり異世界だったか…それも、かなり厄介な世界らしい。」

アークライト達から報告を受けたスパーダは思案していた。

「いかがなさいますか?」

アークライトは返答を求める。

スパーダは数秒の思案の後、今後の行動を決めた。

「何をするにしてもハイパーショッカーとの戦いは避けられん。戦局を変えるためにも、その士という男を捜す必要がある。」

「わかりました。我々生徒会が、必ず門矢士を見つけ出します。」

「…本当なら生徒のお前達ではなく、我々が行くべきなのだが…」

「お気になさらず。これも生徒会の務めですので」

アークライトは一礼して去った。

 

 

フェイトは光輝のことを考えていた。そこへ、なのはとはやてが来る。

「フェイトちゃん!」

「なのは、はやて。どうだった?」

「あかん。光輝くんどこにもおらへんわ」

「ドナルドくんも…多分、二人はまだ来てなかったから、巻き込まれなかったんだと思う。」

「そう……」

フェイトは少ししょんぼりした。

(光輝に会いたいな…)

いつからだろうか。自分が光輝のことばかり考えるようになったのは…と、フェイトは一人、物思いにふけった。

「大丈夫だよフェイトちゃん。」

「せや。きっとすぐ元の世界に帰れるよ」

「……そうだね。ありがとう、なのは、はやて。」

「えへへ♪」

「友達なんやから、当然や♪」

そこへ、アークライトが来た。

「今後の行動が決まった。我々は、門矢士の捜索に出る。」

 

 

アークライト達は光写真館に行った時と同じメンバーで、士の捜索に出かけた。

そのころ、スバルは、姉のギンガ、妹として引き取ったノーヴェ、それにティアナを加えて、話し込んでいた。

「ねぇ、あたし達、帰れるのかな…」

スバルは突然わけのわからない場所に放り込まれてしまったため、不安でいっぱいだった。

「…大丈夫。絶対、帰れるから…」

ギンガは泣きそうなスバルを慰める。

その時、突然大きな地響きがした。

「何だ!?」

「行ってみよう!」

ノーヴェとティアナはスバルとギンガを連れて、外へ向かった。

 

「グオオオオオ!!!」

「ンギャアアアア!!!」

「ふっふっふっ…」

外には、黒い巨人と四本の手に武器を持つ巨大な虫、剣を持った銀色の怪人がいた。

「…なるほど…」

いち早く外に出たディスクはバイザーを装着し、スキャンの能力を発動して怪人達のデータを調べている。

そこへ、スパーダ、ムンドゥス、アルゴサクスの三人が駆け付けた。

スパーダがディスクに尋ねる。

「奴らは?」

「黒い巨人はキングダーク。あの虫みたいなやつはフォーティーン。銀色の怪人はシャドームーンです。」

「ハイパーショッカーからの刺客か…」

「恐らく。」

三体の怪人は向かって来る。

スパーダは素早く指示を出した。

「フォーティーンは私が倒す。校長はキングダークを、教頭はシャドームーンを頼む。生徒をやらせるな!」

「はっ!」

「了解しました。」

二人は散った。

「下がれ。」

「はい。」

ディスクは下がる。

 

他の生徒達は嬉々とした表情でスパーダ達を見ていた。

無理もない。めったに見られない理事長達の戦闘が見られるのだから。

 

と、スパーダに近付く者がいた。ナンバーズのクアットロである。

「何の用だ?見ての通りこの場は危険だ。下がれ」

「お手伝いしますわ。私の力があれば、より簡単に「必要ない」ですが「必要ないと言っている。下がれ」…」

スパーダはクアットロの協力を拒否する。クアットロはなおもスパーダに協力しようとするが、スパーダは言い放つ。

「お前の魂胆は読めている。私に恩を売って、スカリエッティを釈放させるのが狙いなのだろう?」

「!!」

「生憎だがそれはできん。わかったら下がれ」

自分の意図を言い当てられ、たじろぐクアットロ。

「四度目を言わせるつもりか?」

「……くっ!」

クアットロは下がった。

スパーダはフォーティーンを見上げる。

「待たせたな。来い」

「ンギャアアアア!!!」

フォーティーンは吼えた。

同時に、ムンドゥスとアルゴサクスは悪魔である真の姿を見せる。

ムンドゥスはキングダークと同じ大きさの翼を持った三眼の石像に、アルゴサクスは炎が人間の形になったような、翼と角を持つ魔人に、それぞれ姿を変えた。

だが、スパーダだけが姿を変えていない。彼も悪魔ではある。しかし、単純に必要ないと判断しているがゆえ、人化を解いていない。フォーティーンは間違いなく強大な存在だが、スパーダからすれば雑魚でしかないのだ。

フォースエッジを構えるスパーダ。その時、

「待てーっ!」

「その人はやらせないぞ!」

ディエンド、クウガ、キバーラ意外の二人のライダー、仮面ライダー龍騎と、仮面ライダーファイズが現れた。しかし、

「「うわああああああああああ!!!」」

フォーティーンが放った火炎弾を受け、倒されてしまった。

「……お前達の仇は討つ。」

スパーダはフォースエッジを構え直した。

そのころ、ムンドゥスとアルゴサクスは、それぞれの敵を圧倒していた。

ムンドゥスはキングダークが目から放つ光線をノーガードで受け止め、翼から光弾を放って反撃、さらにキングダークに殴りかかる。

アルゴサクスはシャドームーンの剣を瞬間移動して回避。

「調教が必要ですな。」

右腕を燃える鞭に変化させてシャドームーンを打ちのめす。

フォーティーンはスパーダを叩き潰さんと、長い尾を降り下ろした。だがスパーダは苦もなくその尾を叩き斬る。

「ンギャアアアア!!!」

苦悶の声を上げるフォーティーン。

 

「では、とどめといきますかな…!」

ムンドゥスは額の第三の目に魔力を集中させ、

「はあああっ!!」

巨大な光線を放った。

「グアアアアアアアアアアア!!!」

キングダークは爆発した。

「だっ!!」

アルゴサクスは片腕を燃える剣に変化させ、シャドームーンを貫いた。

「うがああああああああああああ!!!」

シャドームーンは爆発した。

容赦なく斬りかかっていたスパーダは手を止め、フォーティーンから距離を取った。

「これで終わりだ。」

すると、スパーダの片手に奇妙な形状をした銃のようなものが装着された。

『ナイトメアΩ(オメガ)』。魔力弾を撃ち出す魔界の兵器である。

ナイトメアは今までにいくつものタイプが開発されているが、このΩは収束砲撃ができるのだ。スパーダの強大すぎる魔力と相まって、凄まじい破壊力を発揮する。

スパーダはなおも向かって来るフォーティーンに、

「ジャックポット!」

魔力の砲撃を撃ち出した。

「ンギャアアアアアアアアアア!!!」

フォーティーンは閃光に呑まれ、消滅した。

「…息子の癖がうつってしまったか。」

ジャックポットとは、ダンテが敵にとどめを刺す時に言う決め台詞である。

自重気味に笑うスパーダへ、生徒達の歓声が降り注いだ。

 

 

ハイパーショッカーの基地。ハイパーゾル大佐がハイパー死神博士に伝える。

「ディケイドの捜索と世界制圧を行っていたシャドームーン隊がやられたそうだ。」

「何!?もしやディケイドが…」

「いや、どうやら、別の世界から来た連中らしい。」

「そうか…まあよい。ハイパーネオ生命体が復活した今、その程度の損害などすぐに巻き返してくれるわ。のう、ハイパーネオ生命体?」

死神博士はポットの蓋を開けた。

すると、中に入っている緑色の液体の中から、少年の姿が浮かび上がる。ハイパーネオ生命体である。

「もちろんだよパパ。待っててね、もう少しで最高のオモチャができるから」

「ふふふ…楽しみに待っておるぞ。」

ハイパー死神博士はほくそ笑んだ。

 

 

「士くん、どこにいるんでしょう?おじいちゃんも戻って来ないし…」

夏海はため息をついた。

「大丈夫だよ夏海ちゃん。きっと帰ってくる」

ユウスケが夏海を勇気づける。

その時、アークライト達が入って来た。

海東が驚く。

「ずいぶん早いね。まだ一時間も経ってないよ?まさかもう士を見つけてきたなんて言うんじゃ…」

「そのまさかだ。」

三人は驚く。

「本当ですか!?士くんはいまどこに…」

「落ち着いて夏海ちゃん。」

ユウスケが夏海を落ち着かせる。

「それで?」

ダンテが詳細を告げる。だが、どうにも様子がおかしかった。

「多分こいつで間違いねぇと思うんだが、どうにも、な…」

と、バツの悪そうな顔をしたからだ。

「どういうことだい?」

海東が尋ねた。すると、

「右天、左天。」

アークライトが外の二人に指示を出した。

指示を受けた右天と左天が、一人の男を連れて入って来た。

男は首からマゼンタ色のトイカメラを提げていた。

「士くん!」

「士!」

「士!」

三人が男、士に駆け寄る。

「士くん今までどこに行ってたんですか!?」

「こいつ心配させやがって!」

「全くだ!僕をここまで心配させて、どういうつもりだい?」

喜ぶ三人。しかし、士が発した次の言葉によって、三人の思考は停止する。

 

 

 

「お前ら誰だ?」

説明
今回から長編です。グダグダですが、よろしくお願いします。
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